終焉、終わって、また始まる
遺跡を出る途中、奇妙な空間に包まれた。ここは刻の遺跡。時間を狂わす空間に遭遇した。
見える世界はどれも心残りである物。しかしどれかに心奪われては二度と現世へ戻ることはできない。
要人暗殺任務。聖王の暗殺に失敗したのは誤算だったのか、それも吉事の前触れだったのか。
振り返りたい過去に目をそむけず、まっすぐに見つめ通りすぎる。一人ではない、そう。死したとして、誰もともに居ないわけでは無かったのに。
遺跡を出た後、遺跡内はその奇妙な空間で包まれていた。人がこの遺跡に踏み入ることはもうないだろう。おそらく、二度と。
静かに眠ると良い。眠れると良い。ここは、母と、息子と、そして父親の心が眠る刻の墓標となったのだ。
遺跡を発った後、アセレスティア城へと流頼は向かった。睦月、師走を倒したこと、十三番目のこと。アセレスティア王は『ズヴィアから連絡役が来た』と言う。
『ズヴィアでも睦月、師走の破壊を確認した。以後ズヴィアから手を出すことは無い』とのことだ。連絡役は如月。水無月、神無月の事を聞けば『皆国のために働いている』と答えた。『みんな元気である』の言い間違いであろうとアセレスティア王は軽く笑った。
卯月、皐月はそのままアセレスティアに残ることとなった。長月はクレウィント・リ・アースのエルベラのもとへ行き葉月と霜月の墓参りに行くらしい、流頼も命日には必ず墓参りに行くことになるだろう。
文月は彩とともに神宮に向かうそうだ。彩は文月の顔が聖王にバレていることを気にしていたが、アセレスティア王が口添えをするらしい。神の思し召しとか言ってりゃ良いそうだ。楽だな。
アーゲアは流頼に正式参入すると言っていた。給料を孤児院に送るそうだ。安月給だとどうするつもりか、ギルド運営は仕事が無ければ給料の安定化は厳しいというに。
シカイは流頼へ戻ることになった。アセレスティア王が残念がって卯月、皐月と一触即発まで行きかけたがどうにか止めた。シカイは流頼として世界を回って、情勢をアセレスティア王へと報告するのだという。より良い、平和のため。だそうだ。それを聞いてアセレスティア王は行って来い、とシカイの背中を押した。シカイは、堂々と敬礼を返した。
「それで、弥生は?いつまで流頼にいるの?傍に居たいヤツってところに行くんでしょ」
「おうよ。もちろんだ。俺様が決めた行き先だからな、心配しなくても食いっぱぐれることは…ない、と、思う。その分頑張る」
「その傍に居たいって子、あんたのお眼鏡にかなうなんてそうとうめちゃくちゃな奴なんでしょうねー」
「いやいやいや。俺様の目は節穴じゃあない。実に美人で、なおかつ気立てもよくて度胸もある。俺のことを知ってもなにも言わず、変わらず接してくれる。そんなやつだ。…ただ、一つ問題があってな」
「問題?なによ」
「実は了承とってねーんだよ。ま、了承なんてとらなくても俺は勝手に傍にいるつもりなんだけどよ」
「ふーん。珍しいわね。了承なんて聞くつもりになるとか。いつもはそんなんもすっ飛ばして好き勝手してるくせに」
「一応、俺様も好きなヤツには弱いってやつだ。…惚れたら負け?とかいう」
「あ、そう。…んじゃ、とっととそいつのところに行って来ればいーじゃん。私だっていろいろ忙しいんだから。流頼の次の行先も決めてないし、そもそも依頼とか最近とってなかったし…」
「そうだなぁ、ぐだぐだやんのも性に合わねーしな。…なあ、ユラ」
「何よ、弥生」
「さっきから言ってる俺が好きなヤツって、お前なんだけどさ」
「…え。………え?」
「愛してるんだけどさ。俺と一緒にいてくれる気はあるか?…嫌がられても勝手についていくけどな!」
「えっと…、その…」
「おっと!まだ返答は聞かねーぜ!返答は流頼が次の依頼を成功させた後、それが終わったらまた次の依頼を成功させた後だ!その次も、その次もな!!」
「ちょ、…それじゃいつまでたっても答え言えないじゃない!!」
「良いんだよ!そうすりゃ俺様はいつまでもお前と一緒に居れるだろ?俺様ハッピー!だから問題なし!!」
「…あるわよ、問題!私が幸せじゃない!!」
「それじゃ俺様とお前、二人まとめて幸せになる方法ってなんかあるか?」
「結構、簡単にあるわよ、それも目の前にね。それは――
私の答えを聞くこと。ただ、それだけ」
…なんで最後だけ微妙なラブコメしてんだ?不思議。
ともかく、これで終了でござい。最後まで読んでいただいた方がいらっしゃいましたら、ありがとうとしか言いようがないのです。
いやね、ちゃんと文章にして発表する方法もあるんだけどね、絶対やってられんと思うのよ。
つーか本来はコレRPGツクールで作ってやろうかと思ってた代物なんだけども、な。
たいがい、キャラチップ作って満足して終わるんだよ。俺は。そういう生き物なんだよ。根性値がおかしいんだろうか、いや、たぶん大丈夫だって。
設定をひたすら練ってる時、それが一番楽しいんだよね。




