テレフォン 77年
2017年1/23~1/29ガラケー執筆し脱稿 1/30投稿
【 悪の工作員秘密養成組織KGB(嘘です)が“最悪のテロ戦争”を避ける為、敵地に長年潜伏する為に記憶を奪われた味方を次々抹殺する皮肉な展開 ジェイソン・ボーン.シリーズの原点になった物語です 流石に催眠術は怪しいにも程があるけどな。 】
原題:TELEFON
ロシア語=キリル文字で電話=Τелефонをヨーロッパ共通語のラテン語表記変換。私は最初日本版ポスター等担当した広告代理店のスペルミスだと思ってました。
アメリカ劇場公開作品
1978年 日本劇場公開
まあTelephoneって単語自体、今じゃ英語の教科書でしか見掛けない時代遅れの言葉でCall(米国)あるいはMobile(英国)が定番なんだそうです。ちょっと前迄はphoneで通用しましたっけ。固定式の電話BOXやタバコ屋店頭の10円電話も姿を消し…というよりダイヤル形式の電話のかけ方なんざ今更思い出しても使えませんね 語源となったテレグラフ=腕木通信⇒名前流用して電信になると完全にお手上げです。 アメリカ合衆国やヨーロッパ舞台の映画で偶に見掛ける辺鄙な場所に建てられた鉄の骨組み付レンガ塔の正体がソレだったりします 江戸時代末期に技術を導入した日本は電信からのスタートでした。
原作はポリティカルフィクションの権威.ウォルター・ヴェイジャー。実は以前から一度観てみたかった作品でして楽しませて頂きました。 惜しむらくは日本語吹き替え版.特に故.大塚周夫バージョンのブロンソンが聞きたかったんですが、残念ながら字幕版のみ。 特典映像も入ってない海賊版じみたDVD…まあ画質はデジタル処理されてますし、禁断症状が出たら本気で探す事にします。
脇役なら結構吹き替え版有りますがチャールズ・ブロンソン自身が主役の作品はたいてい英語またはイタリア語版だけだったりします。 年齢的にも撮影当時50代超えの主役抜擢ですから厳しいのかも?既にB級アクション映画の帝王扱いでした。
本物と入れ替わり薬物と催眠術で洗脳済だから本人も普通の一般アメリカ人として生活 電話による詩の朗読で自爆テロあるいは暗殺者となる設定は未だに様々な形でリスペクトされてます 代表的なのは映画公開から約6年後に出版されたRラドラムの小説“暗殺者”後に映画化された“ボーン・アイデンティティ”ですね。
殺人主婦ジーナ・ディビスと生ゴミ探偵サミュエル・ジャクソンが出演した“ロング・キス・グッドナイト”は最後のシーンがマイケルベイばりにやり過ぎでしたから入院中病院のテレビで見てて引きました。劇場公開当時。小説版で設定に嵌り内容期待して見に行ったらCG加工全開のアレを観て失望感に駆られた思い出がふつふつと…。
爆裂魔法エクスプローションは空気を読んで使用しないと紅魔族関係者一同に怒られますよ。めぐみん。
主人公でカポーティ並みの記憶力を持つグレゴリー・ボルゾフは一応KGB所属という事になってますがイリーガル(非合法)な仕事は年齢的に引退を迫られる立場です……つーか爺ちゃんが何故選ばれ暗殺者として派遣されなきゃならんのよ?
冷静に突っ込んだら負けですよきっと此処ではあくまでも30代後半という事でお願い致します。
実際は逆算すると54歳だけどさ。
※実力行使が伴う潜入.汚れ仕事は軍情報局あるいは参謀本部直轄機関GRU別名水族館の任務でした。
スペッソナーズが世界的には有名ですね。シェルジンスキー広場の案内人ことKGBの本業は国内事案の処理と海外でのリーガル.大使館付の合法的な情報収集?がメインです。まあこんな誤解が溶けたのはソビエト崩壊後になってから。当時は超能力に催眠術。何でもありな悪の秘密結社でした。
こんな内容の映画で撮影許可は下りる筈もなくソビエト国内クレムリンやアパルトメントのシーンはフィンランド.ヘルシンキにあるロシア正教会.ウスペンスキー大聖堂(モスクワのアレと違ってレンガ造り。同じ女神祀っているので名称は一緒。)隣りのヘルシンキ大聖堂等その周りで撮影。ソビエト諜報機関兵士役はフィンランド軍が全面協力しています。武器についてはAK47を参考に開発したフィンランド軍の正規装備品です。
物語はロシアを起点にカナダ~全米各地のテロ事件を描写し真犯人の行動理由が不明な為、追跡する側が振り回される展開ですが…実は殆どのシーンはカリフォルニア州中心に西海岸で撮影してます。
ラングレーのCIA本部空撮だけは本物ですよ。
勿論カナダロケは行ってません。絢爛豪華なホテルはサンフランシスコ市内で撮影。様々な映画で撮影された有名な展望エレベーターはホテルハイアットリージェンシーの名物です。
では本編へ例によってネタバレ有りです。映画観る前にストーリー知りたくないお客様はバックお願い致します。
【 史実では緊張暖和が合い言葉 当時アメリカ.カーター大統領が核兵器の一部撤去。冷戦の終結を呼びかけそんな空気が流れてますが実は嵐の前の静けさでした 】
1978年1月10日モスクワ.KGB長官直々の指揮で実行された精鋭部隊による裏切り者拘束は失敗します。リストを盗み出した容疑者ニコライ・ダルチムスキーは既に国外へ逃亡。自宅に居たのは母親だけでした。
1月17日コロラド州デンバー.何の変哲も無い自動車修理工バスコムは正体不明の相手からの電話で豹変します。耳元に流れたのはアメリカの詩人ロバート・フロストの作品“雪の夕辺に森の側に立つ”の一節…22年振りに潜入前の本名ニコリンと呼ばれた彼は秘蔵していた爆弾を車に搭載。元神経ガス貯蔵施設に自爆テロを敢行しました。
※元中学校の爆波解体を撮影。実は珍しいF89戦闘機が映ってます。
大爆発でパニック状態となる米軍基地。ステーションワゴンに乗り様子を窺っていた謎の男はその場から静かに逃走します。
10年前に半ば放棄された施設への自爆テロ。容疑者と見られる近所の自動車修理工バスコムは実は22年前に癌で死去。だとしたら自爆テロを起こしたバスコムは誰なのか?。CIA本部では異様な事態に対処すべく情報分析が始まります。対外情報局で導入されたばかりのパソコンでソビエト国内政情異変察知=対米強硬派24名の変死→大粛清の計算結果が出ています……何かが起こり始めていました。
※ロバート・フロスト。ピューリッツァ賞を受賞したアメリカでは有名な詩人。別に共産党との繋がりは有りません。晩年の作品“雪の夕辺に森の側に立つ”は自死をイメージさせる描写が有りまして、物語で引用されます。“森は美しく暗く深い…だが私には約束の仕事がある…”いきなり電話口でこれ聞かされたら…黙って警察に電話しますな普通(笑)当時は電話や通信のプライバシーは守られている事になってました。実際はFBIやDIA等多数の諜報機関が24時間監視中。
※イギリス人は“ダー様”がやらかす格言。アメリカ人ならジョーク。フランス人と娯楽も寒いロシア人はポエム(詩)朗読が好きです。有名なのは医者兼任で反体制派の詩人パステルナーク…彼自身の半生に架空の描写を混ぜ合わせ小説化した代表作は映画化もされてます。詩人の命日に墓の前で詩の朗読はロシア人の風物詩だそうですが……日本では流行らない事を本気で祈ります紅茶片手にどや顔で格言のたまう女子高生は流行ったら楽しそうですがね。
CIA内で捜査がまごついている間にも、今となっては的外れな目標に対する自爆テロが次々発生します。1月20日人喰ワニとディ●ニーの國フロリダ州の貧乏パイロット.カール・ハスラーが通信施設に突入寸前撃墜され。直後オハイオ州弾薬貯蔵施設にマーク・ピーターズが自爆テロ敢行。
残る工作員は51名。事態発覚と粛清の可能性に怯えるKGB所属ストレルスキー将軍とマルチェンコ大佐は1月24日。半ば引退中の工作員グレゴリー・ボルゾフ少佐をKGB本部へ召喚。此処で漸く核戦争時の切り札“テレフォン作戦”の真相が判明します。薬物と催眠術(笑)によるロボトミー処理された潜入工作員は詩の朗読と本名呼びかけで決められた作戦実行。任務達成後は自決する様コントロールされています。実態は書記長にも知らされていませんでした。
チャールズ・ブロンソン主演作品で何故か必ず発生する“お馴染みのど腐れ仕事”黒幕で手帳を持ち出した裏切り者抹殺に気が乗らないボルゾフですが…結局友人の泣き脅しで仕事を引き受けました。
実は元友人の依頼者が泣き脅し~最終的に裏切るのも定番だったりしますまあ此処ら辺りは彼のファンならご存知ですね
(苦笑)
1月26日ボルゾフは海外出張帰りのリーマン(笑っちゃ駄目よ)グレッグ・テイラーとして、カナダ.カルガリー空港?到着。待ち構えていた妻役の女性工作員バーバラと合流…実はCIA側の工作員でも有ります。ソビエト側の侵入者は全て監視下にありました。
車内で手渡す活動資金に所持許可証と一緒に登場するのは、他のブロンソン主演現代劇作品でお馴染みな相棒“357マグナム”これが無いと彼じゃない。警備がザルなカナダ・アメリカ国境を簡単に通過していよいよ潜入捜査…もとい隠蔽工作がスタート。
※近隣のドライブイン・モーテルやゲートの建物から推測するとカリフォルニア南部のサンティアゴ国際空港な気がしますがなにせ1970年代の画像だから自信は無い。
※密入国はメキシコよりもカナダから…特亜の売春婦や工作員が今じゃこのルート通ります。日本人は来んな!特亜の移民とシリア.イラク難民は英語喋れなくてもOKとしたカナダ歴代の阿呆共の始末。トランプの爺ちゃん出来んのかね?壁が必要なのは本当はメヒコじゃねーぞ。
ダルチムスキーの人間爆弾による陰険な嫌がらせは未だ続いています。1月27日カリフォルニア州ロサンゼルス.長距離電話中継局にはデイラー神父が突入。警備の警察官に撃たれて重態…時間稼ぎと万が一の事態発覚を恐れたボルゾフの指示で看護婦コスプレのバーバラが自決介錯。1月29日ニューメキシコ州ケンブリッジのミサイル基地施設は主婦マリー・ウィルスが仕掛けた爆弾で壊滅。彼女は作戦実行直後ソビエト製の毒入りカプセルで自害。
※勿論撮影場所は以前紹介した“砂丘”の舞台カリフォルニア州デスバレーの別荘地です。勘違いデザインの珍奇な建物は買い物等の不便さから殆ど売れず映画の爆破処理シーンで活用され…何故に彼女だけ基地に仕掛けた爆弾なのかは謎です
今回の任務に疑問を抱いたバーバラからのタレコミ情報をパソコンに入力した分析官ドロシー・パタマンと分析局長官は偶然の思い付きで真犯人の攻撃目標を察知。同じ頃公園でダルチムスキーの滅茶苦茶な犯行基準に悩むボルゾフはバーバラとの与太話から糞野郎が自分の名前で犯行順番を決めている事に気付いて次の目標を推定します。
次はHが頭文字の街に潜伏する工作員。候補地はテキサス州ヒューストンあるいは同州ハルダービル。公衆電話でハルダービル在住のターゲット.ダグ・スタークの不在を確認した2人はヒューストン.マーチン・カレンダーが勤務するホテルへ急行します。
同じ頃モスクワKGB本部では将軍とマルチェンコ大佐が密談中。極秘作戦の内容を知っているボルゾフ少佐について彼等は呆気なく証拠隠滅の為の処刑を決定。バーバラに命令を下します。CIA側もダブルスパイ保護の為見殺しを選択。ヒューストンのホテル前で待機中の彼女に伝えました。
※ボルゾフ到着シーンからシャッター音で伏線貼ってますがそこら辺りの裏切り裏切られは経験豊富な工作員には丸分かりです。望遠レンズで隠し撮りした筈の車内盗撮写真が2人共しっかりカメラ目線のキメ顔ポーズ。
お互い理解した上での公園(多分ラスベガスの名物シーザーパレスホテル新築直後で色々な映画でロケ地となりました。)でのいちゃつきシーンが結構面白いですよ。
【アメ車が世界的に売れない理由がコレです。世界の衝撃映像とかでロシア人やアメリカ人がやらかすヘボ運転は彼等自身の空間把握能力以上に両国の車が死角だらけのゴミだから。昔コルベット運転した時恐怖でした。前が遠くて手前が見えない】
1月30日テキサス州ヒューストン.ホテル勤務マーチン・カレンダーの自爆テロはアメ車の常識外れな馬鹿デカさが災いし地下駐車場で激突事故。燃え上がる車から出られなくなった間抜けなシチュエーションでボルゾフの357マグナムが炸裂。犯行は未遂に終わりましたがホテルの地下は大爆発という悲惨な展開となりました……某タワーリングインフェルノの火災きっかけシーンを思い出した私は大概悪趣味です。
※気になって調べてみたらフォードのフルサイズセダン・リンカーン…全幅2m全長5mの化け物サイズ…改造車のリムジン並みの長さ
そりゃ事故るわ(笑)
心配性の保護者みたいにホテル前に陣取るダルチムスキーは同じく初めてのお使いを見守るお母さんの様に待機中のバーバラに発見されてクーペで体当たり喰らいます。次の目標はテキサス州ハルダービルのダグ。ボロボロのステーションワゴンで逃走するテロリストを尻目に、自家用ジェット機をチャーターしたボルゾフとバーバラは空の上でささやかな交流を楽しみつつ地方空港へ。森の中のドライブイン.“ダグの店”に先回り。
※実は架空の村。実際はロサンゼルス郊外。
1月30日夜ドライブインの店主ダグは未だ釣り=湖への食材調達から戻っておらず神経質な英語が怪しいロシア人の電話がひっきりなしにかかっていました。店内には軽食食いにパトロール警官滞在中。ショーケースにはガラガラ蛇が展示中自動ピアノがディキシーランドジャズを奏でる中、獲物のマスを確保したダグ登場。
※実はテキサス=メキシコ風料理だったりします魚介類は専ら蟹が主役。メインは肉料理とチリコンカン。食材調達は釣りで確保.店のお勧めが缶詰のニューヨーク風クラムチャウダーなあたり意外と経営ヤバそうな…。
屋外で仕込み中のダグの意識を奪った(タオルで首コキュッ…勿論即死)ボルゾフその時、暗闇から詩を朗読する豆電球…もといダルチムスキーの姿が。暗闇に佇む強面の男登場に事態を察知したハゲは警官が食事中な店内の電話BOXに立てこもり次の犠牲者を呼び出そうとしますが…うっかりショーケースに躓きガラガラ蛇を逃がしたバーバラの機転と慌てた警官による拳銃発砲による騒音発生。声はもう届きません。
どさくさ紛れに電話BOXに突入したボルゾフが当て身を喰わせ所持する自決カプセルを強引に口にねじ込みトドメを差します。
事件は漸く解決しました。秘密を巡ってどちら側からも狙われる事を考えたボルゾフとバーバラはCIA/KGB双方に警告を残し姿をくらませます。“もし今後自分達に手を伸ばせば再び電話が鳴るよ”とりあえずの行き先は10マイル先のモーテル“幸福の時”電話を終えた2人は高速道路へ車を向かわせました。………この映画、場面の要所にカリフォルニアの詩人.ロバート・フロストの格言や詩を練り込んでますから最後はこんな文面表記になりますか。
“it goes on 何があっても人生は続きがある。byフロスト”
【オマケ話旧暦使用と謎の食パン・テキサストーストについて。本編には無関係ですよ勿論。】
これ書き上げたのは旧暦の元日夜。という訳で“新年明けましておめでとうございます。”こちらで年間行事が旧暦進行なのは海産物が月の満ち引きの影響を露骨に受けるから。
※実は投稿ギリギリにミス見つけて今まで修正やってましたから掲載は旧正月から3日遅れとなりました。スイマセン。
太陽暦だと魚の回遊位置が毎年ズレる切実な事情が有ります。別にあの国は無関係ですかつてのご主人様の風習真似て支配者気取りってとこだと思います。
恐水症(別名狂犬病)に水は厳禁。泳げないなら尚更だし。
資料色々検索したら謎の食材テキサストースト…何故かアメリカ在住の日本人お気に入りのお得で美味しい食パンとなっていました
テキサストーストって本来は焼いたソールズベリーステーキ(冷凍ハンバーグの事ですが何故かファストフードのハンバーガーと区別する為、カナダ風の名称が定着してます。)に野菜.ピクルスにチーズをサンドした料理?です。テキサス州だけは元祖ハンバーガーと主張してます。まあ色々元祖公言する所が沢山有り過ぎてハンバーガーとホットドッグの生まれ故郷は誰も知りません。
実は元祖を名乗る店が潰れてベーカリーだけが経営再建。せめてブランド銘だけは残そう…という事情だそうです。
では。また次回。




