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サバイバーズ SURVIVORS 12年

2019年3/29〜3/31タブレット端末にて執筆し脱稿 3/31 午後3時頃割込投稿

【 エスケイプ・フロム・イラクの5年前に起きた物語になる訳ですがいきなり山越えて潜入し襲い掛かってきた敵の正体を敢えて説明してないから何がなんだかなぁ(笑) トルコ語とクルド語の聞き分けやイントネーションの違いが理解出来て、尚かつ村単位.宗派単位.果てはバックで武器供給してる黒幕国家とのややこしい状況を前知識に入れとかないと物凄く面倒くさい作品 元々トルコ国内向けのアクション映画だしねぇ。 】


★でもオープニングの愛国歌は一緒だったりして(笑) 1人の命は1000人を救うってスローガンはトルコ軍独自のモットーなのかも知れません。


原題:DAG

“その日”

英題:THE MONTAIN

“山”周りを厄介さん(ロシア.ジョージア.アゼルバイジャン.イラク.イラン.シリア.ギリシャ.ウクライナ)に囲まれ事ある度に国境侵犯されるトルコにしてみれば最重要防衛拠点。

トルコ劇場公開作品.

日本ではWOWOW放映.

2018年DVDセル.


 今時“幼女戦記”や“ブギーポップ”も置こうとせず相も変わらず今更誰が借りてるのか本当に謎な某国のドラマが危ない食べ物?と一緒にセールされてる某大手レンタルで唯一有ったソレを借りる事が出来たのは不幸中の幸いでした……いっその事ネット配信でタブレットにダウンロードしないと駄目かねぃと半ば視聴諦めてた“エスケイプ・フロム・イラク”の前日譚(但し2から5年前の物語な為、べキールが本当にチンピラ面なのが笑えます。)で御座います。説明どうこう書く前に取り敢えず映画本編見たけど山越えてやって来た敵は何?とかトルコ独自の徴兵制度のややこしい事情知らないと何故に“べキール・オズベイ技術兵”が上官から役立たず呼ばわりされながらも2年8ヶ月も軍隊に居るのかとか大学卒業してNEET生活送る“オーズ・カグラー少尉”を露骨に嫌がるのか……まずはその辺りの説明を先に始めますかね。


周囲に有るのは何処もかしこも厄介さんだらけなトルコ共和国は最悪の事態を想定し当初から健康な男性20歳〜40歳迄には徴兵義務が課せられています(女性は調べたけど出てこなかった…多分志願制?)志願入隊も含め基礎訓練〜現場赴任期間は一般で15ヶ月.大卒の場合12ヶ月……但し色々抜け道が有りまして勤務期間を其れなりの対価支払って誰かに代行して貰う事が出来ました(ちなみに2019年現在は禁止)なんせ軍務中の月給が日本円換算で平均4500円ですので其れなりに才能が有るとか専門職の人間を1年以上拘束されるのは困る…まあそんな事情が有ったのです。


で、高校中退しまともな職に付けず父親の営む電器店で見習い技師やってたべキールが軍隊に入ったのは義務で有ると同時に長年病を患い結局永眠した母親の入院治療費で貯まりにたまった借金をどうにかする為でも有りました。金持ちの子息の分の徴兵義務も代行する事で臨時収入有るから街の小さな修理店営む父親が店を手放さなくとも済む訳ですが勿論面白い訳が有りません。何せ徴兵期間中は女っ気無しで酒や電話もままならない修行僧みたいな集団生活……とかく任期を終える日をひたすら願うそんな日日を過ごしていたし、よりにも寄ってこんな場末な世界にわざわざ志願して飛び込んで来た大卒のエリートで有るオーズの綺麗事が理解出来ず兎に角鼻についた訳です。


 DVDのパッケージでは“反政府ゲリラ”として表記されている敵の正体はシリアで軍事訓練&洗脳されマルクス原理主義に目覚めたクルド人組織でPKKと呼ばれる団体。80年代頃から国境侵犯&宣戦布告無き戦争を続けており、同じく90年代に入り込む様になったイランの軍事訓練&シーア派に帰依したクルド人義勇軍=ゼワラニ兵で構成された神乃党(ヒズボラ)同様、ヤズィード教に帰依してる異教徒(クルド)や西洋化進めるトルコ人を教化(せんのう)或いは殲滅(ぎゃくさつ)し共和国をヨーロッパやロシア侵略の拠点にする為に度々国境越え、天候不順で孤立した集落や国境警備隊の襲撃を行っている山賊みたいな連中です。当然ながら対応に当たるトルコ共和国軍もテロリストとして容赦無く皆殺しにしてる因縁の相手で有り、双方の犠牲者は巻き添え喰った民間人も含め軽く4万人近くに達しています……まあアッチはあっちでトルコ人捕まえたら惨たらしく殺してますからお互い様では有るのですよ。


共産主義にどっぷり嵌りこんだPKKゲリラは当然の事ながらシーア派に帰依したヒズボラとも絶滅戦争続けており、其れ以外にも最近はイスラム原理主義に帰依したリビアやアゼルバイジャンにイラク系が中心のISILに元々トルコの山奥で暮らすクルド人(公式にはトルコ在住の彼等は山岳トルコ人という事になってます。)もトルコ政府相手に分離独立戦争と村単位での勢力争い続けてますので前に“スプリガン”で紹介したアララト山筆頭に何処も三つ巴四つ巴な殺し合いが続く危険地帯なんだと理解して本編見ると又違った視点で楽しめると思うのですが如何でしょうか? ではなるべく手短に本編あらすじに移ります。


所でシリーズパート1に当たる本作ですが何故か上映時間が90分も行かない物語……案外“シャークネードシリーズ同様”DVD化の際に内容削った可能性有りませんか?結構辻褄合わせが苦しい一幕が有ったのだけれど?



【 悪天候を突いて行われたPKKゲリラ300人の大攻勢 その立ち位置から“クリミア要塞”と揶揄される年中雪が絶えないシリア国境防衛基地からも孤立した4人の男達。 山頂に設置された衛星通信アンテナ施設修理点検という基地内ではある意味懲罰任務で基地を離れ、予期せぬ遭遇戦で臨時編成分隊指揮官“ヤシャール中尉”は腹を撃たれ重傷 途中休憩用に建てられた山小屋に潜む彼等の手元に有ったのは残弾僅かな2丁の自動小銃と拳銃にナイフだけ 何故俺達がこんな目に? 迷い怯える徴収兵オーズとべキールの心に過るのはそれぞれの切羽詰まった理由で軍に所属する事になった過去からのフラッシュバックだった。 】


★空気が薄く下手な怪我が即座に凍傷による壊死に繋がる冬山の戦いは悲惨なモノに成りがちです。そもそも懲罰任務だった新米2人に持たされていたのは携帯無線機と自衛用の拳銃&ナイフだけでした。


 物語冒頭からいきなり撃たれ周囲を20名のゲリラに包囲された悲惨な状況下、若い見習い士官オーズ少尉とべキール技術兵を生還させる為にヤシャール・デミレ中尉が選んだ作戦はベテランのケマル・カラダク軍曹を先導役にヘリの離着陸が可能な山頂施設への撤退戦……だが肺を撃たれたヤシャール中尉は敢えない最後を迎え待ち伏せしていた狙撃兵にヒョッコが殺られない様に囮を引き受けたケマル軍曹はべキールの前で事切れた。何とか隠れられそうな岩場に辿り着いた2人の頭によぎるのは尊敬出来る先輩だった彼等との思い出と此処に至る迄に自分達が歩んで来た過去のフラッシュバック。


大学を何とか卒業し恋人が出来る度に“オーズ・カズラ”の心を追い詰めるのは“自分は兄と違い家族に甘やかされて来た”という負い目と30手前にもなって軍務経験が無いまま生きてきたという焦り…国境紛争で負傷し歩くのに不自由を感じる兄サーチェクと早世した父に代わり一家を取り仕切る母の反対を押し切り結婚すらも考えていた恋人と別れてでも徴兵義務に応じたのはそんな安易な見栄からだったが基礎訓練期間を終え残り5ヶ月を過ごす事になったのは人里離れた冬のシリア国境地帯。今迄と余りに掛け離れた生活に半ば情緒不安定に陥ったオーズを下品なシモネタ混じりのジョークで指導し少尉の資格を取らせたのはヤシャール中尉だった。


昔から短期で同級生との喧嘩の末に高校を退学、昼間は父の店で修理工見習いとして働き夜は気心の知れた不良仲間と酒を楽しみ共に歌う…そんな人生を送る“べキール・オズベイ”の人生の転機となったのは長年不治の病を患っていた母を看取る際に託された“一人前の頼れる男になりなさいという願い”と貯まりに溜まった借金の返済。気乗りはしなかったが徴兵に応じ職務期間をまるで刑務所暮らしの様だと荒んだ気分で耐え忍ぶべキールをまるで実の息子の様に見守り時折基地のあちらこちらに隠匿した密造酒(ウイスキー)の試飲に付き合わせるのはケマル軍曹だった。スラムで育ちアラフィフの職業軍人となって漸く結婚し若い妻と生まれたばかりの子供の為に軍で頑張る彼にしてみればべキールは昔の自分を見ている様で他人事では無かったのだと言う。


 尊敬する先輩達の死を看取り、命懸けの追撃戦を生き延び辿り着いた電波塔で待ち受けていたのはPKKの負傷兵だった。壮絶な格闘戦の末血塗れになりながら相手を斃したものの自動小銃の残弾は残り5発……そもそも命中率の低い拳銃は気休めにしかならない…壊されていた通信アンテナの修理に成功した2人は漸くまともに聞こえる様になった無線機から所属基地へ救援要請を送れるようになったが200名のゲリラとの壮絶な銃撃戦が続く基地の支援に駆け付けた特殊部隊の指揮官“トグリルトメン中尉”から知らされたのは圧倒的な戦力差で苦戦が続く基地の窮状と天候回復=救援ヘリと増援部隊到着まで何が何でも敵の包囲網を潜り抜け生き延びなければならなくなった過酷な現実。


激情の赴くままに命を奪った敵をささやかに弔った2人はアンテナ塔で見つけた僅かなクソ不味い栄養クラッカーを分け合い空きっ腹を満たしつつそれぞれが何故軍隊になんか入ったのか告解じみた思い出話を交わしながら僅かばかりの睡眠と休憩時間を過ごしてゆく


翌朝、無線通信を傍受され敵に追い詰められた2人は命からがら山頂の包囲網を抜け出す事に成功したものの落伍兵となったゲリラにべキールが足を撃たれ身動き取れなくなった…最早小銃も撃ち尽くし拳銃にも残弾が無い、降伏しても間違いなく殺される状況下で肩や内臓をやられたオーズが選んだ方法は命懸けの挑発による時間稼ぎだけだった…………無謀な賭けを生き延びギリギリの所で命を拾った2人の恩人であるトグリルトメン中尉との短い万感の籠もった対話と軍病院で半年ぶりに目撃した異性=看護婦の胸を巡る他愛もない会話を映しつつ映像は再び深い雪に覆われたシリア国境地帯の山々の光景バックにエンドクレジットへ…。



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