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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
1年生
37/160

長い片想い

 ダブルデート当日。


 私は無難なアイボリーのドレスに袖を通す。

 ミントグリーンのボレロを羽織り、髪は簡単にサイドでまとめたら完成。


 今日の主役はアンジュですから、脇役を意識したコーディネートです。


「せっかくだから、つけて行こうかな」


 私は昨日アンジュにもらった貝殻の耳飾りをつけた。

 耳元が一気に夏らしくなる。


 まだ五月だというのに、窓から差し込む日差しはすっかり初夏だ。






「あ、お待たせいたしました」


 扉を開けるとアルバートとノアが出迎えてくれた。


「今日も可愛いよ、リシリア」


 ノアが微笑む。

 何だか吹っ切れた感じ。


「ありがとう」


 私も素直にそう言えた。


 隣で少しむっとしているアルバートとは目を合わせないようにしましょう。


「じゃあアンジュを迎えに行きましょうか!」






 庶民棟の門の前で待っていると、寮の中からガヤガヤという声が聞こえてきた。

 そして窓という窓はあっという間に人影で埋まった。


 アルバート王子、公爵家の秀才ノア、そして私。

 三人揃って立っているなんて、そりゃ好奇の的ですね。


 カツン。

 レンガを鳴らす足音がする。


 ゆっくりと出てきたのは、パステルピンクのドレスに身を包んだアンジュだった。

 髪はカチューシャのように編み込みを施したサラサラストレート。

 控えめに言ってめちゃくちゃ可愛いです。


 庶民棟は一瞬シンと静まり返った。

 そりゃあの野暮ったかったアンジュが、天使のような美少女に大変身ですからね。


「あ、あのっ。お迎えに来ていただいてっ、すみませんっ」


 口を開くとやはりアンジュですね。

 黙っていればセレナと並んでいても遜色ない優雅な令嬢なのですが。


「見違えたな、アンジュ殿」

「こ、光栄です」


 アルバートに褒められたアンジュはペコペコと頭を下げる。


「じゃあ行きましょうか!」

「は、はい!」






 私たちは貴族棟裏手の泉にやってきた。

 木々が日よけになり過ごしやすい。

 泉の澄んだ水も目に涼しかった。


「わぁ、貴族棟の裏にこんなところがあったのですね」


 アンジュは珍しくはしゃいでいる。


「夜に見る景色とはまた違うな? リシリア」

「あーはい。そうですね」


 レストランから見た泉もきれいでしたが、昼に見るととても健康的な感じがします。

 アルバートの言葉はさらっと流しておきましょう。


「晴れてよかったですね! 空も真っ青!」


 アンジュは気持ちよさそうに伸びをする。


「この前デートで行った、美術回廊のガラス細工を思い出すよ」


 ノアはアルバートにわざと聞こえるように言う。


「ほぅ。カンサム公にはデートをする相手が?」

「殿下、その質問は野暮ですよ。ね? リシリア?」


 ノアは笑顔を崩さない。

 でも眼鏡の奥で瞳を光らせているのがわかりますよ。

 ややこしいのでアルバートをからかうのはやめてください。


「ちょ、ちょっとノア。こちらへ」

「あぁ、殿下。リシリアが二人で話したいそうなので少し失礼」

「ア、アルバートはアンジュのお相手をお願いいたしますね」





 私はノアを森の中に連れて行った。

 このあたりなら声も聞かれないだろう。


「リシリア、情熱的だね」

「冗談はやめて。何なのあれ」

「あはは。少し殿下にやり返したくなってさ」

「あんまり煽らないで」

「でもさ。僕とリシリアが恋人の振りをすれば、必然的に殿下とアンジュさんがペアになるでしょ?」


 一理ある。

 けど全く乗る気になれないのはなぜだろう。


「それともリシリアは、殿下に誤解されるのが嫌?」

「そ、そんなことは」

「あるでしょ?」


 あるんだろうか。

 私はアルバートとアンジュをくっつけにきたのに。 


 というか駄目だ。

 ノアの会話のペースに巻き込まれている場合じゃない。


「ノア、嘘を謝罪するって言ってたじゃない」

「するよ。今日のデートが終わったら」

「そ、そう」

「長い片想いの最終日だからさ、無駄なあがき? 最後の抵抗? 何だろうね」


 私が聞きたいですよ。


「ほら、アンジュさんがこっちを見てるよ。戻ってあげないと」


 アンジュの方に目をやると、確かに不安げな目で私を見ていた。

 アルバートとの会話が弾まないのだろうか。


 というか、ほとんど話したこともない王子と二人にされたら当然か。


「戻るけど、さっきみたいなのは――」

「わかってるよ。今日はリシリアを楽しませに来たからね」

「ありがとう」

「じゃあ手でも繋ごうか」

「わかってない!!」

「はは、半分冗談だよ」


 半分って何ですか。

 色々と吹っ切れすぎですよ、ノア。


 

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