海の回転木馬 86年
【海に消える命が行き着く先は?似た内容の作品は結構有りますが、海の遊園地が出てくる小説はこれぐらいですね】
回転木馬と書いて「メリーゴーランド」と読みます。
…と文章を書き始めた瞬間、病院の待合室にあるテレビに“らきすた”で乙女の様にキャピキャピはしゃぐ高校時代の友人の姿がアップで映りました。
……鉄パイプってここら辺りで売ってましたっけ?
※3時間経過。
何とか立ち直ったんで再開しますね。
最近のテレビは大画面&画質が良いからこういう時にモロにダメージが来ますな。
本人がブログでさり気なくチクッてましたが、イラストといい(菊池桃子の暗黒アイドル映画)物語といい(黄泉帰り)色々パクられる事が多い小林弘利作品の初期の代表作と書いても良い物語です。
海からやって来た謎の美少女。
街で起こる怪奇現象。
巨大海亀が襲い掛かると書いたらDVDもビデオ化も未定な伝説の日本映画になりますが…まあ謂わぬが華ですかね。
ちなみにこっちは単なる巨大クジラです。
ゾーンダイクさん家のミサイルや魚雷発射する空母機能の付いたムスカな生物でも有りませんから安心下さい。
※アメリカでテレビ放映の度に記録的な視聴率を出してる怪獣映画があるんですよ。登場人物は全員アメリカ人で特撮だけ円谷プロな作品です。
ではストーリーの説明を。
例によって現物は、自宅毎白アリに喰われて現存しませんので
読んだ時の記憶と、かなりの思い出補正。
多少の悪ふざけが入ります。
決して原作通りではございませんので、ご注意下さいませ。
【始まりは季節外れな台風一過の翌朝。海岸沿いに見慣れない宝石サンゴの様な部品が散乱。近海では極秘作戦中の原子力潜水艦がパニクるシーンから始まります。】
深海での超常現象と書くとJキャメロンのアビスみたいですが今回宇宙人さん達の出番は有りません。
ちなみに潜水艦の出番もプロローグだけです(笑)
出番があったらまんま違う作品になりますしこの小説はバイオレンスシーン有りません。
深海で任務についている潜水艦乗りの間で公然の秘密になっている現象が有りました。
もしカメラでそれを撮影したなら、ディズニーのエレクトリカルパレードの様な現実離れした光景です。
多数のクジラやイルカ達が奏でる唄をバックにゆっくりと廻る煌びやかな遊具達。
唄を聴いた者、その光景を偶然見てしまった者が何故か語ろうとしないそれは“海のカーニバル”と呼ばれていました。
海のカーニバルを目撃した人物には共通点があります。
それは大切な家族を海で失った事がある人々です。
物語の舞台は神戸のある海浜公園に変わります。
泳ぎは果てしなく下手なのに水が好き、ひたすら水に浮いている事が大好きな水泳部の2大不思議生物で今回のヒロイン「奈津美」の趣味は早朝の海岸沿いの散歩です。
季節外れの台風は何とか被害を出さずに通り過ぎ、海岸に流されて来た珍しい貝やサンゴのかけら流木等を見物していた彼女は不思議な物を見つけてしまいます。
海岸沿いに散乱する宝石サンゴの様な部品と水泳部のもう1人の不思議生物「章一」の姿です。
水泳部に所属するのに水が怖い。海なんて見た日にはその場で気絶しかねない彼は「怖く無いコワくねーぞ(ガクブル状態)」と目を閉じたまま海浜公園でリハビリしていました。
正体不明の漂着物は結局水泳部顧問の樹村を通し調査を依頼。
ところがそれは偶々街にやってきた怪しい宝石ブローカーの注目を浴びてしまいます。
※銃や荒事専門のチンピラ、専用ボート迄所有する今回の悪役ですが勿論名前なんて覚えてる筈は有りません(笑)
もしリメイクするなら間違いなく数百隻の漁船で襲撃する中国の「海賊もどき」でしょうね。
という訳で仮称「もどき」で話進めます。
その翌朝街では信じられない光景が繰り広げられていました。
水難事故やかつて街を襲った津波で亡くなって2度と戻らない筈の子供達が、数年~数十年ぶりに当時の姿のままで家族の前に現れたのです。
彼等の願いは只1つ、次の転生の時まで彼等の心を慰めてくれる存在。
台風で部品が流されたメリーゴーランドの部品回収のお願いでした。
街の住民達と子供達の混成チーム。
海上にはベテランの漁師達と巨大なクジラ達の姿が…。
そして当事者の1人「章一」のもとにもある少女が訪れました。
ある事故が原因で彼以外の家族は街を離れ別の場所に暮らしています。
随分前に空き家となり電車から眺める風景の一部となった家の前で呼び鈴を鳴らす少女。
幼い頃共に流され行方不明になった妹「舞」の姿がそこに有りました。
物語はここから水泳部の不思議生物コンビ+幽霊のトリオと“宝石サンゴの様な部品”を独占したい「もどき」達の争奪戦。
金と権力で押さえ込んでいた「もどき」の手駒達の見事な反撃戦。
小学生~中学生の女の子向けなソフトな展開ではありますが
ボコボコにされザマァな展開を迎えた「もどき達」を尻目に再起動し海上で回りだす回転木馬に喜びの声を上げ戻る子供達。
嵐の海に突き落とされたヒロインを救う為、恐怖を克服して泳ぎ出す「章一」の姿が有りました。
…とまあこんなストーリーです。
小林弘利作品の内容紹介を書く為に久しぶりに古本屋巡りやりましたが結局未だに見つけてません。
やっぱりAmazonさんに注文するしかないですかね?
次回は、今唯一手元にある「星空の向こうの国」の話を書いて一旦小林弘利作品シリーズを締めようと思います。




