永遠の〇 13年
映画の中で徹底的に冷遇されたアメリカ海軍航空隊や防空システムの描写説明書こうかと思いましたがキリが無いから止めときます(笑)
敢えて書く事と言えば、当初リスク分散と予算の節約を兼ねて小型空母の開発を進めていたアメリカ海軍は、特攻隊の被害をきっかけとして防御を強化した「巨大空母」の建造に進む事になりました。
たった1隻で日本の防衛予算を食い尽くす原子力空母は悪夢の末に誕生した特攻隊の遺産です。
【主人公の姿と心情が見えない作品でした】
未だ観てない人は原作あるいはコミック版を見てから鑑賞した方が良い作品です。
時間の都合上ダイジト版になりました。
正直に言います。
滅茶苦茶期待していた映画でした。
宣伝用にコンビニで販売された「21型→22型→52型の零式艦上戦闘機各形式」や「99艦爆」「彗星艦爆(しかも後期生産33型)」「紫電改」
某レンタルDVD店では更にマイナーな初期のアメリカ海軍航空隊の戦闘機~攻撃機の販売も有りました。
(出撃→即座に壊滅→以降出番無しな艦上攻撃機デバステータなんてマニアも意外と知りません(泣))
良くて模型。あるいはアメリカ海軍の空母で代用していた空母「赤城」もCGで初登場した映画です。
※何故か巨大どんぶり抱えて微笑む美少女巫女を思い浮かべたあなたは色んな意味で手遅れです(笑)
※「飛龍」や「瑞鶴」に比べブリッジのシーンや「ミッドウェー海戦」での格納庫大爆発シーンしか出番が無い空母です(笑)
映画「太平洋の嵐」で現在のCG技術でも再現出来ない特撮作った「円谷英二」が原因だったりします。
姿すら見えない「加賀」や「翔鶴」「蒼龍」名前すら出てこない空母も居ますけど。
映画の時間的な都合、搭載機もわずかな小型空母2隻の損失。「真珠湾」~「ミッドウェー海戦」の間に強行された多数の作戦でほぼ空母3隻分の搭乗者と航空機を失った事実もしっかりオミットされました。
戦果は確かに有りましたが当時の零式艦上戦闘機の月間生産能力は僅か50機しか有りませんでした。
空母に乗れる搭乗者の養成は最短でも3年以上。
ミッドウェー海戦が勝利で終わったとしても後は「戦艦」でどうにか艦隊決戦するしか無い状態です。
1昔前「勝てない戦争に巻き込まれた自分達は可哀想だ(泣)」な
あまりに酷い無様な作品で色んな意味で泣かされた私は今度こそまともな戦争映画が見たかったんです。
日本映画で本当に美しい零式艦上戦闘機。
特に空母搭載の21型は独特の「飴色塗装」
の再現&カラー撮影がほとんど存在しませんし、流石に戦争から60年以上経過して当時の体験者も大半が鬼籍に入った時代に作った映画である訳ですから、役者さんにはあまり期待していませんでした(笑)
…ところが、主人公「宮部久蔵」役の「岡田準一」さんの演技は見事でした。
特にラストのあの不敵な微笑みは是非ともDVDで見て下さい。宮部の妻役の「井上真央」も健闘してます。
じじむさ×→もとい人格者の戦闘機乗りの話は今まで聞いた事も読んだ事もありませんが(笑)
最後のあの表情はかなりらしい表現だったと思います。
但し、脚本や映画の演出部分のミスとして何故彼が戦闘機乗りとなったのか?
戦争前から同僚に「海軍1の臆病者」呼ばわりされていた理由が今ひとつわかんないです。
※徴兵制度のあった時代なんですが流石に「戦闘機乗り」は本人の志願と才能が無いと成れませんぜ?
※日華事変の辺りまで海軍航空隊の出番はあまり有りませんでした。
相手のソビエト派遣航空団もアメリカがこっそり派遣した「義勇軍フライングタイガース」もなるべく直接対決を避けて戦力の充実を優先していました。
例外となったのはスピードは出るものの爆弾の搭載能力や燃料搭載能力が最悪で長距離作戦が物理的に不可能だった陸軍爆撃機の代わりに派遣され
多数の被害を出す事になった陸上攻撃機(魚雷搭載可能な大型爆撃機)
※隼や零戦登場まで長距離護衛が出来る戦闘機が有りませんでした。
坂井三郎さんが最初に所属する大陸派遣戦闘機部隊です。
当時の戦闘機は小型で旋回能力は優秀でしたが航続距離の無い「九六式艦戦」で結果的に奇襲攻撃を受けた敵爆撃機の補足に失敗する等、悔しい経験を重ねてゆきます。
(尚、坂井三郎は最後まで空母に乗る事はありませんでした。陸上航空隊員として戦争を生き延びる事になります。)
なまじ現代編の主人公がアレな人物だったんで尚更「宮部久蔵」の人物像が見えない作品でした。
…他の同僚役は更に薄っぺらいから論外ですけどね(笑)爺さん軍団はCGで代用可能なキャラクターになりましたし。
実は原作については何時もの「ひねくれ根性」が邪魔をしてちょっとしか読んでません(泣)
DVD借りる前に読んでおけば良かったと今後悔中です。
反発覚悟で敢えて作品名挙げますが大長編の原作小説を馬鹿にしているとしか思えなかった「零戦燃ゆ」とか、甘ったれの馬鹿息子が自己憐憫満載で書き上げた「俺は君の為にぞ○○○○○」とか(笑)
あんな駄作&凡作な特撮使い回し映画よりは完成度が高い作品ですよ。
特にあの「たわけ」については政治家としての決断を評価しても、人間としては某自称映画監督の井筒とどっこいどっこいな「人間の屑」ですからチャンスがあれば盛大にディスります(笑)
実際つまんなかった作品でしたし。
※普通に考えると柳田邦夫さんの「零戦燃ゆ」は映画にする事自体大間違いもいいとこですけどね。
多数の登場人物による物語の展開。日米の技術開発史を徹底的に調べ上げただけでなく、日米のパイロットや様々な立場の人物による貴重な証言。誰が読んでもパーフェクトな作品でしたし、晩年の坂井三郎さんも愛読していた作品をあんなふざけた映画にしてしまった脚本家には軽く殺意を抱けます。
あくまでも主人公「宮部久蔵」を中心とした思い出話として描いた映画として楽しむ?作品です。
ここから先はその手の小説や専門書を何十年も読んできた「飛行機マニア」の愚痴と無駄知識になります(笑)
適当に読み飛ばして下さいな。
【特攻隊の描写について】
あの戦争から既に何十年も過ぎているのに未だに左右で勝手に美化したり、非人道的な作戦として日本独自のおぞましい発想の様なイメージがある「神風特攻隊」ですが、具体例を挙げると「第一次世界大戦」の頃から航空機による「体当たり攻撃」は世界中で行われています。
パイロットの平均寿命が実戦参加1週間以内の帝政ロシア航空隊によるヤケクソ以外の何者でも無い組織的な特攻作戦に始まり以降の時代でも個人による「神風」は何度となく行われて来ました。
※フランスやイギリスから輸入した戦闘機にドクロのマークを描くパイロットの写真が残っています。翌日には帰って来なかったそうです。
皮肉にも日本のアレが世界的に有名になったのは「真珠湾攻撃」で活躍したある中将の異常なアイデアが上意下達で通ってしまった事と出撃→命中までの壮絶な記録映像と証言が敵味方によって後世まで残った事にあります。
レーダーや航空機無線等の電子機器開発遅れ。
情報分析の惨めな格差。
※開戦後の約半年もの間、アメリカ側に人種的な偏見もあった為、多数の被害が出てから分析が始まりました。皮肉にも零戦の大活躍最大の原因となっています。
結果的に防衛任務に向かない軍隊を作り上げてしまった日本は空中や海上輸送中に失った戦力を遥かに上回る被害を滑走路や工場で受ける形で壊滅してゆきます。
補給物資や燃料輸送の大失敗も国内での搭乗者養成に失敗する原因となりました。
皮肉にも零戦の大量生産がスタート出来たのは本来の三菱では無く「ミッドウェー海戦」の大敗北以降「隼」や「疾風」等の陸軍戦闘機を生産していた「中島航空機」で生産が始まってからです。
ちなみに開戦当初、日本にあった零戦は僅か100機。
どう考えても最悪の状況下のスタートでした。
かろうじて離着陸は出来ても「敵」に会ったら間違い無く撃墜される技量しかない新人パイロット。
生き延びたベテランが必死に指導したくとも殆ど通じない無線機、出撃すれば間違い無く全滅。
かと言って地上待機でも壊滅が確実な戦況下の中、産まれてしまった作戦が「特攻作戦」でした。
当初は苦し紛れの1発限りの限定作戦の予定で優秀なベテランパイロットの志願で行われた「特攻作戦」は安易に成果を欲しがった軍の上層部、無責任な国民世論、煽りまくったマスゴミの宣伝行為で遂には陸海軍による全面特攻へとなってゆきます。
投入された航空機もどんどんチープ化が進んで最終的には自力発進が不可能な「桜花」や「赤トンボ」と呼ばれた複葉練習機まで使われました。
※かろうじて開発に成功した「紫電改」「五式戦」等の新型機は本土決戦の為、可能な限り温存される事になります(笑)
【零戦が有名になったのは戦後からです】
脚本のミス?映画の中である元搭乗員がポカやらかします。
当時海外の新型戦闘機の正確な情報を知る筈が無い状況下で
「世界最強の戦闘機」と豪語するおバカは1人もおりませんでした(笑)
特に艦隊勤務のパイロットの場合は下手な情報開示が本人だけでなく母艦に待機する多数の同僚の命に関わります。
アメリカ海軍航空隊についても事態は同じで地上勤務の人間には一切近寄らない傾向がありました。
戦前から有名だった「隼」戦闘機と異なり「零戦」が1般的に知られる様になったのは敗戦後数年が経過してからです。
当然航続距離や強力な20ミリ機関砲についても極秘扱いでした。
【オマケ:主題歌について】
……この映画に「サザン」のあの曲は必要だったんでしょうか(笑)
AKBやもも色クローバー出されるよりはマシでしたけど。




