#34 衝撃の乱入と表彰
~終了後~
「さて、では、勝者にインタビューを…、」
司会が、そう続けようとしたその時!
仮面をかぶった謎の5人が、地面にクレーターを作るように現れた。
「優勝者といえども、しょせんは子供。我らに勝つことはできんと思え。」
謎の覆面の5人だが…、
(明らかに先生なんだよなぁ。)
先生なのだが、当然、タクが本気を出すだけで軽くあしらえるはずなのだ。
つまり、奥の手がある可能性が高いということ。
そして、流されるままに、その5人(先生)と戦うことになってしまったのだった。
~vs覆面の5人~
「さぁ、突如として始まってしまったバトル。覆面の5人の実力は未知数です!!我が校のエリートは、打ち勝つことができるのでしょうか!!それでは、開始です!!」
そうこうしているうちに、始まってしまった試合。
相手のチームのメンバーから察するに、完全に戦闘モードである。
魔法隊3人に、剣を構えた前衛2人。
この時、魔法隊は防衛系の魔法を身に纏っていることが多い。
現に、今この時もうっすらと魔力の壁のようなものが見える。
相当分厚い壁を構築しているようだ。魔力が可視化されるほど圧縮するのは、並大抵の努力とスキルでは不可能だ。
「子供3人に対して、大人5人は少々卑怯なのでは?」
「ふん、そんな細かいことを気にしているのか。そこは、5人だろうと何だろうとかかって来いとか言うべきなのではないか?」
「いいんですか?潰しますよ?」
「よく吠える。潰せるもんなら潰してみろ。その自信を叩き潰してやる。」
いつまでも強気な5人だが、すぐにその顔は驚愕に染まることとなる。
まず、タクは自身の持つステータスを最大値まで引き上げたのち、魔力を垂れ流しにした。
この時、5人から見て、タクは尋常ではないほどの威圧感を放つ化け物のように見えたはずだ。
この世界の理として、自分よりも多くの魔力を持つものと戦った場合、その魔力を身に受けるだけで、威嚇と同様の効果を受け、怯えてしまうといわれている。
普段強者が、街を歩いてもそうならないのは、これまた理として、魔力量の多いものに確定的に付けられるスキル、【魔力隠蔽】のおかげだ。
今、5人に当てられているのは、タクの全力の魔力。つまり、相当な威圧だった。
そして、タクは、潰すというのに相応しい魔法を放つ。
「後悔しないでくださいね。【円形落石】」
今、5人の頭上にあるのは、ドームを逆さにしたような形の巨石だった。
まさしく、潰す。比喩ではなく、当たれば本当に潰されてしまうような技だった。
巨石が、5人の頭上に迫っていき、潰されるまで秒読み段階となったその時、教師としてのプライドが責任化は分からないが、剣を持つ2人が動いた。
「「【破岩斬】」」
岩を破壊する。そのためだけに開発されたのではないかと思われる斬撃だった。
たった二人の斬撃によって、生み出された岩を破壊してしまった。
「そろそろ私たちも…。」
「戦っていいかしら?」
ルナとユキが、話しかけてくる。
タクは、首を縦に振る。
その合図を見計らって、ルナとユキは、用意していた魔法を発動させる。
「【氷要塞】」
「(金狐)第一次解放・・・。【黄金狐火】」
タクの後ろに築かれる、氷の要塞。そして、浮かび上がる金色の炎。
金色の炎。前回使ったときは敵を無残にも溶かしたが、今回の出力なら、一番ダメージを受けてもやけどを負う程度で済むだろう。
要塞が攻撃の役に立つとは思えない。と思うかもしれないが、ユキの言った、「【氷城】よりも、2つくらい上位のもの」という意味がここで分かる。
確かに、城壁もはるかに分厚いが、何よりも目を引くのが氷でできた砲撃台に組み込まれた、氷の魔法陣である。
これは、魔法の使用者が魔力を流すだけで、軍をも散らすことができるといわれるほどの威力を持つ氷撃弾を放てる魔法陣だ。
よって、牽制などと甘いことは言わず、再起不能に陥らせることすらできる兵器なのである。
触れただけで、戦闘継続不可と判断される金色の炎に、氷とは思えないダメージを叩き出す氷砲撃。そして、どこからともなく現れ、強力な魔法を打ち込んでくるタク。
いくら先生方ともいえど、このチームの前には、歯が立たなかった。
といっても、先生方が負けたという事実は覆面のおかげでばれることもなく終わったのだった。
覆面の男たちは、そのまま、何事もなかったように、医務室に連れていかれたのだという。
えっ?奥の手?準備をする時間なんてありませんでしたよね。
~表彰式~
「よくわからない戦闘が入りましたが、改めてインタビューを行いたいと思います。今回の手ごたえはどうでしたか?」
「それぞれの属性の特徴が、とても分かりやすく出ていたと思います。それぞれへの、対応についての考え方が生かせた気がしています。」
「なるほど、属性魔法への対応を学べたのですね。今回は、非常に多くの斬新な技を見せてくださいましたが、あの技はご自身で開発されたものですか?」
「いえ、文献を参考にしました。」
「なるほど、知識も豊富なのですね。ありがとうございました。準備が整ったようですので、表彰台の方へどうぞ。」
そして、促されるまま表彰台へ上がり、表彰されるタク。
「さて、リーダー、タクの率いるチームレインボーマテリアルSには、優勝したことへの報酬を渡そうと思う。」
国王が直々に表彰し、報酬を渡すというのだから驚きだ。
結論としては、授業への参加が自由となり、卒業等の規則が緩くなった。
すぐさま、魔王のところに行きたいタクとしては、非常にありがたいものだった。
なおかつ、研究などの手伝いをしている間は、学園の設備の自由使用や、生活の保障まであるという。
といっても、タクが圧倒的な力を見せつけてしまったゆえに国がとった、異例の措置である。
表彰自体は、すぐに終わった。
そのあとすぐに解散となったため、体を休めるために即帰宅を選んだタク達だった。
次回、なんと久しぶりの作者からの呼び出しです。小説の中で、スキルの仕様が変更されるという事態に!?お楽しみに。




