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第1話「地獄の始まり」
これは、とある少年の物語であるー。
辛い。
しんどい。
胸が苦しい。
シューズの音が鳴り響く。
耳を貫くドレミの音階。
いったいどれほどの日本人をトラウマに植え付けたのだろうか。
僕は「67」という声と共に、リタイアをした。
今日は体力テストだ。
僕みたいな運動音痴からしたら、まるで地獄のような日だ。
外はまだ5月なのにも関わらず、最高気温が28度。まるで夏のような暑さだった。
夏は嫌いだ。
ジメジメするし、虫が五月蝿いからだ。
それに比べ冬はどうだ。
ジメジメせず、虫もいない。
強いていえば、静電気が痛いくらいだ。
あれは心臓に悪い。
でもそれ以外は特に困ったことは無い。
だから冬は最高なのだ。
そんなことを考えてると僕の番が来た。
僕が次やるのはー。
「握力測定」だ。