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「ネットアイドルデビュー!異世界の罠?」

—―朝の忙しいオフィス街


朝のオフィス街は、いつも以上に混み合っている。スーツ姿のサラリーマンやOLたちが忙しなく歩く中、結城アカリ(25歳)は、肩にかけたバッグを抱えながら、片手でスマホを操作している。


アカリ: 「えーと、今日のニュースは…おっと、危ない!」


アカリがスマホに夢中になり過ぎて、前方から来た男性にぶつかりそうになる。しかし、華麗なステップでなんとか回避。スマホを握りしめたまま、再びニュースをチェックする。


アカリ: 「やっぱり芸能人の離婚話がトップニュースか…。でもこれ、いまいちパロディにしにくいんだよね。」


彼女はつぶやきながら、肩をすくめる。アカリは密かに「ネットアイドル」を目指しており、毎朝ニュースをチェックしては、自分の動画のネタを考えているが、上手くハマることはほとんどない。


アカリ: 「はぁ…今日もまた、会社か。夜の配信、どうしようかな。」


アカリがため息をつきながら会社のビルに入ると、入り口に立っていた警備員が笑顔で彼女に挨拶する。


警備員: 「おはようございます、結城さん!」


アカリ: 「おはようございます…って、あれ?今日って木曜日だっけ?」


警備員に返事をしながら、ふとカレンダーを確認するアカリ。彼女は、自分が「水曜日」を飛ばしてしまっていたことに気づき、焦り始める。


アカリ: 「うそ!昨日、私、何してたっけ…あ、そっか、徹夜で配信してたんだ…!」


アカリは顔を赤くしながら、早足でオフィスのエレベーターに向かう。彼女は昨日、夜遅くまでネット配信をしていたため、日付の感覚がすっかり狂ってしまっていたのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

――― 会社のオフィス


オフィスに到着したアカリは、デスクに座ると同時に同僚の夏希がコーヒーを片手に近づいてくる。夏希は仕事の鬼であり、アカリのネット活動を陰ながら応援してくれる頼もしい存在だ。


夏希: 「アカリ、昨晩の配信見たよ。あのペットボトルチャレンジ、最高だったわ!まさか失敗して自分の顔に水をぶっかけるとはね。」


アカリ: 「あれは計算ミスだってば!本当は成功する予定だったのに…でも、やっぱり面白かったかな?」


夏希: 「うん、コメント欄も大爆笑だったよ。視聴者数は増えた?」


アカリは少しうつむきながら、申し訳なさそうに首を横に振る。


アカリ: 「それがね…視聴者数はピークで5人だったの。それも夏希含めて…あと2人は明らかにスパムだし。」


夏希はコーヒーをすすりながら、微笑みかける。


夏希: 「まぁ、焦らずに行こうよ。成功は一日にして成らず、って言うじゃない?それに、失敗は成功の母ってね。」


アカリ: 「母が多すぎると、成功するまでに一生かかっちゃうよ…」


二人は笑いながら、仕事に取りかかる。アカリは頭の中で次の配信のアイデアを考えつつ、資料を整理している。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

―――自宅の部屋


夜、アカリの部屋は配信の準備で散らかっている。カメラやマイクがセットされ、部屋の隅には何故か巨大な着ぐるみが立っている。アカリはその着ぐるみを見つめながら首をかしげる。


アカリ: 「これ、どうしてここにあるんだっけ?あ、そっか…前回の『突撃!お宅訪問』企画で使ったんだった。でも、あれ…不評だったよね。」


彼女は無言で着ぐるみを押しのけ、パソコンの前に座る。深呼吸をしてから、配信を開始する。


アカリ: 「こんばんは、みなさん!結城アカリです。今日はちょっとだけ特別な話題を用意してきましたよ~…と言っても、今考えてますけど!」


アカリは自分で言ったことに自分で笑ってしまうが、画面を見ると視聴者数は2人だけ。いつものように夏希と見知らぬ1人がいるだけだ。


アカリ: 「えーっと、今日のニュースから…えー、待って、なんだっけ?あ、そうそう、これこれ!」


焦りながらも、アカリは思い出した話題について語り始める。だが、視聴者数はさらに減少し、ついに「0」を示す。


アカリ: 「0…ゼロォォォォ…って、やっぱり私のセンスが悪いのかな。でも、ここで諦めちゃダメだよね。うん、うん。」


彼女は自分に言い聞かせながら、何とか配信を終える。しかし、配信後の虚しさは拭いきれない。


アカリ: 「やっぱり、もう少し面白いことができれば…」


その時、彼女のスマホが振動する。通知を確認すると、見知らぬ番号からのメッセージが届いている。メッセージには「パロディメーカー」という謎のアプリのダウンロードリンクが付いていた。


アカリ: 「何これ…怪しすぎるでしょ。でも、もしかしたら何かのチャンスかも?」


アカリは少し迷った末に、アプリをダウンロードすることに決める。アプリのインストールが完了すると、画面に「開始」ボタンが現れる。彼女は躊躇しながらもボタンを押すと、スマホが一瞬、怪しく輝く。


アカリ: 「え、何これ?まさか、またスパムアプリ?」


アカリは不安になりつつも、何事もなかったかのようにスマホを閉じ、寝る準備を始める。しかし、その瞬間、彼女の周囲の空間がぐにゃりと歪み始める。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

―――異世界への転送


目を閉じた瞬間、アカリは突然、強烈な光に包まれる。次に目を開けたとき、彼女は見知らぬ場所に立っていた。周囲はまるでファンタジーの世界のような風景で、遠くには巨大な城がそびえ立ち、空には翼のあるドラゴンが飛んでいる。


アカリ: 「え、ちょ、何これ!?夢!?それとも新手のドッキリ!?」


アカリはパニックに陥りながらも、スマホを取り出して確認するが、当然ながら電波は圏外。それどころか、スマホの画面が見たこともない言語で埋め尽くされている。


アカリ: 「いやいやいや、異世界転生とか冗談でしょ!?私、ネットアイドルを目指してるだけなんだから、こんなところに来ちゃダメでしょ!」


そこに突然、ローブを着た謎の老人が現れる。彼は深刻な顔でアカリを見つめ、静かに口を開く。


謎の老人: 「ようこそ、選ばれし勇者よ。我が世界は、あなたの助けを必要としている…」


アカリ: 「選ばれし勇者って、どこの誰の話?私はただのOLで、ネットアイドル志望の結城アカリですけど!?」


老人は微妙に話を聞いていないようで、アカリの手を取り、彼女を城へと導こうとする。アカリはどうすることもできず、しぶしぶついていくことに。


アカリ: 「いやいや、本当にこれどうなってるの?誰か助けてー!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

――― 次の日の朝


異世界での出来事に戸惑いながらも、何とか城を後にし、突然現実世界に戻ってきたアカリ。ベッドに倒れ込むように眠りに落ちる。


翌朝、アカリは目を覚まし、スマホを確認すると、目を疑うような通知の数に驚愕する。彼女が昨夜配信した内容が、なぜか一部カットされ、SNS上で爆発的にシェアされていたのだ。


アカリ: 「う、うそ…これ、私がやったの?いや、でも昨日は異世界で…何がどうなってるの!?」


動画の一部が奇跡的に編集され、絶妙なタイミングでのツッコミやボケが完璧に組み合わさっている。アカリはこれが「パロディメーカー」の仕業だと気づくが、同時に昨夜の異世界での体験が何だったのか理解できない。


アカリ: 「これ、チャンスかも…でも、異世界との行き来なんて普通じゃないよね…?」


彼女は新たな決意を胸に、ネットアイドルとしての未来に向かって一歩を踏み出す。しかし、異世界との関わりがどんどん深くなり、予想外のトラブルに巻き込まれていく。

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