聖なる酔っぱらいの伝説 88年
2019年7/26〜7/27タブレット端末にて執筆し脱稿 7/27夕方6時投稿
7/19に75年の人生を終えたルトガー・ハウアーの冥福を祈りつつ。
【 他人には親切に…だけど欲望には忠実に 見知らぬ紳士からいきなり託された人生をやり直すにはあまりにも少額で居酒屋で1人飲み食いするにはちょっとだけ多過ぎる額のお金は200フラン(日本円換算約21.000円) ならば久し振りに身だしなみを整え綺麗に散髪してパブでペリエ酒を楽しもう…お金返すアテは全く無いけど楽しい気分になれば何か1つぐらいは良い考えが浮かぶかも? その昔アニメ雑誌月刊OUTの映画紹介欄で読んで酔っ払うって楽しいんだと当時未成年の私を悪の道へと引き込んだ困った物語でした。 】
☆原作版は酒と同僚に奪われた元彼女とのエピソードだけだったんだけど臨時収入増えた映画版はもっと欲望に忠実です。ペリエ酒(発泡焼酎)とサントリーの炭酸飲料=ペリエは別物で御座います。
★2018年に亡くなったエルマンノ・オルミ監督(享年86歳)と放浪の酔っ払い紳士=アンドレアスを楽しそうに演じたルトガー・ハウアーの冥福(2019年7月没.享年75歳)を祈りつつ…個人的にはその偏りまくりでイカれた思想と生き方には嫌悪感しか抱けませんがブレード・ランナーのレプリカント役筆頭に彼の演技とその声は大好きでした。
原題:La leggenda del Sartobevi tore
邦題と同じです
イタリア&フランス合作劇場公開作品.
日本公開1990年.
原作:オーストリア系ユダヤ人作家ヨーゼフ・ロート著
☆彼の生まれ故郷は現在ウクライナ領になってます。
Die Legende vom heiligen Trinker
1939年亡命先のパリで作品発表するも共産党員⇒
シオニスト⇒オーストリア王党派に転身しその政治活動と
フランス&ナチス占領軍によるユダヤ人差別でお蔵入り⇒
海外での評価受けて戦後の56年西ドイツで再出版
日本では1952年河出書房⇒1962年学芸書林⇒1989年白水社
⇒2013年岩波文庫化
記念すべき500話(とは言え後日割込投稿で容赦無く順番変えますけどね…2019年10/28 501話になりました(笑))は何にしようか?と考えてた所、スマホに入ったニュースで知らされたルドガー・ハウアーの訃報…個人的にクジラ大好き日本死ねとやらかすキリスト教原理主義なシーシェパードのトム・ワトソンを尊敬し釈放活動を行うその思想信条に色々思う所は有りますけどまあ、1つの時代が終わったのかなという訳でこの物語を取り上げて見ようかなと思い立ちました。とは言えビデオを見たのは随分昔、白水社版の原作小説を書店で軽く流し読みした程度の記憶を元に書いていますので記憶違いや事実誤認も有り得ます。指摘頂ければ謹んで訂正致しますので一言書いて頂ければ幸いです。
公開当時ベルリン国際映画祭で賞を受けた作品だし、探せばDVDぐらいはレンタルしてるかもと半日程かけて大手の店をバイクで回ったのだけれど結局見つけられず。購入検討しようにも転売やらかすハゲタカのせいで一番安いAmazonの通販でも中古DVDが1万円近く…Blu-rayに至っては2万円近くものプレミア付いてて入手困難。今回のコレ書くにあたってウィキペディア等でキャラクター名や大まかなストーリーの流れ動画サイト色々検索しビデオから取ったらしいノイズだらけの予告編とDVD手に入れた有志が流した冒頭シーンの1部をどうにか再視聴した程度です。物語の構成自体が結構地味な文学作品だしルトガー・ハウアー演じる主人公アンドレアスがわらしべ長者みたいなトラブルや幸運に巻き込まれながらしみじみと酒を味わいニコニコしてるだけの作品なんで再販も厳しいかなぁ。
淡々と進む穏やかな物語を書いたとは到底信じ難い波瀾万丈にも程が有る原作者のエピソードについては長い話になるしウィキペディア等で閲覧出来ますので省略しますが、物語で主人公が目指す終着点となる聖テレーズについてはキリスト教徒でも無い限りあまり知られてないかもな人物ですので前振りで簡単に書き残しておこうと思います。 本名はマリー・フランソワーズ・テレーズ・マハタン…19世紀末ヴァチカンから公式に聖人認定された修道女で24歳で貧民窟で感染した結核により亡くなった美少女です。ちなみに5人姉妹全員修道女で全員が海外布教や貧民窟での医療活動に貢献しており生涯をかけた弱者救済の活動を讃える形でパリにその名を冠した教会が建てられた人物でも有ります。でそれに感化されてマザー・テレサと洗礼名名乗ってた婆さんの話も書いたら毒気増すかな…と余計な事を考え付いたけど本編ぶっ飛ばすネタになりかね無いから今回は自重いたします……日本には“有難迷惑”という彼女等の人生を的確に表す言葉が有るんだとだけ書いときますね。
原作者がこの物語を書き上げたのは、ゲルマン民族によるオーストリア併合を邪魔する危険人物としてドイツの秘密警察に追われ病気の妻を故郷に残したまま亡命しパリでホテル生活&妻の治療費稼ぐ為の執筆&小説出版の日々を送っていた1939年……アルコール過剰摂取による自殺とも言える44年の生涯を閉じた彼の作品がドイツで脚光を浴びたのは第2次世界大戦が終結し市民の生活や心に少しばかり余裕が出来てからの事です…………暑いせいか何か文章がイマイチ冴えないのは勘弁して下さいな。今回はあくまでもβ版。何れ“タッカー”や“死にゆく者への祈り(リーアム・ニーソン出演で再評価)”みたいにDVDが復刊するかも知れませんし…そうしたら色々書き直したいなぁと思っています…ではあらすじへ。
【 映画冒頭に現れる謎多き紳士…生まれ故郷を追い出され言葉すら覚束ない異国フランスはパリの橋の下でホームレスとして敢えない最後を向かえる筈だった主人公アンドレアスに声を掛けお金を託し歩み去る彼の正体は、案外この物語を生み出した原作者本人なのかも知れません ヨーゼフ・ロートが紆余曲折の末に目指していたのは多民族が殺し合いを放棄し色々不平不満や鬱屈を抱えながらも1つの帝国として纏まっていたオーストリア・ハンガリー帝国の再建でした。 】
それは1934年に起きたとあるホームレスの人生の終焉を描いた奇妙な物語。アンドレアスは元炭鉱夫だった。思いを寄せていた街のアイドル=カロリーンが同僚と結婚する事になり密かに身を引くつもりだった彼は、結婚後カロリーンにDVを繰り返す同僚を諌めようとして誤って殺してしまい逮捕され2年の刑期を勤め上げた後にポーランドから国外追放になったのだと言う。日雇いの仕事を求めパリにやって来たものの誠実で有る事以外何も無い彼は完全に終わっていた。見知らぬ紳士に話し掛けられ自らの境遇を語った彼に託されたのは200フラン。もし返す宛が付いたらリシュー教会に飾られている聖テレーズ像に寄付して欲しい。久し振りに床屋へ入り身だしなみを整えたアンドレアスがまず向かったのは1軒のバーだった。これからどうしよう? ペリエ酒を頼み心底嬉しそうに飲み干すその姿が気に入った店の主に頼まれたのは引っ越しの手伝い。
2日間働いて200フランを手に入れた主人公は財布を購入し日曜日の礼拝の日にお金を握りしめリシユー教会へ向かうが、故郷を遠く離れたこの地でカロリーンと偶然再会し食事と素泊まり宿の代金で所持金を全て使い果たしてしまう。来週にはお金返しに来てね…彼女と再び別れ夢うつつの中現れた青いワンピースの少女=聖テレーズに怒られ謝り倒す主人公……実は購入した中古の財布には1000フランが隠されていた。よし!まずはパブだ(笑) 初めて入った店に飾られていたポスターはダニエル・カニャック…同郷の親友はボクサーとして大成功し此処まで試合にやって来ているらしい。シャンゼリゼ通りで再会した親友は大喜び……彼の変わり果てた姿に色々察しスーツを買い与え共にどんちゃん騒ぎ、出世払いで返せよと其れなりの生活費を貰いホテル住まいとなった主人公の側には“ギャビー”という彼女も居た。
だが…僅か数日後、夢で約束したお金を返済しようと教会へ向かう彼の財布に残されていたのは僅か200フランと珈琲1杯分の小銭だけ…大半の金はギャビーに盗まれていたらしい。教会近くのカフェでラム酒入りの珈琲を飲む主人公の目の前に現れたのはホームレス仲間の“ヴォイテク” 借金返済を迫られ後が無いと泣き出した彼の為になけなしの200フランを渡してしまう…ちなみに借金の話は全くの出鱈目だったがお人好しの主人公は最後まで気付かなかった。再び橋の下で暮らすアンドレアスの前にあの時の紳士が現れた。 人生は中々思い通りには行かないと彼から託されたお金でどんな体験をしたのか語る主人公に僅かな飲み代と200フランを託す紳士。大雨が降り続ける街で増水した川により橋から追い出された彼は時間を潰すためパブに泊まり込む事になり全てを使い果たしてしまう。
☆実はこの紳士…アンドレアスの事なんてち~とも覚えて無いしそもそも彼の話を全く聞いていなかったというオチが原作に有るそうな(苦笑)まあ他人に親切にした事を覚えて無いなんて話は多々有りますよね?
再び1文無しとなった主人公…だが通りすがりの警官に落としましたよと200フランと小銭が入った財布を渡された。良かったこれでお金が返せる…カフェでヴォイテクと時間を潰し教会へと向かおうと立ち上がる彼の前に現れたのは夢の中で見たテレーズの化身そのままの少女。彼女に話し掛け突然昏倒した主人公は意識を混濁させた状態で教会へと担ぎ込まれ息絶える。祭壇に捧げるかの様に握りしめていたのはなけなしの200フラン…借りを返せたと微笑みを浮かべる主人公を映し出し物語は幕を閉じる。
7/25に“498話キャリー”割り込み投稿致しました。




