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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
2年生
107/160

アンジュの動向

 モモタナ様とのアフタヌーンティーまでに少し時間があったので、庶民棟の皆が宿泊しているというロッジのあたりを散歩していた。


「あ、リシリア様!」


 ナナ……。今会うのはすごく複雑な気分ですよ。


「ごきげんよう」

「聞いてくださいよ~アンジュが昨日帰ってこなくて」

「えぇ!?」

「朝方戻ってきてそのまま寝ちゃったんですけど、誰かといたんですかね?」


 ナナは顎に手を添えて、探偵みたいなポーズで唸った。


「アンジュはいまどこ?」

「少し前に起きて、お風呂行っちゃいました。もう出る頃だと思いますけど。あ、ほら」


 ロッジから少し離れたところに大浴場があるようだ。

 アンジュはほかほかと湯気を出しながら、血色の良い顔で出てきた。


 私はナナに別れを告げるとアンジュのもとへ行った。


「アンジュ!」

「リシリア様、おはようございます。ってもう昼ですね」


 ふにゃっと笑うアンジュ。


「昨日帰らなかったんですって?」

「そうなんですよ」

「一体誰と、何を――」

「リシリア様と別れたあと、騎士団メンバーで盛り上がっちゃって」


 相手は騎士団の男ですか!?


「そのうちの一人が、『このまま野営訓練するぞ!』とか言い出して」

「野営……?」

「火を焚いて交代で眠ったんですけど、全然寝た気がしなくて。帰って二度寝したら、結局この時間です」


 アンジュは照れくさそうに言った。

 なんて平和そうに笑うのだろう。私は大きな溜息をついた。


「てっきりアンジュに好い人が出来たのかと」

「あはは!」

「びっくりしたわ」

「いますよ?」

「え?」


 えぇ!?


「なーんて」

「どっち!?」


 私は慌てて口を覆う。

 大きな声を出してしまいました。


「気になる人はいます。リシリア様見てたら、恋っていいなって思って。でもちょっと無理めなんですよね」

「そうなの」


 相手は貴族だろうか。


「まぁ今はとにかく訓練頑張るしかないかなって!」

「どちらも応援してるわ」

「はいっ!」


 私は小さなアンジュの頭を撫でる。

 トリートメントしてあげないと、髪が潮風と日焼けで傷んでいる。

 いや、そんな心配はもうアンジュには不要なのかもしれない。


「リシリア様は今日もお美しいですね。何だか今日は、とっても色っぽいです」

「そう?」

「殿下と仲直り出来たんですね?」

「喧嘩をしていたわけではないんだけど、そうね」


 アンジュは丸い大きな瞳を真っ直ぐ私に向けて聞いた。


「リシリア様、いま幸せですか?」


 私はアルバートの顔を思い浮かべる。


「うん、幸せ」


 恥ずかしげもなく言い切った。


「でしたら私も幸せです」


 アンジュは満面の笑みで私の両手を握った。



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