エグゾゼを狙え 84年
普通なら素直に「鷲は舞い降りた」なんですがちょっと寄り道しました。
この作品も映画あるいはドラマでやって欲しい作品です。
記憶うろ覚えだけど思わず壁殴り倒したくなるキザな台詞が多いのよ、この小説家
※注意:(常連)はもしかしたらジャック・ヒギンズ作品また紹介する可能性有るから入れました。
お勧めしたいのに説明不足な作品、絶版作品も結構多いのな、絶版作品についてはネタバレ上等で書いてきます。
ちなみに今回も絶版作品です(笑)
【時代遅れのど貴族物語を爆走するアルゼンチン叔父さん戦闘機乗りとバツイチイギリスSAS部隊将校の暴走話】
それは未だ私が神様を信じ…違った
ハープンミサイルもパトリオットミサイルも出来たばかりの時代、ぶっちゃけ対艦ミサイルのおっかなさをマニア様以外は誰も知らなかった頃のお話です。
当時偶々手に入れた軍事情報雑誌(ザマーチ・アメリカ空母特集号)じゃ「ハープンミサイル新発売」の広告が入ってまして、いったいこの広告は誰得なんだろうと悩んだのは黒歴史です(笑)
本当に個人向けの宣伝だったら大爆笑ですね。
電話番号書いてあったし、
ちなみに注文数、価格は要交渉でした。最後の植民地戦争と呼ばれた「フォークランド紛争(アルゼンチン側はマルビナス紛争と呼びます)1982年」で予想外な大活躍をやってのけた兵器が2つ有ります。
1つはどんな場所からも離着陸出来る夢の戦闘機「ハリアー」でもう1つが今回のタイトルにもなっているフランスの空対艦ミサイル「エグゾゼ」です。
実は中東戦争の辺りから空対艦ミサイルは狙われたら逃げられない上に当たったら船が危ないとの認識は有りました。
但し、実際にミサイルが命中して沈んだ第1線級の軍艦も大型船もそれまで存在しなかったんですよ。
…結論として当時新鋭の駆逐艦「シェフィールド」はたった1発の空対艦ミサイルで沈没。
フランスの製造メーカーの株式は暴騰、世界中から購入取引の申し込み、果ては産業スパイの潜入等々、後に「エグゾゼ・ショック」と呼ばれる事態になりました。
…とまあここ迄が小説出版の背景です。
実際の所、ミサイルは不発。荒れた大西洋の海水が牽引中に流れ込んで沈没したんですが、事実の公表は10年以上経ってからの事でした。
では本編行きますね
【大英帝国特別作戦:ミサイル購入妨害=ハニートラップ作戦(笑)エサは主人公の元奥さん!!】
注意:1984年当時読んだ時の記憶を元にストーリー再構成してます。名称やストーリー展開については小説版手に入れた際改めて確認下さい。
1982年フォークランド諸島で駆逐艦シェフィールドの撃沈で一矢報いたアルゼンチン軍事政権は、武器を販売してくれないフランス政府に業を煮やし、悪名高い「武器密売業者」からエグゾゼミサイルを手に入れる作戦を実行します。
フランスに潜入、武器密売業者と交渉しミサイル積んで国に戻る事が出来、最悪の事態にも対処可能な人材として選ばれたのは、皮肉にも戦争に反対する大地主の1人息子で空軍将校の「ラウル・モントヤ」でした。
※大昔からドイツのユンカー(半農・半武士の騎士階級)文化が入り込んだアルゼンチンは要するに「風と共に去りぬ・のスカーレット」みたいな辺境貴族生活している階級があったんです。
滅亡寸前でしたけどね。流石に今は残ってないと思います。
昔気質の指揮官として最前線で連日の様に部下と一緒に「A4スカイホーク攻撃機」で出撃。
イギリス海軍のハリアー戦闘機やハリネズミの様な対空砲にミサイルと戦っていた「モントヤ」は部下の命を助ける為、危険な潜入任務に参加します。
※余談ですが彼等を訓練・指導したのは伝説の空の魔王「ハンス・ウルリッヒ・ルーデル」です。
ナチス滅亡後、収容所から気合いで脱走した後、アルゼンチンに密入国、実力で空軍の教官やってました。
(ちなみに片手片足は有りません義手と義足で戦後の趣味はロッククライミングでした。)
その頃「武器密売業者」の情報を掴んでいたイギリス軍情報部第4課「ファーガソン准将(常連)」は情報収拾の為、元優秀なスパイでオトリ(ハニー・トラップ要員:007シリーズのアレです(笑))として使える「ガブリエラ」を脅迫。
渋る「ガブリエラ」に従軍中の弟がフォークランドで捕虜になった事
協力してくれれば返還交渉と早期退役に応じる事を条件に「モントヤ」と接触します。
ちなみに監視役兼荒事担当要員は、よりにもよって元夫のSAS将校「トニー・ヴィリアーズ」でした。
「ガブリエラ」の弟についての情報を「ファーガソン准将」から、同じ様に知らされていた「ヴィリアーズ」は複雑な心境に困り果てながらも「ガブリエラ」のフォロー、結果的に仲良くなってしまった「モントヤ」と一緒に行動する羽目になります。
実は「武器密売商人」はそもそも負けが確定しているアルゼンチンと取引する気はさらさら無く「モントヤ」に武器強奪&代金の横取り等、全ての罪を押し付けて現物は中東の某国に転売する予定でした。
元々そっち方面でも優秀な3人は逆に陰謀に対して反撃。ノリは殆ど「沈黙シリーズ」のアレです(笑)
呆気なく武器密売組織は返り討ちに合いますが、その過程で「モントヤ」にも正体がバレてしまいます。
色々あって恋愛関係にあった「ガブリエラとモントヤ」は破局。それぞれの家族と祖国の為に泣く泣く別れる2人。
「ヴィリアーズ」も兵士としてフォークランド紛争に参加する為、イギリスに戻りました。
出征直前、彼の下に「ファーガソン」の部下を続けている友人の「ハリー・フォックス(常連)」が尋ねて来ます。
過去の実績から、ガブリエラの弟の情報を疑っていた彼等は「捕虜になった事態全て嘘だった」ことを知り、悲しみに暮れる「ガブリエラ」に接触、全てをぶちまけました。
「モントヤ」への愛を自覚した「ガブリエラ」は一路アルゼンチンへ、自宅で最悪の知らせを待つモントヤの母と空軍指揮官に合った彼女は「モントヤ母」と空軍指揮官の全面支援で最後の攻撃に出る「モントヤ」と再開します。
失恋に絶望的な戦況、死ぬことすら覚悟していた「モントヤ」は「ガブリエラ」から全てを聞かされ、大爆笑。
「畜生!あいつら絶対許さねぃ(中略)
俺は君の為に絶対生きて帰って来る!!結婚しよう!ガブリエラ!!」
地獄の戦場を笑顔で生き延びた「モントヤ」は「ガブリエラ」と結婚。
そしてアルゼンチンの敗北で戦争は終わりました。




