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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
1年生
43/160

アルバートのデート(?)プラン

「リシリア、手を」


 私とアルバートはラフな服装に着替え、馬車に乗り込む。


 柔らかいコットンのノースリーブワンピースに、1枚ショールを羽織っただけの普段着。

 礼装からの開放感ったらないです。


 アルバートもポロシャツにスラックスというラフな服装で、こういうカジュアルなのはとても新鮮です。


「どちらまで?」

「秘密だ」


 バタンと扉が閉まると、馬車はゆっくりと走り出した。


 すぐに気がついたのは、王族が乗る馬車の揺れの少なさ。

 そもそもの揺れが少ない上、座席が張りのある高級仕様で振動が不快ではない。


 というか、この絶妙な振動は寝てしまうやつ。

 疲れ果てて、家路につくために乗った電車を思い出す。

 あぁ、気持ちいいなぁ。


 ドス。

 向かいに座っていたアルバートが私の隣に移った。


「少し疲れた。眠る」

「は、はい」

「リシリアも好きにしろ」


 そう言うとアルバートは目をつむった。

 これは私に気を遣ってくれたのだろうか。


 アルバートの規則的な呼吸音につられ、私もだんだんウトウトしてくる。


 眠気と戦いながらも頭がふらふらと揺れる。


 すごく眠い。

 こんなにリラックスしたのは久しぶりな気がする。


 目をつむると一瞬で眠りに落ちた。








 どれくらい寝ていたのでしょう。

 パチっと目を覚ますと辺りは薄暗かった。

私はアルバートに頭を預ける格好で眠りこけてしまっていた。


「ん? 起きたか」

「す、すみません」

「余程疲れていたのだろう。すぐに眠ったな」

「お、起きてらしたのですか?!」

「さぁな?」


 ああ、その笑みはずっと起きていましたね。

 まんまとやられてしまいました。


「あの、今何時ですか」

「ディナーの時間だ。もう準備は出来ている。リシリアがよければ行こうか」

「はい」


 馬車を降りると貴族棟の正面だった。


「え?」


 移動してない?

 というか、寝ていたせいでデートすっぽかしたことになってる?


 きっと今私、真っ青な顔になっています。


「気にするな。別にどこかに行こうと思っていたわけではない。リシリアを休ませられたらそれで良かった」


 アルバートは優しく笑うと私の手を引いてくれた。


「でも、デートは……」

「リシリアの寝顔を見られた。楽しかったぞ?」

「す、すみませんでした。放ったらかしにしてしまって」

「良いと言っている。さぁ、食事にしよう」


 私はアルバートにエスコートされるまま、貴族棟の庭園に足を踏み入れる。


 迷路みたいに入り組んだ背の高い植栽。

 アンジュと初めて会った場所だ。


「非日常がいいと言っていたからな、こういう趣向はどうだ?」

「わぁ!!」


 植栽の角を曲がった先の、少し開けたスペース。

 そこには色とりどりのランタンが下げられていて、とても幻想的な雰囲気だった。

 まるで光の世界に迷い込んだみたい。


「リシリア、こちらへ」


 光の中心にテーブルセットがあった。

 私とアルバートが腰掛けると、どこにいたのかガラスボールを持った給仕が現れる。

 水を張ったガラスの器の中にはオレンジ色の火がついたキャンドルが浮かべられていた。


「きれい」

「あぁ、きれいだな」


 ロマンティックなムードに思わず顔の筋肉が緩む。


「お気に召したか?」

「はい、とても」


 ゆらゆら揺れるキャンドルの炎を見つめていると、スープが運ばれてきた。


「身体に優しいものをご用意しております。どうぞお召し上がりください」


 給仕は静かに皿を置く。


「ありがとうございます」


 確かに午後は胃がキリキリしていた。

 今日のアフタヌーンティーなんて手を付けた覚えがない。

 最近は夏期講座の疲れと夏バテもあって、食も進まなかった。


「お礼は殿下に。リシリア様のお身体を労るメニューをと、殿下の仰せです」

「アルバート……」


 私はアルバートの目をじっと見る。


「礼には及ばん。さぁ食べようか」

「ありがとうございます。嬉しいです」

「そう素直に言われると調子が狂うな」

「でも本当に。今とても温かい気持ちです」

「そうか、ならよかった」


 私達はランタンとキャンドルの柔らかな光に包まれながら食事をした。

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