ヘルハウス 73年
2015年8/11ガラケー投稿 2019年2/20タブレット端末にて改稿開始〜2/21終了
【 舞台をアメリカからイギリスへ変更しソレっぽさを出したのは正解でしたが限られた時間でエメリック・ベラスコが歪んだ理由や死後もなお犠牲者を追い込む手口=屋敷そのものに仕掛けられた滞在者を仲間割れに誘導する音響マインドコントロールの恐ろしさや幽霊屋敷の陰惨極まる過去の描写を徹底的に省略したのは失敗だったかも知れません。リメイクするなら連続ドラマシリーズでやらないと恐怖感は出ないでしょうね。 】
★後、悪霊の心を圧し折る為に姦淫を否定し私生児である事を罵る事で追い詰める除霊シーンはキリスト教の宗教的慣習や価値観知らないと理解出来ないと思います。 そもそも呪われた巨大屋敷の除霊そのものが今風では無いかな? 撮影当時でもアメリカ舞台だったら豪快に爆薬で吹っ飛ばすかナパームで焼いて更地にするぞだったしねぇ
原題:The Legend of Hell House
伝説となりし地獄の家
イギリス 劇場公開作品
アメリカ 同時 劇場公開
1974年 日本 劇場公開
原作は71年のリチャード・マシスン著 HELL HOUSE
日本では72年ハヤカワノベルにて出版
77年ハヤカワモダンホラーセレクションで再版
2019年現在絶版扱い
☆宗教道徳教えるキリスト教原理主義団体のアトラクション“ヘルハウス”はタイトルと無縁では有りません……がアレ日本には存在しないからねぇ。
最初に書いときますが私がこの映画を見たいと思ったのは映画雑誌スクリーンで見た“フローレンス・タナー”役のパメラ・フランクリン (実は日本の神奈川県で生まれ育ったイギリス人……現在は結婚引退しハリウッド在住。) の美しさでした。 但しそれは小学校の頃の思い入れや写真のセンスも有りまして、いい歳こいた大人となりDVDやビデオを見る様になってからは何故彼女が美しいと思ったのか?どうしても思い出せません(笑) ぶっちゃけてしまうと物語そのものもテレビ放映.ビデオ.DVDとトータルで最低でも6回以上は見てる筈なのですが別段面白い…つーかホラー映画としては私には合わなかったと思います。 でも何故か機会が有れば見てしまう作品です。
カトリック或いはプロテスタントなキリスト教が社会の絶対的権威として存在し、地元の名士が使用人や家族の殺害含め多少の犯罪を犯した所で裁判員制度や司法取引でお目こぼしされるのが当たり前の一般常識として成り立っていた20世紀初頭のアメリカやヨーロッパ。 姦淫の罪の結晶として産み捨てた親よりも悲惨な人生歩む事が確定しているのが生まれながらの罪人と決め付けられた=私生児でした。 洗礼を拒否され人間扱いされず、まともな教育の機会どころか職に付く事も許されない 死んだ所で埋葬すら許されず荒野に野ざらしとなり獣の餌となるモノ 私生児として生まれ育ったエメリッヒ・ベラスコが僅か1代でどの様に成り上がり莫大な富と名声を築き上げたのか…モデルとなったのは今や観光名所でも有るライフル銃で有名なウィンチェスター家ですけどホラー作品だから人格は徹底的に歪められてます。
白人社会独特の高身長崇拝や身障者 (特に先天性疾患について) への差別については日本にもある程度有りましたが、それを神罰として断罪してきたカトリック社会では陰湿な差別を引き起こしてます。 この辺りのルール知らないとクライマックスに主人公“ベンジャミン・フランクリン・フィッシャー”の貝木泥舟か忍野メメそのまんまなハッタリに何故悪霊が動揺し断末魔の叫び声を撒き散らした上で跡形も無く消え去ったのか 絶対に理解出来ないと断言致します。 うん、此処まで書き綴って漸く気が付いたけど西尾維新の物語シリーズって憑き物落としのシステムはまんま同じルールだったのな こっちは神道であり陰陽道だけどね。
1970年代 幽霊や超能力は電子エネルギーで有り測定器設置により科学的に証明出来る筈だという説が有りました。 死刑囚の体重測り霊魂の重さを計測しようとしたりオルゴンガスや電磁波バラ撒いて幽霊を捕獲しようと実験繰り返したりと、あの時代〜80年代初頭辺りまでそんな怪し気なモノが沢山有ったのですよ。 まあ元凶は晩年にそんな商品ばかり発明し特許取ってたトーマス・エジソンです。 では粗筋へ移ります、今となっては色々辻褄が合わなかったり何故彼等が“滞在した奴は必ず死ぬ”危険な屋敷に武装すらせずに乗り込んだのかとか突っ込み所満載ですが色々独自解釈入れて誤魔化しました。
後エロ描写とゴア描写は自主検閲してますが指摘頂ければ誤字脱字同様訂正致します。 ガラケーと違って書き直しも修正も楽になった訳だしね(苦笑)
【 1919年に建てられたベラスコ邸は当主が行方不明となり親族を自称する27名もの人々や使用人が惨たらしい惨殺死体として発見されて以来、調査目的で入り込んだ多くの人々を不可解な事故死へと追いやる最高危険地帯だった…老いを自覚し屋敷に取り憑かれ破滅した歴代の好事家が提示した莫大な懸賞金に魅せられコレまで二度の調査が行われたがその尽くが無残な結末を迎え、唯一生還したのはこの物語の主人公“ベンジャミン・フランクリン・フィッシャー”のみ。だが彼が三度目の調査に志願したのは能力を失い精神的経済的に追い詰められた彼の消極的な自殺目的だった。 】
経済界の吠える巨人と恐れられたエメリッヒ・ベラスコ 晩年を迎えた彼が何の為に迷宮の様な屋敷を建設し財産分与目的で名乗り出た自称親族を全員集め、共犯者で有る使用人共々マインド・コントロールにより追い詰め近親相姦や獣姦果ては家族同士で殺し合わせたかはその手口や詳細も含め定かでは無い。 数カ月を過ぎても帰宅しない雇い主の動向にただならぬ悍ましさを感じた使用人達の通報により事件が発覚。 施錠された出入口を突破し屋敷に突入した警官隊が目撃したのは腐り果てた最上級の食材と自死あるいは親子でまたは恋人同士で互いの身体を破壊し尽くした夥しい腐乱死体の山。
司法解剖により犠牲者の身元は直ぐに判明したものの館の主人であるベラスコ自身は行方不明、遺体発見当初から合同捜査本部による大規模で広範囲の山狩りと建物内の捜索が行われたものの不可解な事故や事件が続発するに及び捜査は難航 そもそも身体を壊し車椅子生活を送るベラスコが屋敷から出られる筈も無い。 遺された被害者達のメモや使用人の日誌から彼等が互いに殺し合う或いは自死を選んだ悍ましい日々が判明したものの地元名士の醜聞を恐れた貴族院や警察上層部による隠蔽工作。 ベラスコ本人と共に建物に隠されたと思われる莫大な遺産を目当てに屋敷を買い取った歴代好事家達により全ては闇へ葬り去られた。
原作では霊媒師である“フローレンス・タナー”が唯一まともな?幽霊として地下の酒蔵に閉じ込められたベラスコの息子ダニエルからどの様に彼等を焚き付け殺し合わせたのか具体的な描写が出てきますが ダニエルなんて居なかったんだよな(汗) 後エログロ描写満載だから映像化出来ませんでした。
館を購入した資産家達の依頼で建築.除霊.科学のスペシャリストが集められ二度に渡る調査が行われたが参加メンバーは不可解な理由で次々と事故死 生き残る事が出来たのは当時除霊のスペシャリストで天才少年と持て囃された“ベンジャミン・フランクリン・フィッシャー”のみ、仲間達に庇われた彼は神への信仰心を失い憑き物落としの能力を失ってしまった事で悪霊から見逃されたのだった。 全てを失った彼は仲間が死んだこの屋敷に敢えて命を投げ出す為に新たに館を購入した好事家=ルドルフ・ドイッチの誘いを快諾。
神を信じる天才少女“フローレンス・タナー”ルドルフの代理人が提示した成功報酬100万ドルに目の色を変え参加を快諾した“電磁気清掃装置=リバーサー”の発明者“ライオネル・バレット”と助手であり妻の“アン・バレット”の計4人のメンバーが屋敷に滞在出来るのは1週間、成果を得ようと焦りの色を隠さないライオネルに能力を過信するフローレンス 滞在初日に始まったポルターガイスト現象でライオネルは軽傷を負いフローレンスは隠蔽されていた地下酒蔵に忘れ去られていた青年のミイラを発見しダニエルと名乗る彼女だけにしか見えないその幽霊との対話に夢中となる。
翌日漸く設営が終わった“リバーサー”を使い館の浄化を始めた直後、フローレンスは態度を豹変させ清掃装置と3人に襲い掛かった。 実は深夜ダニエル=悪霊に憑依された彼女にはその電磁波に耐えられ無かったらしい 幸いにも機械の中枢部の破損は免れたものの狂い果てたフローレンスは突如倒れ込んで来た礼拝堂の十字架とキリスト像の下敷きとなり下腹部を貫かれ即死。 断末魔の最中束の間正気に戻った彼女は自らの血を使いダニエルの本当の正体を書き残した。“B”と書き綴られた悪霊は彼女を最初の犠牲者として血祭りに上げたのだ。
フローレンスの弔いもそこそこに狂った様にリバーサーの修理を始めるライオネル。 感情的な対立を繰り返し夫が信じられなくなったアンは常に冷静に見えるフィッシャーに心を寄せ頼る様になる。 度々繰り返されるポルターガイストに館の周りで繰り広げられる天変地異……徐々に精神的に追い詰められる2人を他所に不眠不休で機械の修理を続けるライオネル 6日目の夜遂に再起動したリバーサーにより3人に襲い掛かる超常現象は終焉を迎えた。 館の浄化に成功したと歓喜の声を上げたライオネルだったがそれはベラスコの罠……突如落下したシャンデリアに押し潰された彼は無念の最後を遂げる。
電磁気清掃装置は正常に作動し確かに屋敷は浄化されている、だとしたら悪霊は何故ライオネルを殺せたのか アンとフィッシャーは館の中を彷徨い歩く、悪霊の弱体化により霊媒師としての能力を一部取り戻したフィッシャーを導くのは彼の守護霊となったフローレンスの姿 彼女に導かれ遂にベラスコの遺体が隠された礼拝堂の隠し部屋を見つけ出したフィッシャーによる憑き物落としが始まった。 恐ろしいポルターガイスト現象で地面に叩きつけられ壁に押さえ付けられながらも霊媒師の能力を発揮させた主人公は遂に悪霊の心を圧し折り浄化させる事に成功する。
ベラスコが隠していた秘密は小柄な身体へのコンプレックスと私生児で有り種無しだった事 呪われて産まれ周囲の悪意を恐れたベラスコは尊大に絶えず攻撃的である自分を抑えられない幼児の様な人物でしか無かったのだ。
☆隠し部屋は鉛板で電磁波を遮断する特異な構造でした。リバーサーの様な機械の進歩を警戒し莫大な遺産を全て注ぎ込んでその部屋を作ったベラスコの死因は餓死……自らを呪いのシステムに組み込み次々と飛び込んで来た愚か者を地獄の底へ叩き込む…ベラスコの人々に対する復讐は幕を閉じます。
崩壊する隠し部屋から脱出したフィッシャーとアンを待ち受けていたのはルドルフの代理人。 彼等が館に送り込まれた直後、ルドルフ・ドイッチは突然の心臓発作により死亡 資産家だと思われていた彼は実は破産しており報奨金は債権者によって既に差し押さえられていました。 二人の犠牲者を出した7日間の戦いは無駄なタダ働き 思わず館を振り返るフィッシャーだけに見えていたのは結局どんな風景だったのか 説明描写の無いまま館は濃い霧に覆われ見えなくなってゆきます。




