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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
1年生
72/160

夜会(アルバート)

 アルバートの流れるような優美な動きに身を預ける。

 とても心地良い。


 夜会が始まってからずっと居心地が悪かった。

 どこにも居場所がないような、手持ち無沙汰な感じ。


 幼馴染みのノアの隣にいた時も、ランカ先輩と踊った時も、どこよりも静かだったギュリオのいたソファーも、安心感とは程遠かった。


 でもアルバートの腕は、温かなお湯の中にいるみたいに心地良くて、ほっとする。





「見ろ。これがお前の評価だ」


 アルバートは私たちを取り囲む群衆を見て言った。


 アンジュの時のような歓声も指笛もないが、その代わり皆息を呑み、尊いものを見つめるような目をじっとこちらに向けていた。


「アンジュはマスコットのように皆の心を掴む節があるが、お前はまた違うな」

「敬遠されているような」

「高嶺の花というやつだろう。それもとびきりの」


 アルバートはどこか誇らしげだった。







 私たちはダンスを終えると奥のウィンドウベンチにやってきた。

 壁の一部が奥行きのある出窓になっていて、座れるようになっている。


 座面は固めの群青色。

 雲の形のふわふわとしたクッションが飾ってあって、空みたいで可愛い。


 アルバートは私をウィンドウベンチの端に押しやると、分厚いカーテンを引いた。


「こう人が多いと二人になるのも苦労する」


 アルバートはどすっと私の隣に座った。

 

 軽く立ち話くらい出来たらいいなと思っていたけれど、こんなことになるなんて。

 死角が多くて薄暗いとは言え、カーテンの向こうは夜会の会場。


 なのにアルバートはぴったり肩をくっつけて、このままだと心臓のドキドキが伝わりそう。


「あ、あの。アンジュとのダンス、素敵でした」

「あぁ。偶然会ってな」


 偶然。

 いいなぁ。


 私は迫られるやら見咎められるやら内心修羅場だったのに、アンジュはこんなに着飾ったアルバートに偶然会えてしまうんですね。

 こうヒロイン補正を見せつけられると、我が身が恨めしいです。


「すぐにアンジュだと気がつきましたか?」

「あれは黙っていればどこぞの令嬢だが、喋ればアンジュだからな」

「何だかわかります」


 私はアンジュの顔を思い浮かべる。

 溌溂としていて、可愛くて、さっぱりしていて、素直で一生懸命。


 あぁ、非の打ち所がありません。


「昼の礼を言ったら、礼はいいから一曲付き合えと言われた」

「そうなのですか」


 アンジュ、なかなか大物ですね。


「あれもどこか思うところがあるようだ。今度ゆっくり聞いてやるといい」

「私のことを何か言っていましたか?」

「本人の口から聞くのがいいだろう」

「そうですね、そうします」


「それはそうと、麗しいご令嬢」


 アルバートはにやりと笑った。


「ご、ご令嬢?」

「今宵は仮面舞踏会。私は貴女の素性をまるで知らないのだが」

「何の戯れですか」

「いつまでアンジュの話をしているつもりだ。二人きりになれたというのに」

「そう言われましても」


「名も知らぬご令嬢」

「まだ続けるのですか」

「日頃は話せない恋の悩みを聞いてはくれぬか?」


 えぇ。

 何か面倒くさいですよ、アルバート。


「聞くだけなら」

「私の想い人は少々恥ずかしがり屋でな」

「女性ならそんなものでは」

「いじらしい姿が可愛いくて、もっと心を乱してやりたいと思ってしまう」


 聞くんじゃなかった。

 耳が熱い。


「その女性の心臓が潰れたらどうするおつもりです」

「それは困るな」


 そう言うとアルバートは私のうなじに軽くキスをした。


「んっ」

「心が乱れたか?」


 乱れるどころじゃない。

 バクバクと鳴る心臓。息をするのさえ辛い。


「こんなところでっ、人に見られたら、どうするおつもりですか」

「これ以上お前を見られるのは困るな」


 アルバートは私の背中に腕を回してぎゅっと抱きしめた。


「あっ、あのっ」

「こんなに肌を出して、男は私みたいに紳士ばかりではないぞ」

「どこが、紳士ですか!」

「これでも辛抱している」


 むすっとした声でアルバートは言った。


「着たくて着たんじゃない」

「わかっている。だが妬くぞ。こんな姿を私以外の男に見せるなんて」

「……」

「既に誰かに言い寄られたか?」


 !!


「そ、それは」

「ふぅん? お仕置きが必要だな」


 アルバートは長い指で仮面を外した。

 月明かりに照らされたアルバートは誰よりも美しかった。


 キラキラと光る前髪がふっと近付く。

 唇が重なる。


 カーテン一枚隔てたところでこんなことをするなんて。

 この背徳感は、私の中に言いようもない程の興奮を呼び起こした。


 私はもっとアルバートに触れたくて、その頬に手を伸ばす。

 しかしアルバートは私の手をぱっと握ると唇を離した。


「あぁ失礼。ご令嬢にこんなことをしてはいけませんね」


 アルバートは不敵な笑みを浮かべて仮面を付け直す。


「な、何でっ」

「お預けだ」

「なっ」

「もっとしたかったか?」

「ち、ちが」

「違わない。だがお仕置きだ」


 私は恥ずかしさのあまり俯いた。

 自分の浅ましさが恐ろしい。


 そんな私をアルバートはまた強く抱く。


「リシリアは可愛いな」

「な、名前っ」

「仮面舞踏会も悪くない」


 こんな夜会、もう二度と出たくありません。


読者様大感謝企画、特にご要望なく終了しました。


が、大丈夫です!

凹んでなどおりません。


昨日今日と突然増えた評価ポイント。

わかっていますよ、そこのあなた!!

「リクエストはしないけど、応援しているよ」という意思表示ですね?

ありがとうございます。そのお気持ち受け取っております。


はたまた「早く続き読みたすぎるから、リクエストしたい衝動を抑えてあえての無言」でしょうか。

わかります。伝わっていますよ!


という妄想をしながらポジティブに執筆しております。


大感謝企画で恩返し出来ませんでしたが、読者の皆様に感謝していることだけ伝われ!

いつもありがとうございます!

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