石刻の塔の賢者【一頁完結型童話調・T書庫シリーズ】
__幕間
ここに一冊の本がある。タイトルは掠れてしまっている。
それは、私たちにとっては物語であるかも謎らしい。
しかし、コレが残されているという事は彼は確かに存在していたのは確かだ。
そういう世界らしいからね。ココは。
さて、短いが少しばかり話に付き合って貰おうか。
弟よ。ココの書庫は蔵書がいっぱいで私はとてもわくわくしている。
どうせ少ししたら存在が曖昧になって私たちは消えてしまうらしいからね。
ちょっと位、盗み見たところで罰は当たらないだろう。
それではDr.Tの読み語りの始まり始まり。
__
それは世界が出来てからずっと時を刻んでいた。
それは塔の様に世界の中心にあった。
それがどうして出来たのかは分からない。
分かるのはそれが石で出来ている事だ。
その世界に知恵の持った生物が生まれた。その生物たちは陽と月、そして石の塔を見て一日を作った。
時間が作られてからもその塔は変わらず大地にそびえたっていた。
知恵の持った生物達は塔の周囲に集落を作り交流を持った。ある時、塔にある生物が現れた。
その生物はこの世界に居る生物、どれとも姿形が一致しなかった。その生物は自分の事を空の賢者と言った。
賢者曰く、この塔は時が経つと良くないモノが溜まる。それを掃除する為にはこの世界に居る生物では駄目だと言う事で他の世界から掃除をする者を呼び出すことになった。その者達は賢者の姿と酷似していた。
賢者は呼び出した者達を勇者と呼んだ。各種族で1人ずつの勇者を世話する事になった。
塔からは黒い瘴気の様な霧が出始めた。それと同時に黒い怪物も確認されるようになった。
各種族の勇者は精鋭を引き連れ、塔に乗り込んだ。塔の中は螺旋状の階段が続いていた。
黒い瘴気があたりを包み、勇者達の進行を阻む様に黒い怪物が現れる。それを倒し勇者達は塔を進む。
何度も同じ事を繰り返したのち、頂上に辿り着いた。
登って来た時に出会ったのとは違う怪物が現れた。それは賢者だった。黒い瘴気に包まれた賢者が勇者達と相対する。勇者達が賢者を倒すと黒い瘴気が消えていき賢者の亡骸だけが遺された。
勇者達が塔を出ると幼い賢者が勇者達を出迎えた。賢者は勇者達を元の居場所に戻るかここに残るかを聞き勇者達は元の世界に帰って行った。
日が過ぎ年が過ぎ、塔を管理していた賢者は各種族を呼び出し勇者達を召喚した。塔の入口からまた黒い瘴気が溢れ出てきたのだ。最初と同じく各種族に勇者達の補助を頼み勇者は精鋭を連れて塔に入って行った。
そして幼い賢者が出迎え、それを繰り返していく。各種族の村は集落になり町になり国まで発展するが勇者を迎えて塔を掃除する儀式は続けられた。
__終幕
ん、英雄譚にしては毛色が違うな。ポイントは石の塔と賢者かな。賢者が永遠を生きる為に倒される話か?賢者は不死鳥か?不死鳥は死んだら灰になって灰の中から雛が……賢者の屍骸から幼い賢者が出てくることになるな……しかし倒される理由が分からない。
幼い賢者が出迎えたとあるから二回目以降も恐らく一回目と同じ流れだったのだろう。つまり賢者は瘴気で成長して勇者と戦って瘴気を消したら幼くなるとかかな?
異世界召喚物か。何?日時計?あぁ、現地住民からしたら塔はそうなるのか。
タイトルを付けるなら石刻の塔の賢者……辺りかな?
しーりずと銘打ってますが小噺は何処からでも読めます。
賢者と幼い賢者が同一人物という前提でDr.Tは考えてますが本当に同一人物でしょうか。
長い儀式を繰り返す賢者とは一体何者なんでしょうか。
さてさて、、これにてこの小噺は終わります。それでは皆様また次回。