鷲は舞い降りた 76年
欧米世界では一般常識(ある意味水戸黄門みたいなレベルです)
日本でも小説や映画で知られている?
作品ですと書きたいとこですが、最近本屋でジャック・ヒギンズ作品見かけないですね。
まあ古本屋で割と簡単に探せると思います。
【イギリス限定・ドイツ=悪役から、まあそれぞれ立場があるわなに変わった画期的な作品。今見ると色々キツいというかキザだけどね。】
※意外と思うでしょうがアメリカではドイツ系アメリカ人の社会貢献
(有名なのはナチス将校の親戚もいたブッシュ家)
と当事者のユダヤ系アメリカ人の影響でナチス以外の名誉回復はドイツ本国よりも早いです。
イギリスのドイツアレルギーが改善し始めたのはこの作品からでした。
人によっては、余りにキザな台詞ばかりで耐えきれないだのストーリーが古臭いだの色々言われる様になった古典的な物語だけど“ドイツ軍が悪役じゃない”という意味では画期的な作品です。なんせ、日本初公開があの究極の堅物雑誌“リーダーズ・ダイジェスト(創業1922年の総合雑誌)”
※白状させてもらうとこの雑誌、日本語版のイメージで聖書と大して変わらない印象があって敬遠してまして
テレビで映画観て慌てて英語版購入しに行ったんですが既に古本屋は廃業。更地しか有りませんでした。
洋書コーナーに置かれていたそれは、冒頭1ページ目からオチがフルカラー1ページで描かれた身も蓋もないバージョン
(映画観た人はご存知のチャー○ルが○○○○のシーンです。)
後年中学生の頃、図書館にあったリーダーズ・ダイジェストの世界の文学全集(年度別で80年版)で丁寧にイラストの説明(こっちも冒頭のカラーページ)で1度読んでいたからストーリーは全て頭に入った状態で映画を観ました。
流石にテレビのスペシャルドラマとして制作された作品ですし戦闘シーンも割と地味、昔の戦争映画って欧米の物はスプラッタは禁止だったのですよ、やたら血が流れる日本映画(黒澤作品)と違って欧米人は撃たれても血が流れないって子供の頃思ってましたっけ
ドラマ版は本来脇役のアイルランド人「リーアム・デブリン」を敢えて主役に変更した内容です。
演じたのは「ドナルド・サザーランド」以前に書いた「死にゆく者への祈り」では老神父でしたがこっちではバリバリの現役です。
息子と違ってほっそりしたデビッド・ボウイ・タイプの美形で当時滅茶苦茶モテたそうですよ。
実は完全に不可抗力だったそうですが、撮影中やたら馬やら牛やら鶏に懐かれて大変だったそうで最終的に撮影する方もそっちの方が何か面白いからまあ良いかと普通に撮影、アイルランドに潜入しある人物の雇われ小作人として農作業やってるシーンは見ものです。
結局倒すあるいは上手く逃げきる予定だったドーベルマン2頭も原作と違って懐いちゃったというオチに変更しました(笑)
この作品だけは割とメジャーで出回ってますからなるべくネタバレは控えめにやりますね
では本編行きます。
時代は第2次大戦末期ドイツ軍のフランス占領はまだ続いていますが、イタリアに既に連合軍が上陸。
ローマは既に降伏し他の戦線では負けが込んでいる状態です。
【その頃フランス亡命中のリーアム・デブリン教授は色々困っていました。】
地獄そのものな東部戦線で多数の部下を失い部隊全体が自暴自棄になっていた「シュタイナー隊」
とうとうぶち切れてユダヤ人の子供に手を上げた阿呆な親衛隊将校を脅迫したら、フランスの沿岸送りになった頃
祖国アイルランドで色々やんちゃしていた事がバレ指名手配。フランスに亡命してアイルランド文学の大学教授をやっていた「デブリン」も色々困っていました。
やんちゃしていた事を反省して真面目に大学教授やってたらいきなりドイツ軍の占領下。今更国には戻れないから仕方無く食う為に英語の翻訳業務やってたら、過去のやんちゃを調べ上げられ半ば脅迫めいた形である作戦に加えられます。
それは親衛隊や秘密警察よりもおっかない組織、ドイツ国防軍情報部の「ラードル」が何とかお気に入りな(便利な道具として)「シュタイナー」を使い潰す為に考えだした博打じみた計画「チャーチル誘拐作戦」でした。
※映画でも原作(完全版)でも情報部の実績については”グランサッソ作戦(イタリアの指導者ムッソリーニ救出作戦)“しか触れてませんが、最近判明した資料でかなり真っ黒な任務やってた事がわかっています。
戦争始める為に国境付近の村人(ドイツ人)を敵に化けて虐殺したり。拷問&洗脳は日常茶飯事、親衛隊が「それはマズいだろう」と止めに入ったぐらいです。
戦争後半は親衛隊将校が暴走防止の為、常駐。有名なのはあの「スコルツィーニ」です。
ヒトラー暗殺事件で無罪有罪関係無しでかなりの人数が逮捕され処刑されました。おかげで資料の大半が行方不明。
戦後は彼等がやらかした事も全部ナチスとその信奉者がやった事に歴史が改竄されました。
特に悪名高いのは子供を使った暗殺作戦、又の名を「人狼」です、例のゲームの元ネタにもなりましたが洗脳→人造殺人鬼の大量養成で戦争が終わった後も連合軍将兵にかなりの犠牲者が出ています。
占領した村でアメリカ兵が夜中に首をかっ切きられて惨殺死体に→「あいつが人狼に違いない」村人がある子供を捕まえて惨殺→翌朝また新しいアメリカ兵の犠牲者が……
小規模な虐殺事件、頻発したんですよ。
最近出版された研究書では当時公開禁止だった惨殺死体に実行犯(私が見た本では12歳の女の子でした→判決は絞首刑)まで載っています。
かなりキツい映像ですから閲覧の際はご注意を……
では本編戻ります。
脅迫されてとは言え久しぶりの故郷への帰還。
得体の知れない不味い酒ではなく、アイリッシュ・ウイスキーの「ブッシュミルズ」に「アイリッシュシチュー」が味わえるかも知れない。
内心ウキウキで支援する予定の「シュタイナー隊」を訪問した「デブリン」はドン引きします。フランス沿岸で小型潜航艇による特攻作戦に従事させられていた部隊は殆どが戦死。
生き延びたわずかな人員に監視役のイギリス人親衛隊将校のおもりまでやらされた「デブリン」はヘロヘロの状態でアイルランドに帰還しました。
まさか、そこで人生最後の恋愛までやらかすとは思わずに……
本編とは全く関係有りませんが、ドイツ国内で大ヒットした小説「ヒトラーの帰還」が映画化&撮影始まったそうです。
自殺した筈のヒトラーが2011年のベルリンにタイムトリップ、色々苦労しながら「毒舌コメディアン」としてネットでブレイクする物語。
翻訳版は割と地味だったけど期待しています。




