星に仕える者達【後編】
紹介をしていない人物が多数いるので、次の【登場人物紹介】を読んでからこちらを読んでいただくと誰が誰なのか分かりやすくなります(予めご了承ください)※【登場人物紹介】は11.22日に投稿する予定です
午後16時、王都ステラージュ国城内 星辰の座にて
現在新しい12使徒について星辰評議が始まっている。
国王が口を開いた。
「次に称号を決めるぞ。どうやって決めようか」
称号とは、ゼレニオでいうと、〈深海の戦士〉という肩書きのことだ。この場合シリウスは魔術師のため、〇〇の魔術師となる。
12使徒達は悩んだ挙句、たまにアイデアを出すジュピリスが何か思いついた顔をしながらマイペースな口調で言った。
「じゃあ、みんなに決めてもらえばいいんじゃな〜い?」
我ながらいい考えだ、とジュピリスは満面の笑みを顔に出した。
「ナイスアイデア!」
「ジュピリスはたまにはやるわね〜」
「採用だな」
「嫌な予感しかしないですね…」
ちょくちょくディスられながらもジュピリスはグッドサインをした。
国王は少し悩んだような顔をした。
やはりここは自分で決めた方がいいのでは…そう思っていると、低い男性の声がした。ソルだ。
「まぁいいんじゃないか?シリウスがよしとするならばみなで意見を言っていこうではないか。」
ソルが同意するのはいつぶりなのか、12使徒達が目を丸くさせた。
基本的、ジュピリスがほとんどだが、12使徒達の意見が国王に採用されることは少ない。
まともな意見はほとんど出ないのだ。
そこで国王が少し面白そうに言葉を発した。
「ソル殿が言うならいいではないか!よし、では思いついたら即座に言って構わないぞ!シリウスはそれでいいか?」
「あっ、はい。それで大丈夫です」
シリウスが了承したら何かが楽しかったのか男性陣のテンションが上がった。
「よっしゃぁ!どんどん言ってくぞ〜!」
テンションが上がりすぎたのか、ただ単にうるさかったのかメルクスが水を差した。
「…変な称号だったら私が許さないわよ?」
「はい…すみません」
ソルと国王、シリウス以外の男性陣の声が重なった。
顔は微笑んでいるように見えるが、目が全く笑っていないメルクスは、鬼そのもののような威圧だ。
他の国の国王でさえも、恐怖心を抱くメルクスの威圧は機嫌がよくならないとおさまらない。
フィロンが「甘いもの、とってきますっ」と逃げるように星辰の座を抜けていった。
少し気まずさが12使徒の中を通った。
「フェオラス様は基本攻撃魔術の風魔術操るのですよね」
「はい。そうです……?」
気まずさを吹き飛ばしたのはウラナだ。
ウラナは確認し、少し間が空いた後続けた。
「それでは、〈煌輪の魔術師〉というのはどうでしょうか。風は物を動かしたりすることができるので、輝く星を動かす者から名前を考えました。」
ウラナは感情が顔に出やすい。
今回のは自分にしてはよい方だと少し笑みを浮かべている。
「いいんじゃない!?物を動かす…それ最高じゃない!」
メルクスは関心したような顔をしていた。
そこで続けてヴィオラも提案した。
「俺はさっきウラナが提案したのを参考にして〈動機の魔術師〉というのがいいと思う!」
「私は〈高原の魔術師〉とか…どうでしょうか?」
「〈機巧の魔術師〉とかもいいんじゃないかしら?」
しかし、複数の提案が出たがシリウスは心に決まった称号はなさそうだった。
その時、似たような称号を考えたメルクスとヴィオラの言い合いが始まった。
「なぁんか似てないかしら?!」
「はぁ!?こっちが先に提案したんですか?!そっちが再提案してくださいって!」
「いやよ!こっちは頭割れるまで考えて出したのよ?!」
12使徒の中で特に声が大きい2人が言い合いをしている中、国王がシリウスの顔を覗き込むように見ながら国王らしい言い方で問いかけた。
「シリウス殿。心に決まった称号はあるかな?」
「えっと…」
「無理に決めなくていいのだよ。まだ次の星辰評議で話し合うこともできるしな」
シリウスはまだ心に決めた称号はないようだ。それに気づいた国王は次の星辰評議で決めようと提案をした。
(国王陛下はさすがだ。気づかれていたとは…。称号については僕も考えてなかったなぁ)
シリウスが考え込んでいる間、今まで一言も言葉を発しなかったリシアが突如口を開けた。
「〈夜鏡の魔術師〉……」
それを聞いた瞬間シリウスは目を大きく見開いた。
夜鏡―。その言葉は聞いたことがあるようなないような曖昧な記憶だが確かにこの脳にはその言葉がある。
国王が意外そうな顔をした。
「リシア殿よ。その〈夜鏡の魔術師〉という称号を考えた理由はあるかい?」
夜鏡と風魔術は全く関係がない。
そこに疑問を抱いたのか国王やリシア以外の12使徒達が不思議そうな顔をしていた。
悪目立ちを必ず避けてきたリシアは少し慌てた。
「あ…」
しまった、とリシアは内心焦った。
リシアは思ったことをすぐ言ってしまうことなどまずない、自分でもそう思っていた。
「…すみません。用事を思い出したので…。帰らせてもらいます」
リシアが口にした途端、なんの躊躇いもなく門を潜って帰って行った。
たった数秒の出来事に12人は目が点になった。中には時が止まったように固まっている者もいる。
それからまた数秒後、城門付近にいた護衛達の声が聞こえた。
「ゼ、ゼフィラ様?まだ星辰評議は終わっていないと思うのですが…?!ゼ、ゼフィラ様!?ゼフィラ様ー!?」
護衛達が驚く声がこんなに離れているのに聞こえた。国王は内心呆れつつも驚きを抑えきれない。
なぜ驚いているのかって?そんなのあのリシアが顔に感情を出したのだ。そう焦ったような感情を。
突如、珍しくノアの声が聞こえた。
「…あのぉ、すみません。フィラさんは今、神域にいます。引き戻すことが出来ますがどうしましょうか」
神域とは12使徒が担当する領域だ。
〈災い〉がでた神域によって誰が退治をするか決まるのだ。
いわば仕事場と言った方がいいだろうか。
ちなみに、リシアは王都の東半分といったところだ。
そこで、12使徒のなかで神域にいるのか分かる、引き戻すことが出来るのは結界魔術を得意としたノア・アースウェルだ。
基本的に国王によって神域の場所を決められる。
その神域を12使徒達は守らなければならない。
それで結界を司るノアは1人で全ての神域に結界を張っている。いわば管理者というものだ。
だからノアは神域にいるものに干渉できる。そう、神域にいる限りそこにいるかどうかもすぐに分かるし、自分の元へ無理矢理呼び寄せることができるのだ。
しばらく間があった後、国王が拒否した。
「いや…大丈夫だ。多分焦ったのだろうな。今は1人にさせておいた方がいい。」
「分かりました。」
少し気まずくなったが、ちょうどいいタイミングでとある人物が来た。
「甘いものとってきましたっ……………え、なんですかこの状況」
結構長引いてしまいました…。
さて、今回はリシア逃亡事件です。
次回は12使徒や、この物語の設定などを詳しく説明いたします。
今後も夜巡りの星継者をよろしくお願いいたします。




