スターシップ・オペレーターズ 05年
2017年3/30~4/14ガラケー執筆し脱稿 4/15投稿
もしかしたら開戦前夜の投稿になりますかね? 此処数週間は隣の米軍基地が異様に騒がしかったんですが今日は異様に静かです。さすがに過去何回もミサイル警報聞かされたせいか割と覚悟は出来てます(笑)契約や遵法の概念がない犯罪者相手だと殺し殺される覚悟を決めないと家族護れませんからして。
【 角川グループ創立60周年&テレビ東京創立40周年記念作品の筈ですが…中途半端なリアルSF雑学と軍事知識。戦闘描写が地味なスペースオペラを露骨な鬱展開の悪趣味なオリジナル脚本とバランスの悪い演出でアニメ化したら。夕方のゴールデンタイムに伝説レベルの爆死作品が産まれました。脚本を誰かがちゃんとチェックすれば止められた筈だけど、どうしてこうなった? 】
原題:STARSHIP OPERATORS
本来は宇宙船の"通信士"或いは"操作員"を意味しますがこの場合は"宇宙戦艦運営業"となります。まあどっちかと言うと傭兵紛いの存在ですな。
日本アニメーション作品.
原作は水野良 電撃文庫にて2001年〜2005年に全6巻(但し未完)
原作はアニメ化を前提に製作スケジュールを組みシリーズ刊行し、イラスト&コミック版担当は内藤隆先生。アニメ版で盛り上げクライマックスはアニメと同時進行で…となる筈でしたが、夕方にやっちゃいけないというより中途半端にオリジナルストーリーを入れた地味な鬱展開アニメがトドメを差す形で結局打ち切りとなった作品。続きを待つお客様=読者をエアロックから放り出しせめて以降の構想をサイト等で残す事も無く途中で止まったまま早十数年の段階で評価がガタ落ちするのはしょうがないと思います。昔と違い個人発信のサイトによるファンとの交流。何だったらどっかの元宇宙英雄伝みたいに<なろう>で投稿する手もあるのよ。
電撃文庫で出てた小説版は、申し訳ないけど幼女にしか見えないキャラ絵と今時ハヤカワSF文庫でもやらない地味な戦闘描写と物語本編のギャップが酷すぎて僅か1巻でリタイア。電撃文庫15周年記念の予告編DVDでアニメ化された事を知り、リファインされたキャラクターに主題歌で再び再挑戦したものの今度は昭和の遺物そのものな不愉快極まりない登場人物の描写に耐えられず再びリタイア。新しくカード作った(前回ハーモニーでお世話になった)レンタル店で偶然見つけたから漸く全話……畜生やっぱりこのアニメ合わないわとなったとこです。
このアイデアで何で売れると考えたと聞きたくもなる悪趣味な発想に辻褄が合わないストーリー展開とあからさまな設定ミス。突然起きる学生達の戦死映像や悲しみにくれる少女達のアップに視聴率が上がると喜ぶ心底腐ったテレビ・ディレクター。嬉々として虐殺シーンを撮影。特にヒロインの1人、<里美レンナ>が集中治療室で死ぬ瞬間を生中継で撮影リポートする悪趣味演出に耐えられるお客さんって普通は居ません……つーか普通の倫理感持ってる人間なら放送を殴ってでも止めるよな。本気でこのアニメ売れると思ったんですか?いや、それ以前に緊迫したシーンに無責任で頓珍漢な台詞がキャラクターからポンポン飛び出すから製作スタッフの頭大丈夫ですかと言いたくもなります。
酷いよね。でもこの作品角川グループ創立60周年記念作品なんだぜ…信じられないけどさ。
作品の評価については<有罪→さらし首>が確定しているアニメ版ですがトリ肌ものの川井憲次先生の音楽に戦闘シーン。原作より遙かに美人で魅力的。的確な判断と作戦構築能力で別名<提督>と呼ばれるヒロイン<香月シノン>問答無用で引き込まれる主題歌は凄まじいものがありますし、結局この破綻した中途半端な物語が多くのクリエーターに火をつけ様々な傑作・名作が産まれました。評価出来るとしたらそんなところかも知れません。関わった声優に製作スタッフにしてみたら可哀相でやりきれない話ですけどね。うん。
記念作品でも何でもなく放送が1970年代だったら論理感が今とは完全に違いますから当たった可能性があります。最大のミスは放送したのが2005年だという事かも知れません。70年代って主人公庇って死ぬヒロイン、弾除け代わりの脇役が当たり前だったんだよ。せっかくの魅力をぶち壊して余りある悪趣味描写さえなければなぁ……気を取り直してストーリー説明に移ります。原作は1巻読んだ時の記憶しかありませんのでアニメ版に準拠した内容です。例によってネタバレ御注意。
【 辺境星域の軍隊が作戦の神様指揮下で独立採算で色々やりまくると書くとロバート・アスプリンの“銀河おさわがせ中隊”思い出しますが完成度やお笑い展開を鑑みると比較になりませんからそっちは別枠で書きます 】
西暦2300年、中央政府である(但し大国の潰しあいは継続中)太陽系星域から不況真っ只中の1500光年離れたヘンリエッタ辺境星域。少数のエリートが政治.軍部を掌握し全てを決める事から<王国>と呼ばれる<ヘンリエッタ惑星同盟>に侵略され安定した公務員の立場から“いきなり失業の危機”にさらされてしまったのは<惑星国家キビ>防衛大学の士官候補生達。
開戦直後に警戒パトロール中だった第1護衛艦<戦艦マナズル>は奇襲攻撃により撃沈されます。食堂のテレビでニュースを知り動揺するメンバーをよそに<惑星国家キビ>政府は即時無条件降伏受諾となり正規搭乗員帰国の為、偶々訓練研修で搭乗していたキビ航宙軍所属“第3護衛艦”<最新鋭戦艦アマテラス>に民間人扱いの学生30名+同い年の技術士官<結城シメイ>だけが無責任にも置き去りにされます。
※第2護衛艦は省略。多分沈んでます。このアニメ、何がムカつくって「宇宙戦争?基本ビーム1発で片が付きますし、宇宙空間だから音はしませんよ。爆発音?射撃音?在るわけないじゃん馬鹿じゃねーの!!プークスクス。」と脚本で露骨に喧嘩売ってる癖に致命的なポカ色々大量にやらかしてる所です。知ったか振りで無知をさらす、某●●問題の●田レベルの阿呆ぶりは列記するときりがありません。まあ原作も大概酷いけどね。
※莫大な経費.運用コストの問題から惑星国家1ヶ国で=通常1隻ないしは2隻しか所有出来ない金食い虫なこの世界の<戦艦>そんな理由で基本“単艦での一騎打ち”が常識という原作の説明はカットされ訳が判らないまま物語が進みます。<王国>は13の惑星を併合したから20隻保有.<キビ>は前政権が頑張って3隻保有.辺境ではなかなかの強国でした。ついでに書いときますがなんぼ量子通信とやらで受信可能でも田舎の食堂みたいに軍艦で簡単にテレビ番組なんざ見れません。デマや噂を下っ端に拡散させる訳がないじゃんか。ただまあメディアの伝達手段が地元ではなく[地球]発信のテレビニュース。個人端末が折り畳み式携帯…しかも全宇宙規模でタイムラグ無しにメール遣り取りする描写っておかしくない?
※原作では武装解除→引き渡し担当する軍人達による説得&学生達の自己判断で士官候補生の約1/3が<アマテラス>から正規乗組員と共に退艦します。アニメオリジナル演出でよりにもよって日系で名前が紛らわしい<航宙自衛隊>空前絶後の無責任な公僕誕生シーンは視聴者の怒りを買いました。
無条件降伏に納得がいかない学生達。無責任そのものな現政府や軍人の対応に反発する前政権リーダーのお嬢様等々が、なぜか唯一残ったリアルショタ技術士官も抱き込み合法的な反乱&レジスタンス行動を起こします。その方法は“地球のテレビ番組製作会社”による搭乗員を戦艦込みで買収させてやらかす独立=祖国解放戦争(王国側から見ればテロ行為)抵抗軍の衣食住と戦艦の運営資金は<王国>との戦争・若手女性リポーター独占生中継による“悪趣味な殺人ショー”放映による視聴者やスポンサーからのCM映像配信料金です。
勿論それだけだと拙いから大半が高校生あるいは中学生該当の(成績優秀で飛び級してる)未成年で見目麗しい搭乗員達にスポンサー提供のそそる衣装(アニメ版では何故かそれが正規軍服)に化粧品によるメイク。ネットワークや様々な方法、視聴者リクエストによるアイドルじみた営業活動に彼等個人の恋愛模様のドキュメント放送によるえげつない世論誘導作戦を展開します。
テレビ中継映像の見映えの問題でキスカ艦長(オーディオ・コメンタリーで本人役含め出演者全会一致で“ちいさい奴”で“屑=ピーター”に次ぐ不人気キャラ)他2名以外は各艦橋スタッフは全員美少女で纏めていますが問題無く戦艦を運航出来るのはオートメーション化が進んだ化物艦だからです。
※客船レベルの個室付居住設備。何故か3つもある艦橋とか謎しかないですよ。普通なら気にもせず素直にストーリーを楽しむけど視聴者に喧嘩売るような不快な演出と脚本で、設定のアラが強調されるからキツいんですよ。
命中すれば撃沈確実なプラズマキャノンを主砲…毎回波動砲で敵艦仕留めるヤマトと書いたらつまんなさ解りますよね。耐ビーム装甲に熱拡散ダメージコントロールシステム通称ホタル搭載。一騎打ちなら間違いなく圧勝。危なかったら逃げりゃ良いわと殺し合いの罪悪感や緊張感は皆無です…勿論<王国>側の<戦艦>乗組員達も死にたくないから必死に抵抗するし、ヤラセ演出が大好きで視聴率の為なら他人の命を奪う事.奪われる事を見せ物にする罪悪感皆無の屑が色々裏工作やらかしそれどころじゃなくなるんだけどね。
学生としての成績はトップなのに指揮官として全く全然露骨に役に立たないヘタレ艦長の代わりに作戦指揮する形となったのが、この物語の主人公<香月シノン>そもそも任官するつもりは全くなく複数の多国籍企業からの内定を取り付け済みだったこの娘。生活費どころか実家への仕送り迄“複数の懸賞金付戦争シュミレーションゲーム”で稼ぎ出すけど目立ちたくないから入学以降の成績はわざと万年平均値にしていました……士官学校合格~卒業は就職活動の箔付。はなから学費返納して辞める積もりだったんだけどね。
原作読破に挫折したのは彼女が典型的な昭和の生き物“とにかく男にとって滅茶苦茶都合が良いだけの女の子(下品な例えですが使い勝手の良いダッチワイフ)”だった事。アニメ版ではそこら辺りは抑えられまともな感性を持つ人間に昇格しています。友人(発言が鬼畜そのものなでんぱ・秋里ミユリ.メル友だから喋らない里見レンナ)を見捨てる事が出来ず。早くも第1話で撃沈の危機を迎えた<戦艦アマテラス>を巧みな指揮と分析で生き残らさせてしまった事が運の尽きとなります。
※ここら辺りについて原作読んでたから私は理解出来ましたがアニメでは説明在りません。知らないお客様はいきなり“ヤン・ウェンリー化”した有能過ぎるヒロインに引きます。
見映えの良さからレポーターとして派遣した元カノの“ディータ”と共にスナッフ・ムービーのヒロインとして選んだ<銀河ネットワークテレビ>ディレクター“ピーター”の思惑をかいくぐり全世界レベルで(敵対する王国にこっそり全て情報提供。)事前の作戦計画をバラしているにも関わらず罠をことごとく回避し沈着冷静な操艦で敵艦を沈める等、大活躍する彼女はいつしか画面で怯えてる馬鹿=キスカ艦長よりも頼りになる<提督>として<戦艦アマテラス>共々視聴者の人気者になってしまいます。
※もっともそこら辺りの描写…原作でもかなりお粗末なそれすらカットしてるから空回り感が酷い。原作からはかけ離れた内容で僅か13話で全てを終わらせろと無茶振りされたなら自由な裁量権で義勇軍参加とか情報戦による世論構築とか色々出来た筈です。
悪辣な太陽系政府の経済植民地で有り続ける現状を否定し強引な形で辺境星域の有象無象な勢力の戦力.経済統合を進めるヘンリエッタ惑星国家同盟こと<王国>彼等も一枚岩ではなく、高齢でそろそろ危ない最高指導者。後継者が未定のままとりあえず侵略戦争による統一を目指す“ヘルマン”ら強硬派。太陽系政府=国連軍(実際はアメリカ軍)や銀河ネットワークテレビと密かに通じ<王国>最高指導者の簒奪を目指す“イザベル・フェリーニ(アニメオリジナル)”が権力争い中。
士官候補生達をアジテートし惑星国家<キビ>を再び独立国家としたい前総理<間宮タツマ.その娘リオ.太鼓持ちのキスカ艦長>本来なら<アマテラス>の能力なら無難に圧勝あるいは戦場から逃げ切れる筈がベテラン揃いの<王国戦艦>乗組員達との経験の差。<アマテラス>乗員の悲喜劇と死亡シーンで視聴率を稼ぎたい<ピーター>の裏切り行為に気付かないまま<シノン提督>の判断を仰ぐ形に代わってゆきます。
テレビ局が戦闘開始時刻までも指示命令を下す中、更には指定時間外の<王国>追撃をかわしながら<アマテラス>が目指すのは<王国>と敵対する惑星国家との連携と半年間のタイムリミットがある逃避行。紛争監視&停戦交渉の為、密かに間宮前総理が連絡を取っていた<国連軍=派遣艦隊>は半年後到着します。それまでにテレビ番組で世論や国連諸国を味方につけ逆転勝利。銀河ネットワークテレビは<王国>を都合の悪い存在として極端な偏向報道で攻撃中の筈です。
…うん、その筈だったんだよね。そもそも番組ディレクターの目論見は“アマテラス乗組員&美人レポーターの殺害シーン撮影→報道による自らの名声と権力強化でした”その目論見は同じく国連宇宙軍の権限強化を目指すヘンリエッタ星域派遣艦隊司令“ジョセフ・トルーマン(アニメオリジナル)”とその背後に存在する大国の首脳陣に利用される事になります。
全13話半年間にわたる時間稼ぎの独立戦争な筈の物語は季節感皆無の宇宙空間シーンばかりメインとなった上、時間経過描写を脚本に書き忘れた結果、突如現れた国連軍艦隊=ヘンリエッタ星域占領軍の王国政府首脳部全員処刑海賊船アマテラスの撃沈という形で幕を閉じました。あれだけ多くの人々を間接的に殺しておきながら、最終回直前にいきなり善人となり香月シノン&アマテラス乗員脱出作戦を展開協力、証拠を隠滅したい軍部に射殺されるピーターの描写…露骨にやっつけ仕事ですあの屑がもっと惨めに酷たらしく死ねば多少は爽快感あったんだけどな。因みに物語終盤に退艦し民間船チャーターした<荻野セイ>の活躍がなけりゃそれも詰みだったのよ。
※原作がアレな評価なのにボロクソに貶されない理由。実は6巻までアマテラス側に死者(しかも事故)が出てないからってのもあります。ギリギリですがアソコまでは堕ちてないのよ。
国連会議に乗り込み演説、世論を誘導し惑星キビの独立を目指す間宮前総理…沖縄の翁●知事並みの役立たずでした(笑)アレが総理やってたキビの未来→即座に大国の植民地さぁねぇ。朝鮮から派遣された元日本総督の舛●以下な阿呆に未来を委ねる主人公達…無駄死にの映像しか浮かびません。役立たずの大人共の描写は昭和のラノベなら定番とはいえ、脚本自体が話にならないレベルで酷いとなぁ。
【オマケ話:この物語の存在理由と大人として何かを守る事についての責任について。興味無い方は読み飛ばして下さいな】
確か90年代のエヴァンゲリオン辺りからかな?無責任な大人の代わりに子供達に殺しや壊し代行させて何とも思わない恥知らずな年寄りが出てくる物語が増えました。確かに歴史を勉強するとそんな連中が無知な若者を焚き付けて阿呆な残虐行為(有名なのはヒトラーユーゲント.紅衛兵.クメールルージュ)やらかす史実は存在しますが、わざわざアニメで見せつけられると胸糞悪いです。
せめて架空の物語ぐらいはそんな屑野郎とは無縁の世界であって欲しいってのは、今時無理なんでしょうかね製作スタッフの皆様。<シノン提督>の活躍と主題歌やエンディング以外は拷問じみた悪趣味アニメを観てて急に<銀河漂流バイファム…実は13版未だ観てない>あるいはジャーナリストが独立戦争を戦う若者達に密着した異色のロボットアニメ<太陽の牙ダグラム>が観たくなりました……作画監督兼サブキャラデザインしていたのは塩山紀生先生でした。
畜生、まさかここで彼の最後を知る羽目になるとは思いませんでした。2017.4/13アパート火災により死去……謹んで御冥福をお祈りします。本当に無念です。
ではまた次回。




