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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
2年生
104/160

温泉とスパ

 私の部屋は大きな洋館の最上階にあった。

 有名貴族の別荘を買い取って改築したものだそうで、重厚感のあるアンティークな佇まいの中にも、機能的でセンスの良い内装が素敵だった。


「湯殿の用意が出来ておりますのでまずはそちらへ」


 私はシーラにワンピースを脱がされ、湯殿へ入る。


「うわぁ、すごい」


 一面敷き詰められた御影石の黒。

 中央には檜で出来た四角い湯舟。

 何だか急に和風でものすごく落ち着きますね!


「いかがですか?」

「すごくいいです。木の香りも癒されるわ」


 私は湯気と一緒に檜の香りを吸い込んだ。

 うん、気分は温泉ですね。


「海が近いせいか、地下から湧く水が少し塩辛いんですよ。でもポカポカに温まると、このあたりでは有名なのだそうです」


 それ温泉です!

 多分塩化物泉とかそういうやつ!


 シーラは私の髪をまとめあげると、先に身体を洗った。


「ふふ、くすぐったいわね。慣れないわ」

「我慢くださいませ。後ほどトリートメントもいたしますからね」

「はぁい」


 アルバートとモモタナ様のことで少し落ち込んでいたけれど、シーラの最高級スパを受けているうちに心もほかほかになってくる。


 少し熱めの温泉にざぶんとつかると、一日の疲れがじわっと溶けだしていくようだった。

 馬車もそれなりに長く乗ったし、お茶会では気苦労もすごかった。

 アルバートとは喧嘩してしまうし、何だかやっと落ち着けた気がする。


「あぁ~気持ちい~」


 弛緩した声が高い天井に響いた。


「では髪もパックしてまいりますね」

「ふぁい」


 私は温泉につかったまま、頭だけシーラの方へ投げ出す。


「溺れないでくださいませね?」

「ん、気を付けます」


 潮でべたべたする髪をシーラは丁寧に洗う。

 続いてトリートメント、なのだが、これがとっても良い香り!

 トロピカルなフルーツ系の香りで、トリートメントまで旅行仕様とは至れり尽くせりです。


 私は温泉とスパをたっぷり堪能して部屋に戻った。


「シーラのおかげでつるつるピカピカだわ」


 もちもちした吸い付くような肌は、自分でもずっと触っていたくなるほど。


「いつにも増してお美しいですわ」

「ふふ、照れるわね」

「お召し物もよくお似合いです」

「すこし派手ではないかしら?」

「とても魅力的ですわ」


 いつもは着ないようなベビードール風のドレスだった。

 白のシルクは柔らかく光沢があり、胸元と裾には海を切り取ったようなブルーのレースがあしらわれている。

 姫系ですが甘々すぎず私のツボをついたドレスです。たまにはこういう冒険してみるのもアリですね。


「せっかくだから、アンジュにもらったネックレスをつけて眠ろうかしら」


 私は夜光貝のネックレスを首に下げる。

 波の音に、シェルのネックレス、うん、バカンスって感じ。


 私がベッドに向かおうとすると、シーラがにっこりと私の前に立ちふさがった。


「そちらは私のベッドですわ」

「え、そうなの?」

「はい。リシリア様はあちらの寝所へ」


 手で示された先には鍵付きの扉があった。

 なるほど。ここにはシーラが控えて、私は別に寝室があるのか。


「ありがとう、ではまた明日」

「明日は起こしに参りませんので、たっぷりお寝坊なさいませね」

「? いいの?」

「はい。どうぞごゆっくり」


 いつもは決まった時間に起こされるのに、旅行って素晴らしいですね!

 控えめに言って最高です。

 思いっきり寝坊してやりましょう。


 頭を下げるシーラに背を向けて、寝室へ入る。





「え?」


 予想もしなかった光景に思わず振り返る。

 しかしいつの間にか背後にいたシーラは、とても良い笑顔をして扉を閉めた。


 カチャリ。

 錠の落ちる音がする。

 しまった、ハメられた。


「リシリア、今夜は一段と可愛いな」

「な、なんで!?」


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