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三河統一
「徳川四郎家康であるっ!!」
岡崎城。その広間の上座でワシは宣言した。
「三河国国主として、これからワシが采配を振るう! 異議のあるものは述べよ。聞いてやる」
三河の主だった国人衆を集め、所信表明を行ったところ、広間は非難轟々であった。
「小僧、何様のつもりだっ!」
「ふざけるにもほどがあるだろうがっ!」
「死にゃぁぁぁっ!」
イキリたった男が一人、刀を抜いて迫ってきた。
確か叔父か又叔父だったかな?
ワシは華麗な動きで男の懐に入り、ちょちょいのちょいで刀を奪った。
無刀取りである。
前世ではついぞ成功しなかったが、400年間『イメトレ』を続けた甲斐があった。
「言葉でなく、肉体言語でのやりとりがお好みか、叔父上。他の者のたちはどうだ? ワシはどちらでも構わんぞ!!」
その後、騒ぎは半日ほど続き、岡崎城は半壊した。
翌朝、青空がよく見える広間に赴くと、青タンやたんこぶをこしらえた国人衆たちが、一斉に平伏した。