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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
2年生
124/160

sideアンジュ ランカ先輩とデート2

 私は岩の上に仁王立ちの格好でランカ先輩に向かい合った。

 好きな人と二人っきりだというのにロマンティックの欠片もない。


「ランカ先輩って、リシリア様のこと好きじゃありませんでした?」

「あぁ」


 あぁって!


「あぁって何!」

「随分昔の話をするなと思っただけだ。聞きたいか?」

「い、一応。参考までに」


 見つめ合うと言うより睨みつける状態になってしまった。


「あれは一目惚れというやつだな」

「リシリア様、きれいですもんね。それに比べて私なんて子どもっぽいし――」

「何を勘違いしている。俺が興味を持ったのはあの体幹と筋肉だ」

「それ本気です?」


 いや、そういう人ではあるけれど!


「鍛えている筋肉かどうかなど一目でわかる。入学式の日に見たあの背筋の後ろ姿は素晴らしかったな。しかもそれが公爵令嬢だぞ? 信じられないものを見た気がした」


 その頃の私はいつも猫背で、よくリシリア様に注意されていたっけ。

 当時の私ならランカ先輩の目にも止まらなかったんだろうな。


「今は?」

「今はお前の方が上だろう」


 まぁ確かに。

 授業では男子と同じメニューをこなしていますからね。


「リシリア様には力こぶありませんもんね」


 私は右腕に力こぶを作って見せる。


「いい身体だ」

「っ! どういうことですか!」

「褒めている」


 ランカ先輩は大真面目な顔で言った。


「それに俺はリシリア殿に振られているぞ」

「そうなんですか!?」

「求婚したのがちょうど1年前だったか。そのあとちゃんと振られたよ」

「し、知らなかった……」


 私が頭の中を整理していると、ランカ先輩が私を抱き抱えてトンと岩の上から下りた。


「ランカ先輩!?」

「岩の上は危ないだろう」

「お、下ろしてください」

「こうして抱くと案外小さいんだな」

「わ、悪かったですね!」

「悪いとは言ってない」

「じゃあ良いですか!?」


 あぁ~!

 なんで喧嘩越しになってしまうの、私!


「あぁ、良いな」

「へ?」


 ランカ先輩の顔が間近に迫る。


「普段は馬に乗って、剣を振り回して、強く大きく見えるものだが。こうして腕の中に入れると女のようだな」

「女ですよ!」

「可愛いという意味だ」


 そう言うとランカ先輩のは私の額にキスをした。


「な、な、な!!!」

「他に聞きたいことは?」


 真っ黒な目を見ていると吸い込まれてしまいそうだ。

 私は目を伏せて聞いた。


「ランカ先輩、私のこと好きなんですか?」

「そうだな」

「~~!! なんでそうしれっと言っちゃうんですか~!!」


 ランカ先輩の胸をポカポカ叩く。

 しかしその厚い胸板は微動だにしない。


「俺からも質問していいか?」

「下ろしてくれたらいいですよ」


 むすっとして言うと、ようやく足が地面についた。


「アンジュは俺をどう思う」

「!!」


 好きだと答えれば両想いなのに、なんだか言いたくない!

 私だってリシリア様と王子殿下みたいな、甘くてロマンティックな恋愛がしたいのに!


「答えないのか?」

「言ったら負けみたいな感じするんで」


 私はそっぽを向いた。

 リシリア様も素直じゃないと思うけど、私も大概素直じゃない。


「だったら俺の見解を話すが」

「ひゃっ!」


 次の瞬間私はランカ先輩の胸の中にいた。

 大きな腕に捉えられ、身動き一つ出来ない。


「筋肉の緊張、心拍数の増加、体温の上昇。アンジュ、俺を好きだろ?」

「うぁ」


 声にならない声を出してしまう。

 見上げたランカ先輩の顔は自信に溢れていた。


「顔面の紅潮に、瞳孔も開いているな」

「そ、そういうこと! 言わなくていいから!」

「アンジュが返事をしないからだろう。身体的要素から推察するしかない」

「す、好き! 好きですよ!」


 あぁ!

 こんな風に言うつもりじゃなかったのに!

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