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パピヨン 73年

2014年3/22ガラケー投稿 2019年1/18タブレット端末にて全面改稿開始〜1/22午後15時前終了

【 無実の罪で南米ギアナの地獄サン・ローラン刑務所へ 俺は何が何でも此処から出て行ってやると左翼政権から保守政権へ更にはヴィシー傀儡政権への移り変わりで冤罪と見込み逮捕が蔓延し囚人の待遇が二転三転と極端な迄に迷走していたフランス共和国を相手に命懸けの抵抗と脱獄を繰り返し遂に自由を勝ち取った男の13年にも渡る抵抗の記録を再現 但し本人と生き延びた受刑者の証言ベースですからご注意を 勿論多少の演出は有りますよ。 】


★あれから約100年 フランス司法(カエル食い)の冤罪逮捕と自白強要に捜査の不手際は、中国かアフリカ紛争地帯以下なまま 旅行の際はご注意を 特に刑務所では原因不明な自殺に殺人も増加中 元はと言えば第1次大戦で人材払底させ ほぼ愚民の国に成り果てた事情が有ります フランス革命以降周辺国とず〜と戦争続きだったしな。


原題:Papillon.

“蝶”シャリエールの渾名から.

アメリカ/フランス合作.

1974年日本公開.

1969年アンリ・J・シャリエール著

日本では1974年タイムライフ出版で上下巻

その後ハヤカワ文庫にて82年頃再版

現在は河出書房より文庫化

コミカライズは月刊少年マガジン 71年2月号掲載

作画 江波ジョージ著

続編・パピヨンは死なない 72年

ハヤカワ文庫にて82年出版⇒廃版


☆間違いなく自伝発表の切っ掛けはドン・ピアースの“暴力脱獄/COOL HAND LUKE”かな?内容的に姉妹みたいな物語です。 太陽の200万ドルで小説家&映画俳優デビューし今作で自伝書き残したシャリエールは映画完成直後にソレを見ないまま67年の生涯を終えています(死因不明)


★2017年製作された原作遵守のリメイク版が製作されたのはこの間初めて知りました。DVD化されたら見て紹介しようかと思います。 なお日本での劇場公開は2019年6月予定 果たして旧作超える物語になったのか? まあ写真見ると主人公はマックィーン似。 ドガ役もホフマンの面影が有ります 流石にゴキブリ食うシーンは無かったそうな、しかし感想欄のコメントが酷過ぎる ノンフィクションだから映画化されたのにね(2019年12/14追記)



 5年前にコレ見た時は同じ体験(不可抗力だけど○○○リを…)した親近感から思わず借りて来て見てしまったのですがあれから思い返して再読すると本当に大した事書いてませんね(冷や汗) 実は最近見たポール・ニューマン主演の“暴力脱獄”のいかにも50年代ハリウッド映画そのものな筋肉賛美と嘘臭さ、キリスト教的な倫理観にホモォな恐怖すら感じてしまって それとは真逆で残酷でリアルな1931年〜1944年までの過酷な収容体験と見比べてみるのも悪く無い つーか口直ししたいなぁと不意に思い立ち此処まで前振り書いた後、レンタル店へダッシュし再視聴致しました。 どちらも基本コンセプトは権威社会に反発し抵抗すればする程より過酷な運命が という展開なのにたった6年で映画界に何が起きたと呟きたくなるレベルの違い ついでに書いとくと画質も違い過ぎる(フランス製カラーフィルムとハリウッドの着色フィルムの差だそうです。) やっぱりあの映画における刑務所の描写は大概可笑しいと思います でもこっちの描写は逆ベクトルで鬼畜です 本当に此処まで滅茶苦茶だったかは疑わしいモノが有りますと書きたいとこですが あの国割と微罪で捕まった容疑者の不審死(例えば留置場で首吊りや壁に頭打ち付け自殺した事にしておく)や激しく抵抗したから射殺って事案が異様に多い 具体例として国営化に否定的だったルノー初代社長や暗殺されたけど犯人不明な二代目社長等 


まあそんな理由で政府司法の信用度はゲシュタポか親衛隊並み 失礼、訂正しますが無能という意味ではソレ以下♥


ジャングルと野晒(のざらし)の死体に囲まれたギアナの刑務所&労働キャンプに比べりゃアルカトラズ刑務所やアウシュヴィッツ絶滅収容所、果ては網走刑務所が保育園に見えるかも知れませんが怠惰と買収、果ては囚人同士の犯罪が蔓延するフランス本国の刑務所はもっと酷いです 興味お有りでしたら図書館等でフランスの犯罪史やココ・シャネルの収監体験談等のノンフィクションを探し読んでみて下さいな。 但し女性に対する拷問描写で心折れるし重度の人間不信になりますので要注意 ドイツ側の文献じゃゲシュタポはヴィシー時代〜戦後の5月蜂起時のフランス軍警察程キチガ○じゃ無いそうな。


物語の舞台となるのは南アメリカ大西洋側の北端に有るフランスの海外領土ギアナ ナポレオン戦争の後始末と言えるパリ条約でイギリス.オランダ.ポルトガルにフランス領と四つに分断された国 有名な宇宙基地除いてまともなインフラ開発は行われていないから今も大半の土地はジャングル 何度か開発調査は行われたが下手に人員投入しても毎回疫病とワニや毒蛇に襲われてバタバタ死んじゃうから金鉱脈を細々と掘り進めては失敗繰り返してる土地 物流は現在中国人に牛耳られ本国なんざ比べ物にならない程割高 その結果開拓進まず人口も大して増えません それなりの面積有るけど現在も僻地扱いでアフリカ系やインド人や先住民との混血メインに20万チョイ 白人系は現在皆無に近くこれに不法移民の中国人が推定2万程度 こんな所に囚人を送り込んだのは、そもそもアルジェリアやベトナムと違い生活環境が過酷過ぎて開拓志願者が居なかったから 1854年に始まった植民地法で懲役8年以上の人間は此処に送り込まれ刑期が明けてもフランス本土への帰還は認めない 送り込んだ先からバタバタ死ぬから遂にはシオニズムに染まったユダヤ人をと 冤罪で悪名高いドレフェス事件を切っ掛けに保守派と共産主義者の醜い暗闘が始まり、ただでさえも近隣国から流入する不法移民が絶えない(ちなみに当時はイタリアとスペインにトルコ)し彼等も対立に加わった事で2019年現在の様に政治経済が混乱 結果第二次大戦における短期間で崩壊した政府誕生となるのですがソコはまた別の映画で書いてみます。


主人公達が最後に送り込まれるギアナ沖の悪魔(デビルズ)島に至っては1852〜1938年迄に述べ8万人が囚人として島の開発に送り込まれたがその殆どが疫病で死亡 ギアナ全域で左遷された看守の気紛れで行われる拷問と処刑 度重なる政変により彼等が人権侵害で裁かれた事は一度たりと有りませんでしたが囚人の反乱と脱走により遂に無責任にも程が有る犯罪行為が明るみになり実情聞かされた近隣諸国の圧力と抗議〜歴代の看守を告訴しないという司法取引により1952年に漸く刑務所は閉鎖されます。 この物語の主人公パピヨン=シャリエールが生き残れたのは皮肉にもナチスドイツの脅威が現実の物となってから…1938年に囚人の移送が止まり殆どの看守が本国へ帰還、死のうが生きようがどうでも良いと放置された事でベネズエラへの脱出のチャンスを掴み取りました ルイ・ドガはパピヨンを見送り刑期を勤め上げ後に再婚 亡くなるまでギアナから出る事は無かったそうで二人とも妻や恋人との関係はどうなったのか…ドガの妻の裏切り除いて映画では結末は不明のままですし原作やリメイク版では描かれているのかな?まあ資料見つかったら読んで見たいものです。


ではそろそろあらすじへ移ります。実は5年前当時コレ書いた時は、ギアナはアフリカだと勘違いしてました……物を書くなら下調べは重要だし無知は罪だと軽く反省しつつやっぱり独自解釈入ります…そういやあの頃は粗筋書くのもネタバレで申し訳無いと思ってましたねぇ私。



【 映画では説明有りませんがパピヨンやドガが2年程閉じ込められ刑期が確定し送り出されるフランス本国の刑務所が有ったのは大西洋側北部の街カーン…本物のフランス・カーンの撮影&ギアナロケはフランス政府に拒否されたからスペインのフェンテラビアとジャマイカで撮影(笑)ラストの刑務所跡はゲリラ撮影です…本来のカーンはリゾート地、海水浴場やイギリスとの交易港が有り近隣にはあのノルマンディーやダンケルクが存在する地区。パピヨンとドガ…彼等が友人関係結んだのは船の中では無く此処カーン刑務所での体験でした…では以降は映画のストーリーに準じる形で物語を進めます。 】


★なおカーン刑務所所長&砂漠の大判事役は当時赤狩りで逮捕され、ハリウッドから追放されてた今作の脚本家トランボ氏(苦笑) あの台詞は実体験。パピヨン役は当初ブロンソン予定だったとかでイメージ違うと悩んだそうです……マメに出て来る"隠れ筋トレ"シーンはその名残り(笑)



“お前達は祖国から見捨てられた。だから二度と本国には戻れ無い”


 ポン引き殺しで捕まり、元仲間の偽証で検事殺害の冤罪を掛けられたシャリエール=胸の入れ墨から“パピヨン”と呼ばれていた主人公は二度と会えない恋人の慰めを振り切るかの様に船へ向かう…歪な十字架、あるいは墓標の様な冬枯れの樹々が並ぶ街頭には物見遊山気分で送り出される奴隷見物に現れた多くの人々、ニュース映像の記録を撮る為撮影を続けるカメラマンや怪しげな新聞記者に写真を撮られながら…映像では特別ゲストとしてトランボだけでなくリアル妻=アン・バーンがドガの妻役で登場してます。


乗せられた船はまるで奴隷運搬船 食事は生存者のチェックと反乱防止も兼ね雨が降り注ごうが甲板で、貴重な水を無駄遣いさせない為に檻ごとシャワー 此処まで来ると家畜扱いかな? 看守自体も実質的な左遷業務だがらヤル気皆無、囚人同士が喧嘩しようが上官にどやされる迄感知しないし賄賂や脅迫も横行。 偽札造りと偽造国債投資に関わった罪で捕まった文系の“ルイ・ドガ”は被害者多数の有名人 船内で端金を探し腹を裂いて殺される犠牲者を目撃した恐怖から無頼派に見える主人公(パピヨン)に接近、パピヨン自身もギアナにぶち込まれた経験を持つ“ジュロ”のアドバイスを受け脱獄には金が要るという下心からドガに自らを用心棒として売り込む。


予想通り深夜ドガが隠し持っているかも知れない金目当てに襲いかかる屑2人をくすねたナイフで返り討ち、看守に見付かりエンジンの上で1晩縛り付けられる不眠の制裁を受けますが(ドガ)の信用を勝ち取ったパピヨンは脱獄計画に光明を見出す 何故ジュロがパピヨンに接近したのか? それは彼が隠し持つナイフでわざと傷を負う為 刑務所で9年の地獄を生き延びたもののギアナから逃げた罪で今度は間違いなく“労働キャンプ” そんな所に送られたら今度こそ死んじまう それぐらいなら片足失う覚悟で大怪我し病院へ 警備がザルなそこから逃げ出してやる ジュロの計略は成功したが彼等と同室で悪夢にうなされていた若い囚人の1人は港から海へ泳ぎだすも 即座に射殺され魚の餌になる風景をカメラは容赦無く映し出す。


囚人服で荷物抱えて街を行進 それを家畜を見る様な目で眺める様々な人種と職業の人々 スリナム(オランダ領)から逃げ込んで来たインド人やガイアナ(イギリス領)から逃げて来た中国人 勿論アフリカ系や混血のマローン人、実質上流階級の白人達に船員目当ての売春婦達も炎天下の行進に耐え切れず行き倒れようが容赦なく刑務所まで歩かされる 脅しや抵抗の意思をへし折る為に中庭に設置されたギロチンで首を落とされる3回目の脱獄=死刑囚を強制見学 異様に目立つ赤と白の“食い倒れ太郎”みたいな格好させられ夜は両足を鉄棒で固定され集団就寝 

なお本編では1人ですがメイキングに登場したシャリエールの証言では多い時は12名が殺され首を見せつけられとかで 作り物でもギロチンからは目を反らしていました 見ないで済む自由を感じている姿には複雑さを感じます。


ドガに対する看守の逆恨み(騙されて破産した)に巻き込まれ二人は“労働キャンプ・キロ40”へ送られた 其処は何処までも拡がる泥濘とジャングルに囲まれた最悪の住環境 泥濘に足を取られながら倒木を担ぎ沼地へ沈める開拓作業 藪蚊に刺されヒルが這い回る中で油断したらワニの餌食。 耐え切れず木ぎれ喉に詰めて自殺した仲間の死体を前にそいつに配られた食事を横取りし楽しむ“ヨーハン・クルジオ”と知り合った二人は偶々キニーネ(マラリアの薬)を分けて貰う形で命を繋ぐ シリアスやグロ描写だけで無くまだ生きてるワニを取り押さえる様命令されたら後から実は皮が高値で取引される事を知り儲け話に関われない自身の立場に落ち込んだり、業者相手に囚人の立場でも紙幣の染料となる為に高値で買い取って貰えるブルー・モルフォ蝶(猛毒だから今は使ってません)捕まえる為奮闘し その影で脱獄の舟確保する為に交渉したりとコミカルなシーンもすこしだけ挟みつつ何とか此処からの脱獄を考える 捕まれば良くてサメがうようよ居て脱出不可能なサンジョゼ島で餓死寸前の独房生活 例えソレを逃れて脱獄に成功しても模範囚の人間狩りや白人に敵意抱く先住民の餌食。


気休め程度の雨漏り激しい屋根だけの小屋で眠る日々を過ごしたドガもそろそろ限界 壊れ掛けた彼の反応がパピヨンを出たトコ任せな無謀な脱獄に追い込む結果となりました。 それは病院から脱走したジュロが模範囚の人間狩りに捕まり首を掻っ切られた姿で回収されてきた日……死体の処理を命じられたのはパピヨンとドガ、ジュロの酷い様にえづく態度が気に入らないと鞭で滅多打ちする看守の暴虐に割って入ったパピヨンは不可抗力で脱獄するも商人の裏切りで結局逃げ切れず捕まり2年の独房生活。


2019年現在の今も観光用の独房が現存するサン・ジョゼ島は青い海と空に囲まれた(まあ撮影場所ジャマイカだし…)美しい場所 だがトタン屋根に覆われ湿気とカビだらけのその独房はまるで鶏小屋 沈黙と静寂を強制され動かないから食事は薄くて不味いゴキブリがたかるスープのみ、散髪と生存確認の際初めて話した隣りの住人ジョジョはまるで老人の様な姿で咳き込み数日後死体となり運び出された。 少ない食事だろうが小まめに運動し体力維持しないとあんな最後を迎えるんだ 痩せ細る身体で薄暗い独房を歩き回り腕立て伏せで体調整えるパピヨンだけに秘密裏に届けられたのは食事係買収したドガから提供されるココヤシの実。


だがある夜、血吸いコウモリに噛まれたパピヨンは疫病に感染し生死の境を彷徨う その際ヤシの実差し入れも発覚し所長から協力者の存在を密告する様強制されるが拒否した事でさらなる苦境に追い込まれる 食事は半分に減らされ独房の屋根も塞がれ暗闇の蒸し風呂と化した檻の中、生き残る為にゴキブリやムカデを捕まえスープの具にする主人公。 疫病治療も受けられず餓死すら有り得る嫌がらせから逃避するかの様に悪夢を見たりフランスに生還する夢を見ていたパピヨンは白髪のシワだらけの姿となり半死半生の状態で独房生活を生き延び病院へ送られる。


ドガは奥の手の買収を使い労働キャンプから刑務所所長の使用人になっていた 拷問死したら困るから後は死ぬだけの囚人を放り込む清潔感だけは有る病院でドガが手配した若い世話人“アンリ・マチュレット”の献身的な看護と内緒で持ち込まれる肉入りスープで命を繋いだパピヨンはなおも看守に隠れてイザという時の為に体力造りを続ける 希望を捨てるな、俺の妻と弁護士が再審と減刑に動いている3年我慢すれば此処から出られるんだとドガは慰めるが幼い頃から周囲の人間に裏切られ続けた主人公は内心ソレを信じていなかった。


病院の檻と塀の間から見える青空と紺碧の海…砂浜に無造作に並べられた地元漁師達のボート。不意に病室に紛れ込んだ小さなバッタを檻の間から逃がすパピヨンの目は輝いていた。



【 上映時間2時間半 延々13年にわたる抵抗を描いた物語ですので此処から先も長いです 中休み兼ねて小見出し入れます。 物語とは違いアンリ・マチュレットは生き残り最後の悪魔島脱出以降もパピヨンと行動を共にしベネズエラの市民権を獲得 家庭持ちそこそこ平穏な晩年を送りました もっとも彼の本名もドガ同様偽名ですので御容赦を 生きて表舞台に出たシャリエールは彼等の本名を終生告白しませんでした。 フランス警察って誘拐や暗殺もやらかすからです。 】


 病院で実質慰み者となっていた“アンリ”主人公が未だ脱獄を諦めていないと何処からか聞きつけ仮病で入院して来た“クルジオ”もメンバーに加わり“ドガ”の手引きで刑務所に来賓招いたパーティーのドサクサに紛れ脱獄開始。点数稼ぎたい死体運搬係の囚人の裏切りにより警備員に見付かりクルジオを失い重傷負いながらソレを止めようとしたドガも脱獄幇助を見られた為になし崩しに脱出。買収に応じたインド人医師が手配したボートに乗り込み2日間かけてアンリ川を下る…だが彼等はまたしても裏切られた。金を払って手に入れたボートは底が抜け腐り果てた生ゴミだった。


脚を折ったドガを的確に治療して見せたアンリに任せパピヨンは人の気配を感じ銃を手に藪の中へ…待ち受けていたのは顔に入れ墨を施した“仮面の男”自らの意思で脱獄囚を助けてる謎の無頼漢は裏切り者達が手配した“人間狩り”を皆殺しにして彼等が来るのを待っていたらしい……パトロールを男に任せ死体から服を奪い半ばハンセン病患者の独立国と化した対岸のピジョン島へ手作り筏で辿り付いた。度胸試しとばかり皮膚が爛れた首領がくわえた葉巻を吸ってみせたパピヨンは彼等の信用を得、小舟と貴重な食糧それぞれが持ち寄った資金を受け取りホンジュラスへの長い航海へ旅立つ。


★此処ら辺りのご都合主義は突っ込み無しで逃走ルートの詳細なんて書き残せる筈が無い……多分また誰かが助けられる訳だしねぇ。


 3〜4週間に及ぶ小舟の航海は嵐に巻き込まれたりと過酷を極め、ドガの足が壊疽を起こしかけ有り合わせの刃物で応急処置したりとグロ描写を映しながら3人は半死半生でホンジュラス共和国の砂浜に上陸するが運悪く反政府ゲリラ逮捕の為に砂浜に駆け付けた沿岸警備隊に追われる破目になり散り散りバラバラに…サンタ・マルタを目指しているというゲリラを助け共に逃げる途中先住民ハンターの仕掛け罠でゲリラは串刺し…なおも逃げ回るパピヨンに毒矢が命中し意識を失った彼は崖から激流へと落ちていった。


数日後意識を取り戻したパピヨンが目の当たりにしたのは数年振りに眺める穏やかな風景…それは何処までが現実で何処からが幻想だったのかはっきりしない…人食い人種として南米各地を追われるミクロネシア系の人々に受け入れられたパピヨンは酋長とその娘ゾライマの歓待を数日を過ごす。海辺で貝を採取し密輸業者との取引で命を繋ぐ彼等に請われる形で酋長にパピヨンの入れ墨を施し再び意識を失った彼が目の当たりにしたのは家屋だけを残し姿を消した先住民達が残してくれた7粒の大きな真珠だけだった。


行く宛なく独り逃亡生活を続けるパピヨンは警察の検問を逃れる為に施しを求める修道女を真珠で買収しほとぼりが冷めるまで匿って欲しいと頼み込むが何とか彼が持つ資産をまるごと奪おうと画策した彼女達の密告で警察に売られ全ての金を奪われた。


『きっと神が貴方を助けてくれます♥』勿論そんなモノは居なかった。


逃げられない様に両足を潰され、再びサンジョゼ島の独房へ送り込まれたパピヨンが解放されたのはそれから5年後。まるで老人の様な姿になったパピヨンは隣りの房に放り込まれていたアンリの死を看取り(しつこいようだが死んでません。)彼がサメの餌にされるグロシーン挟んで今度は潮の流れが早すぎて脱出不可能な悪魔島送り。


5年振りに再会したドガは結局妻と弁護士に裏切られ今度こそ一文無しの爺に成り果てている…だがパピヨンは未だ諦めていなかった看守すらも立ち寄らない囚人だけの自給自足な生活が繰り広げられる悲惨な島で来る日も来る日も海流を観察し続けた彼は遂に脱出ルートを見つけ出す。椰子の実を浮輪代わりに崖の上から飛び降り二日がかりで対岸へ…上手くやったとしても今度こそ助からないかも知れない…彼は遂に脱獄を成功させベネズエラへの政治亡命を果たした。


『おーい畜生 俺は未だくたばらねぇぞ‼』椰子の浮輪の上で38になったパピヨンは叫ぶ…画質上がったせいで異様に目立つ浮輪支えるダイバーは多分死んだ事になってるアンリという事にしといて下さいな(5年振りに見て漸く気付いた)


物語は周辺に最早住む者もなくかつては港街だったジャングルの中朽ち果てるサンローラン刑務所を映し出し終焉を迎えた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 子供の頃に見ましたが、こんな作品だったんですね(笑) 単純に「ロビンソン・クルーソー」みたいな遭難物と思って見ていました。 [気になる点] やはり著者様の「エッセイ」が(笑) [一言] 日…
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