キャリー 76年
2019年7/22〜7/24タブレット端末にて執筆し脱稿 7/25深夜割込投稿
2019年12/26追記:またしても2020年代にリメイク(テレビシリーズ)作るらしいのですがガチガチのプロテスタントな白人しか居ないあの街舞台にLGBTとか黒人ヒロインって……露骨に駄作の予感しかしません(笑) 本当に大丈夫かダメリカ。
【 子供の頃にテレビでコレ見てた私の心に刻み込まれてたのは、異様に美しく悲しいテーマ曲に思い通りにならない現実と隣近所からの悪評に対する自業自得な鬱屈を実の娘への虐待を繰り返す事で晴らしている恐ろしくそして惨めで愚かしい母親の姿とその鏡像と成り果てるヒロインの姿でした。クライマックスの大虐殺シーンは恐ろしかったけど同時に激情に駆られるがまま何もかもブチ壊す彼女の姿は…改めて見ると本当に悲しかったです。 原作者もあのシーンだけは嫌ってましたが最後の最後にやらかす墓場のドッキリだけは未だに好きになれません(笑) でも原作から色々変えた以上あんなラストにするしか無かったのかな? 】
☆動画サイトにサントラ有ったから思わず聴き入ってしまった…やっぱりあのテーマ曲は夏の名曲で有りヒロインの為の葬送曲だと思います。続編は残念ながらソレすら理解して無かったんだよなぁ。あと動画サイトにアップされた悪名高い英国ミュージカル版は爆笑モノです。
★ある意味映画よりも恐ろしい原作者のプロフィール。大学出た後すぐに奨学金返さないと土地も家も何もかも奪われると分かっているのに対応出来ない絶望感を味わい、トレーラーハウスで暮らし学生結婚と妻の妊娠に母親の末期癌治療費稼ぐ為の掛け持ちバイト。1年もの間仕事無かっただけでなく漸く受かった高校教師の仕事が年契約でたった6800ドル(興味有る人は電卓で計算してみてね。ファストフードのバイト代より遥かに安い)な執筆環境だと思います。版権は当初僅か2500ドル、文庫化の際にいきなり10万ドルの収入になったけど反動で危うく人生終わりかけたそうです。
原題:CARRIE
キャリー=キャリエッタ・ホワイトの愛称
アメリカ劇場公開作品.
1977年日本公開.
原作:スティーブン・エドウィン・キング著
“Carrie”74年出版⇒75年文庫化.
同年.新潮社で翻訳版 85年文庫化.
☆なお評判が微妙な2002年&2013年のリメイク版はこれ書いてる時点でまだ見てません…心に整理が付いたら見てみようかと思います。
2019年7月末.台風が居なくなり再び鳴り響く蝉時雨に覆われ無数のトンボやアゲハ蝶&オオゴマダラの通り道となった庭を眺めながらこの映画見てるとモノレール建設で区画整理され跡形も無くなった生家で夏休みを過ごした記憶がフラッシュバックします。ちなみに当時生家(祖父母宅)の周りは、数件の家を除いて何処までも見渡す限りのさとうきび畑でした。畑を越えたお隣りさまは“キリスト教系新興宗教教祖宅”と“創価学会系の集会所” 週末に入ると信者達の車が次々とやって来て夜11時近くまで集団で唱える御経とそれに対抗するかの様な詠唱の声が…その日偶々テレビでやってたこの映画が軽いトラウマとなったのは言うまでも有りません(笑) 白状させて貰うと、レンタルビデオの時代に入ってもこの作品だけは中々手が出せませんでした。
生家から歩いて行ける所に牧場兼豚小屋も有ったから豚や潰されたヤギの血の香りや屠殺される時の悲鳴もリアルで体験してるゆえあの写真正視出来んのよ。 そんな私がまともに肉を食べれる様になったのは自ら育てたニワトリの羽を毟り(首を落とすのは親父がやった)鶏汁となったソレを自分の意志で食べる様になってからです。肉は好きだけど食べる寸前、物凄い罪悪感を感じる様になりましたしそこら辺りのコンビニやファストフードで購入したハンバーガーやチキンを食いかけで捨てる奴には物凄い嫌悪感を抱く様になりました。
そんな話が昔話となった頃に祖母が亡くなり高校卒業以降は精々御盆か正月ぐらいにしか顔出さなくなった生家で“1晩寝ずの番やる事になった夜”その年結婚し本州から沖縄に駆けつけたはとこの嫁や当時は呆け入ってなくて標準語をまだ喋れた祖父と3人で祖母の亡骸を見守りながら夜明けまで約第もない話しててちょっとだけゾッとしたのですが、さとうきび畑の向こう側の家……新興宗教の家は私が生まれる前に家主が亡くなり廃屋になった筈で、創価系の家も同じ頃代替わりで止めた筈だから集まりなんて無かったよという事実でして…どうも御経も詠唱も泊まっていた私以外は生家やその隣に住んでいた叔父家族達も一度たりとも聞いた事が無いと知り、愕然とした思い出が有ります。
得てして子供の頃の記憶って時折誤作動起こすのですよね。 生家に存在し無い筈の地下室や布団部屋に迷い込んで其処で寝ていた知らない和服姿の女の子に挨拶も無しに何故入って来たの怒られたり(大人になって確認したら何処にも繋がって無いドアが沢山有った(汗)) 毎年夏に還ってくる日本兵のオジさんに頭撫でられた記憶も有るのですが何処までが夢か妄想で何処からが現実だったか……辺り一面更地となり丘や畑も道すらも根こそぎ消えた以上確認する手立ては存在しません。 何も知らずに新築されたアパートやテナントビルに入居した連中がどんな体験させられるのか精々暖かく見守ってゆこうと思います(黒い笑い)
【 キャリエッタ・ホワイト事件 或いは“血塗れのプロム”と呼ばれる1979年5月末に起きた惨劇は未だ彼女“スーザン・スネル”の中で終わっていない。炎に焼かれ多くの生徒と教師陣を喪ったベイツ・ハイスクールは瓦礫のまま放置され今もあの時の無残な姿を晒していると言う……事件の中心となったキャリエッタ・ホワイトとその母マーガレット・ホワイトが暮らしていたあの家は燃え落ち地中深く沈み込んだままになっている。夢の中で16歳のまま時を止めた彼女は墓石の代わりに建てられた売り地の看板と其処に殴り書きされた“キャリー・ホワイト地獄で燃えろ”と書かれたソレを悲しげに眺めながら独り花を捧げ続けるのだ。恐らくは人生の最後を迎えるその日まで。 】
★409人の死者と49人の行方不明者、推定1000名を越える重軽傷者が出たと思われる原作バージョンでは無く映画版に基づいてストーリーを再構成してます。とは言えかなり雑なアレを続編と認めるのは色々悲しすぎるから独立した物語と言う事で御理解下さい。
☆映画公開は1976年(日本公開は翌年)ですが物語時間は1979年の設定です。
アメリカ合衆国メイン州チェンバレン。 大西洋からの冷たい風が吹き付ける東部最北端のその街は隣接するカナダ同様、その極端な教義により異端とされ祖国を追われたキリスト教系カルト宗派や白豪主義が今も根強く生き残る土地だ。 特にロシア語で去勢派と呼ばれるソレは極端な性的抑制と節制、時には自身の子供すら神へ生贄として捧げる極端な思想が原因でカトリック&プロテスタント双方から弾圧されて来た宗派だった。 “キャリエッタ・ホワイト=愛称キャリー”の母親マーガレット・ホワイトは教義に逆らった事で仲間から追われこの街で独り子供を産み育てていたのだと言う。 だが生まれてきた娘は悪魔の様な異能を持つ忌み子。 情に溺れた自身の決断を恥じ己が与えられた宗派…そもそも彼女には最早それしか残っていなかった訳だが…を盲信した挙げ句、布教に勤しみ更に周囲の反発を買う彼女に対する嫌悪感は容赦無く娘にも向けられた。
物心付いた時からずっと周りの人間に忌み嫌われ、唯一の生きる縁で有る母親から何もかも否定され排除され虐待されるのを恐れるあまりに性的知識や一般的な社会通念を学ばないまま歪に成長してしまった卑屈な少女=そんな“キャリー”が初潮を迎えたのは16歳…体育の授業を終えたシャワールームでの事だ。 突然の出血で主人公はパニックを起こし錯乱状態に、元々そんな彼女に嫌悪感や忌避感を感じていたクラスメイト達は、彼女を嫌い抜いている生徒の1人“クリス・ハーゲンセン”に先導される形で泣き叫び助けを求める裸の彼女に生理用品を投げつける…騒ぎは忽ち学校中に広まりやがて小さなコミニュテイで有る街にも広まってゆく事になる。
浅ましいにも程が有る振る舞いをやらかした少女達をどう処分するのか? このまま放置では示しがつか無いが彼女達の花道で有る年度末のプロム(舞踏会と卒業パーティーを兼ねたモノ)を前に停学処分を行い人生を台無しにする訳にはゆかないだろう……校長と生活指導&体育教師の“コリンズ先生”が提示した妥協案とも言える罰は虐め行為に参加した女生徒達への1週間に及ぶ体育居残り授業。 ちなみに“拒否した場合はプロム参加無し”
だが元々目障りだった彼女を虐めて何が悪い?大人達はアレの母親も含めて村八分にしたり腫れ物に触れるかの様に嫌っているじゃないか‼
元々クラスのリーダー格だったスーザンと学年トップを争う程の美少女で有る事と、街の名士で有る父の威光を振りかざし要らぬトラブルを繰り返す“クリス・ハーゲンセン”は盟友の“ノーマ・ワトソン”等を焚き付け抵抗を繰り返した事で教師陣の不評を買い事でパーティーに参加出来なくなり主人公を逆恨み。 彼女に同情的な友人達やクリスに好意を寄せる不良少年“ビリー・ノーラン”等を焚き付け陰謀を巡らす一方、見下してたとは言えつい調子に乗って虐めに加担してしまった事を内心後悔していた“スーザン・スネル=愛称スー”は敬愛する母親や大人達と相談した上で自身のボーイフレンドで有り自身と並ぶ学園カーストのトップ(と書いたけど当時は割と温かったらしい…)で人格者の“トミー・ロス”を説得。責めて年度末=人生1回きりのプロムを主人公に楽しんで欲しいとパーティーに誘い出す。
お前は呪われた子供なんだ。だから普通の子供の様にパーティーなんかに参加してはいけないし、きっと恐れられ酷い目に合わされる…主人公の異能=感情が昂ぶると周囲のモノを動かしたりと制御出来ない能力を恐れ宗教で封じ込めようとする母マーガレットとトミーの誘いに舞い上がり自作したドレスに袖を通す主人公との対立は暴力を伴った熾烈な結果を招いてしまった。 当初は母親の力が圧倒的だったがシャワールームでの事件以降、自身の持つテレキネスの力を理解しコントロールを続けていた主人公の能力は活性化し遂には母親を圧倒する様になってゆく。 確かに私は普通の人間では無いのかも知れない、だけどやがて私はこの能力を自分の意志で抑え込める様になる筈だし何もかも縛られた人生なんて送りたくは無い…信仰に逃げた母や妊娠を知り姿を眩ませた父と違って私は普通の女の子としての幸せをいつか掴んで見せる。
クリス達の企みに気付きプロム開催を遅らせようとしたスーは“ボーイフレンドを取られ嫉妬に狂った”と勘違いされたコリンズ先生や計略に加担した生徒達に排除されてしまう。 一見和やかに始まったかに見えたダンスパーティー。 自作のドレスは以外にも普段地味で冴えない主人公を輝かしく彩りトミーと共に繰り広げられたダンスにより全会一致でプロムの女王に選ばれた主人公を地獄の底へ叩き落としたのはクリス達が仕掛けた大量の豚の血によるトラップ。 庇おうとしたトミーの頭に直撃し彼を昏倒させたバケツの中身と態度を豹変させ容赦無く浴びせ掛けられるクラスメイトの罵声は彼女の理性を砕いてしまう。 そうか私はやっぱりバケモノなんだ…ならば何もかもブチ壊してしまおう…能力を暴走させた主人公は何もかも破壊し誰彼関係なく人々を殺し尽くした 燃え盛る学校を離れ血塗れで家路へ向かうキャリー…逆恨みの果てに豹変した彼女を轢き殺そうと背後から襲い掛かるクリスとビリーの車は敢え無く躱され主人公の能力で破壊され炎上。
血塗れとなり泣きじゃくりながら独り戻って来た主人公を出迎え身体を洗い着替えさせ抱き締める母…何故彼女が生まれる事になったのか顔も知らない父ラルフ・ホワイトとの思い出を語り始めたマーガレットは彼女の様子を伺いながらおもむろに背中から包丁を突き立てた。 やはりお前はこの世に居てはいけない…最初からこうすべきだったんだよ…神への生贄を捧げる為の詠唱を口ずさみながら包丁を振り翳す母を無数の刃物で串刺しにする主人公。母は笑いながら死んだ。 漸く神のおわす場所へ向かえるのだと信じきったまま……死体となった母を抱き締め反省房へと歩むキャリーは自らの能力を暴走=屋敷を崩壊させ地中深くへと堕ちてゆく…その表情がどんなモノだったかは誰も知らない。
物語はあの事件から数カ月後、惨劇を目撃し壊れたスーを献身的に介護する彼女の母親と繰り返される悪夢に魘される彼女の怯えきった姿を映し出しエンディングを迎える。 娘のために不幸で居続ける事を望んだ母と卑屈に這いずり回る人生なんて嫌だと足掻いた娘の嘆きは誰にも伝わる事は無かった……結局の所コレはそんな有り来たりな悲劇を描いた物語なのかも知れない。
コレを投稿した直後ノーパソに繋げてた外付けのDVDレコーダー兼プレーヤーが御臨終となりました。まあ元々長持ちしないんだから特亜製のプレーヤーやヒューレット・パッカードのパソコン本体のパーツ取っ替えるよりも3000円程度のソレ買って使い潰した方が安上がりだと勧められたのですが久し振りに合った顔馴染みの店員から『そんなに保ったんですか(汗)』と驚かれたのは少々納得がいきません…台湾製って結構壊れないモノなのよ。




