尺骨神経が尋常じゃない
(…食べれるよね。これ…)
少し不安だが他に食べれるものがないため、やむを得ない。
(えっと、包丁とか鋭いものってあるかな……)
リシアは果物を切るため、包丁などの鋭いものを捜索した。
しかし棚の中には鋭いものは見つからない。
(どうしよ…)
リシアは慌てたが、もう少し探してみることにした。
* * *
捜索して数十分―。
全ての棚を開け終えたが、鋭いものは1つも見当たらなかった。
(やっぱ諦めるか…)
リシアが諦めようとしたその時、あることに閃いてしまった。
(握力でいけるんじゃ………)
無理難題である。そもそもリシアは16歳の女性であって普通の人間だ。
絶対無……。
「パキッ」
その時、黄色い果物が綺麗に真っ二つに割れた。
素手で。それもパイナップルに似ている果物を。
(あ…………え?)
さすがにリシアも混乱した。
自分でもこんなに簡単に真っ二つに割れるとは思ってもいなかったのだ。
(これ……もしかして、加護?)
もし加護だとしたら合点がいく。
確か加護に「神経開花」があったはずだ。
もし今の状況が「神経開花」のおかげだとしたら握力に関する神経が上昇したということだ。
(そうだとしたら尺骨神経かな…)
そんなことを思いつつもリシアは真っ二つに割れた黄色い果物を棚から取り出した木製の皿に乗せた。
そしてもう一つ、棚から出したスプーンを皿に乗せ自室に向かった。
自室に戻ると窓から見える外の明かりは少し前よりも薄暗くなっていた。
(やば…。早く食べ終わらないと…)
そう焦りつつ木製の勉強机に皿を置いた。
勉強机で食べるのは少しだけ気に触るが仕方がない。
そう自分に言い聞かせつつ、リシアは黄色い果物を前にして「いただきます」と感謝の言葉を口にした。
黄色い果物は案外、中身の色はよくむしろ美味しそうだった。
実際に口に入れてみると果汁が溢れ出てきて、ちょうどよい甘さと身体の中まで涼しくなるような爽やかな酸味が絶妙に重なってとても美味しかった。
(美味しい…。やっぱこれ、パイナップルだ……)
(前の世界では数回しか滅多に食べれなかったけれど、案外覚えてるものなんだな…)
そうリシアは懐かしみつつ僅か数分でパイナップルを平らげてしまった。
もう一度感謝の言葉を口にしてリシアは皿を持って台所に向かった――。
夜巡りの星継者を読んでいただき、誠に有難うございます。
黄色い果物を真っ二つにする時のリシアは握力が1000kgあったそうです。
ちなみに、真っ二つに割れたパイナップルをスプーンでくり抜いて食べたので、フォークは使っていません。
それと、リシアが神経を細かく知っていたのは前世から引き継いでいるその記憶力が関わっています。リシアは前世の子供の頃、神経に関わる本を一瞬だけ読んだのだとか……。
さて、今回は加護とはどういったものか説明させていただきました。
次回は12月2日に投稿する予定です。
ついに!魔術実践を執筆する時が来ましたよ!
これからも夜巡りの星継者をよろしくお願いいたします。




