鉄血作戦を阻止せよ/奪還チーム③ 86年
2014年2/26ガラケー投稿 2018年10/25タブレット端末にて改稿開始〜12/24脱稿
【 元々都市国家群だったドイツは北はロシア帝国やポーランド王国から南はオーストリアハンガリー帝国にフランス共和国から常に板挟み、ドイツ帝国が誕生するまでは事ある度に双方から兵士や食糧等の供出を求められるそんな状況でした 第二次大戦後今度はワルシャワ条約機構vsNATO軍の尖兵として戦わされるのか?俺達だけが何故そんな目に 積りに積もった結果があの“ベルリンの壁崩壊”だと考えるとこんな形での暴発もあり得たのかな 今となっては“たられば”の噺です。 】
原題:Bismarck Cross
ビスマルクの十字架
アメリカ.ポリティカルフィクション作品.
83年日本向け書き下ろし
86年新潮文庫で出版〜2018年現在は廃版
85年アメリカでペーパーバック出版
実は初稿書いてた時は存在そのものを忘れてましたが久しぶりに某通販サイトで表紙写真見つけて漸く思い出しました。マックスがAWACS機E3Gのレーダーと電子の眼から逃れる方法はこの時代に市販が始まったばかりのウルトラあるいはマイクロ・ライトプレーン。 てっきりアレはハングライダーとほぼ同じぐらいの歴史が有るのかと思ってましたが小型高出力エンジンの量産と複合素材(要するにカーボン)の安定供給が可能となりジープに搭載可能な組立機は丁度その頃市販品が出回る事になりました。
あたしゃてっきり"007は2度死ぬ"の頃から有るのかと勘違いしてましたわ。
SLトンプソンの小説は、1作目以降はまず新潮文庫書き下ろし〜後日アメリカでのペーパーバックによる出版となる予定 ところが日本語版は翻訳作業がそれなりに難航した為に本巻以降はアメリカ版が若干早く出回ります なお、ほぼ最終回と断言できるこの物語を最後にポツダムのアメリカ軍事情報連絡部は史実より一足早めに廃止 意外と影が薄かったアイク・ウィルスンの出番もこれが最後となります。
それにしてもこの物語、発売時は分割支配される彼等の悲劇に同情しラストの敬礼シーンに感動すら覚えたモノですが 東西ドイツそのものが昔話になってしまった今となっては彼等の命懸けの行為は全くの無意味だと断言出来るのは虚しい限り 一時は統一による大不況で人材の海外流出すら懸念されたドイツは今ではパヨク政権とその首相によりアラブやアフリカ系のドイツ語どころか故郷の言葉や自身の名前書く事すら出来ない難民=棄民の方が地元の人間よりも偉い そんな巫山戯た国に成り果てます 街中でレイプ事件が起きても捕まるのはアラブ人では無くソイツに怪我を負わせた被害者の肉親 案外東西の狗であった頃の方がまだ人間的で文化的な生活送れたのかも
今じゃ差別するなってデモが取り締まられる現状聞いてると特亜より惨めな状況なんだと悲しくなります フランスやイギリスで巻き起こるヴィーガンのテロやポリコレやらかす恥知らず共の言葉狩りといい今のヨーロッパに自由は有りません。 では粗筋へ あくまでも86年当時読んだ記憶から再構成した内容ですので御注意下さい。
【 今作に登場する“AWACS機E3G型早期空中管制機”は空飛ぶレーダーサイトの任務だけでなくJ-STARSシステム…衛星情報や偵察機&攻撃機の作戦遂行を監視しながら届いた情報を分析し戦略ゲームの様に映像化するシステム。地上の作戦車両や場合によっては発信機を付けた個人の監視すら可能なスパコン搭載した化物です。実際のE3は流石にそこまでやれませんが…今じゃドローンや兵士に持たせたカメラでコレと同じ事が可能、後はドローンに爆弾や銃持たせたら単なる殺し合いなら人間要らなくなりますけどね。 】
☆ドイツ側の登場人物ですがフォン・アルニム将軍は覚えていたけど他の決起将校の名前ド忘れしてます。当初過激な言動の噂が絶えない将軍の監視役〜色々有って副官となった今作の実質的な主人公=シュタイナー中佐(仮)東ドイツ領内で核兵器をハイジャックした指揮官名=ベルケ大尉(仮)マックスと共に停戦監視団のメンバーとして現場に乗りこんだソビエト軍技術将校=イワノフ中佐(仮)で粗筋進め…いずれ本が見つかった或いはコレ読んだお客様から情報頂ければ喜んで修正致します。
新型スパイ衛星サムソンが撮影した写真を巡る元大統領との対峙、相棒であり先輩のアイク・ウィルスンとの殺し合い寸前な決裂…そして国家反逆罪容疑(冤罪)による死刑を免れほぼ1年近い入院とリハビリそして多岐に渡る情報部員としての研修を終えた主人公マックス・モスは連絡部の将校としてポツダムに戻ってきた。相棒のアイク・ウィルソンとも幻扱いとなった軍事法廷以来の再会を果たし仲直りついでにポルシェで東ドイツ人民警察を翻弄する等相変わらずのやんちゃ振りを発揮する。今回は何事もなくパトロール任務を終了し連絡部に帰還した彼等を待ち受けていたのはまたしても命懸けなトラブル。
それは半世紀以上も続いた対立構造が生み出した命懸けの反乱行為。第三次世界大戦を想定し定期的に行われるNATO&ワルシャワ条約機構双方による核兵器極秘運用試験を利用した東西ドイツ軍人による核兵器の奪取と試験運用中だった新型AWACSシステムが搭載されたE3G空中早期管制機のハイジャック。決起した今回の悪役=フォン・アルニム将軍が求めたモノはドイツ国土を犠牲にした東西冷戦構造の即時停止と統一ドイツの復活だった。コードネーム・ビスマルクの命令下決起部隊は片やアメリカ片やモスクワへ核の照準を合わせ何らかの行動が発覚した場合躊躇なくソレを使用すると宣言。機甲師団も少数精鋭の特殊部隊も上空監視で丸見えの状況となり身動きが取れない。
E3G管制機の飛行限界時間は丁度残り24時間。アルニム将軍からソビエト連邦とアメリカ.イギリス.フランス各政府に提示された条件は容赦の無いモノだった。
①東西ドイツ国内に展開する全ての外国軍&その家族全員の24時間以内の撤退、核兵器も含む全ての武装は統一ドイツへ引き渡す事。
✳現在は恐らく不可能でしょうが当時の冷戦は核兵器使用前提。24時間でドイツを脱出&西ドイツ市民ごと侵攻軍を核兵器で焼き尽くす…その為の避難マニュアルや定期訓練も年中行事でした。別作品だけどそこの描写入れた娯楽小説もあったのですよ。海外赴任の際は何時でも逃げられる様…まあそんな発想だったから西ドイツでも沖縄でも要らない軋轢生んでるんだけどな。
②東西ドイツの再統合。全ドイツ人による国民選挙の実施。
③事実確認と停戦協定締結後の連絡員&人質を兼ねて核兵器を運用していた当該国の技術士官1名と東西ベルリンの連絡事務所より将校を各1名ずつ派遣。
④その間違反行為&妨害行為があった場合関係各国に向け核ミサイルを発射する。
ベルケ大尉指揮下の東ドイツ側決起部隊への状況確認&時間限定の人質兼交渉連絡係として送り込まれたのは、ソビエト軍技術士官イワノフ中佐とアメリカ.イギリス.フランス軍に所属する連絡部の将校各1名。メンバーの中には勿論主人公も居ます。アメリカ軍に襲撃をかけた西ドイツ軍決起部隊と違い催眠ガスが使えなかったベルケ隊はソビエト軍兵士達から拷問により起動コードを入手しその後皆殺しにしたと聞かされた技術中佐は激昂し恐怖を露わにしますが、連絡事務所の各国士官達は本当の所、決起部隊に同情的でした。
マックスを初め連絡事務所で様々な諜報活動を経験してるフランスやイギリスのメンバー達は容赦無く追い掛け回す人民警察だけでなく東ドイツ国内の悲惨な現状に内心忸怩たるモノを感じ取っていたのですから…だが同時に彼等は知っています例え自分達を巻き添えにしてでも祖国は最大限の利益を手に入れる為に手段を選ばない…交渉は間違い無く決裂し彼等の決起は必ず失敗し東西ドイツ国民への血塗れの報復が始まるのだと。
下手に上層部と連絡取れば遅延作戦は瓦解する、何より上空に浮かぶ電子の眼が邪魔をして秘匿回線すら使えない。ならば責任は俺達で取ろう…隙を付き看守役を任された兵士を殺し起動キーを管理する将兵も処分した彼等はそれぞれ別々の方向へ逃走を図り、ベルケ大尉配下の特殊部隊兵士を相手に総絶な抵抗を始めます。最初に犠牲となったのは理系出身で戦闘訓練すらままならないイワノフ中佐による熾烈な時間稼ぎ……誰よりも多くの敵を引き付け逃げ回る必要があった主人公は事前に仕込んでおいた彼等だけに通じる“猟師の道標”を使い密かに待機していたアイクと合流。戦闘ヘリや滅茶苦茶な機動性を誇る6輪装甲車を相手に命懸けの鬼ごっこを続けました。
空ではアルニム将軍とシュタイナー中佐vs合衆国&東欧電子戦チームによる頭脳戦が繰り広げられ地上では人質となっている筈の工作員を犠牲にしてでも東西ドイツ国民やそれぞれの祖国一般市民に事態を知られる前に全てを闇に葬りさる為新兵器投入の準備が進められます。結局敵味方を問わず多くの犠牲者を出して反乱軍は鎮圧。逃げ回った腕利きの各国奪還チームメンバーも重傷を負ったモスとマックス以外全滅しますが核ミサイルの起動キーは最初に犠牲者となったイワノフ中佐の機転により地中深くに埋められます。
そして決起部隊を率いたアルニム将軍達やシュタイナー中佐も最後の時を迎えます。撃墜の為出撃したのはドイツ空軍。人質になっていた米軍パイロット達を脱出させ、もうこれ以上の犠牲者を出さない様にと彼等は海へ向かいます。
「いつの日か冷戦の終結を、バラバラになったドイツの再統一を」
それは撃墜命令を受けた戦闘機パイロット達も同じでした。ミサイル発射の為、早期警戒機から離れてゆく彼等に将軍は敬礼します。戦闘機パイロットも敬礼し去ってゆきました。物語は死を目前とした彼等の姿を書き残し幕を閉じます。冷戦下のドイツを舞台にしたこの小説は当時明日にも起こりかねない悲劇でした。
ところが現実の歴史は意外な方向に向かいます。
ベルリンの壁崩壊から始まるドイツ再統一。ソビエト連邦を始めとする東欧共産圏の崩壊です。




