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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
1年生
82/160

最終面談

 一週間後、私は面談のため応接室を訪れていた。


「リシリアさん、進路は決まりましたか」


 フランシス先生はにこにこ顔でそう聞いた。


「先生、私の進路はもうずっと決まっております」

「聞かせてもらいましょうか」

「王妃教育を」

「貴女には向いていないと言ったでしょう」


 途端に部屋の空気がヒリつく。

 でももう臆さない。


「これまでの素行に関して、誤解を与えるようなことがあったことは謝罪いたします。これからは王妃教育を受ける者として、行動には一層気を付けます」

「カンサム家との縁談は? 破談になったとは聞いていませんが」

「ノア殿と父には、私の口から直接お断りを申し上げました。アルバート王子殿下のそばにいたいという私の想いも伝えております」

「ふぅん。しかし破談にはなっていないのですね?」

「進行もしておりません」


 フランシス先生は厳しい目をしていた。


「私はね、少し怒っているのですよ。いくら何でも都合が良いと思いませんか。一度殿下との縁談を断っておいて、やっぱり結婚したいですなどと。小娘の気分に殿下の婚姻が左右されるなどあってはならぬこと」

「申し開きもございません。ですが今の私の気持ちは――」

「王妃教育を受けて、やっぱり辞めます、なんてまた気が変わるのでは?」

「そんなことは絶対にありません!」

「殿下を愛していると?」

「はい」


 フランシス先生は短く息を吐いた。


「夜会でのこと、謝りましょう」

「……あれはやはりフランシス先生だったのですね」

「誰にでもなびく女なのか試したのです。ですが貴女は怯え、殿下の名を呼びましたね。恐ろしい思いをさせました。申し訳なかった」


 謝罪した先生は頭を上げるとさらに続けた。


「いいでしょう」

「え?」

「貴女の進路です。王妃教育を受けることを進言しましょう。貴女の気持ちに偽りはないようです」

「あ、ありがとうございます!」

「ですがこれで殿下との結婚が決まったわけではありません。精進しなさい」


 フランシス先生は書類に羽ペンを走らせた。


「精一杯努めます」

「よろしい。では『王妃教育』の責任者にサインをもらえば完了ですが。どうしますか?」


 フランシス先生は続き扉の向こうに声を掛けた。

 ガチャリと扉が開くと、そこには現国王妃ザラ様とアルバートがいた。


「!!」


 私は床に伏した。


「やだリアちゃん、そういうのはいいのよ」

「ザラ様、もう少し威厳を持ってください」

「フランシスも。昔のように姉上と呼べば良いものを」


 あ、姉上?

 ザラ様はフランシス先生から羽ペンを奪うと、さらさらとサインをした。


「リシリア=ノックス。貴女の二年次の専門カリキュラムを『王妃教育』に認定します」

「つ、謹んでお受けいたします」


 私は頭を下げた。


「嬉しいわ、リアちゃん。では私はこれで。お城にたくさんお仕事を置いてきちゃったの」

「だから言ったでしょう。来ずとも使者に運ばせますと」


 フランシス先生はうんざりした顔をしていた。


「そんなの待っていられますか」

「それに彼女が『王妃教育』を諦めることだって考えられたのに。そうなったら無駄足でしたよ」

「諦める? そんなこと、考えられなくってよ」



「ザラ様、ご足労いただきありがとうございました。私、期待に応えられるよう頑張ります」

「ふふ。リアちゃんが頑張るだなんて、末恐ろしいわね」


 ザラ様はそう言うと、何だか楽しそうな足取りで部屋を出て行った。




 パタンと扉が閉まるとアルバートは私と先生の間に立った。


「時に叔父上」

「なんです殿下」

「夜会でのこととは何か」


 アルバートの語気が強くなる。


「アルバート、いいのです。私も悪かったのです」

「リシリアには聞いていない」


「小部屋に連れ込んで、扉に押し付けました。大人の嗜みを教えてやると迫りました。結局、泣いて暴れて、殿下の名を叫ばれましたよ」

「叔父上!」


 ものすごい音がしたかと思うと、フランシス先生は床に押し倒されていた。


「アルバート、やめてください! 先生にもお考えがあったのです!」


 思わずアルバートの腰にしがみつく。


「離せリシリア」

「暴力はいけません。やめてください」

「リシリアを傷つけた落とし前はつけさせる」

「アンジュに助けてもらったのです。何もなかったのです!」


「殿下。私はね、殿下がその娘を大切に思うように、貴方と姉上が大切なのですよ。私は彼女を見極めなければならなかった。後悔はしていません。どんな罰でも受けましょう」

「罰を受けると言ったな。その言葉忘れるな」


 アルバートはそう言うと、冷たい目でフランシス先生を見下ろした。


「もうここに用はない。行くぞリシリア」


 私はフランシス先生に頭を下げた。


「先生、認めていただきありがとうございました」


 先生は何も言わなかった。

 でもその顔はどこか穏やかだった。


活動報告にて、フランシス先生に関する補足を掲載します。

番外編のような感じでお読みいただけるかと思いますのでご覧ください。

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