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禁忌種(タブーブラッド)の人生クエスト  作者: カッパ巻き
第一章:エセ冒険者と怪しい森
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キャラメイク&プロローグ

初投稿です



 -???-


 暗闇の中で声がする。大きな光と、小さな光が相対している。


『――さて、僕が伝えるべき事は伝えた。後は「君」の此れからに任せるとするよ』


 ――……。


『まぁ、今の僕に出来るのはこの程度だからね。これでも無茶を言っている自覚はあるんだよ?』


 ――……。


『まぁ、でも、何だかんだ君は結構やれるんじゃないかと思うんだ。只の勘だけどね』

『懸念があるとするなら……君が転生先(・・・)に選んだ子の事さ』


『本当に良いのかい? 先程言った通り、恐らくだがとんでもない苦労をする事になる……いや、ハッキリ言って()ぐに死んじゃうんじゃないかとすら思うけど?』


 ――……。


『そうか。それならこれ以上は僕からじゃ何も言えないな。それに、確かにその選択は……面白い(・・・)


 ――……。


『さて、そろそろこうして居られるのも限界だ。君を向こう(・・・)へ送るとしよう』

勿論(もちろん)記憶も……大丈夫。うん、多分。一応後から確認して置いてくれたまえ』


 ――……!?

 ――、――……。


『宜しい。では、オホン……』

『ようこそ、僕達(・・)が創り……いや、遺した世界。夢と神秘、そして限りない奇跡の果てに紡がれた、あり得ざる理想郷へ』


 ――……。


『ああ、どうか……■を宜しく頼むよ』


 そして、光が大きく膨らんでいき――。



 ◆ ・ ◆ ・ ◆



「……ハッ」


 ――少年が瞼を開く。

 辺りは薄暗い森の中、の様な場所。

 最もその様相は少年の知る――否、先程まで居た(・・)森の中とは余りにも懸け離れているが。


「あぁ、あー……しくじった。まさか今のが(うわさ)の転移(トラップ)って奴か? 功名な罠だった……」


 少年――首に白いスカーフを巻く、濃い栗色の髪と瞳をした少年は、(おのれ)が地に倒れていた事を認識、首を軽く回して辺りを見回した。


 周りは木と繁みに囲まれ、段差はない平地ではあるが、先は良く見えない。

 視界を真上に戻せば、説明し(がた)い不可思議な色の空が広がっている。


 少年は周囲に取り合えずの危険が無いか確認し、不服極まると言った表情で一息つく。


「お蔭で懐かしい夢を見た。まだ前世分(・・・)も生きてないのにな」


 と、もしこの言葉を聞いた誰かが居たなら、何を言っているのかと疑問に思う様な事を口にしつつ、少年は体を起こす。

 土で汚れた服を軽く払い、(すぐ)足元に自分が持っていた鞄を見つけた。


「さて、()ずは確認かな。先刻(さっき)のが空間転移による現象なら、周囲含めて飛んでる筈。つまり荷物も……良し、問題ない」


 少年は鞄の中身に不備が無い事を確認した。

 相当量の荷物が入っているのか、それなりに重量感のある大鞄を肩に掛け直し、そしてもう一度辺りを見渡した。


「さて」


 少年は鞄から古びた機械弓(クロスボウ)を取り出すと、慣れた手付きでレバーを引き、発射状態に移行。

 そして付属の矢を三本(ほど)取り、その一本を機械弓(クロスボウ)装填(そうてん)した。


(もっと)此処(ここ)は、この程度の武器(おもちゃ)如何(どう)にかなる様な場所じゃないかもだが、な)


 と、少年は不安と観念が混じった様な表情で笑う。


 ふと、スカーフが軽く(なび)き、森の雰囲気が変わった。

 それは、一寸の先も見えない闇の中が巨大な化け物の口の中だったと気付いたという様な気配。


「あぁ、全く。此処(ここ)は俺にはまだ早いと思っていたんだがな」


 そんな弱音を強気に吐く彼を嘲笑うかの様に、怪しく、危険な森が牙を剥く。


 世界の(ことわり)(ねじ)(そむ)異界(・・

 神秘が生きる世界――"イディアリス"に置ける無法領域(アウトゾーン)


 -魔窟 仮称:怪しい森-


 その名を"魔窟(ダンジョン)"。

 スカーフの少年"アッシュ"を含む、"冒険者(シーカー)"達は、その地をこう呼ぶ。


 探究者達の楽園――(ある)いは墓場、と。


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