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住む世界が違う
ビクトリアはキャンドルを灯した部屋で一人物思いに耽っていた。
「どうしてもチャンの事が忘れられない」とビクトリアは思っていた。
窓の外から聖歌隊の歌が聞こえる。
「もうすぐクリスマスだわ」とビクトリアは思った。
その時、「ビクトリア」と呼ぶ父親の声がした。ビクトリアがリビングルームに行くと父親が「クリスマスの夜、リチャード君と一緒にディナーに行こう」と言った。
「ハイ」とビクトリアは答えた。
「まさか、あの中国人の事が気になるのか」と父親は聞いた。
ビクトリアは沈黙した。
「忘れなさい。あいつらと我々は住む世界が違うからな」と父親は念を押す様に言った。
「はい」と答え、ビクトリアはベッドルームに行った。