スカイ・クロラ The Sky Crawlere 08年
2014年10/4ガラケー投稿 2021年2/15タブレット端末にて全面改稿開始〜2/20深夜取り敢えず脱稿 追記その他手直しは改めて後日行います。
旧稿でも書きましたが日テレスポンサーのこの作品 中々テレビ放映出来ないのは未成年にしか見えない主人公達の喫煙シーン 現実と虚構の区別が付かない頭が可哀想なNGOや自称日本市民 日本禁煙学会のバッシングが当時も激しかったそうです 後年放映された日本沈没2020みたいに大麻ならOKな辺り業が深い
【 見世物の戦争に傭兵として投入されたのは身体は10代半ばで止まったまま 記憶は所々欠落しており他人の体験談と自分の実体験の判別が付かない恐怖を欠落させたキルドレと呼ばれる人の紛い物 彼或いは彼女等は誰かに殺されない限り永遠に生き続けなければならない 押井守が描こうとしたのは現代の効率主義最優先で個性を否定し代用可能なシステムの歯車となり摩耗してゆく個人=若者達の姿だったそうですが 娯楽要素を徹底的に削ってしまい色んな意味で大失敗してるイロモノ 深く考えても意味は無いのかも知れません。 】
★でも映像作品としてはアメリカのみならず世界中で上演されDVDも売れ続けてるから興行的には成功しています 原作者も文章では伝え辛い大規模な空戦場面含めて気に入ってるそうです。
☆説明描写を徹底的に削ってますので 原作読まないと⇒もとい原作読んでも意味不明な描写多数 初稿書いた時は何だコレとなりました アレから7年経過し改めて見てみると此れ欧州連合と英国の戦いなのね……まさか未来予測ですか?
日本SF文学の劇場アニメ化作品
スカイ・クロラ=空の昇降補助具或いは履帯
何らかのアナグラムの可能性も
森 博嗣 著
2001年 中公新社 刊
2002年 C★NOVELS 刊
表紙イラスト 鶴田謙二
2004年 中公文庫 刊
表紙イラスト 西尾鉄矢
2016年 英訳版出版
2021年2月半ば ここの所、他人を思い遣る大切さがテーマな温かい物語にどっぷり浸かってたせいか 次にどんな物語取り上げようか迷いが生じ 折角だから先日亡くなった森山周一郎さんがポルコ・ロッソ演じて一世を風靡した "紅の豚" を借りて来る積りが何故か以前滅茶苦茶罵る感想書いてしまった此方の作品に手が伸びてしまいました(汗) 当時の私がこの物語を見る前から嫌悪感を抱いていた理由は 劇場公開から1年後ぐらいに偶々YouTubeで戦線離脱したパイロットを挽肉にするオープニング映像を見てしまった事 現代の空戦でもあからさまに交戦規定違反な行為のみならず無表情の登場人物が無意味に死んでゆく描写が 子供の頃テレビで見て、軽いトラウマになった銀河鉄道999アニメ版の永久戦闘実験室(47話〜48話:観光客を楽しませるために人死に=残虐な地上戦を見世物にしてる星)やキリマンジャロの鳥人(107話:騎士道の名の元に複葉機で空中戦を云々)の其れよりも酷いと感じたからでも有ります。
流石に食わず嫌いはまずいかなと気を取り直し視聴しましたが 感情移入が難しい登場人物ばかり揃ってて、やっぱり好きになれなかった で、本屋に並んでいたアニメ版に準じた登場人物が勢揃いしてる装丁の原作文庫版にも手が伸びず今に至る訳ですが………この間図書館に立ち寄ったら寄贈されててシリーズ全巻並んでたのよ。 どんな物語も独自解釈を許可無く加えてオリジナル作品とは似て非なる映画やテレビシリーズ しかもその大半が原作者に真っ向から喧嘩売ってる押井守監督の事だから読んでビックリする事になるのかな? 企画立案から関わってた "パトレイバーシリーズ" は兎も角、 "攻殻機動隊" も "うる星やつら" も止める上司が居なければ大概解釈の仕方が捻くれてますしね(ため息) 宮崎駿もそうだけど好き勝手やらせたら絶対暴走する半島の原子炉みたいな爺様達です。
劇場公開版と言える今作は製作当時未だ原作シリーズはスカイ・クロラとナ・バ・テア (多分ギリギリの刊行だったから映画には殆ど反映されて無い) の2作のみ 例えるなら長期連載マンガの完結編と前日譚の第1巻のみで起承転結を纏めなければならなかった状況下、キルドレとはどういう存在なのか PMC ロストック社の撃墜王チータの立場を捨て 敵対するラウテルン社の引き抜きに応じティーチャと言う新たなコールサインを貰ったバケモノの出自は不明なまま 信頼出来ない語り手によるモノローグ中心の物語をどう限られた時間で再構成したのか? 取り敢えず映画のストーリー纏めがてら原作小説読み 何れ前日譚辺りも取り上げてみようかと……ところでたった今原作本を読み終えたばかりの私は、この映画を病院に収容されたカンナミ・ユーヒチ或いは草薙水素が見ている白昼夢だと感じたのですが如何でしょう? だとすれば続編のエピソードも色々辻褄が合う様な気がします 夢って時系列通りには進みませんしねぇ。
【 其れはコールサイン・ティーチャと呼ばれる正体不明な敵パイロットによる残酷無比な虐殺場面から始まる 明らかに格下で無線交信から察するに、落とし落とされる覚悟も出来ていない子供達を文字通りなぶり殺す時代錯誤な牽引式戦闘機スカイリィJ2の機体に描かれているのは黒豹或いはチーターを図案化した様なパーソナルマーク 単独でロストック社の散香マークB 3機に襲い掛かり緊急脱出したパイロットを狙い撃ち仲間を助けようとした1機を脱出不可能な錐揉み墜落へ追い込んだ不気味な唸り声を上げるバケモノが雲間に消えると同時に始まるタイトルバック 殺されたくないなら空を飛ぶな……此処は戦場だった。 】
★なお蛇足ですがプロペラが後ろなプッシャー式は第二次大戦前に廃れてまして 実戦配備まで行ったのはスウェーデンのサーブ21J戦闘機だけ プロペラ破壊装置&射出座席積む必要有ったから重くなり ボンクラ兵器で終わりました。
過去は何だか楽しかったと言う記憶しか残っておらず、居なくなった奴の事を少しずつ忘れてゆく………不老遺伝子を持つキルドレとして生まれた函南優一は常に今と言う認識しか持っていない。 固有名詞を覚えられず人の名前についても記憶が有るか大概怪しい そんな語り手の新たな赴任先となったのは草原の中にポツンと取り残された様なイギリス沿岸部に儲けられた262戦隊の小さな飛行場。 此処と似たような場所や人々に見覚えが有るのは何故だろう 出迎えてくれたバセットハウンドと人間の女性整備班長 笹倉永久 着任報告で初めて出会った筈のキルドレな上司 草薙水素 談話室に居た同僚 几帳面な性格の白髪男 湯田川亜伊豆 と無愛想なオジサン風味漂う篠田虚雪に奇妙な既視感を抱く主人公 無断外泊からこっそり戻って来た同じくキルドレの土岐野尚文も加え262戦隊の戦力は、定員の1/3程度の僅か4機 基地司令を兼任する草薙を加えても5名のパイロットしか居なかった
乗って来た愛機の代わりに渡された 前任者 栗田仁郎の散香マークB 262-02を引き継がされた そもそも彼はどんな理由で262戦隊を去ったのか 皆が初対面な筈の主人公を見て何故謎めいた反応を見せるのか 何一つ分からないまま翌日午後敢行された海峡越えの強行偵察 新型戦闘機製造工場のラインは未だ動いておらず空振り状態で戻ろうとした土岐野と函南機に襲い掛かる3機の敵 双発戦闘機
主人公はティーチャと同じスタイルで襲撃を躱し2機を血祭りにあげる 残る1機は土岐野が撃墜し無傷で帰投 あの飛び方をどうやって覚えた? 此処に来る以前は何処の部隊に居たんだ? 初めて乗った他人の乗機に妙な居心地の良さを感じ、談話室でビール片手に質問して来る土岐野の疑問に応えられず戸惑う主人公 お前覚えている筈だろ? そんな眼差しで主人公を眺める土岐野の案内でこの基地には食堂が無いからとバイクに相乗りし訪れたDaniels' Diner 店のマスターやウェイトレスのユリは土岐野が連れて来た新人パイロットの反応や注文内容に納得した様な態度を見せ 常連客は無関心に振る舞う 其れは2人を出迎えに現れた娼館に務める土岐野の幼なじみの娼婦クスミや胸や背中にフクロウの入れ墨を施したフーコもそうだった。
「貴方が現れたと言う事はジンロウは死んだのね……。」
前任者は貴方と同じ様に甘い声で柔らかく笑う だけど主人公と違い見てて何処か不安になる戦闘機乗りだったらしい。 睦言の最中に自分の事を"僕"と呼び"子供で有る事を否定しない" 主人公の態度に可笑しくなり思わず吹き出すフーコ 居残りを決めた土岐野を置いて独り深夜基地にバイクで戻った函南は格納庫で機体を見守る笹倉に遭遇 誰もが口をつぐむ仁郎の死因を問いただすが敢え無くいなされた 同じ頃、執務室に拳銃を残し今は新しい住人のモノとなった仁郎⇒函南のベッドを抱き締める水素の姿
数日後、姉の水素を訪ねて来たと主人公を振り回す少女 草薙瑞季との初めての交流 だが一足遅れて哨戒飛行から戻って来た土岐野は彼女を"水素の実の娘"だと話す 不老の姉と恐らくは人間な娘
「時々あの娘を見てると歳を取れない自分が嫌になる。」
そうボヤキながらも娘の手を離さない水素の姿に微笑ましさを感じる函南 瑞季を家まで送るからと基地司令に頼まれ 基地見学バスツアーで訪れた市民達の応対を任される。 自分達と違い戦争とは無縁な人間の客に嫌悪感を抱く湯田川と篠田 頓珍漢で的外れな質問に必死に英語で応える函南 平和な風景を一変させたのは空襲警報と隣の戦区に所属する戦闘機が撃墜される光景 其れは度重なる損害に業を煮やしたPMCラウンテルン社の報復攻撃だった 基地を飛び出し墜落現場に駆け付けた主人公達 運び出されるパイロットの遺体を可哀想だと嘆く老婆の叫びに子供の様に激昂する水素 戦争を生中継してるテレビ報道によると隣の戦隊に壊滅的な被害を与えたのはティーチャと呼ばれる人間の戦闘機乗りらしい
ラウンテルン社の報復攻撃は262戦隊にも向けられる 警戒網を突破した戦爆連合の奇襲攻撃 偶々ダイナーに居た函南の代わりに水素が262−2番機に乗り迎撃に加わった事で基地の被害は最小限に収まったものの ヘマをやらかした上層部に乗り込む水素に付き合い司令部を訪問 その後色々有ってロストック社の保養施設に1拍した2人は……まぁ大人な男女に有りがちな肉体関係を結ぶのだけれど この映画全年齢対象だしキャラデザインがNARUTOの人だから水素が上着脱ぐシーンしか有りません。 季節外れな大雨の日、主人公と共に哨戒飛行に参加した湯田川が独りティーチャの駆る戦闘機に挑み落とされた 燃料切れで帰還した函南の報告を聞き土岐野や篠田を連れ生死不明な仲間の捜索に出撃する水素がティーチャに挑み行方不明 機体をボロボロにされながらも道路に不時着した水素を見付け連れ帰るフーコ 水素とティーチャは男女の関係だったと言う
PMCロストック社によるラウンテルン本社への全面攻撃が始まる 笹倉等、地上要員や整備チームに留守を任せ基地を離れた262戦隊の残存戦力3機+水素は北部戦区へと移動 滞在先となったのは長距離双発戦闘機 染赤☓5機の戦隊が拠点としている小さな飛行場 あからさまにヤル気皆無な歓迎パーティーを抜け出した土岐野と函南は此処のエースだと言う幼い少女 三ツ矢碧に絡まれる。 戦略爆撃機を護衛する染赤&散香に加え空母艦載機や空中給油機までも総動員した300機近い攻撃部隊を迎え撃つ500機以上の敵戦闘機による迎撃は血なまぐさいモノとなり 双方の犠牲の多さに耐え兼ねた戦闘監視委員会の勧告を受ける形で戦闘は中断 乱戦に巻き込まれた262戦隊は篠田機を喪い 三ツ矢が率いる染赤戦隊は岸沼と熊丈機がティーチャと覚しき戦闘機に落とされる 3名のパイロットを失った報告会は陰鬱なモノとなる
陰鬱な雰囲気に耐えられんと土岐野に誘われた函南は酒や女が楽しめそうな店を探し街を探索 同じ理由で外に出ていた水素もメンバーに加わる形で始まるビールとハンバーガーを肴にボーリング とにかく身体動かしたり酒を煽りたいと始めた其れはグダグダなオチに 意外と運動音痴な水素……実は子供産んでから身体機能だけは外見年齢相応な人間に近付いていると言う 暇を持て余していたポーランド人娼婦達に合流した土岐野と別れ 函南と水素はレストランで飲み直し へべれけになった水素を介抱しながら泊まる場所を探す主人公 自身がキルドレで有る事に耐え切れず精神を病んだ栗田仁郎の自殺を介助したのは水素だった 彼と同じ様に少しずつ情緒不安定になりつつ有る水素も自殺を考えていると言う
戦力再編成を理由に染赤隊の生き残り三ツ矢碧と双子のキルドレ鯉目新技と彩雅が乗機ごと262戦隊へ移籍 基地要員達も含め再びイギリス南部へ移動 戦死した湯田川の後任として基地にやって来たパイロット=合田は名前以外はその立ち振る舞いや細かい癖に几帳面さ 外見のみならず声すらも前任者と同じで主人公を戸惑わせる。 子供を産んだキルドレ=草薙水素に嫌悪感を顕にし情緒不安定となる碧 水素と函南の関係を見抜き余り深入りするなと主人公に警告する土岐野 度々基地を訪れる様になった瑞季と水素そして函南の疑似親子の様な関係 戦闘は小康状態、季節は秋を迎えようとしていた キルドレとはいったい何なのか? 二度の大戦で散布された生物兵器により人から生まれた突然変異種だけでは辻褄が合わない 押し寄せる不安感から恐ろしい推測を見付け出した碧の暴走と水素殺害未遂 キルドレはクローン兵士なのかも知れない 碧と同じ結論に達していた水素は仁郎やティーチャのクローンである可能性が高い主人公に自分を殺して欲しいと懇願するが 水素にキルドレの可能性や変わるかも知れない運命を感じた函南は彼女に生きて居て欲しいと抱き締める
何時も通る道でも違う場所を踏んで歩く事が出来る 何時も通る道だからこそ景色は同じじゃ無い 其れだけではいけないのか 其れだけの事だからいけないのか?
其れは何時もの哨戒飛行任務だった 「僕は父を殺したい……」262戦隊機を狙い現れたティーチャの戦闘機から仲間を庇う函南は単独でオリジナルへ挑む 壮絶なドッグファイトの末に函南の駆る散香マークB 262戦隊2号機は機関砲の直撃を喰らいズタズタに 基地では仲間達と水素に瑞季が主人公の帰りを待ち続けるが函南は戻って来なかった。
ティーチャの殺戮シーン除きエピソードは原作通り……但し解釈がかなり違ったり歪んでたりするのは何時もの押井守作品 登場人物の生死も変えて有るから続編製作は不可能でしょう
原作読んでて興味深かったのは人間とキルドレの違い 変化を異様に恐れるキルドレの描写はアニメにも反映されてますが 整備班長 笹倉永久と函南優一の遣り取りは大半がカット 水素と腐れ縁で外見年齢40代な整備班長の野望は50年前から開発が中断されているジェットエンジンの開発導入……どうもラウンテルン社側でも同じ動きが起きている様です 幾つになっても夢を追うガキな人間と不老で恐らくは不死でも有るけど変化が怖いキルドレの対立 原作版はそんなストーリーも展開してます。




