HANNIBAL ハンニバル シーズン1-⑤ 13年
2019年9/20〜9/21タブレット端末にて執筆し夜脱稿 9/22深夜投稿
PV反応もまあまあだし(笑)そろそろペース上げたいから多少ヤムチャし此処から3話構成で進めてみます。書いてる最中3回程停電…誤字脱字等は後日直します。
【 情け容赦無く親友を地獄へと陥れる罠を仕掛け、好意を抱いた相手すら躊躇いも無く手に掛ける殺人鬼で有りながらも他人助けに奔走し、このシリーズで毎回ウンカの如く大量発生しているサイコパスを1匹残らず狩り立てる……案外レクター博士も主人公の影響受けまくってると判明する後半戦。自分でも何をやろうとしてるのか本当の所分かってなかった結果がモーリア先生のカウンセリングで有りあの結末だったのかと考えると色々感慨深いエピソードかもと思い付きました。では後半戦も不真面目に進めます。 】
★7〜10話まで4回続けて切り裂き魔放置です(笑) まあ一応牢屋の中だしねぇ。
まずは時事ネタ…お彼岸入りとなりましたが台風17号の影響で快晴⇒いきなり暴風雨⇒再び晴れて蝉時雨⇒結局翌日の朝から暴風雨圏内に入り停電が……と忙しない天気に振り回されながらこんな文章書いてます。前話投稿終えてからすぐにでも続き書くつもりでしたが本編9話の"人体トーテムポール"見てると何故か不意に"ドクター秩父山 田中圭一著"が読みたくなり(…多分猟奇趣味に走ったシリアス描写に耐えられなくなった。)ついでに第1シーズン最終回迎えた"ダンベル何キロ持てる"の出入 苦太郎とジェイソン・スゲエサムが上半身裸で繰り広げるラブシーンそのものなNice boatなクライマックスで腹筋が割れそうに……まあ兎に角、何とか精神汚染の除去&気分転換出来ましたんで再開しますね。
第8話:フロマージュ=チーズ
大抵のコースなら数種類のチーズによる盛り合わせが供されます。フランス語ではチーズケーキもチーズフォンデュもフロマージュと書きます。とは言えこの物語で供される其れはどんな後味を残すのか……大概ろくでもない事に成りそうです。
2014年2月. 春は未だ遠く、辺り一面雪景色が広がるグレアム邸。雪解けの季節が来る前にとボート整備を続けるウィル・グレアムを慌てさせたのはコヨーテ達の争う声…だがまさか犬達が巻き込まれたのかと飛び出した雪原に争いの痕跡は何処にも無く足跡すら見付からない……夢遊病に不眠症、頭痛も収まらないのに挙げ句の果てに幻聴……上司ジャック・クロフォード課長によるパワハラそのものな殺人現場行脚に加えサイコパスな犯行の追体験によるストレスは間違い無く彼の精神を疲弊させ続けている。 自分が事件を解決に導かなければ犠牲者が増える。未だ犯人の手掛かりが見付からない現状は捜査官達の人間関係にも暗い影を投げ掛ける。
先日ボルティモア楽団がオペラの一幕を演奏したばかりのコンサートホールで"人体チェロ"に加工されていたのは楽団のトロンボーン奏者ダグラス・ウィルソン。気休め代わりに大量のアスピリンを服用した主人公が幻視したのは"誰かに見せ付けるかの様に死体を飾り付けたコンサートホールで披露された不気味な小夜曲と其れに拍手を捧げる自分自身の姿" それは明らかに彼が射殺した筈の食人鬼なのだが壊れているグレアムには最早区別が付かない。 司法解剖と科学検査により浮かび上がった犯人は弦楽器を扱う事に熟知し被害者と顔見知りで有る可能性が極めて高い…勿論殺害時刻にレクター邸でパーティーに参加し、明確なアリバイが判明している楽団員が関与する可能性は否定された。
事件発生から数日後、レクター博士を悩ませていたのは診療所のみならず出掛ける先々で付き纏う様になった患者フランクリンの精神治療行き詰まりと彼から持ち掛けられた厄介な人生相談。 初対面の時から忌避感を抱かせた彼の親友"トバイアス・バッジ"の怪し気な動向と猟奇的な発言にただならぬ陰湿さにまるでグレアムが乗り移った様な正義感から来る怒りを感じ疲れ果てたレクターは、誰かさんと違い医師を辞めた後も患者の秘密を厳守する"べテリア・デュ・モーリア"が暮らす館へと足を向ける。
「仮面を被り壁を築いて不要となった人物を文字通り排除して来た貴方に、初めて自分を理解して欲しい友人が出来たのね。」
モーリアに指摘され自身に宿る複雑な感情…獲物に抱いた不可解な親近感を漸く理解したレクターは、捜査に行き詰まる盟友を助け最早嫌悪感しか感じない困った患者と不快な障害を纏めて排除すべく行動を起こした。トバイアスが経営する弦楽器店を訪問しハープシコードの弦張り替えを依頼、診療所に乗り込む気満々な彼を食事会に誘い単刀直入に質問。愉しげに自らの犯行を告白したトバイアスは調子に乗った挙げ句、何も知ら無いフランクリンを連れレクターが前回行なった犯行の一部を見学していたのだと告げる。 不用意な発言でまんまと虎の尾を踏んだ事に気付かないまま会食を放り投げ中座したアレを叩き潰す。そう決断したレクターは報復攻撃のリスク覚悟で色々相談に訪れた(アラーナに惚れた&振られた云々と幻聴については長くなるから省略)主人公に情報提供。
翌日、地元警官2名と共に弦楽器店を強制捜査の為に訪れたグレアムは突然襲い掛かった幻聴により咄嗟に屋外に飛び出しピンチを免れたが逃げ損ねた警官はトバイアスに瞬殺される。地下に連れ込まれた警官を助けるため作業場に乗り込んだグレアムが目撃したのは "殺害した人間の腸を使いチェロの弦に加工した悍ましい光景" 待ち伏せていた黒人店主に危うく殺され掛けるが銃を撃ち撃退。手傷を負った殺人鬼はレクターとフランクリンを殺し街を離れようと診療所へ向かう。
タイミング良く呼び出されたフランクリンは全てを察し、トバイアスへ自首を呼び掛けるが背後から迫ったレクターに首を圧し折られ即死。人間の臓器を加工し仕上げた弦を武器に襲い掛かかる殺人鬼とレクターの対決は診療所のありとあらゆる備品を使い熟すレクターの勝利に終わった。ジャックやSWAT隊員を引き連れ漸く救援に駆け付けたグレアムは事件に巻き込んだ挙げ句 "親友を人殺しにしてしまった" ことを嘆き陳謝するが辛うじて生き残ったレクターは "コレで漸く君と同じ世界に立った…自分独りじゃ無いのは心強い" と微笑むのだった。
第9話:トゥルー・ノルマン=お口直しの蒸留酒
直訳すると"ノルマンディーの穴" 肉メインの油濃い料理が多いノルマンディー地方では強い酒でベトベトになった口内をリフレッシュ&食欲増進が期待出来るカルヴァドスが供されます。地域限定メニューが出て来る辺り流石に13品目のコースは無理が有る(-_-)
其れは呆れ果て口をあんぐりと開けたくなる光景だった。 ウェストバージニア州クラフトンの海岸通り沿いの砂浜に"流木を芯に合計17体もの遺体を繋ぎ合わせ縛り付け飾り付けられた人間トーテムポール" 近所の公共墓地から掘り出された別々の時代に埋葬された9体と隣町の埋葬場所から盗まれ組み立て直前まで砂浜に保存されていた7体…そして最後に殺され一番上に乗せられた中年男性の間抜けな姿。 そんな悪趣味なオブジェよりも遥かに悲惨な精神状態となっている主人公が幻視したのは誰にも気取られず、事故死に見せ掛けた殺人行脚を面白可笑しく続けて来た救いようの無い愚か者の惨めな姿。
腐敗が進む一番古い死体フレッチャー・マーシャルと最後に殺されたジョエル・サマーズの身元判明&その血縁関係から敢え無く半世紀以上繰り返された連続殺人事件の真相…遺された家族が悲しむ光景が楽しかったから殺し続けた…に辿り着いたジャックとグレアムは得意満面な顔でFBI捜査官が押し掛けて来るのを自宅で待ち構える老人"ローレンス・ヴェルズ"が最後まで知らなかった残酷な事実を告げ芸術家気取りな愚か者の心を圧し折った。まあ実を言うと今回の猟奇殺人は割と長々と時間を潰し続く割には本編と全く無関係なオマケ扱い(笑)…事件の真相書いたら呆れ果てる事必至ですからサラッと流します。
メインはヒロイン=アビゲイルが背負う本当の闇。幻覚キノコを服用して以降、絶え間なく犠牲者に責め立てられる悪夢を見続けた彼女がとうとう壊れ始めるエピソード。タトラクライム.comが書き立てた飛ばし記事を切っ掛けに引き起こされた世論と刑事としての直感からアビゲイルこそが"チェサピークの切り裂き魔に繋がる手掛かり"だと確信しているジャックの脅迫じみた自白強要と未だ真相が見えて来ない最初の事件"ミネソタの百舌鳥"の告白本をアビゲイルに書かせてボロ儲けを企むフレディ・ラウンズ…ちなみにジャックに切り裂き魔を釣り上げる餌として有用だと信頼されているこのオバサン。本当に今回はフリーダムに物語を引っ掻き回してくれます。
ニコラスの死体が見付かった事で真相に辿り着いたグレアムとレクター博士の不毛な口論の末築き上げられたアビゲイルを守るための共同戦線。相変わらず中途半端にフラフラ動き、全く役立たずなアラーナ・ブルーム博士と相変わらず悪意と善意の間を迷い歩くレクター博士の尻をまるで母親の様に的確なアドバイスで蹴り飛ばすモーリア元医師(苦笑)……最終的にフレディ・ラウンズを味方に取り込む事で証拠隠滅はまんまと成功しますが、独りキッチンに戻って仕込みを始めたレクター博士はアビゲイルがひた隠しにしていたミネソタの百舌鳥に纏わる忌まわしい真相を聞かされる事に…結局の所ジャックの推測は間違ってなどいませんでした。父親に"このままではお前を殺すかも知れない"と泣き付かれ嫌々ながら彼女がやらされ続けた事…それは獲物を油断させるための囮役。
なんだ………私自身がアレ程人殺しを続けても捜査関係者と被害者の身内以外は愉快な見世物として物見遊山で見物するだけで誰も気にも止めない訳だ。この世界は既にもうどうしようも無い程イカれてるのか………慟哭する娘を黙って抱きしめるレクター博士の悲しみの表情を映し出しこの幕間狂言は終わります。なお壊れ果てた挙げ句まるでお父さんみたいな人物になった主人公はアビゲイルにとって恐怖の対象そのものです………墓穴掘ったねグレアム君。
☆追記:これ書いてる最中ニューヨーク州ナッソーで痛ましい惨事が…2019年9/20の報道にて、16日に起きた繁華街での喧嘩で刺され死にかけた高校生を被写体に子供達がインスタ目的で集団撮影会⇒通行人はおろか誰も救急車呼ばなかったから被害者失血死なんて事件が起きてしまいました。 アンソニー・ホプキンスがレクター博士を演じてた90年代と違い今のアメリカは正しくホラー映画の舞台そのものなのかも知れません。
第10話:ビュッフェ・フロワ=立ち上がる冷たい料理
勿論そんなフランス語は存在しません。北米&カナダのローカルメニューでスコーンを提供する網棚に飾り付けられ供される冷製オードブル…ある意味穴埋めエピソードみたいなモノかと思います(苦笑)
★最初に書いときますがコタール症候群を患い恐怖感から顔見知りを手に掛けるサイコパスが登場するこのエピソード……見てて即座に頭に浮かんだのが"京極夏彦の小説 狂骨の夢"でした。ついでに書いとくと"ベッドの下の殺人鬼"ってシチュエーション見てるとこのドラマが何か"ゲゲゲの鬼太郎"か"Xファイル"に見えて来るからたちが悪いです。
2014年3月 デラウェア州グリーンヴッド 家へ戻った被害者を襲ったのはベッドの下に潜んでいるナニか……現実と幻覚の境界線が曖昧になる程に精神崩壊が進んでしまった"ウィル・グレアム捜査官"視点で語られる今回の物語は敢えてお客様を混乱状態に巻き込むかの様な演出で展開します……殺されていたのはこの家で独り暮らしをしていた女子大生"ベス・ルボ" 刃物を突き立て殺害した後に口を切り裂く…属に言う口裂け女みたいな…悍ましい犯行。現場に遺された被害者のモノでは無い大量の皮膚片と肉片から犯人はかなりの深手を負った筈だが何故か血液を含む如何なる体液も検出されなかったし、幻視中に錯乱状態となり遺体や凶器に手を掛けてしまった主人公のミスも有り指紋は検出できなかった。
絶え間なく続く頭痛と不眠症に夢遊病+エトセトラで完全に壊れているグレアムをどう捜査現場から引き離し治療に専念させるのか……でも其れは同時に"どんなサイコパスにも真摯に共感出来るウィル・グレアム"を盟友としてこちらの世界に引き込む千載一遇のチャンスでも有る。 患者を治療しないといけないと言う医者としての責任感と彼を此方に引き込みたいと言う欲望の双方に苛まれたレクター博士は、大学〜ER時代の盟友で有り神経科治療のエキスパートでも有る"サトクリフ医師"を紹介し脳のMRI検査をおこなう事を決断。検査の結果判明したのは主人公のプロファイリング能力&殺人鬼に対する共感を引き出す右脳を苛む炎症反応。だが前代未聞の珍しい症状に探究心を抱いたサトクリフ医師と、もしかしたら"このまま放置した方が精神治療に専念してくれる事になるかな"と判断したレクター博士の密談の結果病状は伏せられてしまった。
MRI検査を受け脳そのものには異常は見当たらない…そうサトクリフに告げられた主人公が向かったのは事件現場。実は検索中に幻視を見てしまったグレアムには自分でも説明出来ない不可解な確信が有る……今回の事件の犯人は現場検証が終わったあの部屋、ベッドの下に再び舞い戻っているに違いない。事実犯人はベッドの下に舞い戻っていた……グレアムの手を振り切り屋外へ飛び出し再び林の奥へ逃げ込もうとする不気味な女性に何故「君は生きている」と呼び掛けたのか…本当の所半ば錯乱状態の主人公は自分が何故そんな言葉を掛けたのか説明がつかなかった。ベスを殺した彼女は間違い無くサイコパスだ。
“だが彼女は人を殺した事を自覚していない可能性が極めて高い”
自傷行為を嗜められたジャックや関係を拗らせたアラーナには今更頼れない。主人公が呼び出したのはグレアムを苛む異変を把握している唯一の同僚“ビヴァリー・キャッツ捜査官” 行動科学課の捜査官達に内緒で行なわれた二重チェックでグレアム自身の妄想では無い事を確認し改めて手に入れた遺留品を託した後、博士の診察室に駆け込んだグレアムは妄想から生まれたとしか思えない自分の推測を語りその様な症例が有り得るのかと相談。他愛もない遣り取りから浮かび上がって来たのは脳炎が引き起こすコタール症候群による異常行動の可能性。
行動科学課に持ち込まれた遺留品と所轄警察の地道な聞き込み調査で判明したのは犯行直前自宅から逃げ出した被害者の親友だった娘で有りコタール症候群患者でも有る"ジョージア・メッチェン" 長年介護を続けていた母親の証言は証拠を裏付ける。 自分は歩く死人だ…鬱病を拗らせ脳炎により対人識別能力の失墜のみならず痛覚にも異常をきたしている彼女を早期に保護しないと負傷した筈の顔や手足の傷口が壊疽を起こす可能性が高い。実は記憶が欠落したままジョージアを自宅に連れ帰っていた事&食事を世話し連れ歩いている事実にグレアムは未だ気付いていない。どれ程精神に破綻をきたしても事件の真相に辿り着く…レクター博士は最早異能としか説明出来ない盟友の状況処理能力に尊敬の念すら抱いている。
だからこそ親睦を楽しむ食事会で最高の玩具を無礼にも"イベリコ豚=名前倒れの何処にでも居る量産品"呼ばわりしたのみならず元盟友=サトクリフ医師の失言 "君は昔から興味深い患者をコレクションする癖が有る" まあ実は第2〜第3シーズンのストーリー展開に繋がる秘密を口に出した愚か者を見逃す訳にはゆかなかった。
未だ現実と妄想の区別が付かないままジョージアを連れ歩くグレアムを正気に引き戻したのはベス・ルボと同じ様に殺されたサトクリフ医師の無惨な姿。MRIによる脳検査に訪れて何故再び殺人事件に巻き込まれたのか、頭を抱えるジャックや捜査官達の現実検証に立ち会い疲れ果てて自宅に戻ったグレアムはベッドの周りから漂う腐りかけた肉の匂いと犬達の反応から遂にベッドの下に潜んでいた彼女の存在に気付いた。 漸く捜査機関に保護されたジョージアは手足や顔の治療をおこなわないと命すら危ぶまれる重症を負っており、高濃度の酸素タンクに収容される。
何故検査病棟に入り込めたのか?何故グレアムのストーキングをおこなっていたのか?そして何故サトクリフ医師を殺した…或いはグレアムを殺そうとしたのか? 緊急手術の末に未だ意識を混濁させており生還を果たしたとしてもコタール症候群の治癒を待たないと判明する筈も無い事実に落胆するジャックと致命的な証拠を目撃した彼女を内心警戒するレクター博士の姿を映しこのエピソードは幕を閉じた。
2019年10/10追記:ローレンス・ヴェルズみたいな存在が居たみたいですね。アメリカでは1970〜2005年迄延べ98人に及ぶ殺人行脚を続けた元プロボクサー=サミュエル・リトル(現在79歳)が話題になってる様です。




