腐蝕の構造 72年
2022年11/17〜11/18 タブレット端末にて執筆し脱稿 新規割り込み投稿
余談ですが腐食=食べ物や植物が腐り変形 腐蝕=金属製品の劣化や水等の液体が腐り変色する様 但し元々同じ意味なので書き間違えても語弊は無いそうな とは言え人々の繋がりや思いの歪み 組織の崩壊を意味する "ふしょく" は何方かな?
【 時の流れは残酷だ………… 人が生み出したモノは恋愛や未来への希望に世界を少しでも良くしたいと言う正義感や誰かの力になりたいと言う善意すらも欲望や悪意の前でやがて目的を見失い腐り果てて消えてゆく 読んでて思ったのが何がどうしてどんな人生歩んだら高々40歳手前のオジサンが厭世感に塗れたこんな陰鬱な物語を生み出せるのかという素朴な疑問 読んでる間は其れなりに楽しんだんだけど色々詰め込み過ぎてミステリー要素はかなりショボいです。 】
★こんな物語でも篠田三郎さんや松田優作さん 島田陽子さんに梶芽衣子さんが熱演したから視聴率其れなりに良かったそうだけどテレビドラマ版も人でなしな経営者が率いる大企業の独り勝ち 森村誠一作品だから仕方が無いのかね?
日本 ミステリー小説
森村誠一 著 毎日新聞社刊
以降 講談社NON NOVEL 双葉文庫 ハルキ文庫
角川文庫 ケイブンシャ文庫等でも出版
77年 毎日放送にてテレビドラマ化✕7話
DVDは多分上下巻 転売ヤーが色々やってるので以下略
令和4年11月17日 自分自身に降り掛かる運もトラブルも予測できないのでぶっちゃけ使い道に困る才能ですが 何か呼ばれた気がして借りて来た媒体に纏わる事件事故のニュース知らされ呆気に取られたり鳥肌立ったりする事が多いのは未来予知にあたるのかな 今回取り上げる作品は 飛行機同士の空中衝突事故と関係者にしてみればウラン燃料濃縮技術の謀略戦に見え犯罪捜査をミスリードさせる絡繰りが売りだったらしい ちなみに11月12日の朝、本作図書館で借りた直後スマホに飛び込んで来たニュースはテキサス州のエアショーで起きたB-17フォートレス爆撃機とP-63エアラコブラの空中衝突 犠牲者は搭乗員程度で収まったそうですが流石に核燃料関連のトラブルは聞きたくないな(苦笑)
かれこれ半世紀前に出版された小説なので 死語やら廃れた流行とか専門用語&業界用語に色々首傾げたりスマホで意味検索したりと1995年出版版でもそのギャップが色々チグハグな印象残す物語に成り果てたのは時代の流れ 21世紀の時勢に合わせ本作と大して出版時期は変わらないものの 表現変えたり読み仮名追加したりと細かい変更済ませた 野生の証明 はそこそこ読みやすくなってるから もし物語を楽しむために入手するなら新装版を探した方が無難なのかも知れません 登場人物の価値観とか考え方も平成生まれなお客様どころかギリギリ昭和生まれな私でもこれはちょっとな……とその時代錯誤加減にドン引き必至なキャラクターばかり テレビドラマ化された当時は深夜枠にも関わらず最初から最終話まで視聴率二桁代だったらしいのですが他の森村作品同様、今じゃ中々動画の閲覧すら困難伴う物語になりました
物語の転換点となる自衛隊機F-104JとYS-12型旅客機の空中衝突事故は本作出版の前の年、71年7月30日に起きた全日空機雫石衝突事故がベースになってますので色々騒がれたかな? 今じゃ日本のレーダーの位置情報貫制システムに民間航空機の高度位置に速度や便名まで把握するトランスポンダーなんて便利なモノが有りますが 半世紀前は未だ航空管制は半ば在日米軍任せ 軍用機のレーダー回避訓練の一環としてわざとニアミスする事例もチラホラ有り 同年6月6日にアメリカ合衆国国内で発生したヒューズ・エア・ウエスト706便と州空軍のF-4B戦闘機の其れも互いの位置が把握出来なかった事による偶然の絡んだ事故ということになってますが…… まあ推測混じりな下衆の勘ぐりでしか有りませんので此処では語りません 勿論民間機を囮や盾にする形での近隣諸国侵入はれっきとした航空法違反です
【 誰かに愛されたいと思うなら、ただ幸せになりたいと思うなら受け身になってはいけないのだ なまじ其れなりの美貌と育ちの良さが仇となり何もその手に残らなかったこの物語のヒロイン 雨村久美子(旧性間島)を演じたのは当時その美貌と演技力でテレビドラマのみならず海外共同製作の映画にまで引っ張り出された島田陽子さん 狙った訳じゃ無いけど彼女の人生はかなりこの物語の受け身な主人公と被ります とは言え全盛期の彼女が美人だったと知ったのは半世紀前のポートレートや映画を見る機会得てからの事 私が高校生だった頃は既にオバサンだったし 】
★交通標識や山岳地帯の道標の向きを変えたり撤去したり 落書きするのは明らかに殺人行為です どうも特亜の観光客がちょくちょくやらかしてるそうですがね だから私はバンクシーみたいな似非芸術家を忌み嫌いますし軽蔑します
昭和4☓年9月1☓日 北アルプス後立山連峰、不帰近郊で発生した遭難事故 何者かの手で向きを変えられた道標により登山道を外れ大雨と霙により兄 名取一郎は低体温症で死亡 同じく死に掛けていた妹 名取冬子を助け出したのは単なる羨みから道標を捻じ曲げた土器屋産業の御曹子 土器屋貞彦とその悪戯に気付きながらも大した事になるまいと傍観していた物理科学者 雨村征男 高校時代から10年続く腐れ縁で2人の趣味は山登り 水と油程に噛み合わないが故に其れなりに仲良くやってきた男達は共に助け出した冬子に魅せられる 実は血の繋がらない兄妹の目的が北アルプスでの心中だったと判明したのは何もかも手遅れとなってから
数ヶ月の交際期間を経て土器屋と冬子は婚姻 拭いきれない罪悪感と自身の子らを政争の道具扱いする名取家当主 龍太郎に嫌悪感すら抱いた雨村は敢えて身を引き 何処となく冬子の面影を彷彿させる研究所の同僚 間島久美子にプロポーズ 互いに家庭を持ち、其れなりに妻との関係も仕事も順調な筈の彼等の運命が歪むのは僅か数ヶ月後 欧米に頼らない画期的なウラン燃料濃縮技術を生み出した雨村に目を付けたのは 右肩上がりの電力需要の増加で原子力発電事業に目を付けた大手総合商社と やがて政争の具となるであろう核兵器開発に手を伸ばす防衛産業等の有象無象 勿論新潟県に原子力発電所の建設計画に関わる土器屋も結婚以降疎遠気味だった雨村の前に現れる
雨村をスカウトするか他のライバル企業に取られるぐらいなら処分しろ 大手総合商社新和グループに雇われ長年汚れ仕事に携わる松尾俊介も動き出した 数ヶ月前、癇に障るからと登山コースを間違えた名取兄妹を敢えて死地に誘導したもう1人の人物でもある松尾は最近夫婦仲が険悪気味な冬子に接近 北アルプスの遭難事故に夫が関与していた事実を知らされ更に密かに訪問してきた雨村からの謝罪を受け入れた冬子は松尾と手を組み何もかも滅茶苦茶にする事を誓う
自身が生み出したウラン濃縮技術を巡る周囲の暗闘に巻き込まれ情緒不安定気味な雨村を誘惑し不倫関係に 名古屋へ向かう旅客機に乗る風を装い列車で移動 旅館で冬子との逢瀬に溺れる雨村を絶望に追い込んだのは自身の乗る筈だった旅客機YS-11型機が落雷により操縦不能となった航空自衛隊F-104J戦闘機と空中衝突 数十人の乗客乗員は機体諸共文字通りバラバラとなり北アルプス登山道に撒き散らされた 数ヶ月に渡る遺体捜索が行われ行方不明者として処理されたのは雨村とあと1人 操縦不能となった機体からベイルアウトし満身創痍ながら生き残ったのは戦闘機パイロットの町田竜一2尉のみ 僅か半年を待たず未亡人となった久美子に付き纏い亡き夫の研究成果を渡せと迫る有象無象 軍事利用を恐れた雨村は研究所のデータや資料を全て廃棄していた
「 もし命を狙われる事態になったら何もかも捨て共に行方を眩まそう 」 そう約束したのに何故…… やはり夫は死んだのかそれとも何者かに殺されたのか
久美子が夫の浮気相手の可能性が浮かんだ冬子を訪ねた直後、彼女の夫はホテルの廊下で何者かに撃たれ殺される それは土器屋産業に見切りを付け新和グループと縁石関係を結ぼうとした名取龍太郎の依頼受け動いた新和グループの松尾 近々退職予定の自衛官 中橋正文2等空佐 土器屋の愛人で中橋に鞍替えしたハニートラップ要員の三橋さゆりによる暗殺だったのだが 様々な不手際が重なり冤罪被せる予定だった自衛官 坂本則夫空尉が遺体発見者となる密室殺人となり 捜査にあたる警察官等を大混乱に陥れた どうしても諦め切れず遺体捜索が終了した北アルプスに足繁く通う久美子が何者かに突き落されそうになった時助けてくれたのは大町信一と名乗る悲しげな眼差しを持つ男 その正体は罪悪感から空自を辞職 偶発的な事故とは言え未だ行方不明のままな2人の遺体を探し続けていた町田2尉
様々なトラブルを共に乗り越え互いに思い合う関係…… 但し彼女の夫を殺したかも知れないと悔やむ大町に引け目有るからあくまでもプラトニックなソレ 他の登場人物同様、名取龍太郎に嫌悪感を抱くのみならず自身の身体苛む末期癌に追い詰められる松尾と中橋&さゆりの仲間割れ 自分のせいで数十人が殺され妻の命が脅かされている 冬子にまんまとそう思い込まされた雨村は 共に黒部湖のほとりで薬物をあおるが突如豹変した冬子により溺れ死ぬ 遺体は松尾も手伝う形で黒部湖の底深く沈められた 密室殺人と思われた土器屋暗殺のトリックが判明し新和グループに損切りされる形で中橋とさゆりが捕まり松尾と冬子は北アルプスへ心中目的の山登り 雨村はまだ生きていて此処に潜伏している可能性が有る 偽情報に惑わされた大町と久美子も同じタイミングで北アルプスへ
逃走中の松尾と冬子を追って来た白木刑事が脚を負傷 動けない刑事を久美子に託し2人を追い不帰の崖に独り向かう大町は雨村がどうなったのか問い質そうとするが 冬子と共に睡眠薬を煽り夢うつつ状態の松尾に撃たれ瀕死の重傷 うっかり書き忘れてたけど撃った反動で崖から落ち松尾も黒部湖の底へ 折から降り始めた霙混じりの豪雨の中で低体温症に陥った冬子を庇った大町は救援隊到着まで命を賭して彼女を守り続けたが遂に事切れる 捜査官達に追い詰められた中橋とさゆりの自白 松尾と共謀し夫土器屋殺害に関与したと自供し警察病院に収容された冬子の手紙が久美子に届き明らかとなる雨村殺害の顛末 彼女は自分の命を救って代わりに死ぬ形となった大町の事なんてどうでも良かったらしい 大企業と政権中央に返り咲きを狙う名取龍太郎のゴタゴタに巻き込まれる形で2人の愛する男を奪われた久美子は独り北アルプスの不帰へ消える
久美子が行方不明となり数ヶ月後、故雨村があれ程軍事転用を恐れたウラン燃料濃縮技術は彼の後継者となった科学者により更なる改良案が発見され学会に報告された。 関係者が軒並み物故した事により土器屋産業を吸収合併し莫大な利益を上げた新和グループや 2人の子供を使い棄て大企業の後押し受け中央に返り咲いた名取龍太郎には未だ司直の手は届かない
このドラマでタッグ組んだ松田優作さんと森村誠一せんせを気に入った角川春樹により製作されたのが人間の証明となります。
2023年7月24日 森村誠一 先生 肺炎により永眠 享年90歳 謹んてご冥福を




