↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚された幼女な勇者様と、巻き込まれJKの私  作者: こう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/47

27 異世界人同士の齟齬


「うわあ…」


 一緒に現実で何が起きていたのかを確認したラスボスは、思わずと言ったように呻き声をこぼした。

 声が完全に引いている。

 引きながら、私を見た。


「という事情らしい」

「いや知らねぇわ」


 ですよ、とラスボスが言い切る前に噛みついた。

 ほんと知らねぇわ。


 ラスボスは、手っ取り早く事情が把握できそうな人に接続して魔法で映した。

 そう、セバスチャンだ。

 ラスボスがセバスチャンを知っているわけじゃなくて、こいつ勝手に私の頭を覗いて適役を選択したらしい。


 この世界プライバシーがなさ過ぎてマジ無理。


 しかも副音声付きだから、セバスチャンが何を考えているのかもよくわかった。

 彼が私たちに言わなかった、本当に危険な世界情勢や周囲の消耗も知ってしまった。


 セバスチャンの心境も、勝手に覗いてしまった。

 罪悪感はあれど国や世界を優先する政治家としての判断。それを仕方がないとは言わず、忙しい合間を縫って他の方法を模索し、愛する家族の元にも帰れていないことも。

 ひっそりと家族と会えない異世界人を憐れみ、零に近い可能性を模索して、行動している人。


(いまさら)


 召喚前に他の方法を探していればなんて、怒鳴りたくなって喉元を押さえる。

 見たくない内面を見てしまった所為で、彼らが召喚前にも他の方法を模索していたことを知ってしまった。

 むしろギリギリまで反対派のほうが多くて、その均衡が崩れたのは淀みから魔王が生まれた報せが届いたから。


 魔王に対抗できるのは勇者だけ。

 世界に浸透した絶対の摂理から、勇者召喚は決行された。


 それも反対派筆頭であったセバスチャンが国外にいる間に…なんて、大人達のドロドロしたやりとりは本当に面倒くさい。


(セバスチャン…反対派だったくせに、先頭に立って色々することになって、貧乏くじばっか引いてやんの)


 不満も文句もあるだろうに、それをグッと堪えて行動できるのは…大人、なのだろう。

 自分たちに非があるとわかっていても、嫌われているとわかっていても友好的に接するなど、私には無理だ。


(あーマジで、既婚者でなければなぁ)


 全力でお礼にご奉仕したのに。

 いや、お礼にならねぇか? 性格的に? アレ全部やるべきと思ってやってるだけだろうし。むしろ嫌がらせになっちゃう?

 難しいな感謝の示し方。


 ちょっとは信じてもいいかなぁと思うが、セバスチャンは政治的判断とやらに迷いがないので信頼できない。人道に基づき行動しているようだが、いざというときは勇者を迷い無く投入するのだろう。

 そういう意味で、心の全部を許すことはできない。


 顔だけ王子の葛藤? それこそ知らねぇ。こっち来んな。


 というか魔法使いの暴走後に何が起きたのか知ってしまい、咄嗟にみーちゃんを探した。

 みーちゃんは上手に泥団子が作れずしょんぼりしている。まおちゃんが必死に作り方をレクチャーしているが、犬の糞のような泥団子しか量産されていない。ちょっと泣きそう。

 あんなしょぼしょぼしたみーちゃんが、解剖中の魔法使いとエンカウントしていたなんて思わないじゃん。


(つーか、みーちゃんにはお見せできないって言ったじゃん!!)


 言ってはいない。思っただけで言ってはいないが、心の中で叫んだ。

 みーちゃんが実際どこまで目にしたのかによってトラウマの有無が心配。親御さんになんと言い訳したらいい。


「ええ…人間ってマナを消費するのになんで勇者を呼ぶのかと思っていましたが…勇者を呼ぶのに魔王様と敵対させるし、変なことしているなとは思っていましたが…」


 ラスボスは勇者召喚の現状にドン引きだった。

 魔王様のために勇者を召喚するわりに、行動がおかしいなといつも思っていたらしい。


「えー…魔王様一人で事足りるのに、異世界から誘拐して勇者に仕立て上げて魔王様と敵対させて…えー?」

「それさ、魔王に任せてたら八割死ぬから勇者が呼ばれてんじゃねぇの? その辺りどうなの」

「まあ…勇者がいればスムーズに救われますが…」

「スムーズなのかよ。いた方がいいじゃん勇者」


 しかし三百年の周期で世界の危機が訪れているのだから、根本的な解決はできていないのだろう。

 三百年周期で人間滅亡の危機は乗り越えている。

 この違いはなんだろう。


「スムーズですよ。魔王様と勇者が殺し合った結果、世界が浄化されますから」

「お前が何を言っているのか全然わからねぇ」


 敵対させる意味が分からないって言っていたくせに、敵対させるとスムーズに浄化できる構図ってどういうことなの。

 もういやだ意味が分からねぇ!

 こいつのなんでわからないんだろうって宇宙人を見るような顔も耐えられねぇ!!

 こっちからすればお前のほうが宇宙人だからな!




この世界の人として、最善を探すセバスチャン。

魔の者としての常識を語るラスボス。

一応理解しようとしているけど通じ合わなくて腹が立っている睦美。

勇者と魔王が一番通じ合って仲良くしている現実。


みーちゃんが綺麗な泥団子を作れますように! のイイネもしくは評価ボタンをよろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
冗談抜きに人類滅びたほうがいい世界
 歴代の「魔王側」に交渉役、いわゆるコミュ力の高い奴、いなかったのですね。そして今代も、「これ」……うん、だめですね。  むつみさん、投げ出したい気持ちはすっごく良く分かりますが、読者の為にもがんばっ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。