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シャイアン 64年

2022年11/3〜11/4 タブレット端末にて執筆し脱稿 新規割り込み投稿

白人視点と批判する評論家も多い作品ですが ジョン・フォード監督って旧約聖書になぞらえた物語を描くことに拘る人だと思います。

【 どうせ皆殺しにされるなら少しでも故郷の近くを目指そう 1900kmもの距離を軍に囲まれながら歩いて強制移住=涙の旅路を生き延びたものの安住の地と押し込まれたオクラホマ準州の居留地は開拓民すらも居付かない不毛の台地 最初は数万⇒飢えと疫病蔓延で1000名から僅か286名にまで激減したシャイアン族による生まれ故郷イエローストーンへ…… 命懸けな最初の脱出行を描いたノンフィクションをベースに映画化 なおシャイアン族に対する絶滅政策は今も続いてます 】


★リベラルと言うよりユダヤ系が多いハリウッドだから製作出来た作品 日本を含む多くの国々でアメリカ先住民=インディアン根絶やしの記録末梢は続いてます 実はこの映画も結構危ない なお台詞有りのシャイアン演じたその大半はメキシコ系


原題:CHEYENNE AUTUMN

シャイアンの秋

アメリカ 劇場公開作品

同年 日本 劇場公開

原作:マリ・サンドス著 Cheyenne Autumn 1964年

ハワード・ファスト著 The Last Frontier 1941年

❖何方も翻訳版は有りません


 令和4年11月3日 文化の日 力無き者は何処までも奪われ殺され歴史や文化すらも都合良く捻じ曲げられる アメリカ合衆国を率いるバイデン民主党政権の腰抜け振りを侮り露助が始めたウクライナ併合狙った宣戦布告なき侵略戦争は無様に頓挫したものの そもそも正しい負け方を知らない露助の抵抗は未だ続いており 日本近隣では台湾に対する押し込み強盗狙う中華人民共和国に特亜の威をかる北朝鮮がミサイル使った威嚇攻撃を連投中 それでも我が家の総勢4匹の居候共はドタバタ走り回り特に家猫修行始めることになった最年少の焦げ茶虎縞は靴箱の中探ったり箪笥や収納スペースの隙間覗いたりと色々忙しそうです


久しぶりの好天だったし早朝から其れなりに来客あった祖母の法事も何とか一段落 とは言え今月は私等一族関連の命日やら何やら色々重なってますので多少の投稿ペースダウンは勘弁を 此れでも以前より執筆スピード上がってますが 下調べせずに知ったか振りをするのも恥ずかしいのでマイペースを貫き通す予定 で、本作を知ったのは数年振りに映画 ソルジャー・ブルー の原稿直す際 偶々ネット検索に引っ掛かったことから 一時期TSUTAYAの復刻作品でリチャード・ウィドマーク主演の物語を集中的に取り上げる形で残されていたので割と簡単にレンタル出来ましたので……とは言え西部劇やアクションコーナーじゃなくドラマコーナーに置いてあったので探すのにそこそこ苦労する事に 今作が劇場公開されたこの年、アメリカは人種差別をタブーとする公民権法が成立 ところが法律施行に反対する白人至上主義者等々による忌まわしい憎悪犯罪が頻発し始めた年でも有ります


元々そんな犯罪が頻発してた深南部(ディープサウス)のみならず 先住民や黒人にラティーノに対する暴行やレイプに殺人事件が急増したのが低所得層に押し込められた彼等が暮らすカリフォルニア州西海岸の先住民居留地にニューヨークのハーレム等を代表するリベラル系が統治してる筈なスラム トンキン湾事件を口実に始まったベトナム戦争にCIAが関与した南米諸国の政変や軍事クーデター 行政側も莫大な軍費負担で補助金削られ此れ幸いと色々仕出かしたものだから 居留地追い出されたり盟約を三度破られた各地のインディアン達の抵抗運動が勃発 此れに加えて黒人やラティーノ達の公民権運動も取り締まる方が州兵投入する等、安易な暴力に頼る様になったからヒートアップ 辛うじて保たれてた治安は右肩下がりに悪くなることに 貧困層の切り捨ても強化されたので尚更な…… 映画の中でシャイアンよりも無様で野蛮に描かれた白人屑(プアホワイト)の姿は古き良きアメリカと開拓時代を懐かしむ御花畑な連中にある程度は冷や水浴びせ掛けることに成功したそうです 



【 ノンフィクションベースの物語だしジョン・フォード監督作品なので日本では文芸超大作扱い 前知識無いと何がなんだか分からない状態で終わるけどそこそこ興行収入も良かったらしい でも原作者が赤狩りで捕まってるのでTSUTAYAで復刻するまでビデオ化もされてないんじゃ無いかと 元々シャイアンには酋長制度無かったけどお馬鹿ちゃんなアメリカ人にも分かりやすくするため集落の調停者=酋長 史実では二つの集落が居留地からの脱走を行うけどエキストラ足りなかったから三人の酋長が1つの集落を合同で取り仕切る形に変わってます 】


★Wikipedia検索して心底気持ち悪さを感じたのがどれだけの人数が逃げ出し殺されたのか事件の詳細すらも伏せられ或いは検閲されてる現状 日本国内の事件も被告死刑か死去まで伏せ字になったし犠牲者の人数や名前すら検閲されてますな 図書館行けば丸々資料残されてるのに何故隠す? 映画だし捏造上等な娯楽作品ですので本編あらすじに沿う形でストーリー纏めます


 映画本編のあらすじを整理する前に当時のアメリカ合衆国やヨーロッパで何が起きていたのか軽く触れときます 其れは1873年〜1879年まで続いた金融機関の連鎖倒産を起爆剤とした大不況と異常気象 特に合衆国中西部から南部は1877年に大暖冬が発生し 本来山岳地帯に降り積もる筈だった雪は他の場所に降り注ぎ水不足が発生 穀物卸売価格の大混乱を招くことになる 特にオクラホマ準州は文字通り棄民となりヨーロッパから放り出されたとても対応出来ない程の移民=経済難民が推し掛け経済難に加えて食糧難 州議員達は合衆国政府から居留地へ送られる食糧と補助金を横領 彼等に票目当ての支援行ったり南部州に転売する事で削られた予算の穴埋めを行っていた なお延々と100年近く繰り返されてたその実情が判明したのは本作が劇場公開されてから数年後 白んぼは約束の概念も誠意も皆無な蛮族だと貶されたのは言うまでもないし噂は既に隅々にまで拡がっていた


インディアン戦争に敗北し不毛の居留地へ追放された部族の数と人々は莫大なモノ 数十万を越える人々を殺し数百の部族を絶滅に追い込んだのは 当時リベラルに舵を切ったリンカーン大統領を首魁とする共和党政権 居留地では武器を使う狩猟も農業も禁じられ子供達にアメリカ合衆国市民としての価値観や英語に西洋文化を学ばせる対価として食糧の供給が行われる盟約が交わされる だが慣れぬ土地での心的疲労に加え白んぼ達がヨーロッパから持ち込んだ病原体や感染症が彼等を地獄の底へと叩き落とす 盟約は僅か1年足らずで反古にされた 二つの集落を束ねる長老トール・トゥリーは決断を下す 此処で飢え渇き死ぬよりは生まれ故郷を目指す長い旅の途中で殺される或いは道半ばで斃れる方がマシだ 


1879年の秋、砂嵐に覆われた居留地の深夜 まるで旧約聖書のモーゼによる出エジプト記を連想させる大脱走 彼等の洗脳係兼英語教師として教団から派遣され来た白人女性デボラ・ライトも 高圧的なブレア少佐や色々モーション掛けてくる騎兵隊指揮官トーマス・アーチャー大尉の煮え切らない態度とシャイアンに抱く侮蔑感に愛想を尽かし保護者として彼等の脱出行に同伴 誠意を持って説得すれば翻意出来ると思い上がっているが多くの同胞の惨めな死を弔ってきた彼等の覚悟は頑なだった 焚火の下や幼子の夜着に隠していたウィンチェスターライフルや弓矢にナイフで再武装 心折れ衰弱が進み最早歩くこともままならない長老筆頭に老人達も見捨てず橇に乗せ此処を離れる 


大尉(アーチャー)達が脱走に気付いたのは砂嵐が収まった翌朝の巡回 良かった此れで奴等を皆殺しに出来るとはしゃくのは騎兵隊員だった父親をシャイアンに殺され その復讐のために軍に入隊したスコット中尉 同じ様に彼等(シャイアン)を二足歩行し言語話す家畜だと侮るブレア少佐 ジョン・フォード監督作品に登場した多くの騎兵隊員同様、百戦錬磨の経験重ね敵意のみならず彼等に敬意も抱いてる大尉(アーチャー)や騎兵隊歴30年を越えるポーランド移民上がりのウィスチャースキー軍曹にしてみればシャイアンとは言え女子供を手に掛けたり死兵と化した彼等と戦うのは気の進まない任務 案の定、最初の遭遇戦で渓谷へ逃げ込む女子供を狙い大砲を撃ち込んでいたブレア少佐とその部下達計9名は機動戦に翻弄され敢え無く戦死 


ヴォへへべの民を率いるダル・ナイフとオコホモザケータニの民を率いるリトル・ウルフ かつては数千を越えた彼等の同胞は産まれたばかりの幼子を加えても僅か286名 ナイフの息子で好戦的で野心に溢れる 赤シャツの不手際で釣り野伏(のぶせり)は不本意な結末を迎え 女子供中心に更なる犠牲者が出てしまった 双方を取り纏めていた長老(トール・トゥリー)の最後 長老が次のリーダーとして選んだのはリトル・ウルフ 古き友人同士でもあるナイフとウルフの懸念は横暴な白人に対し憎悪を剥き出しにする若き戦士達 特に弱肉強食の価値観に傾倒する赤シャツはウルフの二人目の妻に懸想抱き 本来結束を強めないといけない脱出者達に不和を撒き散らしている 


双方にとっても不本意な結末迎えた戦闘は電信を使い数ヶ所の街を経てワシントンDCに伝わるまでにシャイアンの武装蜂起と捏造され 騎兵隊の戦死者は9名から109名に盛られ伝わり合衆国全域を大パニックに陥れる 南北戦争で焼け太りした企業経営者(鉄道不動産鉱山)達の後押し受けた軍部は軍事予算増額を狙い 先住民の生殺与奪権をインディアン保護局から剥奪すべくカール・シュルツ内務長官に圧力を掛け 先の見えない不況にあえぐ大手新聞社はこぞって先住民の絶滅政策を声高に主張 だがニューヨーク・グローブ紙等、ユダヤ系の新聞記者達は敢えて大手新聞の論調に反旗を翻し世論は真っ二つ 


だが、シャイアン追撃を続ける大尉(アーチャー)達の増援要請や補給願いは予算不足や他州からの増援要請を理由に尽く黙殺 やがて彼等(シャイアン)に同情的な他の先住民による電信妨害や伝令の殺害が始まり噂話だけが独り歩き 二度目の戦闘は平原に布陣するシャイアンに焦れたスコット中尉の暴走で火攻めの罠に本隊が嵌り 別働隊を率い包囲攻撃を仕掛ける筈だった大尉(アーチャー)と軍曹が駆け付けた時は既に手遅れ 大砲を始め重装備は炎の中 騎兵隊にも少なからぬ犠牲者が出て中尉自身も足に大怪我を負う 勝利したシャイアン側も疲労困憊 だがこの丘を越えれば食糧危機を解消してくれるバッファローの大群が居る筈だ……彼等が目の当たりにしたのは白んぼ共に皆殺しにされ谷を覆い尽くす程積み上げられた骨の山にテキサスからやって来た自警団との遭遇戦


白人の悪役振りと陰鬱なストーリーにクレーム入ったのか 物語を一旦放り出す形で始まるのは自警団騒ぎに巻き込まれたワイアット・アープとドグ・ホリディにカール・シュルツ少佐によるドタバタコント 明後日の方向に突き進んだ挙げ句、呆気なく瓦解する自警団の顛末に関しては流石にキリが無いのでバッサリカットさせて貰うとして 逃げ回るシャイアン達を追う騎兵隊の内部対立やら女子供を殺さなければならない葛藤から軍を離れようとする軍曹の怒り 挫折を経験した事で少しずつシャイアン達が置かれた過酷な状況に目を向ける様になった中尉(スコット) 脱出行の仲間として受入れられつつもやっぱり基本御花畑なヒロイン(デボラ)の空回りを描きつつクライマックスへ 


先の見えない逃避行に遂に心折れた女子供や負傷者を引き連れたリトル・ウルフは未だ意気軒昂な者達を率いるダル・ナイフと別れロビンソン砦に仲間の保護と降伏を申し出る 次いで砦に到着した大尉達も彼等の弁護を行い何とか血の流れない形での和平の道を探ろうとするが 未だ現状を理解していない軍上層部の判断は彼等をオクラホマ準州への強制連行 砦指揮官ウェッセルス大尉は命令には逆らえないと酒で罪悪感を誤魔化しながら駐留兵と共に彼等に水も食糧も身体温める薪すら与えず倉庫に監禁 やはり白んぼ達は俺達を皆殺しにする積りだ 再び隠し持っていた武器で再武装 砦からの脱出を図るウルフ達 隊の指揮を軍曹(ウェスチャスキー)中尉(スコット)に任せ大尉(アーチャー)は独りワシントンDCへ シュルツ内務長官に直接現状説明し軍部暴走による無意味な大量虐殺を止めよう奮闘


スコット中尉等の奮闘虚しく始まった砦駐留軍によるシャイアン避難民に対する殺戮 シャイアン側もライフルやナイフを手に反撃し砦の中は双方の死者が転がる無惨な結末を迎える ショックを受け着の身着のままで砦の周りを彷徨い歩くウェッセルス大尉がその後どうなったかは分からない 砦を脱出したウルフ率いる僅か数十人足らずの生存達は艱難辛苦を乗り越えイエローストーンへ続く山道で再びナイフ等と合流 数日後再び現れた騎兵隊に包囲され皆殺しを覚悟した彼等に和平と故郷への移住を許可したのはシュルツ内務長官等を連れ戻って来たアーチャーやスコットにウェスチャスキー等追撃部隊 かくして大勢の同胞を失う苦難の旅は漸く幕を下ろすかに見えたがリトル・ウルフにはまだやらなければならないケジメが有る


其れは和平交渉の妨害を図りウルフの二番目の妻略奪婚を成功させたナイフの息子 赤シャツとの決闘 友人の息子を殺してしまった私に同胞を率いる資格は無い イエローストーンで民族再起を図る調停者の地位をダル・ナイフに明け渡したウルフは妻と共に集落を離れ当て所のない放浪の道へ デボラと和解し砦の軍医達の懸命な手当てで命拾った少女を馬車に乗せ新たな生活を始めたばかりのシャイアンの集落を訪れるアーチャー大尉 片言の英語を覚えた少女を喜びの声上げる家族に引き渡し穏やかな表情を浮かべる主人公と寄り添うヒロイン 物語はたった2人で夕日の向こう側へ馬を歩ませるウルフと妻の姿を映し出し幕を下ろす



❖1964年よりカリフォルニア州を中心に始まった先住民の絶滅宣言 その実情は彼等が居住する居留地を剥奪する形での街の再開発 協定により部族で居る限り農業/牧畜/自営業/公務員等の職に付く事のみならず洗脳施設も兼ねた親から子供達を切り離す形で寄宿舎に押し込められた子供達がどうなったかに付いては他の映画やらドラマで散々取り上げたので此処には書きません 70年代〜21世紀初頭に乱立したショッピングモールの大半が元墓所や居留地集落に彼等の聖地だった場所 日本にも後日ゴーストタウンと化したそんな土地有りますが 建物の無い土地は大概トラブルが居座ることになります 実はアボリジニ絶滅させたタスマニアにオーストラリアやニュージーランドにも(黒い笑い)


令和4年現在 ワイオミング州イエローストーンで暮らすシャイアン族は僅か2000人以下 オクラホマ州からの脱出果たせず定住続ける推定3000人を含めても5000人を下回る 既に多くの言語も伝統文化も廃れつつ有り混雑化による先住民資格剥奪も続いているため今世紀を待たず彼等は歴史の舞台から姿を消すのだろう

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