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織田信長に会おう
ワシの名は松平竹千代。
知らぬものはおらぬと思うが、将来の徳川家康である。
ワシはいま尾張におる。
後々のことを考えて、やはりあの男には会っておかねばなるまいと、転生後この地に来るまではいわゆるオートモードで過ごしてきた。
そしていま、ワシの目の前におる男が後の第六天魔王・織田信長こと、吉法師である。
「お前が竹千代か! 俺は吉法師だ! 遊んでやる。ついて来い!」
有無を言わせぬ物言いに、幼い竹千代の身体が震える。
まあの? ワシも前世から大権現時代も含めれば500歳近いわけだし? 怖いわけではないのよ。
ちょっとトラウマを刺激されただけだし?
そんな訳でワシはさっさと台詞を伝えた。
「吉法師殿……否、吉法師兄ぃ! ワシは日の本の東を統一する! だから吉法師兄ぃは西を統一せえ! そうしたら二人で日の本一を決しようぞ!」
吉法師こと将来の織田信長は、はじめキョトンとし次いで凶悪な笑みを浮かべるとワシの頭を撫でくり回しながら「おうよ!」と応えた。