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ビクトリアの真珠  作者: 東武瑛
10/23

住む世界が違う

ビクトリアはキャンドルを灯した部屋で一人物思いに耽っていた。

「どうしてもチャンの事が忘れられない」とビクトリアは思っていた。

窓の外から聖歌隊の歌が聞こえる。

「もうすぐクリスマスだわ」とビクトリアは思った。

その時、「ビクトリア」と呼ぶ父親の声がした。ビクトリアがリビングルームに行くと父親が「クリスマスの夜、リチャード君と一緒にディナーに行こう」と言った。

「ハイ」とビクトリアは答えた。

「まさか、あの中国人の事が気になるのか」と父親は聞いた。

ビクトリアは沈黙した。

「忘れなさい。あいつらと我々は住む世界が違うからな」と父親は念を押す様に言った。

「はい」と答え、ビクトリアはベッドルームに行った。

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