骨の記憶 09年
2023年3/3〜3/4タブレット端末にて執筆し脱稿 新規割り込み投稿
図書館に返却する前にと急ぎ纏めたので色々端折ってますが勘弁を
【 高度経済成長期の1950年代前半から1964年に周りの大人達に半ば強要された未成年者労働力の供出 其れは集団就職と呼ばれた その実情は戦前の人買いを名前だけ挿げ替えた中学校を卒業したばかりの地方出身な貧困層の子供を "金の卵" と持て囃し雇い入れ徹底的に搾取する悪質な児童労働だけどね 貧乏人は何時までも奪われるばかりなこの生地獄からどんな手を使っても成り上がる だが例えある種の完全犯罪が成立したとしても咎人は自らの心の弱さが招いたその罪からは決して逃れられ無い 枷となる名前も足手まといとなる家族も捨てた少年が辿り着いた未来とは? 結局幸せになれなかった登場人物達が迎えた其々の結末に滅茶苦茶落ち込むと思うので感情移入は止めといた方が良いかも 】
★まぁ此処まで登場人物の人生が全員真っ暗闇だと海外作品なら変な笑いすら込み上げて来る訳ですが あくまでもフィクションと割り切って下さいな
日本 多分・時代小説
楡 周平 著
㈱文藝春秋社 雑誌 別册文藝春秋
2006年11月号〜2008年9月号連載
2009年書籍化 2011年春秋文庫化
令和5年3月3日雛祭り 東京じゃ小池都知事に文字通り損切りされたColaboの仁藤夢乃代表が追い詰められる中、地元紙琉球新報の今日のトップ記事は寄りにもよって13歳のお子様相手に買春仕出かし やることやって取っ捕まった沖縄県警警備部の諸見里大志容疑者45歳 ちなみに辺野古警備の責任者だけど狙われたかな? 発覚と言うか身体売った方な中学生の密告で事件発覚し家宅捜索の末に証拠見付かり逮捕された段階でフォローするのは流石に無理(苦笑) 果たして売った方は本当に彼のNGO団体と無縁な地元のアレなのか今の所は気長に続報待つしか無いのですが真相は如何に 何にせよ県警における警備担当者の綱紀粛正は免れないかと
時事ネタはこれ以上は推測混じりな陰謀論にしかならないので此処までにしときますが 今回取り上げる作品は其れなりに歳を経た私でも精々平成元年か20世紀末に特番組まれたニュース映画の記録映像でしか知らない集団就職列車に押し込まれ首都圏で文字通り使い潰された中学卒業したばかりの未成年者が味わった屈辱やら憎悪が入り交じる後味悪い物語…… とは言え沖縄県民がそんな搾取に巻き込まれた記録は精々後にウルトラセブンの脚本家として脚光浴びた金城哲夫さんの手記とか 沖縄出身者な孤児を宇宙人として虐め抜く帰ってきたウルトラマンのトラウマモノなエピソード "怪獣使いと少年" を始め色々脚本書いた上原正三さんにインタビュー程度しか知りません そもそもこの物語が狙ったターゲットはあの時代を何とか生き抜き老境迎えた人々向けなのかも 或いは2008年のリーマンショックの時期に派遣切りされホームレス体験した世代向け? 今なら武漢コロナや露助のウクライナ侵略戦争 そしてこんなタイミングで消費税を始めありとあらゆる物価高で増税クソメガネ&財務省の官僚達により店潰されたり解雇された人々向けかな
【 高度成長期って本当に明るい未来に向かって突き進む幸せな時代だったのか? 其れを享受していたのは親が其れなりに裕福で高校どころか大学進学も当たり前だった首都圏出身のエリートか官僚の子弟だけ 元より富める者と貧困層の格差が極端だった地方都市 特に近代化の途中で中途半端に放り出された東北地方に至っては令和の時代に入っても未だ格差はあるし時代錯誤も甚だしい差別も残る 貧乏子沢山な典型的な小作人の家庭で生まれ育ったこの物語の主人公 長沢一郎の心を歪めたのは元地主で有り資産家の跡取り曽我弘明に抱く劣等感と親の都合で都市部から此処に転入してきた美しい少女 杉下清枝に抱く一方的な片思いだった 】
★参考までに……昭和30年代 引く手数多な大卒の初任給は1万5千円で次いで高卒は高くて1万前後 ところが中卒が1日平均12時間働いて貰える給与はよっぽど良い職場でも大卒の5分の1 なお四畳半風呂無し調理場トイレ共用な木造アパートの家賃は都心だと月700円だったとか
平成18年11月 此れから雪に覆い尽くされる長い冬が待ち構える岩手県南部美桑町 小学校の教師だった父杉下良治と此処に移り住んだ頃は高度経済成長による木材の需要でそこそこ栄え2万を越えた町の人口も今では3分の1程度 事実上置き去りにされた老人ばかりが暮らす此処の旧家に嫁いだ曽我清枝63歳を追い詰めていたのは 亡くなった義父同様に血液の癌に掛かり余命3ヶ月の夫 弘明の老老介護 2代続けての癌治療 家を出た2人の子は連絡途絶状態 老朽化が進み半ば廃屋と化しつつある家を除き不動産は全て売り尽くし手元に残るのは僅かな生活費と何れ行わなければならない夫の葬儀費用のみ
死ぬなら家でと願う夫に楽な最後をと病棟に通い介護続ける彼女の元に宅配便で届けられたのはリンゴ箱に収められた成人男性の全身骨格と1通の手紙 送り主は集団就職で上京しその翌年アパート火災で焼け死んだ筈の夫の元舎弟 長沢一郎の名で綴られた過去の経緯 収められていた人骨は51年前の秋=昭和30年に突如行方知れずとなった彼女の父=杉下良治の変わり果てた姿だった 半ば事故とは言えトンネル崩落により生き埋めとなる形で父を見殺しにし隠蔽していた犯人は 当時12歳だった恩人として優しい夫として慕っていた曽我弘明と長沢一郎 物語は此処から杉下教諭が不可抗力で生き埋めとなった昭和30年の秋へと舞台を移す
戦後の農地開放まで美桑町の支配者だった曽我家唯一の嫡男で何不自由無く育った弘明に事実上舎弟として仕えていたのは戦後満州から何とか逃げ戻った長沢家の長男の一郎 ちなみに長沢家には両親と彼の下に四人の弟 高齢で病に苦しむ祖父母も居るから総勢9人の典型的な貧乏子沢山 一郎は長男として生まれたから後につかえてる弟達の将来の為にも尋常小学校を卒業し義務教育な中学校を卒業したら早々に都心で仕事を見付ける必要があった 自給自足の農業だけでは此れ以上家族を養いきれない 共働き先を探す母が目指すのは曽我家主導で地元に創業予定の製材所 競争倍率50倍の狭き門を突破するならコネは必須 一郎はどんな無理難題だろうが弘明に仕え何とかしなければならない 其れが例え思いを寄せる清枝の父=杉元先生の死体を隠蔽する汚れ仕事でも ちなみに朴訥な顔であからさまに貧乏だった主人公は都会生まれの清枝にしてみれば人語喋る家畜以下の存在 物語内の遣り取りから推測すると端からイケメンで金持ちな弘明には好意を寄せていたが他はどうでも良い存在だったらしい
色々有りまくりなエピソードをばっさり省くけど 漸く父の失踪から立ち直った当時中学三年生の清枝を激情に駆られるままレイプ未遂 事件は発覚しなかったものの曽我家の経済支援で仙台の高校に進学する彼女に決定的に嫌われた主人公は家族に言われるがまま都心のラーメン店に住み込み従業員として雇われ 集団就職列車で故郷を離れる だが送り込まれたそのラーメン屋の月収は月3000円 此処から生活費や飲食代にアパート代を引かれた上、実家に月1000円を捻出し送金する厳しい経済状況 何か有る度に鉄拳制裁に給与天引きされる文字通り最底辺の奴隷階級 まともな食事すら事欠く主人公の窮状見かね手を差し伸べたのは 戦死した父の軍人恩給と店の売上横領する事で食いつなぐ松木幸助 元軍人で麻薬&アル中だけどそこそこ仕事出来るから解雇免れてる矢部安治等他数人の従業員達 小学校時代からの幼馴染の失踪 遊び人な幸助に誘われ初めての売春体験としっかり喰らった淋病の恐怖 弟の進学のためせっつかれる送金の増額要請と店主からのリンチ
弟の進学費用捻出するため母がわざと事故で指落とし製材所から見舞金貰う色々陰惨な顛末挟み 横領バレ店出奔した松木の共犯者の疑い掛けられ店解雇 泣く泣く故郷に戻る筈だった主人公は偶発的なアパート火災を契機に長沢一郎の名前も過去も捨て 焼け死んだ末に主人公と間違われた松木幸助と入れ替わる形で再出発 雇われトラック運転手から手段選ばないあれやこれ経て会社経営者に這い上がり事務員として雇い入れた樋口多喜子に偶発的に欲情し半ばレイプ同然の肉体関係経て出来ちゃった婚 かなり色々悪どい手段使ったけど此れからは真面目に生き家族と従業員のため頑張るぞと誓った先に待っていたのは初めての出産に耐え切れず事切れた妻と産まれて僅か数日でその後を追う赤ん坊 運送業から土地取引へ……半ば自暴自棄となり金儲けと散財だけが趣味となった主人公が漸く再婚しても良いととある女性に懸想したのは其れから13年後
元没落華族で何処となく清枝の面影が有る親子程歳の離れた池乃上の令嬢 冬子と再婚 90年代、時代は昭和のバブル景気から平成へ 老いを意識しつつも会社は堅実に利益を生み出し続けるが歳下の妻と義父母は端から主人公を金蔓としか思っていなかった事が判明 離婚調停は上手く行かず事実上家庭内別居 再び独りとなった主人公は32年振りに故郷を訪れるが祖父母も父も既に亡くなっており町も何もかも変わり果てた 弟達も其々独立し母独りで暮らしているらしい実家を訪ねようとするが……今更清枝を奪った弘明に対する憎悪から道を踏み外し家族を棄て別人としての人生歩む主人公には合わせる顔がない 平成7年に松木運輸は株式上場 相変わらず義父母共々主人公に寄生し優雅な生活送る妻に何もかも奪われてたまるかと 今まで会社経営に協力してくれた部下達にこっそり資産を移動する 表向きは成功者、その実は資産を殆ど手放した名前だけの会長な主人公に皮膚癌が見付かったのは平成15年頃から度々病に苛まれた末 手術受け足の指を切除したものの既に癌は全身に転移
残された時間は残り僅か どうも経営者として失格だったらしいが清枝と共に幸せな晩年送っているらしい弘明に最後にせめて一太刀を 因縁の山を買い取り51年に渡り生き埋め状態だった杉元先生を動かない身体酷使し漸く掘り出した主人公は事の真相綴った手紙と遺骨を曽我家へ宅配便へ送る手続き終え此れで思い残す事は無いと力尽きる 私の人生は曽我家に何もかも滅茶苦茶にされたんだ父を殺した真犯人には最後まで苦しんで貰おう 夫の希望通り病棟から退院し自宅へ未だ彼女の父親を殺した事実に口を噤む弘明に対する復讐を始める清枝の姿と葛藤映し 半世紀以上に及ぶ長い長い物語はエンドロールへ
ちなみに半ば惚け始めてる清枝の頭の中からは主人公の存在そのものがばっさり消えていた
❖地主(元)の息子だから地元の女……但し12歳だから同級生と後輩限定で何でも出来るとか 集団就職先で解雇され男女問わず非合法な売春行為で糊口を凌ぐ 下ネタになるしR15だからアレな描写は極力自重したけど悍ましさこそ感じても 五木寛之先生の青春の門 みたいなエロさは皆無でグロさが誇張されてるのは世代の違いかも? この物語はあくまでもフィクションだけど史実でもそんな事案多発し1964年に法律改正し取り締まり始まったり 雇い主がせめて高卒レベルをと求める様になったのは70年代に入ってからとか ヒロポン=麻薬ネタも組み込みたかったけど短く纏めようとすると省略するしか無い(泣)
偶々偶然なんだけど此れ纏めてたその日 妹が見てたテレビのバラエティ番組では加藤茶さんがゲストだった………… 以前YouTubeでオープニング主題歌シーンだけアップされてたから閲覧したけどクレージー・キャッツの面々と一緒に単独映画デビューした時、この物語の登場人物達と同い年の1943年生まれだったから集団就職で酷い目に合う役だったんだよな こっちと違って歳下嫁とは上手くやってるみたいですが




