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A10奪還チーム出動せよ 80年

物語は架空ですが連絡事務所は史実でした。存在が発覚したのは1985年の事になります。誰も小説が事実だと思ってなかったんだよ。

2014年2/24ガラケー投稿 2018年10/25タブレット端末にて改訂開始〜12/21脱稿

【 そういやNHKのラジオドラマ版はアクションメインの物語を原作通りやっちゃったら爆発音と銃声にエンジン音がメインとなる為に声優さん達が四苦八苦していた覚えが有ります 2018年現在書店で唯一入手可能な奪還チームシリーズ第1弾 主役はA10Fと呼ばれる操縦桿では無く脳波コントロールで操作するA10サンダーボルト攻撃機改造型と目茶苦茶なチューンナップされたフォード・フェアモント 鬱屈背負った主人公マックス・モスはあくまでもアクセント 凄惨な過去を背負うアイク・ウィルソンに至ってはシリーズ通してほぼ出落ちキャラでした 】


原題:RECOVERY 

回復あるいは復旧

アメリカ.ポリティカルフィクション作品

83年新潮文庫.

09年ハヤカワ文庫で発売.

1987年NHKアドベンチャーロード

でラジオドラマ化


★1988年に原作大幅改稿の末にアメリカで映画化.日本未公開 HONOR BOUNDホノルルバウンド/邦題バニシングシティのタイトルでビデオリリースしましたがA10出て来ないし車はプジョーだし舞台は原作遵守し東ドイツ領内の分割都市ベルリンなのに何故タイトルがハワイのホノルル?とまあ話題にすらなりませんでした。ぶっちゃけビデオ販売されただけでも奇跡みたいなモンです。



 時代はソビエト連邦のアフガニスタン侵攻&傀儡政権樹立の翌年。アメリカの世論ではソ連は悪役…実際は当時連邦領だったカザフスタンやグルジア、アルメニアへのイスラム原理主義浸透による反政府テロ攻撃&麻薬中毒者蔓延に対する対応策だったのですが(アフガニスタンにおけるイスラム原理主義者の外貨獲得手段はヘロイン製造)チェコやポーランド等酷い前例が有りまくりで何処からも信用されて無かったという現状が有りました。世論自体がイスラム原理主義を掲げ抵抗を続けるムジャヒディンに同情的でしたのでCIAがパキスタン経由でこっそり支援を開始…そんな頃の作品です。


当然ながら娯楽作品も…特にポリティカル・フィクションと呼ばれる謀略やテロリストとの戦いをテーマにした小説や映画ではソビエトはテロリストを支援する悪の親玉。結果ソレと敵対する中華人民共和国は正義の味方扱い…既にカンボジアで傀儡政権使ってやらかした“大量虐殺=キリングフィールド”やベトナム領での蛮行に南沙諸島への侵攻も知られていましたが誰も真剣に捉えず、カナダやアメリカ国内にて本国と色々繋がったまま上海租界や香港&マニラ方式で棄民を送り込み続々と土地や会社株を購入して勝手に住み着く現状も深刻に受け止められ無かったのです…まあそのツケが今のていたらくなんですがそれは今回の話にはあまり関係がないから此処までにしときます。


ちょっと脱線したから元に戻し簡単に歴史背景の説明を


 80年代初頭、東ドイツ=正式名.ドイツ民主共和国は実質的なソビエト連邦の属国であり東西冷戦の最前線でもありました。だが東ドイツ領内の首都ベルリンだけはちょっと事情が異なります。あの街だけは第二次世界大戦後の協定によりソビエト.アメリカ.イギリス.フランスに分割統治される占領地だったのですよ。東はソ連邦、西は米英仏の領地となりますが離れ小島みたいな状況ですので大使館では無くそれぞれの地に軍事連絡事務所を設置。


大使館では無く軍事連絡事務所となったのは東ドイツが我々の首都だと公言するベルリンを西側が東ドイツ領として認めなかったという色々面倒臭い事情が有りますが、ソレはさておき西側の各国連絡事務所の役割は東側からの政治亡命者の保護と軍事情報の収集及び流出の阻止という面に有りました。警備が厳重で両軍が対峙する東西ドイツ国境地帯と違いベルリンで国境を仕切るのは高いコンクリートの壁と秘密警察だけ。協定が守られているか…具体的には勝手な軍備増強が行われていないかどうか双方が車両による相手側占領地域のど真ん中に連絡事務所を構えパトロールを実施していましたのでソレに保護して貰い支配地区に逃げ込む事さえ出来れば治外法権で逮捕されたり撃たれる恐れは無い。実際に多少の小競り合いが発生し殉職者まで出ていたその戦いが終焉を迎えたのはドイツ統一後になります。


特に軍事情報で狙われたのがソビエトがたゆまない開発ラッシュを繰り広げた戦闘機開発。大戦末期、可変後退翼やVSTOL技術に関わっていたドイツ人技術者を大量に抱え込んだ事で想像だにしない新型機を次々と開発&数千単位で投入し果ては西欧に敵対的なテロ支援国家に送り込んで来るんですからアメリカは気が気じゃなかったわけです。で脅威を感じていたのはソビエトを盟主とする東欧諸国も同様で電子兵装や無人兵器等に対する合法&非合法な情報収集は軍備増強で国内経済が破綻する80年代後半まで続きました。


なお物語前半、領空侵犯機追跡を口実にワザと国境を越え最新装備満載のA10Fに襲い掛かったのがMig25の低空戦闘型なのかは、偶々衛星写真で撮影された開発中のMig31戦闘機(勿論ソビエトの公式発表無かったから“狐狩り用の猟犬=フォクッス・ハウンド”というコードネームが付いていた)をマッハ3クラスのスピードで襲いかかる低空侵攻型の戦術戦闘爆撃機と誤解していた事情が有ります。昭和生まれのそれ也の年齢なお客様なら覚えているだろうけどレーダー網掻い潜って函館空港に逃げ込んで来たMig25の事件切っ掛けにこれからの戦争は如何にレーダー網を掻い潜るかという論争が当時の航空軍事雑誌で論争になっていたのです。


★確かクリント・イーストウッドがマッハ6で飛び回り思考誘導で操縦するMig31を盗み出すファイヤー・フォックスって映画(82年制作)が小中学生に話題となってましたね。多分某アカギツネなソフトは無関係です。


★Mig25MFは80年当時監視衛星で撮影された複座戦闘機フォクッス・ハウンドの推定番号でした。Mig21の最終型がMFだから多分…まあ当時のジェーン航空年鑑の情報分析能力はその程度だったのですよ。


まあその数年後、日本が発明した如何なる電磁波も吸収&乱反射する塗料フェライトと電子戦闘機の発表で今度はステルス機論争が始まるのですがね。あと84年に衛星写真で開発中のMig29フルクラムとSu27フランカーが新たに見つかって航空雑誌で大騒ぎとなるのですが本編には関係ないからオミットします。兎に角このシリーズ全部で4作もあるし書き直しばかりにかかりきりになった日にゃ先月あたりから右肩下がりのPVが尚更酷い事に成りかねません。サッサと粗筋へ移ります。


【 物語はアラスカ基地で暗号通信に携わるポーランド亡命者=実は長年ソビエトの為に活動続ける軍情報局のスパイがNATO合同軍事演習に派遣される事が決まった新型地上攻撃機A10Fの情報を手に入れるシーンから始まります。名前忘れたけど結局このオジサン…誰にもスパイだと気付かれないままエピローグで再び再登場して次のテスト飛行場所を確認しニヤリとしてましたが…当然ながら以降の出番有りませんでした。 】


★86年当時に新潮文庫版読んだ時の記憶で書いてますのでかなりウロ覚えです。指摘頂ければ喜んで訂正致します…キャラ名はネット検索出来たんだけどな。


 大手軍需産業を率いる高圧的な父親に反発しプロのラリードライバーを目指していた筈なこの物語の主人公マックス・モスは業界そのものに手を回しレースの世界から追放された腹いせに父が最も軽蔑する空軍へ志願した。車両整備兵として堅実な仕事をこなしたまの休日はイギリスの田舎道で非合法の野良レースに参加する事で鬱憤を晴らすモラトリアムな日々……ヨーロッパでの任期を終えいよいよ退役で仮住まいの軍からも追い出される事が決まったその日、やけ酒を煽るマックスに元同僚から提案されたのは東ベルリン近郊ブランデンブルク州ポツダムに存在する謎の職場“軍事連絡事務所の運転手”という仕事へのスカウト。


給料も良く4年間の勤務期間は随時延長。ドイツ語を地元の人間同様に流暢に使いこなしロシア語やフランス語等も堪能であり、レース経験が有り現場での応急修理やメンテナンスに精通している事が彼が選ばれた理由。但し勤務地の秘匿等の守秘義務があり命の危険も有り得る……幼少期東ドイツの外交官だった父に連れられ土地勘が有る事と学生時代何度となくラリーでの優勝経験が豊富な人間を必要とする危険な職場とは何なのか?兎にも角にもシャバに出てアメリカへ何もかも気に入らない父が権力振りかざす土地へ帰りたくないマックスは無条件でその誓約書にサイン。


 マックスの新しい職場…そこは敵のど真ん中東ドイツ.ポツダムに設けられた軍事情報連絡部。ごく少数の将校と一般兵士のみで構成された少数精鋭チームに課せられた任務は“ベルリン・パトロール”と呼ばれる東ドイツ人民警察やソビエト本国から派遣されてきた車両追跡のエキスパートの尾行や実力行使も有り得る妨害行為を潜り抜けながら敵の情報収集と非合法な手段で略取された軍事機密やパイロット達を彼等に抑えられる前に奪い取り西側の砦である連絡部へ送り届ける事。


非合法の工作員に東ベルリンの恋人を惨殺された陰惨な過去を持つ無口な先輩アイク・ウィルソンとの研修任務で下手なラリー仕様のソレとは桁違いにチューンナップされたフォード・フェアモントに乗り込み始まった初任務で人民警察のパトカーを自滅事故に追いやったマックスは帰還途中とんでもない状況に追い込まれるのだが此処で場面は東ドイツ国境近くでおこなわれた新型攻撃機A10Fも紛れ込んだ実弾演習のシーンに移る。


 ソビエト軍情報部コシュカ大佐の指揮下始まった電子妨害と低空戦闘に特化した特殊仕様のMiG25MF戦闘機4機による攻撃機拉致作戦は米軍機を東ドイツへ追い込む事には成功したもののパイロットの粘り強い抵抗とA10Fの予想外の高性能な能力により返り討ちの様相を見せ始めていた。壮絶な空中戦の結果…拉致部隊はほぼ壊滅し満身創痍の攻撃機は重傷を負ったパイロットの最後の努力によりブランデンブルク州に不時着。偶々パトロール研修中だったアイク&マックスペアが東ドイツ人民警察より先に現場へ到着した。


断末魔のパイロットからジーザスボックスと呼ばれる脳波コントロールシステムを託され彼の遺体とシステムを乗せたフェアモントへ容赦なく浴びせられるマシンガン…何とか追跡を巻いたもののフォードのGPSと無線機は破損、頼りになる筈の先輩(アイク)は撃たれ意識不明の重体。15年前の少年時代の記憶を頼りに父エリック・モスの愛人だった地元名士キゼラ・コッホの家へ必死に辿り着いたマックスは彼女から相棒の応急処置と逃亡の手助けを支援して貰う代償として彼女の1人娘であり幼馴染み…実はマックスの母親違いの妹にあたるヨハンナ・コッホの身柄と彼女の政治亡命を託された。


 相棒は意識不明のままで連絡事務所の支援も期待出来ない不利な状況下、頼りになるのはブランデンブルク州の小道や道路状況を知り尽くしたヨハンナのアシストとマックスが持つ運転技術だけ。パトカーだけでなくMi24ハインド戦闘ヘリや戦車に特殊部隊の追跡と攻撃、果ては東ドイツ人民警察ミューラーの執拗な追跡を命懸けで躱しながらコシュカ大佐を事故死に追い込み満身創痍な姿で連絡事務所に駆け込んだ彼等を待ち受けていたのは……。


まあ続編あるから大体察しが付いてるでしょうがラストはハッピーエンドとは言え色々グダグダですからこんな感じで纏めます。流石にフォード・フェアモントではパワー不足と感じたのか二作目では改造チェロキージープに代わるワケですが…考えてみればハマー登場以前の物語なんだよなぁこのシリーズ。




2022年1/1追記:A10F改めサンダーボルトⅡ改 ㊗40年掛かりで新開発

当時あくまでもSFだった戦闘機すら返り討ちに出来る怪物は実戦配備開始 中国資本の紛い物は補助機扱いが決定しました

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― 新着の感想 ―
[良い点] <未視聴> [気になる点] VTOL機にソ連が血眼になっていたというのは「映画」の話でしょうか? まぁ航空機開発は確かに「ソ連」の当初の開発力は驚異でしたが、F-15の登場で<開発競争>…
[一言] 「D.A.ジャンクション」シリーズ 富田祐弘著 角川スニーカー文庫 これをご存知ですか? 特に読む必要はありませんが、読んだら怒りが収まらなくなるでしょうね。 この件の顛末をご存知の方、…
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