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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
1年生
60/160

真っ赤だな

「仰りたいことはわかるのです」

「ほぅ?」

「ですが、あの。婚約は――」

「まぁいい、互いに世間体もあるしな。リシリアは婚約を断って間もないし、私も学園に色恋をしに来たのかと言われかねん」


 アルバートは立ち上がると私の隣に腰を下ろした。


「ご配慮いただき感謝します」

「構わん。今更肩書きにこだわることもない」

「そうですか」

「時にリシリア」

「はい」

「私のことが好きか?」


 ドクン。

 心臓が震える。


「意地悪な質問をしますね。わかっているくせに」

「リシリアの口から聞きたい」


 アルバートはさらりと私の髪に触れた。


「お慕いしております」

「好きだと言え」


 あぁ、なんでこんな困らせることを言うのでしょう。

 そういう愛の言葉は、たった数文字でも重みが違うのですよ。

 発するのにどれだけ勇気がいるか。


「言わねばなりませんか?」

「あぁ、聞きたいな」


 意地悪な笑顔。

 私の鼓動はますます速くなる。


「ア、アルバート」

「あぁ」

「好き」


 私は消え入りそうな声で言った。

 恥ずかしさのあまり慌てて両手で顔を覆った。


「リシリア、顔を見せろ」

「む、無理です」

「見たい」


 アルバートは私の手首をつかむ。


「い、いやっ」

「その可愛い顔も私のものだ」


 アルバートは強引に私の顔を暴くと優しい目をして笑った。

 その目に射抜かれて、火照った頭はもっとくらくらした。


「そんなに瞳を潤ませて、誘ってるのか?」

「ち、違っ」

「いいや、違わない」


 アルバートはふっと笑うとその唇を私の口に押し付けた。


「!」

「柔らかいな」

「そ、そのような感想は結構ですっ」

「耳まで真っ赤だな」

「聞こえませんっ」


 穴があったら入りたい。

 一冬くらい冬眠して心を落ち着けたい気分です。


「昨日はリシリアからしてきたのに、今日は随分素っ気ないのだな」

「は、恥ずかしいのです」


 昨日までは想いが通じ合うなんて思ってもみなかった。

 アルバートとこんなことになるとは想像さえしていなかった。

 それが今現実となって、どうすればいいのかわからないのだ。


「さぁ、次はリシリアの番だ」

「えぇっ!?」

「こういうのは慣れだろう」

「アルバートは慣れてらっしゃるのですか?」

「いいや、そうだな、私も慣れていない」

「……」


 そうは思えませんが。


「慣れるまで2人で特訓だな?」

「慣れる前に心臓が止まりそうです」

「それは困るな」


 ぽすっ。

 アルバートは私の胸に耳をつけた。


「アルバート!?」

「本当だ、速い」

「ちょっと! 何を!」

「あぁ、また速くなったぞ」

「からかうのもいい加減に――」

「からかっているのではない。全部知りたいのだ。私といる時のリシリアの胸が、どれほど速く打つのか」


 身体がガチガチで身動き一つ取れません。







 しばらくしてアルバートは納得したのか、私から離れた。


「デートって、もっと違うのを想像していました」


 一応抗議の声をにじませておく。


「例えば?」

「景色の良いところを歩いたり、楽しいことを語り合ったり」


 もっと健全なやつですよ。

 少なくとも密室で密着するのはレベルが高すぎます。


「では次はそうしよう」

「次……」


 次を想像すると精神的に疲弊してしまいそうなのでやめましょう。




 コンコンコン。

 会話が途切れたタイミングでノックの音がする。


「シーラでございます。ご昼食をお持ちいたしました」

「あぁ、入れ」


 シーラは大きなバスケットを持っていた。


「殿下、外でピクニックはいかがですか? 紅葉が見事ですよ」


 あぁ! ピクニック! いいですね。

 秋晴れの中でお弁当を広げるなんて、とても健全です!


「アルバート、そうしましょう!」


 もう礼拝堂で二人っきりは耐えられません。


「リシリアがそう言うなら」

「ご用意いたします。その間、このあたりでしばらく散策などされては」

「是非! アルバート、紅葉狩りです!」


 シーラ、ナイスアシストです。

 将来王宮に嫁ぐことがあったなら、是非専属侍女になっていただきだいくらいです。


 礼拝堂の扉をくぐる時、シーラはにっこりと私に笑いかけた。


 あぁ、出来る侍女ですね。

 きっと扉の外で私たちの会話を聞いていたのでしょう。

 それでこの機転とは全く恐れ入ります。


 外へ出ると、秋の高い空に真っ赤な紅葉が舞っていた。


「確かに見事だ。真っ赤だな」

「綺麗です」


 私たちはサクサクと落ち葉を踏みながら、赤い世界を眺めた。

10万字突破!

いつも読んでくださっている皆さま、感謝です!


記念すべき10万字の回、タイトルが雑ですみません。

もっとこう、オシャレなの思いつきたかった。

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