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脱幸福論
遠く夢見た少年よ、
果て、たどり着いた時見えるだろう。
幸福を仰ぐ少女よ、
死後、地獄にてやっと悟るだろう。
為し得て、掴み取って、手にしたものを見て思うのだろう。
天上亡き山頂で、下限失き幸福で、其れを胸に刻むのだろう。
未来を掴むのが希望だけでは無いことを。
希望が掴むのは未来だけでは無いことを。
誰かの生を望むほど、手は赤く染まるものだ。
誰かの死を願うほど、首は絞まっていくものだ。
息を殺せば殺すほど、死神の手は此方へ延びる。
それでも我らは幸福を願う。
希望の先に未来を望む。
醜く、疎ましく、儚く、
目に見据えるは、輝かしい明日だった。