インベーダー・サマー 83年
2015年8/24ガラケー投稿 2018年11/14タブレット端末にて改稿開始〜2020年10/5脱稿
【 初夏の信州 恋人の墓参りを兼ねた鍛錬を終え自宅へ戻る近道 主人公が逢魔が時に出会ったのは白いワンピースを纏った見慣れない美しい少女 街の男性を魅了しやがて世界そのものを変貌させる為に送り込まれたあまりに美しい侵略者 2020年10月 某動画サイトで音楽と当時の放送論理規程では駄目な部分 (濡れ場、NTR描写、当時も時代錯誤だと嗤われた雇われ殺人の其れ) をかなり変更したカセットブック版聴きました 収録時間内に纏めるためかなりヤムチャしてます。 他所の剣道部に雇われ主人公狙う刺客=内芝や悩んだ末に命を断つ主人公の親友 山岳部 倉持良紀の出番は有りません。 】
★なおNHK放送バージョンでのテーマ曲は原作通り "金髪のジェニー" 映画 駅馬車で使われたかなり思い入れの有るテーマ曲だったそうですが あの悪名高い利権団体J○○○○○○が金寄越せとゴネた為に泣く泣く変更してます。
日本 ライトノベル小説
ジュブナイル或いはヤングアダルトと読んでた時代の作品です。
1987年6月NHKアドベンチャーロードでドラマ化
再編集&BGM変更しカセットテープドラマとして販売
原作は1983年朝日ソノラマ文庫
菊池秀行 著 天野喜孝 イラスト
2000年ソノラマ文庫ネクストで再版の際
佐竹美保がイラスト担当
2005年風の名はアムネジアと共に合本化
“インベーダー・ストリート” 名義で新書版出版
イラストは金田榮路が担当
但し何れも廃版 転売屋が無駄に価格釣り上げ
てるから中古品を地道に探すしか有りません
令和2年の今となっては本当に昔話と化した昭和時代の恋愛観 (言っちゃ何だけど当時も主人公のストイックさやヒロインの惚れた相手に一途な性格は時代錯誤にも程が有った 読みながらこんな登場人物今時居る筈が無い……小夜や弥生なんて明治時代の生き物じゃないかとツッコんでましたね) を描いたこの物語を読んだのは高校生の頃の話です。 妹から勧められた "バンパイアハンターDシリーズ" にまんまと嵌まり 雑誌の特集記事で興味いだき次に手を出したのは高校生だけど高級車に自家用機を乗りこなしライフル片手に酒も女もドンと来いな見た目ガハハ親父なトレジャーハンター=八頭大が主人公な "エイリアンシリーズ" 20代後半辺りまでその手の作品だったら集中力維持したまんま1日5〜6冊は纏めて読んでた私は貪る様に物語を堪能し最後に手を出したのがこの作品と "風の名はアムネジア" そして "妖神グルメ" でした。
初稿書いてた頃もそんな感想書いたような記憶有りますが 私はこの物語に登場するタイプの愛がくっそ重いヒロインが苦手です。 死別した彼女=影野弥生に変に操を立てるあまり慕って来る彼女の妹 小夜 のみならず 事件に巻き込まれた当事者達を誰一人救う事が出来なかった主人公も本当の所大嫌いでした。 だからこそあのほろ苦いと書くにはあまりに残酷で悲しい結末に色々納得するモノが有ったのだけれど……犠牲者少な目だったアドベンチャー・ロード版の其れは少しだけ中途半端な印象を受けます 何にせよ数十年振りに聴いたラジオドラマ版と小説版の朧気な記憶を色々混ぜて物語を私なりに再構成して見ようかと 何れ何らかの形でアニメ化してくれたら再評価されるのでしょうが今風にキャラクターや舞台設定を作り直したら歪な内容になりそうですね 難しいモノです。
【 昭和59年(1984年)7月 日本アルプスの峰々に囲まれた自然豊かな長野県夕月町 最愛の相手を喪って以降は誰からも心を閉ざし 剣道に逃避する事で辛うじて感情のバランスを保っていた少年 片桐学 は誰も立ち寄らない古びた神社で独り日課の鍛錬を終えた帰り 数十年前から誰も住んで居らず子供達から雑木林の幽霊屋敷と恐れられていた洋館の庭で独り月の光を浴びながら恍惚的な表情を浮かべた白い少女を目撃 会釈する彼女の態度に不可解な嫌悪感すら抱いた彼は挨拶もそこそこにその場を離れた。 】
★主人公の日課を知り尽くしタイミング良く現れる影野小夜とか新聞記者の大友 出落ち要員なチンピラ3匹のエピソードは書いたらカオスになるから省略 ついでに存在そのものを忘れてた内芝の其れは転売屋に3万円払って読むモノでもないから全略 ラジオドラマ版は柔道部主将 根室が生み出した何かに襲われ水晶化する観光客の場面から始まります。
自分は果たして本当に東やよいなのか? 解離性同一性障害を患い療養のため都心から離れ 父の会社が所有する長野県の別荘に滞在を始めた彼女がその高校を訪れたのは自分でも理解出来ない切望に駆られての事だった。 夏休みを控え浮ついた雰囲気が漂う昼休みのグラウンドに現れた鍔広の白い帽子とワンピース姿の黒髪の少女 ある意味浮世離れしたその美しさと儚さに魂を奪われた根室を始めとする多くの男子が彼女が去った直後、人語とは思えない不気味な声で会話を交わし 女性徒達をパニックに陥れた事で始まる不可解な現象 少女を目撃し異変に巻き込まれなかったのは主人公 片桐学とその友人で亡くなった弥生の妹 影野小夜を交えた微妙な関係に有る山岳部部長 倉持良紀だけ
その日の夕方、日課となっている弥生の墓参りと鍛錬を終えた主人公を待ち受けていたヒロイン小夜との他愛もないやり取り ラジオ版ではバイクで現れ強引にナンパして来たチンピラ3匹を一瞥しただけで止めてみせた東やよいの登場 亡くなった姉を彷彿とさせる風貌と同じ名前の少女に話し掛けられ反発心を抱く小夜 その夜、学校に現れたやよいの最初の目撃者となった根室が夢に見た水晶の竜の具現化と観光客の殺害 翌日の放課後、担任に頼まれ無届けで休んだ根室の家を訪れた主人公はけんもほろろに追い返された。 其処へ偶々現れたのは以前から顔見知りだった地元新聞社・夕暮日報の記者 大友
人が水晶化した不可解な事件の目撃者として根室に接触しようとした彼が話すのはまだ健在だった頃の弥生と幸せそうに歩いていたかつての主人公の思い出話 川辺で事件の詳細を語り合う主人公達の前に現れたのは水晶の羽根を持つチョウの様な何か 捕虫網を片手に水辺で其れを追い回す子供達を狙い壁の中から現れ襲いかかる水晶の竜 そのバケモノが放つ光線は偶々開店準備を進めていた屋台を水晶化させたが何故か木製の部分はそのまま インターハイ直前の強化選手としても有名人な主人公が要らぬトラブルに巻き込まれるのを恐れた大友に庇われる形で早々に現場から離れる主人公 家への近道で有る雑木林の小道で東やよいと再会 訳ありな理由で別荘に独り滞在していると言う彼女の事情を知った学は小夜や良紀を連れ別荘を訪れる約束を交わす。
なおラジオ版では別荘訪れたのは主人公独り どう言い訳しても高校生の女の子が独り暮らししてる屋敷を訪れるのは罠の匂いしかしませんが 予算の都合で仕方が無いのかな 敢えて原作遵守で物語を進めます。
別荘を訪れた3人を出迎える東やよい 解離性同一性障害を患って以降、彼女の周囲で始まった魅了としか説明出来ない現象 あの日以来屋敷の周りに現れる様になった彼女の崇拝者達の薄気味悪いとしか書き記しようが無い其れを怖がりつつも誰かに会いたい 多くの人々が集まる場所へ向かわなければならないと身体を動かす脅迫衝動 そんな話を聞かされても彼女に魅了される事が無い主人公と嫉妬心を顕にする小夜 そして挙動不審な態度を必死に誤魔化す良紀の姿 小夜は主人公へ片思いを抱いているのを隠し そんな彼女に人知れず好意を抱いているものの穏やかで優しい3人の関係が壊れる事を恐れる良紀
夕月町で起きている不可解な現象の中心に居るのは東やよいだ 根室を始めとする崇拝者へのかなり手荒な取材から手掛かりを掴んだ新聞記者に連れられ半ば拉致同然で訪れた東京 見た目かなり美形でまるで誘蛾灯の様に人を寄せ付ける主人公を利用し始まった調査から判明する意外な事実
東やよいと名付けられた少女は2人居る
東京に居たのは証券会社に務める父親と母親の元でごく普通に暮らす同一人物だった。 だが今、夕月町に滞在する彼女は役所の戸籍のみならずとある私立高校の全ての生徒と教師達の記憶すらも偽造している データ上で彼女が居た高校では記憶喪失や様々な障害に見舞われた生徒が続発し自殺者まで発生しており 担任だった女教師は重い解離性同一性障害に苦しめられていた事実が判明 慌てて夕月町へ戻る主人公と大友……だがかつて過激な学生運動に参加 その後新聞記者となって長野で長きに渡る潜伏生活を送り続けていた彼は少しずつ彼女が撒き散らす破壊衝動に感化されつつ有った。
絶え間ない衝動に抗いながらも片桐学を求める 東やよい そんな彼女に嫉妬し主人公に片思いし心乱れながらも彼の想いが未だ死んだ姉と共に有る事に気付いており なおかつ良紀が寄せる自分への好意にも気付いている小夜 別荘訪問以降から東やよいに魅了され絶えず押し寄せる衝動に苦しみながらも壊れかけた小夜に告白し身体を重ねた良紀 だが遂に衝動に耐えられなくなった彼は独り山へと登り自ら命を絶ってしまった。 私は本物なんかじゃない この世界への侵略を目的とした知的生命体に作られたある種のコンピューターウイルスの様なモノなんだ 根室に寄生していた情報データ=水晶の竜と対峙 偶然から竜の弱点を見抜いた主人公の活躍により夕月町を混乱に陥れていた全ての異変は修復されるかに思われたが 衝動=自己修復プログラムにより動き出したやよいと彼女の協力者と成り果てた大友の裏切りにより遂に始まった世界の改変作業
『なあ片桐君……世界を変える事は そんなに胸糞悪いモノなのか?』
夏下り……夕月町で毎年行われるベストカップルを決める川下りのイベントが開催される中始まった追跡劇 本当に彼女はプログラムの通り踊る人形でしか無いのか? 東やよいに魅せられた者達は人では無いナニかに変わり主人公達は呼吸すら出来なくなる やがて山や建物すらも違う何かに変わり果てようとしたその時 周りの人々に良く見える様にボートに立った彼女を射殺 次いで自身の頭を撃ち抜いたのは共犯者となった筈の大友だった 世界を憎み滅ぼそうと決めた自分達に徒手空拳で立ち向かいボロボロになりながらも追って来た2人の姿に希望を見出してしまったやよいと大友はまるで事前に打ち合わせていたかの様に侵略を止め自身の歪んだ運命に終止符をうつ 銃声は空を彩る無数の花火の音と光に掻き消され 沈む2人に気付いた者は誰も居ない
『世界を変えようと決めるのは俺達自身でなければならない だけど此れは間違っているよ……誰も幸せになんかなれないじゃないか!!』
悲劇を止められず誰も救えなかった 影野弥生を喪ってから初めて感情を爆発させる主人公と 主人公を慕いながらも1歩踏み出す事がどうしても出来ないしやってはいけないと気付いて慟哭する小夜 抱き合いながらも何処までも遠い2人の距離 何が起きたのか分からずボートの上の2人をお似合いのカップルだと幸せそうだと眺める群衆の姿 夕月町を襲った変異はこうして幕を閉じた。
思い出は美しさだけを残してゆく 事件の当事者達は既にその多くが此処を離れて二度と戻らない 周囲を日本アルプスの峰々に囲まれた自然豊かなこの町は今も美しい川が流れる。




