エスケイプ・フロム・イラク 16年
2019年3/18〜3/22タブレット端末にて深夜2時前脱稿 3/22深夜3時投稿
【 踏み躙られる者の為に戦って死ね 村人根絶やしに現れたISIL=自称イスラム国の兵200名と戦車に壮絶な戦いを挑むトルコ特殊部隊兵7名+志願兵2名のサバイバルを描いた良作…まあそもそもイスラム原理主義勢力、しかも露骨に人殺し集団なキチ○イ狩り立てるだけのあの戦争描いた欧米作品って不可解なぐらいに殆ど存在しておりません。やっぱり色々後ろ暗い面が有るのかなぁと勘繰りたくもなりますね…当初山賊同然のタリバンやイスラムの中核派ことアルカイダみたいな連中に莫大な資金を提供し&武器援助してたのはアラブに民主主義をとやらかした欧米リベラル勢力であった訳ですし。 】
★大学卒業したエリート=オーズ中尉と下町の不良少年=べキール特技兵の奇妙な友情とサバイバルを描いたシリーズの第2作ですが…勿論第1作は日本未公開で2018年DVDリリースとなりました…まあそっちは見付けたら見てみます。
☆ついでに書いときますが女子供に老人まで手に掛けたアレに人権とかは存在しません。フィクションだからモザイクやら閲覧規制がかからないISIL兵士惨殺シーンに痛快さしか感じませんでした(笑)
原題:DAG Ⅱ
“その日”
英題:THE MONTAIN Ⅱ
何故英題が“山”なのか それは前作“邦題:サバイバーズ”がクルド人ゲリラ相手に生き残り掛けた戦いの舞台がアララト山だったから ちなみに私は前作有るなんて夢にも思っていませんでした(笑)
2017年日本劇場公開作品.
但し未公開映画公開イベントにて限定上映.
正直トルコ共和国万歳な愛国ポルノかと思ってましたが意外と良作でしたので今回はまんま“七人の侍”な戦争映画を御紹介。とは言え実は2012年にトルコ国内限定公開された前作“サバイバーズ”で徴兵期間終了し退役直前だった筈のノンポリで基本能天気な主役2人に前作で何が有ったのか大凡のエピソードとイスラム教を崇拝する人間が大半を占めるトルコに取って山岳トルコ人或いはヤズィード教徒(要するにクルド人)との関係はどういう物なのか?時代錯誤極まるイスラム原理主義弾圧に積極的だった軍部と2019年現在…民衆の圧倒的な支持を集め公正発展党を率いるエルドアン大統領を頂点する原理主義を支持する勢力の対立関係知らないと微妙な回想シーンの面白さが伝わらないそんな物語で御座います。
★ヤズィード教:太陽神ミスラを崇拝するイスラム普及以前のアラブ地方の古代宗教。輪廻転生とか厳格なカースト制度とか偶像崇拝が有る為にトルコ政府とISIL双方から執拗な弾圧受けてます。主にクルド人が崇拝。
イランを見習え‼馬鹿な国民量産すればクーデターすら起きないのだと、ことある度に徴兵反対税金高いと不満を漏らし楽をしたがる民衆を煽り立て挙国一致の宗教警察による厳格な支配を目指すイスラム教主達と、西洋に比べ遅れ続ける近代化或いは三権分立を進め教義が何もかも縛り付けるのを止めさせ民主化を進めたい軍部の1部と海外でリビアやエジプトにおける原理主義台頭の惨めな顛末に危機感を覚え焦りすら感じている少数の支持層。
近代化における最大の敵が多数内部に居るトルコの国内対立を簡単に説明するとそんな感じに纏められますが、それ以外にも国内にかなりの割合で存在するキリスト教徒とギリシャ正教徒、ユダヤ教徒の問題に元はと言えばブリカスがやらかした国境線確定でうっかり見過ごされたトルコ/イラク/イランの入り組んだ国境地帯に住み部落毎に戦争、或いは管理任された政府を受け入れず抵抗運動続けるクルド人の分離独立問題。果てはイラクやイランに住むトルコ系民族やトルコ内に住むアラブ或いはペルシャ系民族のソレ…そしてシーア派とスンニ派の2000年超える殺し合いの歴史も存在するからかなーり面倒臭い状況なのです。
深刻な対立に疲れ果てヨーロッパやアメリカ&イギリスに不法移民として流れ込んだ各勢力の人々が先住する白人と色々やらかし遂には新天地求めてニュージーランドやオーストラリアへ移動…そこに海を越えてアフリカ系や内戦続くシリアやイラクにイランからも不法移民が混ざり込みその中にはISILのシンパやアルカイダにタリバン系のテロリストが紛れ込む…その結果引き起こされたのが2016年6/28のトルコ・アタチュルク空港無差別殺傷事件(死者48名重軽傷者238名)の大惨事で有りドイツやフランス、ベルギーで頻発する女子供を狙った無差別テロで有り2018年だけでもアメリカで101件も発生した乱射事件で有り2019年3/15にニュージーランドのモスクを狙った無差別殺傷事件に繋がる訳です。
ちなみにこの文章書いてる2019年3月現在は2016年9月の軍事クーデターを画策した軍部や警察等の司法組織に近代化を推奨する市長や官僚等、延べ45000人を公職から追放したエルドアン大統領&イスラム原理主義支持勢力が優勢……とまあこんな理由でイラクやシリア反政府軍への支援もクルド人弾圧する勢力に味方してるからツマハジキにされ武器供給止められてるのに、クルド人やシリア政府を支援するロシアとは一緒触発な危ない状況となっているから欠陥品しか作れない○○○国や中国共産党と接近し昨日まで味方だった筈のアメリカ軍やNATO軍と疎遠になったりと悪循環…まあベネズエラかジンバブエに成りかけてる…そこら辺りの面倒くさい状況も踏まえて特殊部隊の活躍を見ると色々興味深い演出されてますので必見です。
☆この物語公開した頃、トルコはシリアへ自国民救援目的を口実に入り込んでましたが戦車隊に大損害が…まあ詳しくは別の作品で。
では西洋的価値観を持っては居るものの欧米同様未だ政教分離迄とは行かず迷走中なトルコ人特殊部隊に所属する影働きを全うする男達を描いた物語を纏めてみようと思います。公式サイトじゃ有りませんから多少の事実誤認や悪ふざけは御容赦下さいませ。指摘頂ければ謹んで訂正致します。
【 あの国は大量破壊兵器を持っているに違いない 2003年に癇癪起こした幼児レベルのダメリカによる八つ当たりで滅ぼされた世界有数の石油埋蔵量を誇るイラク共和国 バース党独裁による恐怖で曲がりなりにも秩序がたもたれていた隣国は、僅か数年でシーア派vsスンニ派vsクルド人vsイスラム原理主義者等有象無象が周囲の民間人を巻き添えに相争う混沌の大地と化した 国内への騒乱持ち込みを恐れ表向き内戦には介入していない事になっているトルコ軍が取れる唯一の手段はトルコ系イラク人への民間支援と誘拐された自国民の保護……宣戦布告無き非合法な殺し合いは2019年3月現在も続いており犠牲者は増え続けている コレは報われない任務を全うする彼等を描いた物語。 】
☆しつこい様ですがトルコの隣国は山隔ててイラン.イラク.シリアと何処も危険地帯です。海の彼方のダメリカやかの国を盾に好き勝手やらかすEUなんぞに比べたら危機感が違います。物語自体はフィクションですが国境護るトルコ特殊部隊の日常はいつもこんな感じです。
★冒頭の回想シーンで主人公達が飲んでる酒は搾り粕で造る度数最低45℃の激安蒸留酒イニエ・ラク…"与那国のどなん"同様白く濁るのは水で割ったから…シリアやエジプトもそうだけどあの辺りの酒に関する規制はラマダン月の自主禁酒ぐらいのモノです…勿論ビールやワインもしっかり飲まれてますが呑まれるアホは軽蔑されるし確か食事も豚だけは敬遠されてるかな?
瀕死の重傷を負った自分達を護り命を投げ出したヤシャール・デミレ中尉とケマル・カラダク軍曹の思いに応える為に何が出来る? この物語の主人公“オーズ・カグラー中尉”と“べキール・オズベイ特技兵”が選んだ道は突破率僅か10%の選抜試験を乗り越え特殊部隊として人々を救う……険しく報われる事の無い道程だ。物語は彼等二人がどの様に厳しい選抜試験を乗り越え後に精鋭部隊となる“ストーム・ブリンガー”の仲間達と知り合い友情を深めていったのかを回想シーンで映し出しながら僅か7名による誘拐されたトルコ人女性ジャーナリスト“セイダ・バルバン”の救出作戦と不可抗力により巻き込まれたイラク在住トルコ人に対するISIL2000名による絶滅作戦に立ち向かう壮絶な道行きを描きだす。
欧米でリベラルの仮面を纏うISILのシンパ等、敵対勢力への情報流出を懸念し闇雲に戦端を開きたく無い国家上層部が選んだ判断は“トルコ人女性のみの救出” 悪趣味極まるネット配信生放送による処刑ショーは結果的に犯人全員の射殺と現地ガイドや外国人カメラマン達の処刑を止めず犠牲とする形で幕を閉じた。頭の隅で理解は出来ても納得はゆかないだろう……何故自分だけが助け出されたのか理不尽な怒りを隠さない“バルバン記者”を連れ“ベイサル大尉”率いる特別奪還部隊ストーム・ブリンガーのメンバー7名は救援ヘリの合流地点を目指しかって一面の麦畑だった砂漠を走破する。
イラク戦争勃発まで此処で平和に暮らしていた多くのヤズィート教徒=クルド人がテロリストによって無分別な略奪や暇潰しを兼ねた処刑により命を落とした血塗れの大地……待ち伏せ攻撃を警戒し偵察任務にあたっていた“オーズ中尉”と“べキール特務兵”が偶然発見したのは近隣の村々から連れ出され銃殺されたばかりのクルド人老若男女の無数の遺体だった。実は数日前に北部地域を奪還する為にイラク政府軍の支援を受けたシーア派クルド人義勇軍=ゼワラニ兵の攻撃が頓挫しISIL軍による報復攻勢が始まっていたらしい。
救援ヘリとランデブーする為に下手に山に登れば、2000名の兵力が投入された奴等とかち合う可能性が高い…丁度報復の為にノコノコ駆け付けた1個小隊程のテロリストをオーズとべキールが誘い込みGPS誘導によるトルコ領内からの長距離榴弾砲撃(珍品=アメリカ製M108自走105mm榴弾砲搭載車)と狙撃兵である“アリフ・サヤール2等軍曹”の活躍で仕留め、多少の装備とトヨタの4WDトラックを手に入れた8人はバルバン記者のアイデアで山越えを断念。4000年前の古い王墓跡で夜を過ごしISILの追撃をやり過ごす事を決断した。
アーカット王サルゴンの王墓とされた砂漠の廃墟を夜に訪れる物好きなんて居ない筈、ところが何故か分隊率い現れたテロリスト達…彼等の目的は異教徒の遺跡を仕掛け爆弾で木っ端微塵にするつもりだったらしいがナイフ戦闘の達人でメンバー唯一のスキンヘッド“エシュレフ・チュール曹長”と仕掛け爆弾の専門家で工兵上がりの“ムスタファ・ヒサヒン曹長”の活躍でテロリストは皆殺し多数のC4爆弾と時限信管を手に入れた翌朝、メンバーは安全なヘリ着陸ポイントを探して平原を捜索中にネット配信の為に民間人女性を遊び感覚で焼き殺そうとするISILのスナッフビデオ撮影隊と遭遇。
離れた場所に潜んでいた狙撃兵に撃たれたものの医者上がりの重火器担当“バイバルス・ユーチェル軍曹”の活躍とアリフ2等軍曹の狙撃により全員無事…未だ錯乱状態の女性“ナバト”を救出しISIL幹部への貢物=性奴隷として攫われたというトルクメンの幼い少女“エネギュール”をベイサル隊長が保護。だが磔にされ全身を銃剣でメッタ刺しにされたゼラワニ兵部隊の指揮官“チャ”は既に手の施し様が無かった。自身の失策により部下80名を死地に追いやったと嘆き断末魔を迎えようとするチャの懇願に応え彼にトドメを刺したのはベイサル隊長……物語はイラク戦争にも参加し多くの部下を看取った隊長が何故特殊部隊を指揮する様になったのか?実はトルコでは珍しいクリスチャンでも有る彼の回想シーンを挟みつつトルクメン=イラク在住トルコ人の村チャルダウルへと舞台を移す。
トルコ近郊の村チャルダウルは度重なるISILの略奪と虐殺により僅かな老人達と子供だけが取り残された村…テロリストの姿は無いものの広場に晒し首にされていたのは数日前まで村長だった最後の五体満足な成人男性だった。生き延びる事が出来たのはエネギュールとナバトを含めても大人25名と年端も行かない子供達15名の計40名。村の奪還に成功し戦傷兵“ボラン”から窮状を聞かされても此処はイラク領内……そもそも国境侵犯しておらず幽霊扱いなトルコ軍特殊部隊がどうこうできる筈も無い…恐らく明日にでもISILは再び此処に戻り民族根絶やしを始める筈だ。だとしたら折角救い出した彼女達が殺されるのを傍観するのか…そしてもし自分達が此処を守れば犠牲は避けられない…本国からの無線命令はバルバン記者と共に部隊全員の帰国。
深夜孤独に悩み続けるベイサル隊長の覚悟を後押ししたのは、兵の代表として意見具申に現れたオーズ中尉が話す元上司で有りベイサルの親友だったヤシャール中尉の思い出だった。5年前のあの日…もし自分が上官の命令を無視し現場に駆け付けたなら救えたかも知れない命……翌朝、救援ヘリに乗せられたのは15名の子供達と隊長に半ば騙し討ちな形で説得されたバルバン記者。1994年に政府に批判的でありながら国を愛する娘をテロで奪われたベイサル隊長にとってバルバン記者はなり得たかも知れない娘の代わりだったのだ。
『嵐がやって来る。だから子供達を避難させ俺達は住民を守る為に此処に踏み留まる。』
最初から村を守る為に死ぬつもりだったボランや避難を拒否しバイバルス軍曹の側を離れないナバトも含む9人の戦士達は女や老人達をモスクの地下室に匿いトルコ国旗を掲げ命懸けの防衛戦を始めた。村を包囲するのは1台の戦車と8台の武装トラックに分乗した200名のテロリスト…それまでの戦いで手に入れたRPGやC4プラスチック爆弾までも駆使した壮絶な戦闘が始まる。
双方が最後の1発までも撃ち尽くしほぼ肉弾戦に移行しても殺し合いは終わらない…ムスタファ曹長は隊長の援護射撃を全うし手榴弾で敵諸共吹き飛び、エシュレフ曹長は狙撃兵に撃たれ瀕死の重傷を負いながらアリフ2等軍曹の盾となる。ボランは撃たれ瀕死の状態でナバトに襲い掛かるテロリストを仕留め微笑みながら逝った…ベイサル隊長も避難場所を狙った自爆テロを止める事には成功したが瀕死の状態。後を託されたオーズ中尉.べキール特務兵.バイバルス軍曹.アリフ2等軍曹.ナバト…5人となったメンバーは涙を堪え生き残った村人達と共に死者を葬り故郷へと向かう。
物語は再び回想シーンへ………ストーム・ブリンガーによる初任務出撃ととある親善試合の思い出を映し出す。




