乱歩地獄 05年
2014年9/9ガラケー投稿 2019年2/20タブレット端末にて改稿開始〜同日終了
【 テーマが自己愛性人格障害とSM趣味、果ては腐乱死体の損壊映像やら暴力的なSEXシーンやらかなり悪趣味な方角に走り切った短編オムニバス作品集……“火星の運河に至っては台詞どころか音声無いぞ”何故に私コレ見て感想書こうなんて思い付いたのか……多分色々疲れていたんだね(笑)にしてもコレ全部大正時代に推理小説或いは幻想小説として発表され小学校の図書館にも堂々と置かれていたんだと考えると私等表現の自由の只中に居たんだねぇと思います。つーか市立図書館で普通に読めて借りられるからね…江戸川乱歩作品だけは 】
★原稿手直しついでに読み返すとアレです…当時学校図書館で悪書追放運動が起こった頃でしたね。そういやアンネの日記破いた犯人見つかったんでしょうか?
日本劇場公開作品.
但しR15です。野郎の尻がやたら映りますのでご注意.
江戸川乱歩原作1926年〜1929年発表作品.
書籍化やコミカライズも山程存在し記載しきれないから省略します.
“江戸川乱歩”と言えば“はだしのゲン”やコナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ同様小学校~中学校において図書館定番のメニューでした。流石に今はどうだか知りませんけどね。“怪人二十面相”のシリーズとか“人間豹”“孤島の鬼”とか大正時代~昭和40年代独特のリアルで微妙に歪なイラストに猟奇殺人と変態描写が満載の内容で怖いもの見たさとえげつないエログロ描写を楽しみにドキドキしながらページをめくった記憶が有ります。
思春期前の子供ってなまじその手の知識=性への渇望や欲望が皆無でしたから、グロ趣味やゴアシーンに意外と抵抗感が無いのですよ。生まれ育った環境も割合アレでしたから鶏絞めたり豚や山羊潰す光景も普通にスルーしてた覚えが有りますねぇ……今なら多分直視出来ないし臭いや熱も感じてしまうから多分無理だけどな…今振り返って考えてみると随分エグい内容の小説をよくもまあ平然と読んでたよね私そして無茶苦茶にも程があるよな学校図書館(笑)夢野久作とか魔女狩りや異端審問、凄惨極まりない事件や事故を写真入りで具体的に描いた歴史書とか沢山並んでいましたし、知識がどうこうと言うよりカオスの巣窟でしたねアレは。
“はだしのゲン”とか新里堅進の“沖縄決戦”程度の漫画の残酷描写でアホみたいに右だ左だとギャーギャー騒ぐ連中見てるとつくづく世の中温くなったもんだと思います。あの作品に関するいい年した爺婆共の頓珍漢な検閲騒ぎについては廃止反対派も賛成派も話を聞いているだけでそもそもどちも漫画を読んですらいない事が良く解りました……とは言え私自身も今青年マンガ誌で流行ってる悪趣味なデスゲームとか人体損壊描写や児童虐待とか精神的な虐めのソレ見たらドン引きするか目を背けるかだと思います。否定したくなるのも分からないでは無いのだけれど思春期のソレは今更自身の事ですら思い出したくないモノでは有るのですよ……寧ろこんな作品で鬱憤晴らししてると考えるといちいち検閲するなんざ願い下げです。
読みたくなければ読まないし見ないのが大人の判断だと思いますがお客様もそうでしょ?万人に受け容れられる作品や思想なんて何処にも存在しないのですよ。当たり前の話だけどソレに目くじら立てるアホが多過ぎる…自分の子供に見せたく無い?ソレは親の都合です。子供にだって見る見ないは自分で選ぶ権利が有ります……まさか死ぬまで面倒見きれないでしょう?ペットじゃあるまいし。
今回はオムニバス作品ですのでそれぞれの簡単な粗筋と雑感という形で書き綴ってみます。今回書き直すに辺り動画サイトで“火星の運河”を見て青空文庫で同じく文章を読み返して見ましたがレンタルやってた店が消えた為、5年前の記憶と元原稿参考に再構成してみました。事実誤認や勘違いが有りましたら謹んて修正致します。では。
【火星の運河】1926年発表.雑誌掲載.
荒野で有り深い森にも見える世界を彷徨う性別不明な人間、時折男となり女となるソレが見ているのは灰色の世界。理想の異性とまぐわいまた暴力的に襲われる光景がフラッシュバックし遂に丸い湖へと辿り着いたソレは鏡に映るかの様な光景に赤い色が欲しくなり自らの全身を爪で切り刻む……流れ出す大量の血流はさながら火星を彩る運河の様……漸く悪夢から覚めた男に話し掛けるのは先程まで寝屋を共にしてきた妻の姿だった。
台詞無し音声無しで繰り広げられる野郎と女郎の裸……エロいというより気持ち悪いです(笑)
【鏡地獄】1929年発表.雑誌掲載.
病気療養中の妻の為に鎌倉に滞在を続ける名探偵・明智小五郎は不可解な事件を解決する為に地元警察の協力を仰がれた…それは1人の美しい鏡職人に絶えず付き纏う女達を死地に追い遣る為に造り上げた合わせ鏡の罠。茶道教室の師匠や茶会の出席者、果ては鏡職人の義理の姉と次々と起きた変死事件のカラクリを見抜いた明智は鏡職人の透(加虐趣味のヤリ逃げ男)を追い詰める…が自身が作った仕掛けに閉じ籠った鏡職人は変死を遂げた。
実相寺昭雄監督作品……ある意味乱歩ポサは彼の得意分野でしたっけ。なお原作は丸い鏡を造り上げた変態さんが好奇心に負け狂い死ぬ…そんな物語です。
【芋虫】1929年発表.雑誌掲載直後検閲.戦後再掲載.
戦争へ行かせない為に須永中尉の手足を切り落とし声を奪ったのは妻で有る時子だった。まともに動けない夫を性的に玩び続ける妻の夢はやがて夫と同じ芋虫になる事…それを延々と天井裏から観察していた二十面相はある日箱を届ける…丁度一人の人間が入りきるだけのサイズの木箱を。
オリジナルは戦争で両手両足と声を失った男が恐怖と絶望、妻に対する申し訳なさと屈辱感から妻に抵抗…遂には視力も聴覚も失い自分勝手自己満足な最後を選ぶ主人公の最後を綴った物語。なお小林少年役で女の子が脱いだみたいですが覚えてません(苦笑)
【蟲】1929年発表.雑誌掲載.
厭人病で他人に触れる事に極端な恐怖を感じる柾木愛造は人気女優で幼馴染みの木下芙蓉(本名文子)の専属運転手だった。愛人池内光太郎との逢瀬に度々駆り出され嫉妬に狂った愛造は思い余って芙蓉を殺害……徐々に腐敗し崩れ落ちてゆく彼女をどうにかする為、色を塗ったり防腐剤を注射したりと1日でも長く側に居る為奮闘するのだが…やがて腐敗し尽くした彼女は大爆発。腐った血と内臓に塗れた愛造はまるで全身に蟲が這い回っている様な感覚を抱き悲鳴を上げる。だがそれは全て夢だった…腐乱死体に頭を突っ込み性的な意味で絶頂していた柾木は防護服を着込んだ謎の人物に引き摺り出される。
……この話についてはノーコメントで(笑)流石にアレは色々キツかった。原作は主人公が極端な引き篭もりで土蔵の中で展開されるお話でした。
エログロ描写満載なのに何か惹きつけられる物を感じてしまいヘタな小説なんかよりずっと後世まで読み継がれて来た江戸川乱歩。世の中には懸賞金まで大量につぎ込んで"健全な文学"を絶賛したがる暇人が大勢居ますが今も現役の小説は殆ど存在しませんね。意外と世の中が健全になればなる程、この手の小説にある様な病的な物語が産まれて来るのはどっかでバランスを取りたいという願望が生み出すんじゃないのかと私は思います。
逆バージョンの場合、例えば有名な画家で“ルノアール”という人物がいます。急激な改革と陰惨極まりない国内戦争~首都のパリでさえ餓死者や流行病で死者が続出した彼の人生の中で描かれた人物画、特に女性を描いた作品は“なんかプニプニで幸せそうな”人々の絵ばかりを描いてきた人です。本人は死ぬまで重度のリウマチの発作で苦しみながら助手やモデルとなった女性達に懇願して無理やり手に筆を縛り付けて描きあげたそうですが
本人曰わく「世の中が悲惨な事になっているのに絵画まで悲惨な絵を描いてどうすんの?」という事だそうです(笑)
随分昔の話ですが、朝日か毎日だったか?新聞記者がやっつけ仕事で書いたコラムでボロクソに批判している内容を読んで失笑した事があります。なんでも太った身体は不健康だ!病気だよ!!という病気なのは書いたあなたでしょうな本当に惨めな記事でした。アニメや漫画を全否定あるいは全剪定する人は結局の所プラスかマイナスでしか物事を考えてない究極の間抜けです。NHKやらその手のお目出度い頭しか無い人々が"表向きの理由"だけを捉えて発言する光景は本当に間抜けそのものでした。そりゃまあ原作者のあの発言も本人の想いなのは確かですけどね、それだけじゃ無いと思いますよ。
何よりも前提としてあったのは余りに理不尽な体験を描き残したかった、描いてみたかったに尽きると思います。自分は描ける、だから描いた。それだけの話です。




