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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
2年生
126/160

学園祭準備

 明日はいよいよ学園祭。

 今日は、喫茶「王室の御用達」の内装に取り掛かっています。


「リシリア、ちょっと来なさい」

「何でしょう」

「私は何をすればいいの」


 えぇっと。

 とりあえず椅子から立ち上がるところから始めてはいかがでしょうか。


「クロード。モモ様の担当は何ですか?」


 私は実行委員のクロードに声を掛けた。


「あぁ、モモタナ様は戦力に数えてないので」

「そうね、私に指図するなど許さなくてよ」

「テーブルクロスでも敷いてもらいましょうか」

「ちょっと、貴方聞こえていて!?」


 クロードはテーブルクロスの入った箱を持って来た。


「これを各テーブルに敷いてください」

「ふん、そんなの簡単よ。すぐに終わるわ」


 モモ様は箱からテーブルクロスを引き出そうとする。


「何これ、重いじゃない」

「一枚ずつ取ればそうでもないですよ。モモタナ様の細腕には無理ですか?」

「バカにしないで。これくらい平気よ」

「モモタナ様って偉そうですよね」


 クロード。

 以前からマイペースな人だと思っていましたが、それは言いすぎですよ。


「クロード、今のは失礼ですよ」


 私はさっと窘める。


「あ、すみません。俺ってつい余計なこと言っちゃうみたいで」


 本当に悪気はないのだろう。

 クロードは頭を下げた。


「わかるわ……」

「モモ様?」

「いいのよ。偉そうなんじゃなく、私は偉いのだもの」


 胸を張って言うことではありませんよ。


「気をつけなきゃいけないと思ってはいるんですけど……。こないだだって、リシリアさんとノアのこと、誤解されるように言っちゃったみたいで、すみませんでした」


 私がノアの部屋にガラスペンを取りに行った時のことだ。

 アルバートに少し話を聞いた。






「? ノアはどこへ行った? リシリア殿も姿が見えぬようだが」


 手洗いから帰ったゴーチェ先輩が、前室に残っていたクロードに聞いた。


「二人でノアの部屋に行きましたよ」

「何? それは殿下もご存知か?」

「いいえ。それにしても二人って仲良いですよね。って先輩!? そっちは殿下の――」

「殿下! 失礼する!」





 確かに二人でノアの部屋にいたのだが、示し合わせて行ったわけではない。

 まるで逢引きするかのように聞こえる言い方をしたクロードは、その後アルバートに反省させられたらしい。






「あれは私も悪かったから」


 しゅんとしたクロードに声を掛ける。

 モモ様はその姿をじっと見つめて言った。


「わかる」

「え?」


 クロードが顔を上げると、モモ様はまくしたてるように続けた。


「余計なこととか、誤解を招くようなこと、つい言っちゃのよね!? そんなつもりこれっぽちもないのに!」

「そ、そうなんですよ!」

「あの言い方は駄目だとか後から言われても、そんなの知らないわよ。わかってたら最初からそんな言い方してないわ」

「ですよね! 俺だって失言したくてしてるわけじゃない!」

「受け取る人間の想像力が足りないのよ」

「誤解したのはそっちなのに、責任を押し付けるなって感じですよ」

「私たち、気が合うわね」


 そんなところで気が合ってもらっても困るのですが。


 でも何だかんだ言いながら、クロードがテーブルクロスを取り出して、二人で広げてテーブルにセットしていく。

 なかなか良いコンビではありませんか。




「リシリア、花を持って来たぞ」


 アルバートが温室で育てた花を摘んで戻ってきた。


「ありがとうございます。生けていきましょう」


 私は用意してあった花器に花を生けて行く。

 アルバートはそわそわしながら耳打ちした。


「クッキーは今日焼くのか?」

「いえ、今日は生地を作って、一晩休ませます。焼くのは明日の朝ですね」

「そうか」


 アルバートは少しがっかりした顔をした。


「休憩用のお茶菓子に、マドレーヌを焼いてきたんです。あとで皆で食べましょう」


 私がそう言うとアルバートの顔がパッと明るくなった。

 何だか子どもみたいで可愛い。





 ノアはカーテンを掛け替えて、アルバートは入り口の装飾をした。

 テーブルクロスを敷き終えたモモ様は、ティースプーンを一生懸命磨いていた。

 2時間ほどすると、準備は完了した。




「姉様!」


 装飾された室内に、ひょっこり美少年が顔を出した。


「トマ、何の用?」


 エーコットの第二王子、トマスティオ殿下。

 資料では名前を拝見していましたが、この顔、どこか見覚えが――。



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