屍者の帝国(前編) 15年
2017年1月30日~2/5ガラケーにて執筆し脱稿 2/6投稿
【 “友情”という事になっている耽美な想いは地球より重く傍迷惑な惨劇を撒き散らす 原作改変にキャラ変更は上映時間の関係で仕方が無いけどさ斜め方向にハードル上げないで。(目幅涙) 】
英題:THE EMPIRE OF CORPSES
屍者の帝国
最近洋画とアニメしか観てないから英文タイトルが無いと戸惑います
面倒なこってす。
原作は34歳で早世した小説家.伊藤計劃の冒頭分30枚のみの原稿を友人で小説家の円城塔が遺族了承の元に追記纏め上げた作品。映画化に当たり物語はおろか登場人物やその人間関係もアニメ版と原作版はかなり異なるそうですが、厨二病感が漂う小説タイトルと装丁。耽美&インモラル感満載…ぶっちゃけホモォなイメージイラストにドン引きした私は未だ読んでません。ゾンビ受けスプラッタ風味のBL小説だと完全に勘違いしてました。正直物理的に痛いのと耽美で精神的にイタいダブルニーミングは苦手なのよ、申し訳無いm(_ _)m。
でもアニメ版は大体そんな展開ゾンビネタが加わります…オイ。
でまあレンタルコーナーに並んだDVDはずっと借りっぱなしの札が並び。粗筋すら知らないから、機会が有ればその内に…と特に注目もしていなかったんですが、プロジェクト企画&製作会社倒産で幻となる筈だった3作目“虐殺器官”劇場公開決定のニュース。
※本屋さんで作者が亡くなった事やアニメ化のニュースは知っていましたが友人が漢気で立ち上げた映像化企画とは知りませんでした。
地上波全国初登場で“屍者の帝国”“ハーモニー”の2作品を連続テレビ放映という宣伝に期待し改めて内容確認したんですが、例によってフジテレビ系列全国放送の範囲にこっちは入んない(涙)
ならば借りて観るからなど畜生!!と同じ事考えたお客さんいっぱい居りましてレンタルコーナーの在庫は軒並みアウト。通算7件目でようやく借りて観賞。ちなみに“ハーモニー”は未だに捜索中です。Amazonで買わなきゃ観れんのかね!?
感想ですが……最近SF小説家として復活したツインピークスの脚本家。マーク・フロストの小説“リストオブセブン(95年)”や“ドイルと黒い塔の6人(98年)”は禁句ですかねぇやっぱり
※扶桑社ミステリー文庫.アフガン帰りの軍医アーサ・コナン・ドイルが屍者の軍隊による英国滅亡を狙うオカルト結社とMI6/SISのエージェントとの暗闘に魔術師の血を受け継ぐ美しいヒロインアイリーン・アドラーと巻き込まれ…という物語です。映画化予定のまま随分刻は流れました。
件のエージェントで事件を通して無二の親友となるジャック・スパークスは鹿撃ち帽Diastalkerにパイプ煙草とモルヒネ愛用。卓越した推理能力と謎の武術バリツを駆使…続編では闇堕ちしドイルのオラオラな肉体言語で復活。
英国貴族で在りながら黒魔術に溺れドイツ帝国暗部に味方する色々黒い兄アレクサンダーとライヘンバッハの滝の上で…というあの小説をご存知な皆様はニヤリとする展開。“ニチャリッとした”そこのアナタ腐臭が漂ってます。
ゲストキャラも虚実含めて当時の有名人トマス・エジソンにグラハム・ベル。ヴァン・ヘルシング教授にヴィクトリア女王。そしてオーストリア在住。謎の少年アドルフH君等々が登場します。
脱線は程々にしときますか本編に戻りますが全体的に腐女子や貴腐人が大喜びな挿しつ挿され…畜生!携帯も腐った!書き直します血で血を洗う展開に何とも身勝手な“御姫様主人公ワトソン”の行動とそれが引き起こす無様な結果にイラッっと来た物語でした。目の前に居たら殴り倒してますなスーツ姿に最近購入した銃床付ライフル傘で“礼節が”“人を!”“造る!!”……キングスマンのガラハットことハリーのアレに嵌りまして即決購入致しました。
(お馬鹿なデザインだけど金3千円超え。表通りで使用したら職務質問必至の雨具です。)
唯一の癒やしは都合が良過ぎる嫁=発明王トマス・エジソンが生み出したスーパーヒロイン“ハダリー・リリス”の登場シーンだけだった気がします。映画紹介で期待したホームズは出オチキャラだしせめて“ヒロイン枠のフライデー”が女の子だったなら多少の無茶苦茶も
“可愛いいは正義だ!文句有るならベルサイユへいらっしゃい!!”
…とやらかす所ですが“腐臭漂う男の娘”じゃなあホモォのワガママで死屍累々となった世界が哀れです。では散々罵って気は晴れましたからあらすじ説明はさらっと進めます。知り合いにそういう連中は沢山居ますがあの世界には関わりたくないです。…追求するならマジ泣きしますよ。
※追記:ここ迄ボロクソ書いといて何ですが原作の展開はどうもアニメ版と小説版の“戦闘妖精雪風”レベルで内容異なる作品の様です。そこら辺りの事情も含めてあくまでも“今回のアニメ版”として私が視聴し感じた評価として御笑覧下さいませ…個人的にはオリジナルアニメDVDシリーズで製作するべき物語だとは思いますが、まずは売れなければ難しいんだよなぁ。だからって腐女子向けの脚本変更はねぇ…。
【屍者の帝国.グレートブリテン北アイルランド連邦共和国。屍者が労働資源となる時代を迎えた世界。倫理観は宗教と一緒に錘ぶら下げてテムズ川の底です。】
1878年イギリス.ロンドン。100年前に失われた伝説的な屍者=魂を持ち言葉を話すヴィクター・フランケンシュタイン博士の創造物“ザ・ワン”技術再現を目指す医学生.主人公ジョンHワトソンは、友人であり共同研究者のフライデーの遺体を墓場から盗み出し違法プログラムで屍者として起動させた事から逮捕拘留されます。
※屍者を目的に応じて動かすパンチカードで構成された作業プログラム=霊装/ネクロウェアという説明ですが敢えてプログラムという事にしてます。ややこしいし。データのバックアップや補正作業は世界中に設置された電波塔で行いその材料は世界的に有名な数学者の脳味噌使用…原作読まない方が精神的に良さそうな気がします
オープニングの綺麗事のたまうシーンは後半の惨劇を観てしまうと正直失笑物です。魂の重量?…概念すら解らないそんなモノは神様だって知らねえよ。21グラムの元ネタはソビエトの科学アカデミー・死刑囚材料としたオカルトじみた生体実験報告書からです…平均数値出す為に何人殺したんだろうねワトソン君?。
学生で有りながら人体の医療知識と複雑な方程式計算を必須とする屍者の起動運用。プログラムを解析し違法ソフトをインストールする能力。その異能に着目した大英帝国情報部ウォルガンシム機関を預かる“M”は数ヶ月前より懸案となっていた帝政ロシアからの逃亡者への接触&情報収集の為のエージェント…実はウォルガンシム機関が100年近く追い続ける“ある屍者”を釣り上げる“生餌”として組織の備品。旅の記録係となったフライデーと共に、アフガン王国.帝政ロシア.パストゥン人独立勢力が暗闘を繰り広げる。“魔女の鍋”イギリス領インド.ボンベイ(現ムンバイ)へ派遣。
世間知らずにも程がある“愛に生きる雄姫様”には“餌”としてアフガン奥地に潜伏するフランケンシュタイン博士の技術継承者アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ従軍司祭の情報を流します。
アレクセイは北極で発見された博士の研究資料“ヴィクターの手記”を所持したまま多くの実験体を引き連れてロシアから逃亡。“闇の奥”アフガニスタン.カブール北方ホクチャ渓谷に“屍者の王国”を建設し独立。同じ頃アフガンでは何者かが新しいタイプの戦闘用屍者をイギリス軍と戦争を繰り広げるアフガン王国側へ供給していました。
※インドを制圧した大英帝国の次の植民地候補は時代遅れの愚物・清が君臨する中央アジア。1838年から、インド国内のパストゥン人勢力に粉かけたと因縁つけてアフガニスタンを侵略しますが泥沼化。結局戦闘は現在のパキスタン・インド北部迄拡大し1920年まで続きます。この世界でも帝政ロシアは南下しイラン王国の影からインドやトルコ、ペルシャ湾やバルカン半島の権益を狙ってます。
脳髄の奥に残っている筈の記憶“フライデーの魂”と“言葉”を取り戻すには屍者の王国に君臨するアレクセイを捕らえるか説得し研究ノウハウを手に入れる。どちらにせよ直接接触する以外の方法は無い。英国軍部からは護衛兼監視役が現地合流予定。港のカフェで護衛到着を待つ彼等の前には同じようにヴィクターの手記を狙う列強.アメリカ合衆国のメンバーが現れます。
港町ボンベイにスループ・リッチモンド号で乗り込んだのは北軍上がりの元大統領ユリシーズ・グラント。護衛は南北戦争終了で在庫がだぶついた中隊規模の軍用屍者の部隊。何故か場違いなドレス姿を披露する謎の美女もいました。
望遠鏡で覗き見する主人公に気付いてカメラ目線で微笑むハダリー。思わず彼女に見とれる主人公と黙々と記録を書き続けるフライデーの背後に現れたのは自爆機能を持つ屍者爆弾…体内脂肪をニトログリセリンに化学変化させたロシアの悪趣味兵器投入で街は大混乱となります。
※星里もちる先生のコミック“危険がウォーキング”をフラッシュバックさせ吹き出しそうになった私はシリアス無理です。あっちはヒロインの汗がニトロデンデロリン(ヒロイン母の説明)
吹っ飛ばされて屍者となった前任者とは違い今回は応援が間に合いました。護衛兼監視役のフレデリック・ギュスター・バーナビー大尉の機転でどうにか暗殺を切り抜けた彼等は、河川用蒸気船と共に待ち構えるイヤミな文学少年.ロシア帝国官房第3部の諜報員ニコライ・クラソートキンと合流。呉越同舟の一行は河川を遡りアフガニスタン国境を目指します。
※映画では説明一言だけですがニコライは皇帝直属の諜報員。ロシアは“オーストリアを介したヨーロッパ全域と血縁関係がある皇族”と“元々は地元の豪族上がりの貴族”側で内紛が続いています。結局国家滅亡後も殺し合い続けた為、悲惨な事になります。革命で誕生したソビエトに政権崩壊で産まれたロシアが未だに嫌われる理由はそんな理由です。何故か学校の世界史では教えてませんけどね。
※アレクセイとの親密な関係を持つ美少年ニコライが主人公を出会い頭に罵るシーンは大爆笑しました原作遵守の丁寧な言葉使いで誤魔化してますが要するに“友人を剥製にして連れ歩く”……端から見てると変態だよな当然。協力者がロシア人な事に激高する主人公をバーナビー大尉が世間知らずの坊や扱いするのは、英国王室と婚姻関係もあるロマノフ皇族と軍を私物化し海外侵略を企む馬鹿貴族の事情を知らないから。
自分が“何か”をおびき寄せる為の“餌”で終わりたくなければ、ありとあらゆる情報を人脈を集めるしか生き延びるすべはありません。修羅場くぐった大尉から見たら高速道に迷い込んだ生まれたての子猫より危ういです。
※物語の後半の展開観てるとコイツも大概甘ちゃん余計にイライラさせていただきました。バニーちゃんと書くぞ馬鹿野郎。
【話がいきなりコンラッドの“闇の奥”というよりコッポラの“地獄の黙示録”になってポカンとしました。前半部分のクライマックスで納得しましたが…そうか麻薬絡みか。】
ここら辺りの展開観た時“普通の映画なら最低3部作で絢爛美たっぷりにやるドラマチックな作品を何無駄遣いしてやがる”と思いましたが…今更ですからさらっと流します。ええ。
インドを北上。舞台はいよいよアフガニスタンへ、元ネタの“地獄の黙示録”は延々3時間超えのドラマでしたが、こっちはいきなり首都カブール近郊の戦略拠点。カイバル峠のイギリス派遣軍とアフガン王国軍。決戦の戦闘シーンに移ります。指揮官は人間ですが戦っているのはどちらも虚ろな人々…屍者の軍隊です。
“此処から先は死んでる人間の方が多い。屍者技術者のお前には楽しい環境かな?”バーナビーの皮肉が耳に響きます。
彼等の関係を暗示させる意味合いでも移動シーンや戦闘シーンでT.S.エリオットの詩“TheHollowMen 虚ろな人々”でのモノローグ入れたら完璧だったんだけどね。まあ主人公とニコライがやり合うヨタ話“数式化された勝敗と戦場にはロマン=物語が必要”も興味深かったけど。
“我等は虚ろな人間.剥製のごとく並び進む…藁の詰まった頭を揺らし風に吹かれ揺れ動く小麦の様に……死の谷の底で壊れた顎をこじ開けながら…”
by:トーマス・スタンズ・エリオット
英語版からそれっぽく引用&省略してます。実際はもっと長く幻想的です。何故か昨今はゾンビ映画御用達。
最前線で無用な戦闘に巻き込まれるのを避ける為、ロッククライミングで移動する彼等を、突然アフガン人に偽装したロシア軍の屍者達が襲い掛かります。中には憎悪を剥き出しにし攻撃を予測して避け襲い掛かるアレクセイが開発した“新型”が居ました。後の伏線ですがニコライが地味にショックを受けています。
追い詰められピンチの彼等を救ったのはボンベイで屍者爆弾の攻撃受けて生死不明のハダリーとグラント元大統領。ウィンチェスターライフルをぶっ放し馬車の上で火炎放射機をセットアップ。ドレス姿で豪快な蹂躙劇を魅せた彼女は“白薔薇のコサージュ”をワトソンに贈り姿を消します……王子様かあんた(笑)
その夜、捕獲した新型を再起動させ“喋らせ”ようと主人公が色々やらかしますが呆気なく失敗。川辺で煙草一服するワトソンとカンテラ片手に血まみれで佇むフライデーの前に“秘書”と名乗るハダリーと此処まで台詞一切無しな“その上司”グラントが登場。自己紹介ついでにフライデーに付いた血をキレイキレイして“魂の存在は証明されましたか?”思わせぶりな言葉を残して姿を消します……せっかく愉快にボケたのにツッコミ無しですか。そうですか。
カブール北方どころか明らかにチベット方面…東の中国側へ向かう旅のイメージシーン(…笑)を挟んで一行は漸く雪に覆われた極寒の地。屍者の王国へ到着。船着き場で出迎えてくれたのは女性に子供、老人という有り得ない構成の屍者達と素直に歓迎するアレクセイ司祭の姿がありました。
※屍者技術が当たり前のデストピア世界で野暮は言いっこ無しですが、1800年代末期のアフガンは、ペルシャ風衣装が常識でした。ギリシャ・ローマ文化がもたらした水道等のインフラ。仏教建築にペルシャ風建築が混在し、写真を見ると別世界な緑の大地。あんな砂漠の世界になったのはインドから侵入したパストゥン人勢力がイスラム原理主義と麻薬栽培を強要する様になった1970年代末期からです。
【自らのおぞましい傲慢に気付いた常識人と愛に生きる恥知らずな雄姫様の交渉が成立する筈は…まあ無理だわな。】
実はもうこの時、結末は決まっていたのかも知れません。かつて“国の為に”あるいは“自らの名声の為に”倫理観を打ち捨てたアリョーシャ=アレクセイ司祭とコーリャ=ニコライ少年から見た主人公ワトソンとバーナビー大尉は……屍者の王国を築く以前、ヴィクターの手記を解読し嬉々として新しい屍者を試作する“おぞましい自分達そのもの”
最早残された時間は少ない。分からず屋の雄姫様を、なんとか懐柔し部下に持ち去られたおぞましい資料“ヴィクターの手記”廃棄を御願いしたい2人はショッキングな行動に出ます。それはここに居る国民=実験体に、かつておこなった凶行…阿片で意識を混濁させた“生きた人間に霊装を植え込み強制的に屍者を誕生させる方法”フランケンシュタイン博士が“ザ・ワン”と名付けたソレに施術した技術の再現?
いいえ、実は途中迄解析した研究データ…フランケンシュタイン博士がそれ迄おこなっていた屍者製造方法の再現。研究を打ち切ったロシア政府はそんな形で新型屍者の製造に踏み切っていたのですよ。
実験体は既に禁断の技術を知った自分達。
彼等の命を張った抗議と懇願に心を揺らしたバーナビー大尉はヴィクターの手記を持ち去った部下…日本に赴任した外交官の行方を追う事を決心しますが、そこで致命的な失策を犯します。あの惨状を見てもなおも“自分だけは違うと呟く”世間知らずで身勝手な狂人…かつてのヴィクター・フランケンシュタインそのものな主人公ワトソンを“処分”しなかった事です。
※バーナビー大尉にはウォルガンシム機関とロシア政府から2人の暗殺命令が出ていました。様子を見守る大尉に全てを察した2人は自らを罪人として裁く決断を下した…その事も大尉が動く理由だったりします。
最早“罪深き聖者”は消え“屍者”だけとなった王国。ヴィクターの技術を知る2人も屍者の仲間入りしこの地を制圧しても技術を手に入れる事は出来ません。プログラム通り見送る屍者を置いて彼等は日本を目指します。
やがて屍者の安住の地は、遥か上流に消え見えなくなりました。
…うん。此処で終わって続きは1年後にした方が商売になったと思いますが実はまだまだ続きます。
劇場で観てたお客様。異様に疲れませんでしたか? 私は此処でレンタルしたDVD止めて明日続きをとやらかしました。
なんせ日本編のキャラ…特に眉毛ボーボーボーなあいつが………すんません、今回は久しぶりに2回に分けます。あの顔思い出してシリアス無理よお兄さん(涙)。という訳で後編続きます。
選挙関係で此処数日間、出来もしない公約と個人的な悪口をスピーカーで聞かされ。かなり閉口しています威力業務妨害で訴えたらダメですかねぇ
警察署の前で基地反対と総理大臣の悪口喚いても票は伸びないと思いますが最早そんな知恵も回らないのでしょうか?




