千年の恋人たち 10年
2019年10/31〜11/1タブレット端末にて執筆し深夜脱稿 11/2深夜投稿
割込投稿しようかとちょっと迷いましたが最新話の形で投稿します。
【 わからなくてもいい、わからないものを抱えて人は生きてゆくものだから…… "旅立ち 亜美"〜"続 黒猫館"まで登場したアニメ版とは微妙に違う倉田悠子作品キャラクター独特の恋人同士の距離感に男性が読むとちょっとだけモヤっとするこの作者独特の考え方とかを貫いた"元女の子達"の集大成みたいなエピソードでした。 夢に生きた夫がある日突然失踪しようが悩みながら罪悪感すら抱きながら距離を置いた娘達が大人になり其々の道を歩みだそうが母親の責任は果たさないといけないし時は流れ人生は続く そんな感じの物語です。 】
★文芸作品なのでエロはちょこっとだけ、アクションもお笑い要素も有りません。 元々雑誌連載作品でしたから各章を短編小説を読む様な感覚でどうぞ……私は強烈な眠気を堪えながら"神崎麻衣"や"野々村亜美"が歳を重ねたらこんな感じの面倒くさい女(笑)になるかなと想像しつつ楽しませてもらいました。
2007〜2008年企業PR誌あとん連載
"シャトー・ソンブラの日曜日"を改題 加筆修正.
日本・文学作品.
稲葉真弓.著.
河出書房新社出版.
偶々このサイトで読んでしまった小説やコミックに中国共産党か朝鮮半島やイスラム原理主義テロリストが掌握している土地並みの検閲や閲覧規制を設けようと喚くゴミ(あたしゃ学歴ひけらかし思い付くまま綺麗事を喚き立てるだけの正義の人が死ぬ程嫌いです。日本終わった?ああそうですか不平不満は正直飽きました 終わったならお前はどうするのかね? 生憎私は終わりすら楽しめるひとでなしでねぇ(苦笑))に対する反発を切っ掛けに思い出した"麻衣・夏の扉/倉田悠子.著"の話書く為にネットで参考文献調べ倉田悠子=稲葉真弓センセの訃報記事を見付けまして色々感慨深いモノが有りました。
とは言えそもそも別名義の著書(黒猫館で道誤った私にしてみりゃ肩書き色々付いてる稲葉真弓が副業で倉田悠子が本業でした…)を一度も読んだ事が無かったのでモノは試しだと数年振りに市立図書館へ、残念ながら目当てのタイトルは軒並み残って無かったけど何冊か借りる事が出来たので纏めて読んでいる最中です。 それにしても今時ラノベすら置いておらず専門書や雑誌すらも思想信条が事無かれ主義に偏った図書館ってどうよ? 私が高校生の頃はもっとファンキーな品揃えだったけどなぁ。エログロOKだったから"凄ノ王伝説/永井豪&永井泰宇"とか"魔界水滸伝/栗本薫"とか全巻揃ってた筈なのに何処行った 江戸川乱歩全集は残ってたけど筒井康隆全集は閲覧出来なくなったみたいだし。ダン・シモンズもえげつない傾向の物語は軒並み消えてて泣けて来る。
舞台となるのは作者が猫と一緒に晩年を過ごした三重県……ではなく令和元年早々台風15〜19号による雨風により甚大な被害を受け続けている千葉県 南房総半島。登場人物が軒並みあのシリーズ(亜美⇒麻衣の要素有り、原作ではなくノベライズ版のね)を思い起こさせる男女ばかり…染め物や建築設計とかバブル崩壊の時代に興味が無いつーかリアルに体験してるけど其処まで思い入れが無いお客様は私みたいに脳内で"富本起矢=真光寺たつやキャラ"に変換するとか、例えば京都アニメでキャラクター設定&映像化したりコミカライズするならどんな演出で盛り上げるかなんて遊びながら読むのが無難な楽しみ方なのかなと提言致します…40代の性生活に関する描写なんて身内で想像するとグロ映像に成りかねん(笑)
それにしてもコレ読み終えたタイミングでこの物語や"黒猫館"のクライマックスシーン思い起こさせる首里城全焼(2019年10/31未明〜) オール木材家屋で起きる電気系統のショート火災ならシロアリが犯人の可能性も有り得ますが、何はともあれ原因究明は鎮火作業終わらせてからですね。 イベント準備中の火の気皆無な建物が何故燃えたのかも含めて何も分からない状況だし。
【 1995年夏.本当に自分が作りたいモノは何だろう……個人住宅を手掛ける小さな設計事務所を経営し愛する妻に子育てを丸投げし思うがままに生きてきた広瀬春人が家族に何も説明しないまま私財を投じ1年前に書いた図面を手に義母に相談し彼女の住む屋敷の離れに建てさせて貰ったモノは、捨てられる筈だった多くの石材を組み合わせた使い道が分からない不思議な塔。太陽と影と命名されたソレに理不尽な憎しみすら抱いていたのはこの物語の主人公の1人=夢破れた夫に突然置き去りにされた妻 佐和だけだった。 】
★絵描きとか建築家みたいなクリエイティブな職種と其れなりに交流が有ると時々その思想信条にドン引きするのだけれど夢を叶えるなら家族なんかどうでも良いなんてタイプの人間は一定数存在します。優しそうで虫も殺さない様に見える外面の良い奴に限ってその中身は真黒です。
千葉県 南房総半島の緑と海に囲まれた塔の有る家を主な舞台に物語を彩るのは、夢見がちだった男に突然置き去りにされた母娘。コレは何もかも放り出した男の代わりに家族を見守り続けた塔の記憶。
母や姉にでは無く自分にだけ何故ソル・ソンブラを作ろうと思い立ったのか色々話してくれた父が大好きだった次女 明日香が魅せられたのは父と同じ様に"夢に魅せられた男達" 家族を捨てた父に失望し壊れかけた母の代わりに妹を育て上げた姉 蓮子は旅行代理店で来る日も来る日も働くのが趣味な仕事人間になったが、父親そっくりな地に足が着いていない性格を持つ彼女は、短大卒業後に実は別の女性と二股を掛けていたミュージシャン志望の年上男性と別れ、祖母・佳乃が亡くなった後も東京に戻らず独り実家の一部屋を染物工房に改装し創作活動を続ける母 佐和の手伝いをしながら水産市場の物産センターでアルバイト。尚海産物を扱う事から職場から戻るとあまりの生臭さに慌てた母から風呂へ追いやられる毎日は確実に彼女の女子力を摩耗させていった(笑)
そんな生活を続ける中、好きなだけサーフィンがしたいと言う理由から大学を中退し数年前独りこの街にふらっとやって来たペンション住まいの自由人にして爽やかイケメン・大塚宣と知り合いその後交際。時折2人で母の仕事を手伝う彼女が内心やきもきしているのは、傍から見てると中々進展が進まない様に見える母と仕事&恋愛でパートナー関係に有る画廊オーナー水城裕二の恋愛模様。 もっとも其れは末娘だけには愛欲に溺れる格好悪い姿を見せたくない佐和の見栄と30代で最愛の妻と死別し其れ以降は独り隠者として生きて来た裕二の細やかな気遣いから来るモノで有るとは気付いていない。
12年前 事務所が経営破綻し、多額の負債を抱えて姿を眩ました夫に振り回される形で精神の均衡を崩していった佐和の逃げ場所となったのは、皮肉にも末期の癌を患った母佳乃の介護。無責任な父親のせいで壊れかけた佐和をこれ以上苦しめたく無いと甘えるのを止めた蓮子に東京の住まいと明日香を託し絶えず千葉と東京を行き来しながら娘達の進路相談や様々なイベントにも必ず顔を出す様にはしていたものの、思い出が残る家に子供達に寄り添えない弱い親で有る事に罪悪感すら抱いていた彼女の転機となったのは、母の葬儀を終え独り取り残された房総の屋敷で幻視した幼い頃の思い出と幸せだった頃の子供達の姿。
永遠の愛に憧れていた大学生の頃、春人と知り合う前の私は偶々友人達に引き摺り込まれた染色の世界に夢中だった。恩師や友人達に絶賛されたあの頃を取り戻したいそんな不純な動機で再び始めた趣味で知り合う事になったのが半ば趣味の店と化した画廊を経営する元夫とは真逆な側に居るだけで心が踊る包容力の有る男=水城裕二 彼のアドバイスや関係各所への売り込みと短大卒業後から房総の家に住み着いた植物好きな明日香や周辺の森林を管理する人の良い古老達から様々なアイデアを貰った佐和の染物は徐々に顧客が付いてゆく事になっていった。
見も蓋もないけど読んでたら眠り込みそうな穏やかな物語に波乱を巻き起こしたのは、日本語とこの国の染色を学びたいととある国から画廊まで押し掛けて来た20代の留学生♀。 裕二に懇願される形で渋々1年間の弟子入りを受け入れた佐和は明日香共々、昼夜のべつまくなしに喋り歌うアグレッシブな留学生に振り回されつつも、価値観も生き方もまるで違う若い娘が持ち込んだ古いキルトに魅せられたりと新鮮な毎日を過ごす事になるのだが そもそも外国人で異性との距離感がアレな彼女に振り回された大塚宣が挙動不審な態度を見せる様になり徐々に穏やかでない状況に……。
心変わりを誤魔化そうと益々趣味のサーフィンに入れ込む宣は波の流れを読み間違えた挙げ句、明日香の目の前で岩礁に叩き付けられ意識不明の大怪我を負う事になってしまう。 頭を打ち付け沈みゆく宣を自身も大怪我を負いながら助け出した明日香を苦しめたのは、かなり身勝手な理由で両親を捨てた"爽やかイケメン"の惨めな正体。東京から千葉の病院に駆け付けた子離れが出来ない母親と居丈高で無礼な父親に連れられ強引に転院させられた大塚宣からはそれ以降一切の連絡が無く、バイトも手に付かず辞めてしまい日がな1日様々な本を読み耽るか泣くだけ泣いてぼんやり過ごす明日香が立ち直る兆しを見せ始めたのは半年後、秋深まる季節の事だった。
冬の季節を迎えた東京の画廊。 村の古老達に教えられ佐和が留学生と共に見付け出したウメキゴケを使った染料で染めた作品をメインに据えた人生二度目の展示会に駆け付けて来てくれたのは、裕二が書いたDMを読み駆け付けた顧客たちと大学卒業&結婚以降、疎遠となっていたクラスメイト。意外だったのは房総に移り住んでからこちらから食事奢るよと呼び出さないと中々現れない甘えるのが下手でとことん頑固者な蓮子が会社の同僚だと紹介する若い男性を連れて来たこと 自分が引き籠っていようが迷い続けていようが時代は移り娘達は自立してゆく……貴方と色々話し合いたい事が出来ました。その日、裕二と甘くてほろ苦い夜を過ごし2人の関係は少しづつ前へ進み出す。
私は夏の子供をやめるんだ。……再び物産センターのバイトに復帰した明日香は蓮子と相談し貯めた貯金で来春タイへと旅立ち、留学生も同じ頃祖国へ帰る。聞いた話では宣は大学へと復学するらしい……それぞれの人生が動き始めたのを機に老朽化が進んだソル・ソンブラも解体される事になった。記念に石の1つをタイへ持ってゆくのだと微笑む娘の希望で撤去された塔の代わりに植えられたのは千年の恋を見守り続けるというオリーブの木。
明日香が機上の人となった翌日、その日祖国へ戻る準備を始めるため房総の家を離れる留学生とのお別れバーベキューの準備で忙しない佐和に届いた知らせは蓮子からの電話。展示会に連れて来た良い雰囲気の同僚・由比を連れて来たのは今年中に初孫を抱く覚悟を決めて貰う為(笑) 遠く陽炎が立つ花畑の向こうからこの家目指しやって来るのは愛する裕二に蓮子と義理の息子となる若者そしてやがて生ま来る初孫の3.5人
「そろそろ始めましょう」バーベキューの火は赤々と燃え上がる。
起承転結がゆったりしてたりそもそもオチは何処行ったと泣き喚きたくなる純文学……昔は結構読み耽ってたんだけどな片岡義男とか新井満に川西蘭とかねぇ……でも久し振りに目を通すと何時までもウジウジしてる登場人物達にイライラするのはどうしてなんでしょう(笑)




