ネレトバの戦い 69年
2023年12/16〜12/18タブレット端末で執筆し脱稿 新規割込み投稿
ちなみにチトー元帥の登場シーンは最初から最後まで全く有りません 実はドイツ軍側もあまり乗り気じゃ無い戦いだったので相当微妙なポンコツ超大作なのかも?
【 資源と領土狙う7つの国に囲まれ国内には自治圏持ってる6つの共和国 5つの民族が4つの言語でカタコトのコミニュケーション取るけど、ロシア正教vsキリスト教カトリックvsイスラム教が異教徒滅ぼせと狂信者達を扇動するから他所の国に付け込まれたり異民族差別や憎悪による暗殺や無差別爆弾テロが後を絶たない…… こんな面倒臭さ極まるバルカン半島の火薬庫=ユーゴスラビア社会主義連邦共和国をどう治める? 其れは自由の意味を履き違えた宗教や民族主義を抑え付ける絶対的なカリスマリーダーと自主管理社会主義でどうにかするしか無い という訳で4ヶ国が寄って集って史実ベースに作り上げた苦難に満ちた建国神話 】
★何か宗教映画みたいだな? その通りだよこん畜生(涙) だけどカリスマ亡くなるまでにシステム構築出来ず近代国家に成り切れなかったからユーゴ内戦という地獄絵図が生まれたんだ とかく革命で世の中良くなった試しが無い
原題:BITKA NA NERETVI
ネレトバの戦い
ユーゴ/西ドイツ/アメリカ/イタリア共同製作 劇場公開作品
同年 日本 劇場公開
❖ユーゴ滅んだりと色々有ってDVD化されたのは2013年に入ってから
レンタルビデオ時代はどんな小さな個人経営の店にすら置いてあった
定番商品だったけどテーマが滅茶苦茶地味だったので(苦笑)
令和5年12月16日 昼前まで扇風機必須だった此処沖縄も午後から季節風と雨が吹付け気温が急速に低下中 とは言え実は17度だから窓さえ閉めてりゃそこまで寒いって訳でも無いのですが明日は更に6度ぐらいは気温下がるとかでホームセンターで宣伝してた安くて軽く暖かい毛布買うかどうか考え中 外の猫共用には私だけでなく家人が用意したダンボールハウスや古着転用したシェルター準備してるので冬場でも滅多に10度以下にはならない環境下では充分かと…… 本当に無理なら奴等窓抉じ開けてでも中に入って来るしな あと雄猫1匹が例によって♀の尻追い掛けかれこれ1週間近く家出中(汗) 集落でもあちらこちらに出没し皆家の猫だと知ってるからトラブルに巻き込まれた訳じゃ無いだろうけど 帰り待ち侘びる家のキジトラ♀が滅茶苦茶不機嫌モードで面倒臭い とにかくさっさと帰って来いと祈りつつ本作の紹介に
こんな映画が有るよと私が初めて知ったのは荻昌弘さんが司会務めてた頃の月曜ロードショー 以前に紹介しこの間もBS12で放映してた"ナバロンの嵐"の前振りで ほぼ同じ頃、お年玉はたいて買った文庫本サイズのプラモ大図鑑のオマケページに"戦略大作戦"や"バルジ大作戦"と一緒に珍しい第二次世界大戦中の小型イタリア戦車とかドイツ戦車風に改造されたソ連製のT34戦車が出るよと紹介されてたのがこの作品 とは言え何故か沖縄ではテレビ放映の機会が無く(調べてみたら日本復帰前の1973年にTBSの月曜ロードショーで2回に分け放映/1978年にテレビ朝日の日曜ロードショーでも一挙放映したらしいが沖縄では1995年にQAB=琉球朝日放送が地上波デジタルで開局するまで番組の大半はオミットか土日深夜の穴埋め放映だった) レンタル料が安くても二泊三日で500円だったビデオ時代に何処の店行っても置いて有ったけど エロ要素皆無、舞台は聞いた事ないバルカン半島、知ってる俳優は顔面インパクト強いユル・ブリンナーだけだと流石に手が出ない(苦笑)
ユーゴスラビアの滅茶苦茶入り組んだ第二次世界大戦における状況学んだのは 私がリーマン時代に勃発した陰惨なユーゴスラビア内戦の様々なニュースとこのサイトで映画ネタにこんな雑文書き始めてからの事 何れ再度DVDレンタルして原稿手直しする積りなオリジナルバージョンの上映時間が5時間オーバー(なお本来のフィルムはその3倍だったらしい DVD版は2時間半)"アンダーグラウンド"のギャグや小ネタ調べなければ全く興味持たなかったろうなとなるそんな作品 とは言え当事者なユーゴスラビアに加えアメリカ筆頭に4ヶ国が共同製作に関わってますので撮影に動員された人数も戦車を始め軍用車両の桁もとんでも無い規模が売りの作品です ひとりひとりの出演者達の演技がパノラマサイズで一望出来る平原埋め尽くす程の避難民の群れなんて今ではCG使っても結構難しいかも
【 実はドイツのみならず敵対する連合国軍側も正直関わる気無かった第1次世界大戦の勃発地=バルカン半島の其れは前の大戦における遺恨兼ねた殺し合い 当初はフランス軍による政権保護⇒クーデター政権がイギリス軍派遣要請し⇒掌返して枢軸国側に付いた王党派 セルビア人皆殺しにして領土躍進狙ってたクロアチア人の親ナチ派民兵ウスタシャ どさくさ紛れに前の大戦でボロ負けして分捕られた領土取り返す積りでまんまと民族紛争の泥沼に嵌ったイタリアはともかく セルビア人虐殺止めるため要らない戦争に巻き込まれたナチス・ドイツは端から全くやる気無かったんだけどね 】
★分かった所で思わずお前等なんで仲良く出来ないのと頭抱えたくなるややこしさは変わらないけどね
まずは当時の観客には周知の事実だったが故に省略された前振りから始めよう 第1次世界大戦で枢軸国側の帝政ドイツとオーストリア=ハンガリー帝国に連合国軍側で唯一なぜかイタリア王国が敗戦国となったことが原因で誕生したユーゴスラビア王国 異民族は皆殺しだと気狂いモードな5つ民族に其々異教徒絶滅や奴隷化を認める唯一無二の神様を信仰してる3つの宗教、此れにソ連が持ち込んだ共産主義や無政府主義者まで闊歩し誘拐や暗殺に爆弾テロが状態化していた王国は枢軸国側に進駐軍の派遣保護を求めた直後に軍部クーデターにより崩壊 今度は連合国軍側に兵力派遣を求めた事で周辺国に露骨に喧嘩売ってしまう 1941年4月17日、ドイツ/イタリア/ブルガリア/ハンガリー軍総員70万の総攻撃により兵力85万を揃えていたものの内通者多数な軍事政権は僅か10日間で敢え無く崩壊
王国はドイツ/ブルガリア/ハンガリー/アルバニア(イタリア傀儡)により分割統治される事になったが 復権狙う王党派チェトニクにマケドニアのテロ組織そしてクロアチアのファシズム=ウスタシャによる民族間の陰惨な絶滅紛争が始まり とどめを刺す勢力と成り得るのが1942年12月までに地下資源豊富なボスニアの山岳地帯とクロアチア西部を掌握し、しかも連合国軍から圧倒的な武器や弾薬支援を貰ったヨシップ・ブロズ・チトー率いる共産党パルチザンの大躍進 保護国となったセルビアに領土分捕られたウスタシャに泣き付かれた形でドイツ&イタリア軍は総勢15万の大兵力に機甲師団や航空戦力を動員 民間人協力者を巻き込み抵抗続ける推定2万のパルチザン兵力を潰すため1943年1月から3月までの包囲戦を始める ぶっちゃけるとソ連軍が南下する前に何とか終わらせないと何もかも滅茶苦茶になるなんて世知がない理由からでもある 枢軸国側サイドは同時進行で行われていたスターリングラード制圧作戦で逆に包囲された第6軍+多国籍軍救援に少しでも戦力必要だったのだけど 本当に無駄な作戦だったとしか書きようが無い
という訳で映画本編オープニングのナレーションと字幕は思いっ切り史実ガン無視したデタラメなのでさらっと流します(笑)
馬を運搬手段に使い軍装は精々帽子や武器程度の為、砲兵隊以外は山賊にしか見えないパルチザンは山道を走破し 彼等と対峙するドイツ軍は大量の戦車や装甲兵員輸送車運用するから車道しか使えない そして舞台はドイツ軍司令部へ 白作戦と名付けられたパルチザン殲滅作戦は相手が民兵だからという事で支配地域の女子供に老人まで皆殺しにせよと機甲師団率いるグランツァー大佐に厳命するローリング将軍 応援部隊として列車で到着したイタリア軍を率いるモレリ将軍も端からパルチザン狩りに乗り気で無いリヴァ大尉もテンションダダ下がり 其れはこれまでもドイツ軍や黒服姿のウスタシャ軍が戦闘よりも民間人の虐殺に力入れてるのを散々見てきたからでもある
場面は代わりとある街を王党派支配地域から解放したパルチザンの姿 家族に送るため3人並んで記念写真を撮るノバク隊長とイバンに女兵士のダニカ 軍楽隊が勝利を祝い歌い踊る人々の姿 病院では多くの負傷者やPTSDにより精神錯乱状態のボスコ等の面倒見てるマリア看護婦長やナダ看護婦達が忙しく駆け回る 1943年1月20日、ドイツ/イタリア/ウスタシャ軍15万人と戦車数十台に爆撃機200機を動員しての攻撃が始まった 爆撃により街は大混乱となり押し寄せるドイツ軍とイタリア軍の戦車相手にミケーレ大尉とマルチン中尉が率いる砲兵隊が奮闘するものの多勢に無勢で到底防ぎきれるものじゃない 2月25日、パルチザン部隊は病院が有る街を放棄 敵は端から捕虜を取る気皆無なためチトー元帥の判断によりボスニア・ヘルツェゴビナの山岳地帯への撤退行動に移る 数万を越える民間人や羊に牛馬を連れての数百キロに渡る逃避行 逃げ遅れドイツ軍やウスタシャ軍に捕まった人々はパルチザンと見做され絞首刑か銃殺刑 其れはわざわざバルカン半島までやっ来たイタリア軍にはあまりにも悲惨な光景だった
ウラド工兵中尉による仕掛け爆弾使った遅滞戦術 砲兵隊ではイバンの弟でダニカの婚約者だったブーコが戦死 他にも看護婦達と共に負傷兵運ぶバス運転手のヨルダンのエピソードとか うっかり共にチフスに感染し結局病に斃れるナダ看護婦とニコラ上等兵の悲恋 頑固者な文化人ナリニルの面倒任された新米兵士ジーカのコントめいた遣り取りとか色々小ネタ挟むけどパルチザン側も枢軸国軍側のドイツ軍以外の登場人物はほぼ軒並み死ぬのでばっさり省略(苦笑) 豆戦車を大量投入したイタリア軍は一度はパルチザン側に大損害与えるものの 折から始まった吹雪により補給途絶しノバク中尉率いる歩兵部隊とマルチン中尉の砲兵隊による支援 爆弾仕掛け大暴れするウラド工兵中尉の活躍でイタリア軍は敗走 リヴァ大尉は部下のマリオ共々パルチザン側に寝返ったものの役に立たないと放逐され捕虜となったモレリ将軍は拳銃手に自決 とは言えパルチザン側も櫛の歯欠ける様にバタバタ戦死
パルチザン追い掛けるドイツ軍側も航空戦力を除けばやっぱり燃料切れ等の補給途絶で攻撃は先細り どうにかネレトバ川西岸の谷間に避難民ごとパルチザンを包囲したものの温存していたウスタシャ軍は指揮官のデレク将軍筆頭に軒並み戦死 パルチザン側も砲兵隊を率いるミケーレ大尉が戦死してマルチン中尉が残存兵力率いることに チトー元帥からの不可解な命令によりウラド工兵中尉はネレトバ橋を爆破 背水の陣を引いたと勘違いしたドイツ軍は既に戦車を始め大半の重火器が枯渇してたのでローリング将軍の命令を無視する形で塹壕掘って防御態勢 だが其れはパルチザン側の欺瞞作戦だった ウラド工兵中尉等により廃材再利用しこっそり掛け直されたネレトバ橋を伝い避難民と負傷兵をボスニア・ヘルツェゴビナの山岳地帯へ逃がし 漸く戦場に現れた王党派の騎兵や歩兵部隊を罠に掛けるため囮となったのはジーカやヨルダンを補充兵として加えたノバク中尉率いる歩兵部隊 結局ノバク隊はみんな名誉の戦死 彼等を犠牲にストーレ参謀率いるパルチザン主力部隊はドリナ川西岸で仲間割れ始めた王党派を壊滅状態に追い込んだ パルチザン側で5体満足に生き残ったのはマルチン中尉とウラド工兵中尉にストーレ参謀率いる主力部隊のみ
枢軸国側の戦況報告によるとパルチザン側は兵力のほぼ半数の1万人と多くの民間人に重装備を失ったものの残る1万の兵力にはまんまと山岳地帯に逃げ込まれたという ラストは草原を覆い尽くす様に歩き続ける地平線の彼方まで続くパルチザン兵士や避難民の群れを迎え入れるかの様にそびえるディナル・アルプス山脈の豊かな樹々に覆われた山々に大草原に響き渡る民族音楽 まぁ2時間半を超える映画の大半のシーンが戦闘場面なので其れなりには楽しめるかなと
★チトー元帥を臨時政府首相とする"ユーゴスラビア民主連邦"の建国が連合国軍側主導で承認されたのは1943年11月29日 既にドイツ軍は人海戦術を駆使するソ連軍により崩壊寸前 民主連邦がやがて人民共和国に変わりユーゴスラビア全土を掌握したのは1945年5月 ソ連の傀儡政権となることを嫌ったチトー元帥は欧米に軍事&経済支援要請しソ連寄り或いは民族主義を主張する政敵を全て粛清 国名を新たにユーゴスラビア社会主義連邦共和国に変えたのは1946年になってから
★自主管理社会主義…… 実は日本もそのシステム上手く取り込んだ所はそこそこ生き残ってるけど要するに労働者と雇用経営者は立場違えど対等な関係で例え見習い工員だろうが自分の仕事に責任を持ちその対価として常識の範囲内の報酬や様々なサービスが享受出来るシステム 要するに働かざる者食うべからず ちなみに共産圏にはホームレスは存在しない事になっている 職務放棄した輩に待ち受けているのは国家反逆罪の容疑ととても怖い秘密警察の家庭訪問 とは言え経営者や労働者が相手に敬意持てなかったり学閥で権威付けしたり横領その他で腐ると割と簡単に崩壊するからユーゴスラビア内戦なんてモノが起きたと言える モラルは自分達で守る、何よりお天道様が見ているが通用するのは日本だけかも?




