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ガントレット 77年

2014年3/10ガラケー投稿 2019年3/2タブレット端末にて全面改稿開始〜3/7終了

【 当時マカロニ・ウェスタンで抜け目が無い名無しのガンマンを演じたりダーティハリーシリーズの喧嘩早い野良犬みたいな刑事のイメージが強いクリント・イーストウッドが訳有りなアル中駄目刑事を演じ意外な事に最後の最後まで1人も撃たない……つーか撃たれっぱなし殴られっぱなしな異色作でした。 テレビ放映してた正月映画のメイキングシーン撮影した番組で何故かムチムチでピチピチなアメリカンポリス・スタイルで喜々として作品紹介する水野晴郎(えいがひようろんか)の強烈な怖さ(笑)がトラウマだったり、無数の銃撃で粉砕される一軒屋とかクライマックスの改造装甲バスvsフェニックス警官隊の銃撃シーンが未だに好きな作品です。 】


★まあアレです。そもそも(はるをちゃん)の趣味趣向を当時の私が理解出来てりゃ世話は無いと思いますが…本能的に恐怖を感じたんだよなぁ。


☆90年代中頃のCDサントラブームの際、買い込んだ今作のサントラとダーティハリーのオムニバスアルバムにマカロニウエスタン音楽集は宝物です。ラロ・シフリンの曲って好きなのよ。


原題:THE GUNTLET

直訳すると“手甲”ですが“窮地に追い込まれる”とか“リンチ”の意味も有ります。

今作の場合は左右に並んで棒や鞭で殴りつけるローマ時代のリンチスタイル。上官の命令に背いた兵士を制裁するやり方で舞台が70年代のアメリカだから銃に変わった訳です……まあ普通ソレやらかしたら死にますけどね。

アメリカ劇場公開作品.

同年度日本公開.



 ネバダでの無数の銃撃による家屋倒壊シーンやフェニックス市内を封鎖し行われた改造装甲バスを狙った警官隊による集団制裁(ガントレット)と言えるアレを見て問答無用の銃撃映像に“凄え”と感激したのですが 保育園児が自力で映画館行ったりお金払える筈もなく実際に作品を見たのはそれから数年後の“ゴールデン洋画劇場”で御座います。 もっとも当時精々小学生な子供に40男の渋い遣り取りを理解出来る訳が有りません。 其れなりに歳を重ねシネマスコープサイズの画面で物語そのものを楽しんだのは今から5年前 偶々100円レンタルコーナーでソレを見かけたのが最初です。 とは言えあの頃は翌日返却、そもそも人様に読んで貰える様な構成を考えず物語そのものを掘り下げる事もせず毎日更新しないと誰も読まないと焦りながら支離滅裂な感想書き連ねてました まあ案の定殆ど見向きもされ無かった訳です。


アリゾナ警察と検察庁に地元マフィア(と言う事になってる(笑))を丸ごと敵に回し圧倒的物量に張り倒されながらもありとあらゆる手段用いて生き残りを図る主人公ベン・ショックリーの生存能力と実は大学卒業してて主人公より遥かに頭が良いのだけれど何故か売春婦やってる まあダメリカの奨学金制度の闇金より悪質な返済利率と取り立ての恐ろしさ、例えアメリカで三流でも下手な日本の大学だったらお高い私立5校通って悠々自適な生活が出来る学費の可笑しさ加減を知らなかったってのも有りますが なんかトカゲっぽいヒロイン=ガス・マリーの逆切れ描写が面白かったという認識しか無く、それぞれの立場を演じる登場人物達にどういう背景が有って何故そうなったのかなんて色々考える様になったのは此処で様々な創作物で映し出されたキャラクターや物語の背景を掘り下げる様になってからだと思います。


丁度この頃に“自由と平等の国=アメリカ”って極彩色のメッキが剥がれ落ちてきた時代でも有ったのですよね。 1955年11月から1975年4月末まで続いたベトナム戦争はサイゴン陥落で幕を閉じ、カンボジアやラオスのソレも勿論ジリ貧状態、退役し故郷に戻って来た平均年齢19歳の彼等(ジョン・ランボーたち)が目の当たりにしたのはガソリン価格の暴騰を原因とした先の見えない経済不況と黒人や先住民とそのシンパが巻き起こす暴力伴った公民権運動や戦争に行く必要が無いボンボン達⇒後のパヨクによるベトナム反戦運動で雰囲気最悪なギスギスした祖国の惨めな姿。 皮肉にも南北戦争以降は富の偏りがリセットされていない其処(ホームランド)は、金持ちがより金持ちに貧乏人は其れこそ“アメリカン・ドリームの奇跡”でも無い限り何処までも泥沼を這いずり回るトレーラーハウス生活……そんな世界と成り果てた訳ですから、腐った上層部を殴り倒すとか疫病やゾンビに襲われ破滅する“ざまあ”がウケた訳です。


例え一流大学卒業しようが公務員試験突破と警察学校卒業が大前提な日本の警察(ソレ)と違って刑事になるには其れなりの長い平警官生活+優秀さが認められないとスカウトされない狭き門。高校もろくすっぽ行ってなかった主人公ベン・ショックリーがどの様な形で刑事となったのか……後は登り詰めるだけの人生の途中で何故酒に溺れ自暴自棄な不良刑事に落ちぶれたのか?ヒロインのガス・マリーが何故両親の庇護を受けない特殊な性癖持つ変態専門の売春婦に身を持ち崩したのか?敢えてその辺りの過去描写を取っ払いアクション中心のきっかり1時間半の物語に切り取った事で歳の離れたデコボコカップルとなった彼等のその後の人生も色々想像させてしまう、そんな物語なんだと思います。


つー訳で5年振りに再び作品見直しての全面改稿しまくったあらすじに入ります。細かな描写や会話シーンから印象受けたイメージで物語を進めてますので事実誤認も有り得ます。指摘頂ければ修正致しますので遠慮なくどうぞ。



【 海の無い内陸部の砂漠地帯。月に4日以上も雨が降らない乾いた州都アリゾナ州フェニックス=不死鳥(ひびょうのトリ)の住まう場所という由来は伊達じゃなく、昼間は年間通して30度を超える猛暑が遅いかかり夜はマイナス10度まで冷え込む極端な大都市。黄昏れ時の此処は砂漠のソレを写し取るかの様に…というか燃えているかの様な赤い空が一面に拡がるそんな土地。地下水汲み上げすぎて遂には枯渇し、綿花栽培が衰退しついでに銅鉱山も枯れ果てた70年代末期のアリゾナは特に州を潤す程の大規模な産業が有る訳でもなく大戦中は日系人や枢軸国軍捕虜の収容所が置かれた合衆国最後の加盟州でしか有りませんでした。 】


 夜明け前の閉店時間を迎えた飲み屋を這い出て来た挙げ句、酔っ払い運転でフェニックス市警察に出勤して来た御年47歳のアル中男“ベン・ショックリー”はこう見えても勤続歴15年の市内勤務(そとまわり)専門の平刑事だ。“休暇という名の左遷人事”で身嗜みもろくすっぽ整えず、元相棒で遅い結婚と第1子誕生を契機に内勤となった“メイナード・ジョセフリン巡査部長”に色々世話をやかれると覚悟しながら早朝の警察署を訪れたのは新任の警察署長ブレーク・ロック警視から直々に名指しで呼び出されたからだった。元々素行が悪い1匹オオカミみたいな男で配置転換後も未だ新しい相棒も決まらずに暇を持て余すベンに与えられた臨時の仕事…それはとある刑事裁判において証人となり得る隣のネバダ州ラスベガス警察の留置場にブチ込まれたケチな犯罪者の護送任務。


留置場(ゲート)から1歩も出るもんか(泣)もし此処を出たら私は殺されるんだ‼』


勾留されてから食事も殆ど取らずコーヒーにタバコの吸殻仕込みワザと体調崩して寝込み続ける困った野郎“ガス・マリー(勿論源氏名)”は意外な事に女性だった。ベガスで1晩1000ドルもする特殊性癖(ロリコン)専門の売春婦で聞くに耐えない悪口雑言を喚き散らす貧弱な身体付きの餓鬼(マリー)に閉口した主人公(ベン)は、引き渡し手続きが終了するまで向かいのレストランで時間を潰す事になったのだが料理や飲み物を運ぶ能力よりも口が達者なウェイトレスとのコメディめいた遣り取りで余計に疲れ果てる事になる。


警察署へ向かう途中世話になったタクシーの運ちゃんと言い留置場管理する受付のチンピラみたいな兄ちゃんと言いネバダの人間はどいつもこいつも絶えず何か気の利いた会話をキャッチボールしないと呼吸困難で死ぬのか?そんな間抜けな感傷を抱きつつ事件や災害すらも(ギャンブル)けの対象にするこの街の名物=壁に貼り出された非合法物の賭け倍率のメモを酒を片手に現実逃避するかの様に読み耽る主人公の目に付いたのは、其処に不似合いな合法競馬(サンタアニータ)の第10レース“つれないマリー(マリー・ノーショア)もう直ぐ疾走(スタート)”とだけ記され65倍の利率が記された不可解なメモだった。


 サンタアニータ競馬場の第10レースは存在しないし、そんなマヌケな名前の競走馬も実在しない……上から目線で思わせぶりな態度を見せながらもあからさまに怯えるマリーも証人の移送が成否を問う賭けの対象になっているのも気に食わない…なおも抵抗し暴れるキグルイ女を救急車に乗せ移送用に手配したレンタカー=74年版のプリマスに途中で乗り換える…ラスベガス警察内部のスパイを警戒して念の為行われた囮作戦はレンタカーに仕掛けられた爆弾といきなり銃を乱射してきた覆面パトカーの襲撃によりカオスめいた展開を見せ始める。


訳有りで人を撃てない主人公の代わりにマリーに撃たせたら覆面パトカーは呆気なく大破。地元警察はアテにならないと売春宿に立て籠もりブレーク署長と連絡取ったら何故か駆け付けて来たのはラスベガス警察&SWATチーム…トイレに立て籠もるヒステリー女を引き摺り出す為、ドアノブを銃で破壊したら人質を撃ったと勘違いした警官隊が一斉射撃(泣)トイレに隠された避難トンネル使い脱出に成功しなければ建物ごと蜂の巣になる所だったと激怒し偶々ドライブインで呑気に食事してるビル・マッキーニ巡査をパトカーごと拉致して州境へ向かうも出迎えに現れたのは地元マフィアの団体と問答無用のマシンガンによる一斉射撃。


★長くなるから省略しましたが主人公がマリーに対する評価を、口先三寸の下品な餓鬼⇒ポリシー持った意外と出来る奴に変わるシーンについてだけは本編でどうぞ…名場面なんだけど説明し辛い…まだまだ己が未熟さを痛感します。


此処までやられて漸く主人公はブレーク署長に疑いを抱くのだが全ては後の祭り。マフィア組織と警察上層部の爛れた関係を知るヒモ付き売春婦=マリーの口を封じる為にラスベガス&フェニックス市警察により警官殺しの冤罪を押し付けられた二人は問答無用のお尋ね者にされていた。映画では敢えてマフィアという名称になってますが“実際は銀行の私兵”70年代末期ラスベガス建設に貢献したマフィア幹部達を暗殺し経営権を乗っ取ったのはメガ・バンクと呼ばれる銀行屋達でした…彼等に雇われたのは専ら南米系の密入国者や元軍人達。呆気なく返り討ちに合ったり妙に詰めが甘いのは人数と装備だけは立派な素人集団だからです。なおニューヨーク近郊等東部沿岸やシカゴ&マイアミに拠点移したマフィアの代わりに入り込んで来たのは、南米や特亜に東欧系のキチ○イ集団…西海岸の治安はベガスを除き史上最悪と成り果てます。


 パトカー破壊された二人はグランドキャニオンの洞窟で野宿。翌朝ノコノコ現れた暴走族(ヘルス・エンジェルス)を銃とハッタリで脅しつけバイクを強奪、近郊の村で唯一の味方ジョセフリン巡査部長と連絡を取るが其処に現れたのは狙撃手を乗せたマフィアの武装ヘリ…ちなみにフランス製のSA341ガゼル。当時売込み中の最新鋭機…グランドキャニオンのトンネルや河川敷を逃げ回る主人公達を追い詰めるがアメリカの高圧線は一寸でも触れたら感電死必至の骨董品。まんまと引っ掛かりヘリは大爆発となったがラジエーターやられたバイクも走行不能に……だが近くにはフェニックス近郊の街まで行ける貨物列車(アムトラック)の路線が有った。とは言え其処で偶々ヘルスエンジェルスと再会した二人は恨み骨髄な彼等と大乱闘。自業自得…と言うより暴走族には更なる受難(笑)を与えた後ボロボロになりながらモーテルへ辿り着く。


フェニックス市内へ向かう長距離バスが出るのは午後3時、今回の逃避行ではあまりにも人間が死に過ぎた。例え裁判に出廷しても市警上層部がマフィアとグルなら間違い無く彼女(マリー)の命は奪われるだろうし自身の運命もロクな事にはならないだろう……だけどあの野郎にはせめて致命的なダメージ与えてやる。バスを乗っ取り警察署へ強引に乗り込む覚悟を決めた主人公は自身が囮になるからお前は国外(カナダ)へ逃げろと説得するが、マリーはおもむろに実家へ電話を掛け主人公と籍を入れると報告…次いでマンハントの結果を巡って未だ賭け率が跳ね上がり続けるラスベガスのあのレストランに電話し自分達の勝利に銀行に貯金していた有り金全てをベットした。


☆其れなりに裕福な筈の両親の元で育ったマリー(仮名)売春婦である事を隠しロサンゼルスで秘書をやっている事になってます(笑)ちなみに彼女の歳は……まあ(ベットする)けに値すると判断した訳です。


最早此処まで来たら一蓮托生だ。ほぼ満員の観光客を乗せ定刻通り到着した大陸横断バスを銃を片手にバスジャックした二人は好奇心旺盛な爺ちゃん婆ちゃんや運転手が見守る中、運転席の周囲に鉄板を溶接し堂々とフェニックス市の裁判所に乗り込むと宣言。何とか二人を助け出そうとフェイダー・スピール検事補に接触するお人好しのジョセフリン巡査部長だったがスピール検事補はブレーク署長同様マフィアと繋がっていた。友人を失い足を撃たれた主人公とヒロインは再びバスに乗り込み、何も知らされぬまま警官殺しの犯人を撃てと命令された数百人の警官隊による滅茶苦茶な銃撃を耐え抜いたバスは遂に目的地へ辿り着く……醜い仲間割れの末、大勢の警官隊が見守る中主人公を撃ったブレーク署長を射殺したのはマリー…夕闇が迫る中遂に生き残った二人はゆっくりと裁判所へ入ってゆく。





2020年8/20追記:ちなみにこの映画当初はスティーブン・マックイーンが主演務める予定だったそうですが ブリットのイメージ崩したくないからとキャンセルしたそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 名作じゃないですか! 今度借ります(笑) 「同名ゲーム」しか知りませんでした(笑) [気になる点] あの国の大学の<入学は簡単><卒業は難しい>の都市伝説は<奨学金返済>から産まれたのかも…
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