キャッチ=22 70年
2019年2/27〜3/1タブレット端末にて執筆し脱稿 3/2深夜投稿
【 アメリカ文学の異色作だのスローターハウス5に並ぶ反戦文学の最高峰だの色々小難しい言葉並べ立てて絶讃されてる面倒臭い小説の映画化だと勘違いされてますが勿論違います。頭が可笑しくならない方がイカれてるレベルの無意味で神風特攻隊より過酷で未帰還率がやたらと高そうな爆撃任務を与えられたアメリカ陸軍航空士官達が、死にたくないから狂った振りしたり本当に狂ったりと…七転八倒してる混沌とした状況を荒唐無稽な物語と場面展開で見せられる不条理ブラック・コメディで御座います。 】
★ちなみにジョージ・クルーニー他出演で2019年5月テレビシリーズ(全6話)放映&DVD化予定。予告編見ると当時の技術では無理だったゴアシーンや尺の都合で削られたエピソードも満載の様です。残る心配は何処迄、登場人物がキチ○イに成り切れるか…電子書籍立ち読みしたのですが登場人物の壊れ具合は原作の方が酷いです…映画版はギリギリ怒られない範囲だったんだねぃ。
原題:CATH-22
陥穽-22
直訳すると“22に捕まった”となりますが、61年に出版されたジョセフ・ヘラーの同題原作小説が切っ掛けとなり生まれた造語。雁字搦めとか理不尽な事態に追い込まれるとかそんな状況を意味します。
アメリカ劇場公開作品.
1971年日本公開.
翻訳版は早川書房から何度か出版され
新装版は2016年に上下巻で文庫化
なんでこんな説明するだけで頭が可笑しくなりそうな物語を取り上げたかというと、そもそもの切っ掛けは今年=2019年2月24日.雨振る季節に強行され5億以上の予算を注ぎ込んだ“辺野古への普天間海兵隊基地移設を巡る県民投票”のドタバタな間抜け振りがこの物語と色々イメージが被った事に有ります。うん、最初に書いて置きますが沖縄県民としの私は“理不尽で差別的な在日米軍との地位協定を公平な法律に改定して欲しい”とは思ってますが辺野古移設はもう覆らない決定事項だと理解してます。いくら不本意でも前々任の立場に居た沖縄県知事が国会に赴き長い交渉の末に決まった話をリセットする権利は誰にも無いしね…そもそも仲井真さんを知事に選んだのは間違い無く県民だよ。直接彼と話す機会が有ったから、考え方とか正直好きになれなかったし一度たりとも票入れた事は無いけどね。
★なお私は在日米軍が役に立つとは思ってません。辺野古…にいや、此処に必要なのはまともな国防軍に昇格させた日本軍だと思います。
自称沖縄県民のアルカニダな連中と今日は埋め立て工事現場、明日は旧築地市場解体地や国会議事堂前で平日なのに中核派や共産党員と一緒にテレビカメラや似非ジャーナリストを引き連れ機動隊や警察官に暴力をふるい罵りまくる日本市民(嘲笑)……私個人はアレの応援させられた気分で心底納得行かなかったのですが…一応投票はしたけどまるでベネズエラかロシアの大統領選挙みたいに基地移設反対に○を書かないと殺すぞ♥なノリでそっち系のキ○ガイが街宣車や監視員並べた会場へ雨降る中てちてちと乗り込み書き込む事になった投票結果。その気になれば選挙じゃないから幾らでも結果弄れる結論に意味は有ったのかね…将来の責任を負わされる未成年者の権利奪ったみたいでもの凄い罪悪感が有ります。
露骨に喜んでるのは妄想書き綴り喚いている狂犬病患者だけの様な気がするのですが私の考え間違ってるのでしょうか?……地元の人間はどっ白けた雰囲気漂う中、偶々動画サイトでリメイク版の予告編と70年公開の映画版のラストを見てしまい…色々有ってとうとうブッ壊れた主人公が“星条旗よ永遠なれ”のマーチングバンド演奏が流れる中、病院を飛び出し青空が映える滑走路を駆け抜け白い砂浜から紺碧の海へと理想之邦を目指しゴムボートで逃げ出すシーン……惹かれるモノを感じて改めてDVDレンタルし楽しませて頂きました。
まあ現実逃避した段階でどう考えてもバットエンドなんだけどね。ちなみに60〜70年代のアメリカ人にとって当時フリーセックス&其の手の規制無しで裸で日光浴なスウェーデンは憧れの国でした(笑)
では長々と映画とは無関係な話題を入れ込んじゃったけど本編あらすじに移ります。なお豪快に爆薬で破壊する事前提で撮影場所は本物のピアノーザ島では無く大半はメキシコの海水浴場有りな湾岸部を借り切って架空の米軍基地と爆撃機が離着陸可能な滑走路、凝りまくったイタリア風の石造りの建物を建築。当時飛行可能だった本物、しかも大量のB25爆撃機や年代物の弾着観測機(多分スチンソンのL-5だと思うけど色々バリエーション有るからアップじゃないと自信無い)を使った作品です。飛行機マニアのあたしゃオープニングの全機出撃シーンでマジ泣きしそうになりました。
【 地中海に囲まれたイタリアの離れ小島=ピアノーザ島。最前線という訳でも重要拠点でも何でも無いド田舎で3年も旧式爆撃機で戦い続けた第256航空大隊……思い出した様にやって来る補充兵や機材を除き合衆国本国からも完全に忘れ去られた僻地から抵抗続けるイタリア戦線のドイツ軍と戦う為に護衛機ゼロで死地に突入させられてる彼等の出撃回数は既に規定をオーバーし50回を超えている。当然ながら過酷な任務で彼等は既に狂っていましたが軍規22条=狂った人間は出撃から外されるが本人の申告必要…但し申告出来るからには狂人とは見做されないという阿呆な法律で雁字搦めになってました。 】
★ピアノーザ島はイタリア中部に実在しますが面積10平方kmの平たい小さな島。爆撃機の離着陸は不可能なサイズです。
☆主人公の名前について原作ではジョン・ヨッサリアン大尉ですが字幕版に合わせてヨサリアン大尉と記載します…少文字が面倒臭いので(笑)
『畜生……………………どいつもこいつも狂ってやがる。』
まるで世界大戦から忘れ去られた様な小さな島=ピアノーサ島の穏やかな朝はいつもの如く滑走路に引き出されるB25爆撃機の戦列が巻き起こす爆音と風で台無しになっていた。誰も彼もが騒音に負けない様に怒鳴り合う出撃前の修羅場が繰り広げられる最中“数週間前のドイツ軍の反撃”で瓦礫と化した司令部で彼等の不正を知り尽くす主人公“ジョン・ヨサリアン大尉”と交渉を続けるキャスパート大佐&コーン中佐…爆音で何も聞こえない状況の中で妥協塗れな密約を交わしていた。
だがその直後、主人公は清掃員に化けた何者かに刺され生死の境を彷徨う事に、何故こんな陥穽-22に嵌ってしまったのか?……そもそものケチの付き始めはアビニョンへの街の攻撃任務で機銃手として送り込まれた新米中尉が敢え無い最後を遂げた事が切っ掛けだった。まともに会話を交わした事も無い新米中尉が対空砲火で足と内臓をズタズタにされたのに、守銭奴の馬鹿のせいでモルヒネを始めとする医薬品も包帯代わりに使うパラシュートすらも存在しない。寒々とした穴だらけの機内で断末魔を迎える若者を1人看取りその後ちょっとしたトラブルに巻き込まれる事になった主人公の心は完全に折れてしまう。
フラッシュバックし何度も繰り返すスノーデンを看取る断末魔の遣り取り…物語はその場面を繰り返しながら何故、登場人物達が壊れていったのか生死の境を彷徨うヨサリアンの回想シーンを通し時系列を並べ替えながら進んでゆく。
第256航空大隊に所属するパイロット達は来る日も来る日も続く出撃任務で精神に破綻をきたしている。慢性的な上がり症の作戦参謀“ダンビー少佐”はまるでバラエティ番組の司会者か競馬中継のアナウンサーなノリで未帰還者続出の攻撃作戦趣旨を説明し周囲を苛つかせ、出撃を免除して貰う為守銭奴と化した“マイロ・マインダー・バインダー中尉”は上層部と結託しMMエンタープライズという貿易会社を立ち上げシシリアン・マフィアと取引。転売用の新鮮な食糧と引き換えに基地の全ての毛布や医薬品、果ては爆撃機備え付けの脱出用のパラシュートまで奪われた主人公が錯乱する事になるのだがキチ○イは彼等だけに留まらない。
同僚で有り同じ機体に乗り組む機長の“ネイトリー大尉”は過酷な任務から現実逃避するかの様に頭が可笑しい売春婦とその妹との擬似恋愛にのめり込み、航法士で有る“アーフィーことアードヴァーク大尉”は対空砲火に囲まれた爆撃機の中でパイプ煙草を豪快に燻らせ機内火災と勘違いさせる悪ふざけに命を懸けるバカ。副機長“ドブス”や“ハングリー・ジョー”に“マクワット”等の搭乗員達も似たり寄ったりな変人ばかりだし常日頃からチームに入って俺の飛行機に乗らないかと声掛けする“オーア大尉”に至ってはほぼ毎回の様に撃墜されては海上で漂流し助け出される墜落マニア。
そもそもこの地区の航空戦力を統括するドリードル将軍自身が愛人や義理の息子を引き連れると言う公私混同甚だしい人物だし事あるごとに銃殺刑を口にする狂人。基地司令のキャスパート大佐とコーン中佐はおべっか使いが得意なだけの穀潰しの小悪党。撃墜され戦死した飛行隊長ドゥルース少佐の後釜となったのは偶々名前が少佐だった洗濯係で元二等兵、勿論飛行機なんて操縦出来ない引き籠もりの“メイジャー・メジャー少佐”まともな人物は最初に紹介したダンビー少佐や従軍牧師のタプマン大尉。そして偶々乗り込む予定だった爆撃機が撃墜され書類のミスで戦死した事になっている“ダニーカ軍医”ぐらいのモノだった。下ネタ大好きな“ダゲット看護婦”や他数人の女性陣も大概駄目人間で有る。
尤もヨサリアンも負けず劣らずイカれている。何があっても成果が欲しいドリードル将軍の命令で行われた無防備都市フェラーラへの無差別爆撃は、ヨサリアンの抵抗で何も無い海への爆撃となった。激怒する将軍だったがミスを表沙汰にすると20トンもの爆弾を無駄使いした責任を問われる……全ては計画通りと報告書を誤魔化し第256爆撃隊員にルチアナ勲章を引き渡すドリードルに対し戦死した同僚の内臓と血に塗れた軍服で勲章を受け取る事は出来ないと全裸で叙勲を受ける主人公……狂った振りして出撃を逃れたい主人公はスノーデンの葬式で味を占め、以降ちょくちょく全裸で登場する事になる。
皮肉にも爆弾の大量消費に加え、マイロがエンジンや航空機燃料までシシリアンに売りつけた為に補充が届くまでイタリア本土に繰り出し久し振りに売春宿でどんちゃん騒ぎ……数日前ダゲット看護婦に迫り手酷く振られた上に彼女に思いを寄せるマクワットの怨みを勝った主人公が一目惚れしたのは“ルチアナことエレノーラ・ロザンナ”このシーンでいきなり流れる音楽が“ツァラトゥストラはかく語りき”だったりするのがかなり悪趣味(笑)
再びスノーデンの断末魔のフラッシュバックから時間は飛んで、場面はヨサリアンが水着姿のダゲット看護婦やダニーカ軍医等と海水浴を楽しむシーンに…逆上したマクワットは弾着観測機を持ち出し主人公を殺しに掛かるが手違いで“ハングリー・ジョー”が真っ二つ……錯乱したマクワットは飛行機を崖に向け自爆した。それまで順調にMMエンタープライズの利益を伸ばしてきたマイロは木綿ビジネスに失敗しダブついた在庫にチョコレートをコーティングして“綿菓子”として売り出そうとするが勿論誰にも相手にされなかった。
不幸は友達を連れてやって来る。ボローニャへの爆撃任務で墜落マニアのオーアが今度こそ行方不明に、キャスパート大佐の独断で出撃義務は80回となり副機長のドブスがとうとうブッ壊れた。深夜3時に上官殺してやると司令部内を彷徨く副機長を取り押さえる為にネイトリーと二人大立ち回りを演じるが打ちどころが悪かった機長が昏倒……そこへドイツ軍の爆撃機がやって来た…実はこの空爆は木綿購入代金と引き換えにMMエンタープライズが契約したヤラセ空爆…爆弾はネイトリーが転がる司令部にも直撃し意識不明のままネイトリーは火葬された、今度こそ発狂したドブスもそのまま行方不明となる。
危機を脱したMMエンタープライズはナヴォーナの経済を牛耳る様になる。支配人が亡くなったばかりの売春宿に押し掛けメンバーを強制連行し憲兵隊と共に慰安所を営業…その中には主人公を裏切りマイロの手下となったルチアナの姿も有った。ネイトリーの彼女に彼の死を伝えたがイタリア語が下手な主人公と彼女の会話は噛み合わず主人公がネイトリーを殺したのだと誤解される羽目に…そしてアーフィーもとうとう壊れ売春婦をアパートから突き落とし殺してしまう、だが駆け付けた憲兵隊が最初に逮捕したのは夜間外出禁止令を無視し街へ繰り出した主人公。
そして場面は冒頭の遣り取りへと戻る。様々なサボタージュをやらかし尚かつ第256爆撃隊の不祥事と裏ビジネスを知り尽くしたヨサリアン大尉に対しキャスパート大佐&コーン中佐が提案したのは秘密を遵守する代わりに少佐に昇進し英雄&MMコーポレーションの広報係として祖国に帰還する道と全てをぶち撒けサボタージュをやらかした犯罪者として軍法会議に掛けられ死刑になるかの二者択一……正義を貫いても死んだ友人達は帰って来ない。結局妥協する道を選ぼうとした主人公を刺し生死の境を彷徨わせたのはヨサリアンの元彼女だった。
3週間後、奇跡的に意識を取り戻した主人公は爆撃により看護婦も入院患者も殆ど居なくなった病室でダンビー少佐とタプマン従軍牧師からとんでもない事実を聞かされた。あの事件は容疑者不明のままナチスを信奉するテロリストの魔の手からキャスパート大佐を護り刺された事になっており怪我か治り次第英雄として凱旋帰国する事になっていたのだ……だが全てが馬鹿馬鹿しく自暴自棄になっていたヨサリアンを大爆笑させたのはダンビー大佐が仕入れてきた墜落マニア=オーア大尉の挙動天地にも程が有る生存報告だった。
こんな酷い地獄から抜け出す為に敢えて撃墜され漂流を繰り返してたソレは、本当は中立国へ亡命を果たす為の予行演習…地中海からスウェーデンまで続く潮の流れを遂に見つけだしたオーアは脱出用のゴムボートとオールに僅かなサバイバルキッドを駆使し16週間もかけて遂にスウェーデンまで辿り着き政治亡命を申請したらしい…………畜生、アイツが一緒懸命俺を誘ったのはそういう事だったのか‼こうなったら一刻の猶予は無い、いや寧ろ命がなくなっても構うものか…滑走路では軍楽隊が“星条旗よ永遠なれ”を演奏しイベントのリハーサルを行っているが茶番劇に構っている余裕は無い。ダンビーとタプマンの声援を受けながらゴムボートとサバイバルキッドを掻き集めた主人公は脇目も振らず海へと飛び込んだ。
急ぎ纏めたからちょっとばかし支離滅裂気味です。気が向いたら後日色々弄る予定。




