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天刃  作者: 弐式
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始まる前に、終わる前に

現在、人間を殺そうとしているのは睦月、師走の両名である。如月、水無月の話しから師走も同じ思考であると断定でき、また師走は睦月に教育されていたこともあり恩義、というのももしかしたら生まれているのかもしれない。と考えられた。

しかし、いくら天刃と言えたかが二人でどうにかなるものであろうか。事実、睦月は弥生たちに仲間になるように人質をとっていたのだ。

よほどの馬鹿か、あるいは何か隠し手があるのか。ともかく、彼らは睦月の居城の捜索を一時アセレスティアに任せ、短い休息をとっていた。


弥生がぼうっと外を見ていた時、ユラが現れた。『彩と話してたんじゃなかったのか?』と弥生が尋ねれば、『彩と文月が話していて入る隙間がないの。最終決戦の前に愛しい人とお話ししたいってのはわかるしね、ゆっくりさせてあげようと思って』とユラは答えた。

確かに、長月はエルベラへの手紙を書いているし、卯月、皐月、シカイはアセレスティア王のもとへ行っている。アーゲアは孤児院への手紙を書いた後、アセレスティア王のもとへ向かったようであった。

今まだ文月、長月の両名は聖王に顔がバレているため変装をしているが、おそらくこの戦いが終わればアセレスティア王の口添えも含み、睦月という国を荒らす国賊に立ち向かう勇気ある者として迎え入れられるだろう。

そうすれば文月は彩と一緒にいるであろうし、長月はエルベラのもとへ、卯月に皐月はアセレスティアで騎士になるのだろう。シカイは流頼に戻り。アーゲアも気にしていたようだし、流頼に入るかもしれない。

ユラはこのまま流頼を続けるのだろう。そして、おそらく、俺も。

睦月に問われた時、自身で決めた場所はズヴィアでも睦月でもなく流頼だった。ユラの傍は何故だか気持ちがよかった。最初から、ずっと今まで。

ユラは言った『この戦いが終わったら弥生はどうするの?』俺は答えた。『俺様、ずっと傍に居たいヤツがいるから、そこ行って意地でも離れねぇと思う』…それが誰か、とは言わなかったが。

…実は俺様、楽しみは後にとっておくタイプなのである。にやにや顔が収まらない顔を、盛大にユラが叩いて、俺たちは笑いあった。


アセレスティア王に呼び出された。睦月の居場所が分かったのである。居場所は東にある忘れられた島。そこにある遺跡を居城にしているらしい。

その場にいるものの気持ちは一緒であった。睦月の言い分を聞くわけにはいかない。人間を殺されてはたまらない。ともに居たい誰かを、失うわけにはいかない。

人は一人では生きられないのだ。


弥生さん俺様キャラなんだみんなしってた?そんな描写どこにもないって?しょっぱの報告書その1にどいつもこいつも性格に問題アリって書いてるお。それだお。

『心休まる場所へ。落ち着く場所へ。

とりあえず、誰かの隣へ』

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