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屍者の帝国(後編) 15年

ちょっと早めではありますが勿体ぶって間空けるのもアレですから投稿致します。初めて携帯で変換出来ない漢字見つけて悩みましたがそのままにしときます。

2017年2月4日~9日ガラケー執筆し脱稿 即日投稿

【 明治時代の日本 あのシーンからいきなり“笑ってはいけない明治時代”になった時 制作スタッフに軽く殺意抱いた私は悪くないと思います。 バニーちゃんのTバック攻撃に眉毛が眉毛がぁ(錯乱…) 】


☆原作未読なため 分からない所や時代背景はWikipedia等で検索してますがこのアニメ 史実と虚構が入り混じった状態で展開するのでややこしいです。 本来なら12話編成で構成するべきな物語だし



 すんません前回に引き続き伊藤計劃×円城塔の合作“屍者の帝国”の話です。 明治初期・西南戦争前後の時代背景で屍者の登場といえば私の場合 幕末に消えた筈の新撰組が屍者と生者に別れて殺し合う早世の小説家・享年34歳の吉田直の迷作長編 "Fighter(98年スニーカー文庫)" を思い出すんですが下手すると本編喰う物語ですから自重します。そっちは別の機会改めて書きましょう 小説は手元に残ってないけど台詞、そらで書けるし。現実逃避は程々に眉毛と闘いますかね


1879年夏.物語の舞台は、前年より松山で発生したコレラ全国流行で10万人以上の犠牲者が出ていた大日本帝国の首都.東京に移ります。 建物や船舶等、明らかに江戸時代で止まった歪んだ風物 断髪令は何処いった? 違和感バリバリな相撲取りの体型 身体のデカい力士が生まれたのは昭和中期頃。 それ以前は小柄で細マッチョが大多数 何故か全員着物に丁髷姿の観客ばかりな席で暑苦しい洋装で “ウホッ” と試合を見守る主人公とフライデーの姿が明らかに挙動不審です そりゃ直ぐに捕まるわな。


彼等の前に現れたのは前章で屍者と化したニコライ・クラソートキンと繋がりがある、元ロシア観戦武官.帝国陸軍将校・山澤静吾。出会い頭に皮肉る“露土戦争”ネタは知る人ぞ知る壮絶なエピソードですがやっぱり一言だけでスルーされます。

…だって眉毛だし。


※露土戦争:1877年~1878年バルカン半島の権益巡って繰り広げた通算第10次の領土戦争。実際はポーランド政府亡命事件を契機に始まった1768年から断続的に続いて第1次世界大戦でオスマントルコ&帝政ロシア消滅迄続きます。実は終わってない気がしますが

…まあいいか(笑)


当時ロシア側で中立の観戦武官としてルーマニア・プレブナ要塞攻防戦に派遣された静吾はロシア側のピンチに思わず加勢。皇帝から大絶賛されますが…トルコ政府を支援し日本とも軍事協定結んでたイギリス側は…という訳でしっかり冷や飯喰いの立場です。


…実は最初に見聞きした時“Loto戦争?なんじゃそりゃ?”となった私は悪くないと思います。ロシアへの観戦武官派遣自体、想像の範囲外ですよ。ええ。


 外で褌姿の車夫やってたバーナビー大尉も呆気なく捕まり合流。原作では江戸幕府残党士族と明治政府による暗闘を当時の有名人が関わる形で解決しますが、こっちは直ぐに“ヴィクターの手記”絡みの話となり落ち着く暇は有りません。


アレクセイ司祭から“ヴィクターの手記”を手に入れたロシア外交官は日本における屍者製造の有力企業・大里科学に接近後、行方不明。


大里科学は明治政府に反発的な幕府残党士族の経営する会社です。もし手記に記された屍者製造方法を安易に転用し量産を開始したら…事態は一気にきな臭くなりました。彼等は研究所への侵入を決断します。


【この辺りからの展開は割と雑です。何故屍者は無傷?で生者は惨殺…しかも刀傷という事は?出番が削られた“ザ・ワン”の配下が居たんでしょうか。それとも…】


 その日の夜、大里科学.第2研究棟。主人公達は見張りを片付け押し入りますが、既に侵入者が居ました。薄暗い研究棟内部で動いているのは屍者のみ。生者は軒並み殺害されており、その中には明らかに白人…おそらくウォルガンシム機関の工作員とおぼしきチャラ男の死体も有ります。


明らかに罠が待ち構えてる…介入したのは何処の勢力?主人公達は正体を探る為、敢えて中に踏み込みます。


 研究棟の保管所に並ぶのは明らかに細菌に感染させられた屍者のサンプル。解読された“ヴィクターの手記”の研究データから生者を屍者化する方法として、大里科学はコレラに感染し意識が混濁した人間を材料に新型屍者の製造を始めていました。


 外観はともかく内装が“頭のユルいダメな外国人が考えたような悪趣味極まりない日本風”研究所の奥、実用性皆無な鎌倉幕府時代の大鎧を纏ったガーディアンしかも日本刀で二刀流という阿呆にも程がある戦術をやらかす……無言で建物毎爆破したくなる光景に目眩がします。


※正直突っ込み始めたらキリがないアレは本当に酷いシーンでした。山澤の台詞も剣を知らない素人の発言だったから思い切り興醒めモード…あんなオモシロ眉毛が実在の人物だと思わねえよど畜生。


暴走したメタボなガーディアンが全てをぶち壊し炎が立ちこめる中、必死で戦う二人から手記の破棄を託されたワトソンは欲望のままフライデーに手記の解析を命令“恋愛で頭が膿んでる雄姫様”は味方が死にかけてんのに呑気にも自己満足を優先させます。その結果事態は最悪の惨状に…。


データ解析させられたフライデーはコントロール不能となり凶暴化。罠を準備し様子を伺っていた老人“ザ・ワン”に“ヴィクターの手記”は即座に奪われ…あのシーンで二人を殺さず、自分の物ですらない「手記を返せ」とのたまう阿呆に殺意を抱かなかったザ・ワンは人格者だと思います…自分を生み出した化物を思い出して感傷的になったかな。バーナビー大尉と山澤静吾は重傷。トドメにコレラに感染した屍者の解放と“ザ・ワン”による暴走命令…電波によるシステム更新が当たり前なら“ハッキング”も可能ですよね。当然ながら。


同じく様子を伺っていたアメリカ側が意識を失いついでにコレラに感染したワトソンと重傷のバーナビー大尉、そして凶暴化したフライデーを回収。舞台は太平洋上、ザ・ワンを追跡するUSAリッチモンド号に移ります。屍者暴走と伝染病で地獄絵図の日本は放りっ放しです……助走つけて殴り倒して良いと思いますよ。陛下。


※原作では当代の天皇陛下登場。何故かアニメでは出番削られました(涙)そういやスポンサーはあの●ジテレビでしたっけ。中国朝鮮に媚びる組織じゃ冷遇されるわな。


※ザ・ワンはてっきりハリウッド版でお馴染みなボリス・カーロフバージョンの頭に釘が刺さったデカいオッサンだと思ってましたがマッスルでインチキ賢者風のジジイ登場!あの世界ではアメリカに潜伏。チャールズ・ロバート・ダーヴィンを名乗り進化論をテーマとした“種の起源”を出版しているそうです。老化するんかい屍者も!?


キリスト教は明らかに廃れた筈ですから論争が起きたかどうかは知りません。


【ハダリー孃の御者係兼“お財布様”……確か偉い人だった筈のグラント元大統領。小物臭全開な出オチキャラでした(笑)本来はとある船長の出番だったのにね。】


 ヴィクター・フランケンシュタイン博士の最後の傑作。ザ・ワンは世界中の電波塔=数学者の頭脳をリサイクルした計算システムをハッキングしながら実は跳び蹴りしたくなる程下らない理由で“ある存在”を追っていました。それは“ヴィクターの手記”に記されたパンチカードデータを解析する最適の手段。北極海から回収されライティングボールという要するにパソコン端末機にリサイクルされた筈の鍵“ヴィクターの脳”


※この世界遺体再利用は当たり前。


エジプト.アフガニスタン.日本と捜索ついでに“生者見つけたら無条件で襲い掛かる果てしなく迷惑な屍者の暴走”を引き起こしながら続く次の目的地はアメリカ合衆国の港町サンフランシスコ。


 グラント元大統領は世界平和の為に……いいえまんま自分の欲望“ヴィクターの手記”解析による屍者技術の発展とノウハウ独占の割とセコい理由でバーナビー達を救助しただけですよ。他意は在りません。まあついでに惨劇を防げたらとお気軽感覚で接近します。交渉役は秘書という事になっているハダリー孃に一任。グラント自身は黒幕として暗躍する筈でしたが見事に失敗します。


エジソン博士の娘でもある彼女にもワトソン博士に接近する理由がありました。それぞれの思惑を乗せてリッチモンド号はサンフランシスコ湾へ……先回りしたザ・ワンの電波塔制圧と屍者の凶暴化は既に始まっています。被害はリッチモンド号内にも波及。屍者と生者が入り混じる大混乱の船内でワトソン博士とフライデーの身柄確保を巡る対立からハダリー孃とグラントの争いも始まり船は爆沈。


主人公達はハダリー孃の操縦する自動車で屍者との戦闘で大火災が発生した市内を突っ切ろうとしますがバリケードを築いて女子供達を守ろうとする警官達を見捨てる事は出来ず、バーナビー大尉と音波で屍者を無効化出来るハダリーは市内に残って救援活動。


ぶっちゃけ銃もまともに撃てない雄姫様とフライデーだけは地下水道からハダリー孃のセーフハウスを目指す事に……ついでに彼女の正体=人造人間の事実も判明しますがそっちは些細な事です。


狂乱し無辜の女性の首を食いちぎろうとし遂には拳銃を乱射、苦しみの余りに頭を撃ち抜こうとするフライデーを目の当たりに漸く主人公は自分がやらかした事を理解します…結局の所失ってしまった存在を復活させる事は出来ないのですよ。


確かにヴィクターの手記を解析して屍者→感情を持つ新しい“何か”を産み出すことは出来ます。でもそれは喪われた者の復活なんかじゃなく世界を知ったばかりの恐怖に怯える無垢な生命でしかありません。


ヴィクター・フランケンシュタイン博士は死体を使った“不完全な人造人間”を製造しただけ…逝ってしまった存在を復活させたわけじゃ無い。


全てを間違えたワトソン博士がやらなければならない事、それは禁断の知識.悪用されたら人類が終焉を迎える中途半端な技術を完全に封印する事です。



多数の犠牲者が発生した“史実ではサンフランシスコ大火災と呼ばれる”悲劇の翌日、エジソン博士が“娘”の為に様々な装備を準備したセーフハウスに合流したメンバー宛にザ・ワンからのメッセージが送られていました。主人公達はイギリスからのロ獲品を魔改造した“万能潜水艦ノーチラス号”で最後の電波塔所在地“ロンドン塔”がある決戦の地ロンドンへ向かいます。


同じ頃寂れた教会に潜伏していたザ・ワンは待ち伏せしていたMをはじめとするヴォルガンシム機関メンバーにより拘束。長年追い求めた屍者とヴィクターの手記を確保した彼等もロンドン塔へ。

舞台は再び最初の場所に戻りました。


※何故か船に紛れ込んでいたロシア製の屍者爆弾で木っ端微塵となったリッチモンド号ですが、グラント元大統領をはじめ乗員全員軽い火傷程度の負傷で生還(笑)病院に収容されます。ダメリカ人って丈夫ですな。


※ザ・ワンもMも割と簡単に大西洋や太平洋横断してますが移動方法は不明ですまさか泳いで渡ってね~だろうな(笑)

画面想像すると安永航一郎の“正月仮面とマッスル日本”を思い出しますからスルーしますね。ええ。


【クライマックス突入前にちょっと息抜き。本当の主人公ハダリー・リリスと綺麗なエジソン博士(笑)について】


 この物語、実は一番性格変わったのがチョイ役で娘に激甘な発明親父トーマス・エジソンです。史実では遥かに年下な未成年者と2回の結婚…子供産まれたら平然と育児放棄を繰り返すやり逃げロリ●ン爺でしたが、どっかの湖に…いやおそらく理想の女性を産みだし育てた事で色々人間として、いや親として成長したのかも知れません。


娘にして世界初の人造人間ハダリー・リリス。彼女の目標はいつか感傷を持ち“嘆き.悲しみ.怒り”を理解する事。そして機能が無い筈の涙を流す事。……実はそんな欲望を持つ事自体が彼女が間違いなく“人間”である証しなんですが父親であるエジソンは敢えて教えていません。無限とも言える命を持ち恐らくは父親である彼が辿り着けない場所へと向かう本当の後継者。


ある意味ヴィクター・フランケンシュタイン博士に正面から喧嘩売って、決定的な勝利を収めた存在なんですがワトソン始め誰も気付いてない辺りがお笑い草ですね。まったく。


【クライマックス突入なのに盛り上がり要素が皆無なのはMもザ・ワンもワトソンも心底下らない理由で戦ったから…どいつもこいつも人類舐めすぎです。】


 屍者を操る事が可能な“ザ・ワン”を捕縛したMの目的は地球上、全人類の“屍者化による思考制御”つまり世界支配。わざと捕まったザ・ワンの目的は伴侶の創造と新しい身体を奪い若返る事。場面展開自体は派手でしたが人間舐めきった阿呆共を叩き潰し勝利したのは結局の所“そうあれかしと叫び下らない世界をするりと片ずけて見せた”ハダリー・リリス。


バーナビー大尉とワトソン.そしてある可能性を提示して見せたフライデーはそれを手伝う事で世界の危機を救いますが、彼等は結局の所敗北者の一員でしかありません。


全てを悟ったワトソンはこの物語の“本当の主人公”ハダリー・リリスに敬意を表し“アフガニスタン山中で贈られた白薔薇のコサージュ”を彼女にプレゼント。姿を消します。今度は自分自身が犯した間違いに決着をつける…始まりの場所共同研究室に戻ったワトソンは自らを材料に屍者化する事で手記の封印に成功……それから4年の月日が流れます。



 生者も屍者も同じ様に人生を楽しむ街。大英帝国首都ロンドン……記憶を失ったアフガン帰りの医師ワトソンは名探偵シャーロック・ホームズと共に忙しく駆け回っていました。名前を替え今はアイリーン・アドラーと名乗るハダリーとバーナビー大尉、そして物語の記録者あるいはモリアティー教授と名乗るフライデーは彼等を温かく見守ります。


 物語はワトソン博士を父と慕うフライデーの、悲しみと感謝を込めたモノローグで幕を閉じました。これを悲劇と取るかハッピーエンドと取るかはアニメ版を観たあなたが判断しなさい。という事になりますなあ。



ラストの派手な割に心底下らないドタバタシーンはさらりと省略しましたが、私はこんな感じでアニメ版・屍者の帝国を楽しませていただきました。原作ファンのお客様は色々訂正や突っ込みお有りでしょうけど予備知識皆無でアレを観たらこんなもんですよ。ええ。



追伸:ハーモニーのレンタルやってる店舗ようやく発見!噂によると今度はキマシタワーの世界(笑)だそうですが耐えられるかね私




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